突如始まってしまったユフィとの格闘戦、普段の私なら負けはしないが、何しろ変な仮面のせいで視界には死角が生じ、ピチピチのスーツは動きを阻害する。
「ふふっ、その筋肉…マーヤでしょう?わざわざそんな格好をしなくても私は勝負を受けたのに」
「私もこんな格好をするつもりはなかったのよ!」
しかし、こう考えるとゼロは狭い視界と動きの阻害される全身スーツで私を凌駕する格闘をしていたことになる…。やはりゼロは強敵…!あのマッスルガイさんの分厚い筋肉をぶち抜いて拳を貫通させただけはあるということか
「でも私の前に立つということは…今日こそ死んでもらいます。マーヤ!!」
的確にこちらの仮面を使っての死角からの攻撃…!どんどん戦闘センスが上がっている…!なんとか腕で防ぐが、すぐに流れるような動きで背後に回られてしまう。
「そこッ!」
背後に向かっての後ろ蹴りは空を切った。ならば下…!
「に、居ない!?」
すぐさま私は地面に広がる影に気がつく。
「上かッ!!」
「遅いッ!!」
両踵落とし…!危なかった、ぎりぎり両腕で防げたが…この腕の軋み、尋常じゃない破壊力だ…!
「あら、今回のは行けると思ったのにダメでしたか?」
「一体そんな威力をどうやって出してるのかしら…私より筋肉量は劣るのに…!」
「ふふっ、普段よりも動きにくそうですね」
…!それまで見抜かれて…
「ッ!!」
「あら、これも防ぐのね、流石はマーヤ。」
会話で気を晒せての不意打ち…!手口は汚いが確実に仕留めに来ている…!このままでは…!それにしてもこのスーツ、まるで拘束着…いつもなら筋肉を膨張させるように力を込められるところを抑え込まれている…!
いや、違う…?拘束着…そうだ、拘束着!つまりゼロは常日頃から肉体に負荷をかけることで己を鍛え続けていたのだ…!なるほど、私がゼロに勝てない理由はそれか…!敵ながら己を鍛えようとする姿勢にだけは素直に感服してしまう。
「私と拳を交えている時に他事を考えるなんて余裕ですねッ!!」
ユフィの姿勢は今まさに拳を突き出さんとしている…それに対してこちらは無防備…だが!先ほどまでこの拘束着のようなスーツで闘っていたのだから当然私の筋肉は鍛えられている!この状態で腹筋に力を集中すればッ!!
「ッ!?硬いッ!!」
「怯んだわね?今よッ!!」
「しまったッ!!」
私は怯んだユフィの頭部をガッチリと掴み、両膝を顔面に叩き込む。よし、これで…
「甘いですよマーヤ…!」
なっ…腕で防がれた!?
「お返しです!」
頭部を掴んでいた腕を払われた私は両膝蹴りのせいで空中に浮いている…不味いッ!!
私は首を掴まれ、ユフィはそのまま身体を後ろに捻りつつ私を背負うように…と言うかこれはまさに背負い投げ…!
「マーヤ自身の鍛えられ重くなった筋肉をそのまま重りに首をへし折るッ!!」
ふっ、甘いわねユフィ…!この姿勢でも今の私の筋力ならば空中を思い切り蹴る事で勢いを弱めることはできるわ!
「なっ!?勢いが…!!」
よし、動揺して拘束が緩んだ…!すかさず私はユフィから距離をとり、再び構えを取る。
しかし、お互いに踏み込むと同時に地面が大きく揺れる。あまりにも鍛えすぎたためかとも思ったが、暫くしても揺れが収まっていないところを見ると違うらしい。
「ッ!また余所見!」
咄嗟のガードで拳を防ぐが、こんな非常事態にも関わらずユフィの拳は止まらない。
「ねぇユフィ、非常事態なんだけど?」
「アクシデントなんて私には関係ありません。死んでくださいマーヤ」
くそ、やはりダメか…!…あれ?そう言えばなんで私とユフィって殴り合ってるんだっけ…。…私がハーフだからと明かしたからだったような…。つまり…?
「ねぇユフィ、私ね、ハーフだってユフィに言ったんだけど。アレ勘違いなの。」
「…え?」
「私ハーフじゃないの」
「…え?…あら?私は日本人を殴り殺す…でもマーヤはハーフでもない…?あら…?」
しめた、今がチャンスだ!
「ごめんユフィ!」
腹に膝をブチ込み、くの字に折れ曲がった所を延髄に手刀を叩き込む。
「当て身ッ!!」
「かッ!?」
よし、これで一件落着だ。取り敢えず非常階段から脱出しよう。
暫く階段を降りていると、不審な人物達に遭遇した。手には…銃を持ってる?
「ゼロ…!ゼロだ!」「お待ちしておりましたゼロ!」「これだ俺たちはブリタニアに勝てるぞ!」
「え?いや、私はゼロじゃ…」
「何言ってるんですか、その仮面にマスクに筋肉、誰がどう見てもゼロですよ!」
しまった…脱出するのに夢中でこのツーの格好から着替えるのを忘れてた…!
「ゼロ!我々にご命令を!」「卜部隊長!こちらはゼロと合流できました!…は?卜部隊長も合流できた…?」
…!そうか、この人達黒の騎士団か…!
「クソ!ゼロの偽物だったのか!」「やっちまえ!」
なんと言うことだ。一方的に勘違いしたくせに偽物扱いとは、許せん。放たれる弾丸をユフィをバット代わりに打ち返す。
「なっ!?」
「…なんだマーヤ、私が起きているのに気がついていたのですか」
「私の本気でも3分で回復とは相当鍛えたようねユフィ」
ユフィはニコりと笑うと黒の騎士団と思われる男性に拳をねじ込んだ。腹部貫通とはいかなくとも殴られた男は壁まで吹き飛び、壁が凹むほどの威力だ。
「黒の騎士団…日本人は殴り殺さないと…撲殺です!!」
よし、あとはユフィに任せて私は逃げるとしよう。黒の騎士団を壊滅させたらきっと大人しく牢屋に戻ってくるだろう。
取り敢えずこのことはギルバートGPギルフォードさんに連絡しておくとして…
再びタワー内の非常階段を降りていると、今度はロロに遭遇した。
「アレ?マーヤさん?なんでこんなところに居るんデス?」
「私は仕事の関係よ。…ロロこそ何してるの?」
「ボクはブラザーとはぐれてしまったんデス」
ルルーシュも来ているのか、まぁルルーシュの筋肉ならばこのタワーの崩壊に巻き込まれても命に別状は無いだろう。
「黒の騎士団の襲撃もあるしここは危険よ。一緒に逃げましょうロロ。ルルーシュの筋肉ならこれくらい平気だって」
暫くロロと階段を降りるが、そもそもルルーシュとロロは何しにバベルタワーに来たのだろうか?
「ねぇ、ロロ…って居ない…!?」
おかしい…居なくなる瞬間に私が気が付かないなんて…まぁ、ロロの筋肉を考えればルルーシュ同様タワーの崩壊に巻き込まれても平気だろう。
タワーから脱出し、地上、上層から部隊が導入されているのを確認した私は入口もカラレス総督が待ち構えていることから私の出る幕は無いと確信して帰路に着いた。そもそも本物のゼロはブリタニア本国で捕まっているはずなのだ。スザクから逃げたと言う報告も無いし、エリア11に来ているはずはない。
その後、ギルバートGPギルフォードさんからバベルタワーが崩壊し、カラレス総督が瓦礫に押し潰されて殉職したと聞いた。…なんと言うことだ!筋肉があれば押し潰されても平気だったと言うのに…!そして嫌な予感がしたのだが、総督不在のエリア11、そして私はナイトオブラウンズ…
『マーヤくん…いや、ディゼル卿、新たな総督の就任まで総督代理として指揮を取ってください』
「冗談でしょう!?私まだ学生ですよ!?」
『ですがナイトオブラウンズです。…私も出来る限りの補佐は行います。』
何か…何か逃れる手段はないか…!
「ユフィ!そう、元皇族のユフィを総督代理に…」
『イレブン全員を撲殺しようとする方に総督代理などもってのほかです!』
で、ですよね…。仕方がなく政庁に向かいギルバートGPギルフォードさんと合流する。
「ギルバートGPギルフォードさーん!」
「怪しいやつ!止まれ!…ってそのフルネーム呼び…まさかディゼル卿!?なんなんですそのふざけた格好は!」
しまった、まだツーの格好のままだ。意外とこの締め付け感が癖に…いや、まずはこのヘルメットだ。
「すみません、ちょっと色々あって…ふんっ!」
…あれ、抜けない。
「フンッ!!」
あ、抜けない。
「何してるんだ…君は…」
こうなったらこれしかない…!
「でやァ!!」
私はヘルメットに拳を叩き付ける。するとヘルメットは粉微塵に粉砕された。
「これでよし。ラウンズの格好に着替えてくるのでちょっと待っててください」
そして私はラウンズの格好に着替え、赤いマントを羽織る。ギルバートGPギルフォードさんに言われた部屋に向かうと扉の前にギルバートGPギルフォードさんが待機していた。
「では参りましょう。」
扉を開けると中の人達は突然のカラレス総督の死亡で混乱しているようだった。
「狼狽えるな!」
ギルバートGPギルフォードさんが叫ぶと、他の人達は驚いたようにこちらを向く。
「ギルバートGPギルフォード卿…それにナイトオブツーまで…!」
続けてのギルバートGPギルフォードさんの言葉を私は待つが、一向にその気配はない。…あれ、もしかして私が言うの?ギルフォードGPギルフォードさんをチラリと見るとコクコクと首を縦に振っている。
「…新たな総督着任まではナイトオブツーである私、マーヤ ディゼルが指揮を取ります!」
私の一言でどうやら混乱は完全に収まってくれたらしい。でも私政治とか分かんないよ…。すると、モニターにゼロの姿が映し出された。そんな…!ゼロは本国で捕まってるはずじゃ…!
『私は…ゼロ!日本人よ!私は自らを鍛え直し、再びこの地に帰ってきた!今よりこの部屋が合衆国日本の新たな領土となる…!』
すぐにスザクに連絡を取ると、今度はその凄まじい筋肉で地面に穴を掘り脱出したらしい。しかもゼロはその類稀な頭脳を持ってして掘った土を巧みに利用し、自身の筋肉像を作り出す事で発覚の遅延を行ったようだ。牢屋という薄暗い環境、そしてそこにマッスルガイの概形が存在していれば…なるほど、発覚が遅れるのも無理はない。それにもしかしたらゼロはその凄まじい筋肉を黒色に輝かせているのかもしれない。だとすれば土で黒くてもカモフラージュになるという訳だ。
『兎に角、近いうちに僕は新総督と共にゼロを再び捕まえるためにエリア11に向かうからそれまでは頼んだよ』
「分かったわ。」
しかし、現在総領事館に手出しはできない。…取り敢えず補佐してくれると言ってくれたギルバートGPギルフォードさんに仕事をぶん投げその日は帰路に着いた。その夜、明日からの政治のお仕事を憂鬱に思っていると、携帯に連絡が入った。
「最近はいろんな人から連絡が来るわね…ってV.V.くん?」
これも珍しい人からの連絡だ。
「もしもし?なぁに?V.V.くん。こんな時間まで起きて…子供はしっかり睡眠を取らないと背が伸びないよ?」
『やぁ、マーヤ。…身長のことは言わないでくれ、これでも少しだけ気にしてるんだよ。…それより、君にお願いがあってね。』
「お願い?」
『うん。ちょっと来て欲しいところがあるんだ。明日来れるかな?』
連絡先を交換してから実は何度かやり取りをしているし、本国に居る頃に会ったりもしているのだが、V.V.くんって今は本国に居るのでは無いだろうか?
うーむ、来て欲しいと言われても今の私はエリア11の治安維持の為に待機する必要がある。それに名ばかりの総督代理ということもあってエリア11からは余り出たく無いのだ。
「ごめんなさい、今は仕事の関係であまりエリア11からは出られないの」
『…あぁ、心配しないで。来て欲しいのは神根島なんだ。マーヤも一度来たことがあるよね?』
ふむ、神根島ならエリア11だし問題は無いだろう。
「分かった。ラウンズの権力でなんとかゴリ押しで明日神根島に向かうわ」
『うん、よろしくね』
そんな訳で次の日ギルバートGPギルフォードさんに神根島に行くと言ったら物凄く嫌な顔をされた。
「…何故こんな時にあんな島に…?」
しかしこう見えても私は脳筋である。これくらいの疑問は想定済みだ。
「良い?ギルバートGPギルフォード」
「毎回思いますけどなんでフルネームなんですか?」
「ゼロ達黒の騎士団がどこに潜伏していたか…わかる?」
そう、今回事件を起こした黒の騎士団、彼らを逆に利用させてもらう。
「…いえ」
「ズバリ…神根島…!…かもしれないでしょう?だからラウンズである私が直々に調査を行うのよ」
「…まぁ、筋は通ってますね…。はぁ、分かりました。ではその調査の間は我々に委ねてもらっても?」
私は首を縦に振る。正直外交とか政治とか分かんないし、ギルバートGPギルフォードさんはあのコーネリア皇女殿下の騎士だ。滅多なことはしないだろう。
「大丈夫です!責任は取りますから!じゃあお願いしますね!」
「…イエスマイロード」
そんな訳で私は神根島に着き、V.V.くんと合流した。…ってこんなところにV.V.くん一人…?どうやってきたのだろうか…?
「僕に着いてきて」
私の疑問など知らないというふうに彼は歩き出してしまったので私もその後に着いていく。
「V.V.くん、デートにしては随分渋い趣味だね」
「ふふ、笑えない冗談はやめてほしいな…。君の事をそういう目で見たことは無いよ。」
そうして連れてこられたのは遺跡の中の謎の模様が描かれた壁だった。
ここ最近の裏話しますね。
毎日登校前日か当日にぎりぎり書き上がてるので、「あれ、今日は投稿ないな」って思ったら察してください()