ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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TURN06′

「できました、鶴です」

「おぉ…ナナリー皇女殿下…お早いですね…私なんてまだ半分もできてないのに」

 約束通りナナリー皇女殿下とついでにアヤノも交えて折り紙を折りつつ私たちはエリア11に向かっていた。因みにアヤノは初挑戦なのもあって苦戦しているようだ。

「えぇ…こっからどうやんの…?」

「貸していただけますか?…えーっとですね…」

 アヤノから受け取ったそれを手で確認して次の指示を出しているところを見ていると、目が見えないのが嘘のように思える。

「出来た…!でも、ナナリー…皇女殿下ってエリア11に行ったら総督やるんでしょ?…目が見えないのに大変じゃない?」

 アヤノがようやく1羽目の鶴を折り終える頃、そんな疑問をアヤノが投げかけた。

「そうですね…簡単なことではないと思いますが、スザクさんのように補佐してくださる方もいるので平気です。…マーヤさんもアヤノさんも…その、私に力を貸してはいただけませんか?」

 そんなことをお願いされる私達だったが、私とアヤノは少しだけ見つめあってから私が先に口を開く。

「私たちがナナリー皇女殿下をお助けするのは当然です。ご安心ください。」

 しかし、ナナリー皇女殿下の求めている答えはそうではないのか、表情は余り嬉しそうではなかった。

「そうですよね…皆さんはブリタニアの兵隊さんですものね…」

 すると、突如私の元に通信が入った。

『ディゼル卿!黒の騎士団です!』

「アヤノはすぐにナイトメアに騎乗し黒の騎士団の迎撃に迎え!リョウとユキヤも直ぐに出す!」

「分かっ…あー…イエス、あの、なんだっけ?」

「今はいいから早く行って!」

 それから私はナナリー皇女殿下を車椅子ごと運び、船の中で安全な中枢部に連れて行く。艦長に繋いで状況を確認しないと…

「敵の状況は?」

『はい、陸戦ナイトメアを輸送機で運んでいる様子で…なっ、申し訳ありません、取りつかれました…!』

「旗艦に取り付いたナイトメアはワイヴァンナイツのイスカンダルで対応する!航空機部隊は敵の輸送機を囲んで破壊しろ!」

『イエスマイロード!』

 やり取りをしつつ移動を続け、目的地である艦内庭園にたどり着く。周りに物があったりする場所は危険だ。ここは周りの物体も花などだから安心だろう。さらにここまで中枢であれば簡単には入ってこれない。

「申し訳ありません総督、私はこれから黒の騎士団を迎え撃たねばなりませんので」

「…はい。お気を付けて」

「今度は鶴以外も教えて頂くとします。」

「まぁ…!では、何が良いか考えておきますね。…ご武運を」

 そして私は格納庫に向かい、ナイトメアに搭乗する。

「ワイヴァンナイツ、状況を報告しろ!」

『こちらユキヤ、敵のナイトメアと甲板にて交戦中。…まずいね。味方の航空機部隊は全滅しちゃったよ。』

 何…!?どうやら私の指揮が悪かったようだ。まずいわね…。

『おいマーヤ!なんだよこの赤いナイトメア!滅茶苦茶強いぞ!?』

 リョウはカレンと戦っているのか、いけない…!

「リョウ!右腕に気をつけて、奴の腕はリーチが伸びるの。それに掴まれたらその部位は即刻切り離して、じゃなきゃ死ぬわ!」

『なんだそりゃ!?無茶苦茶だなオイ!』

 あとはアヤノか…

『こちらアヤノ!くそっ…こいつらなんなの!?私なんかより剣の扱いが…!』

 確か黒の騎士団にはスザクの武術の師匠も居るのだったか、厄介な…!

「三人とも、すぐに向かうわ!もう少しだけ踏ん張ってて!」

 私専用のナイトメア…E.U.にて回収したヴェルキンゲトリクスを改修し、問題であったフロートシステムとの干渉を克服…そして四脚への変形機構を廃した金色のナイトメア。直接受け取ることはできなかったけど、同じナイトオブツーとしてマンフレディ卿から受け継いだこの機体で…!

 

「マーヤ ディゼル…『サグラモール』出撃する!」

 

 まずはカレンと戦っているリョウを別のところに向かわせよう。

「リョウ!あとは私が相手をするわ!アヤノのカバーに入って!」

『分かったぜ』

 さて…赤色のナイトメア…その近くには他のナイトメアも居るようだが、よくリョウは耐えてくれた。後は私が対処するとしよう。

「カレン、エリア11での借りは変えさせてもらうわ!この…サグラモールでね!」

『へぇ…流石はマーヤ、趣味の悪い色の機体ねッ!!』

 いきなり右手の攻撃か、だが無駄な事!一旦距離を取って躱し、すぐさま詰め直して右手に展開したスパイク型MVS付きガントレットでブン殴る。

『そんな攻撃なんかッ!!』

 左手を盾代わりに受けたようだが、このまま殴り抜けさせてもらう…!

「無駄ァ!!」

『ぐぅっ…!?』

 盾代わりにされた左腕はひしゃげて使い物にならないからか、すぐさま切り離して距離を取られた。

「流石はカレンね…闘い慣れてる…!」

『貰った!』

 敵のナイトメアによる背後からの斬撃を膝側に展開しているニードルブレイザー付きガントレットからブレイズルミナスを発生させてで防ぎ、すぐさま反撃に蹴りをブチ込む。良い感じに吹っ飛んだところに先程カレンがパージした左腕を投擲し、おまけに飛び蹴りを叩き込む。

 このサグラモールは私用に調整されていると言うこともあり、ボールスよりもアレクサンダよりも私の身体に馴染むように動いてくれる。私が蹴っ飛ばしたナイトメアは甲板から放り出されているが、どうやらパイロット脱出したようだ。

『おいマーヤ!アヤノがやられた!脱出はしたが俺とユキヤも四人に囲まれてヤベェ!』

 カレンの相手をするよりもまずはリョウ達の援護が先か…!

 

 直様向かうと、丁度リョウが脱出するところに出くわす。

『藤堂中佐、ここは私と朝比奈で抑えます。』

『いや、コイツは全員でかかるべきだ。』

 ふむ、4対2か…問題ない。3機からの同時攻撃をフロートシステムで跳び上がり回避し、ユキヤとユキヤに対峙するナイトメアの間に割り込む。敵の機銃による射撃を膝のニードルブレイザーによるブレイズルミナスで防ぐ。

「ユキヤ!狙撃を!」

『了解』

 私が移動すると同時にユキヤによる狙撃が放たれる。敵はこちらの動きに気を取られて躱しきれなかったようで体勢が崩れた。

「そこだッ!」

 スパイク型MVS付きガントレットを展開して腹部をブン殴る。そして前方から別のナイトメアによる縦振りは、殴った方とは別の腕のニードルブレイザーからブレイズルミナスを展開する事で防いだ。

『マーヤ!後ろだよ!』

 背後からの奇襲、だがそんな物この私と『サグラモール』の前には無意味!ヴェルキンゲトリクスに四脚モードがあったように、このサグラモールには四腕モードがあるのだ!

 腹筋と胸筋で操作する事で緻密な動きを可能にした副腕のニードルブレイザーで奇襲攻撃を防御する。

『何!?』

『これを防ぐのか…!』

 その瞬間、私の目の前のナイトメアがルミナスコーンの槍で貫かれた。

『この時代の戦場に出るには…些か遅過ぎたか。藤堂中佐…ご武運を…!』

『仙波ァ!』

 ルミナスコーンを引き抜き、距離取ると同時に黒の騎士団のナイトメアは爆散した。

『クク…戦場の華とは一瞬で咲き乱れ、直ぐ消えゆくからこそ美しい…!』

 どうやらトウキョウ租界から援軍が来てくれたようだ。

「ありがとうルッキー」

『…ふん、勘違いするな筋肉女…。貴様を助けに来た訳ではない。』

「素直じゃないんだから」

『黙っていろ。味方でなければ貴様を散らしているところだ。』

 ルッキーに軽口を叩いているとカレンのナイトメアが再び襲ってきた。

『よくも仙波さんをッ!』

 その恐ろしい右腕も当たらなければどうと言うことはない。副腕でカレンのナイトメアの右腕を白刃取りの様に受け止め、空いた拳で顔面をブン殴る。カレンのナイトメアも吹っ飛んでいき甲板から落下して行った。

『紅月!?…貴様ッ!』

 続けて襲ってきたナイトメアはやられた他の仲間から託されたのか二刀流になっていた。二刀流相手など四腕があれば余裕だと思いたいが、実はそうも言っていられない。まだサグラモールの四腕形態はエリア11で最終調整を行う予定だった。しかもエナジーの観点からこれ以上無駄に使うのは不味い。ルッキーが来たと言うことはもうしばらくすればスザクも到着するはず…ならばここは勝負を決める事にこだわる必要は無い。

『受けてみよ!藤堂流剣術…"回転刀舞六連"ッ!』

 ナイトメアが刀を逆手に持ったかと思うと、ランドスピナーを活用しての高速回転…6度の斬撃が私を襲った。

「だが無意味よ。」

 全ての斬撃をスパイク型MVSで弾いて防ぎきる。

『馬鹿な…!?』

 なかなか悪くない技だけど、私の前で披露するには遅すぎる…。

「私に果敢に挑むなら…このなんともし難い実力の差を埋めてからにすることね!」

 お返しにスパイク型MVS付きの両拳で12度の殴打を見舞い、トドメに蹴りをブチ込むと敵のナイトメアは吹っ飛んでいく。他の機体はルッキーがなんとかしてくれたのだろう。だが、制御を失った護衛艦が旗艦であるこちらを掠め…運が悪いことにフロートユニットをやられたようだ。

『ディゼル卿!このままでは!』

 いけない…ナナリー皇女殿下を中枢に向かわせたのは逆効果だったか…。

「ルッキー、私は今から壁をブチ抜いてナナリー皇女殿下を保護するわ。それまで外で警戒を…」

『…!避けろ筋肉女!!』

 言われた瞬間、私とルッキーがその場を飛び退くと、見慣れた赤黒い光が真下から放たれる。

「何!?」

『飛べるからって…調子に乗るなァ!!』

 赤いナイトメア…カレンが空に戻ってきた!?

『…早く行け筋肉女!ここはこの私が…』

「いえ、私の想像が正しければ…2人掛かりで無ければ負けるわ…!」

 まさか遠距離攻撃を獲得してくるとは…!それに先程の攻撃、おそらく喰らえばあの右手に掴まれたときと同様の結果になるはずだ。

『次は当てる!喰らいなァ!!』

『馬鹿め、その程度の攻撃私が避けられないとでも…』

 いや、私は避けられない…中にはまだナナリー皇女殿下が居るのだ…!放たれる赤い光を私は両腕のニードルブレイザーからブレイズルミナスを展開して受け止める。

「くっ…!?この威力…!」

『貰ったァ!』

 ミサイル攻撃…!だがこのサグラモールなら!副腕を展開して副腕のニードルブレイザーからブレイズルミナスを展開し、ミサイルを受け止める。

「無駄よ!このサグラモールなら!」

『でも…足は止まったね!』

 …!続けての赤い光は直線的ではなく広域に撒き散らすような物だった。

「ワイドレンジ…!?くっ…機体ダメージが…!」

 エナジー切れも相まって動かない…!?いけない…落下する…!

『チィ…どいつもこいつも世話が焼ける…!』

 落下する私を受け止めてくれたのはルッキーのパーシヴァルだった。

『新総督の救出は枢木卿がやっている。その機体ではこれ以上戦うのは無謀だ。退くぞ。』

 スザクが行っているなら…信じて任せるべきか。

 

 太平洋で一悶着あったものの、ナナリー皇女殿下自体には怪我はなく、ワイヴァンナイツも負傷者ゼロでエリア11に戻ることができた。そしてナナリー皇女殿下…いや、ナナリー総督による新総督着任の挨拶となる。今頃生徒会では修学旅行の準備中だろう。どうせミレイ会長が何か企んでいるに違いない。

「皆さん、初めまして。私はブリタニア皇位継承権代87位、ナナリー ヴィ ブリタニアです。先日亡くなられたカラレス公爵に代わり、この度エリア11の総督に任じられました。私は見る事も歩く事もできません。ですから皆さんの…」

 カラレス総督…あの人も筋肉がなかったが、ナナリー総督はもっと筋肉がない。私とスザクで守らねば…。

「…どうか、よろしくお願いします。尚早ではありますが、皆さんに協力していただきたい事があります。」

 …あれ?事前の原稿にはそんなこと書かれてないような?スザクの反応を見てみてもやはり予定にないことを話そうとしているようだ。

「私は、行政特区日本を再建したいと思っています。特区日本ではブリタニア人とナンバーズが平等に扱われ、イレブンは日本人という名を取り戻すことになります。かつて、行政特区日本では悲しい行き違いがありましたが、目指すところは間違っていないと思います。等しく、優しく、逞しい世界に。黒の騎士団の皆さんもどうかこの特区日本に参加してください。」

 行政特区…かつてユフィが目指し、ゼロによって妨害されたあの取り組みを…?

「互いに過ちを認めれば、きっと人々は分かりあえる。ゼロ、あなたに罪があることは承知しています。ですが…きっと人は許し合えると思うのです。」

 許す…。私がゼロを…?私は私がハーフでないと知ってからも何度か陽菜達との生活を思い出すことがある。実際にはただのブリタニア人であった私もあの時だけは日本人だと思えていた。だが、そんな陽菜達をゼロは殺したのだ。

 

 だから、そんな日は来ない…きっと。

 




●オリジナルナイトメア紹介
『サグラモール』
・ヴェルキンゲトリクスを改修して製造された第八世代ナイトメアフレームと形容できる金色の機体。当然とんでもなく目立つ。
・マーヤに合わせて格闘戦を重視した武装に変更されており、スパイク型MVS付きガントレットとニードルブレイザー付きガントレットの両方を搭載している。どちらのガントレットも普段は肘側に格納してあるため、高威力の肘打ちを放つことも可能。
・ヴェルキンゲトリクスの課題であったフロートユニットとの干渉を解決したものの、ロイドさんが作ったため、やはりというべきか脱出機構は存在しない。
・空が戦場になったことを受け四脚形態を廃止。代わりにコクピット下部には副腕が折り畳まれており、四腕形態を獲得している。
・副腕にはニードルブレイザーを搭載。計4つのニードルブレイザーから発生するブレイズルミナスはシュタルクハドロン相当の破壊力でなければ防ぎ切れるほどの硬度を誇る。
・因みに副腕は腹筋と胸筋でそれぞれ片腕ずつを操作する為、事実上マーヤにしか扱いきれない。
・ここまで読めばわかるが、なんとこの機体、遠距離攻撃が出来ないというどうしようもない弱点を持っている。…が、マーヤにかかればあらゆる物を投擲し即席の遠距離攻撃が可能であるため実質的に弱点は無い。
・因みに『ヴェルキンゲトリクス』元の開発名はサグラモールだったそうなのでそこから命名

マチョストでも呆気なく死んでしまう仙波大尉。
(追記:描写が雑で分かりにくかったので…というか可哀想なので死に際にセリフを追加しました。)

『イスカンダル』
・アレクサンダを解析し、ブリタニアで製造されたナイトメア。基本スペックはアレクサンダと同じだが、スラッシュハーケンを外付けしていたり、脱出機能がつけられていたりとブリタニア式に改良されている。
・フローレンスとは異なり補助足は無く、アレクサンダと同様の変形を行う。
・リョウ、ユキヤ、アヤノに支給され、各機はベースは同じだが武装が異なる。
・リョウ:斧、マシンガン
・アヤノ:刀、アサルトライフル
・ユキヤ:スナイパーライフル
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