「シャーリー?こんな朝早くから何してるの?…手紙?」
「う、うん、ちょっとね」
「もしかして果たし状?カレンとルルーシュくんの正妻争いでもするの?」
「し、しないよ…」
シャーリーは手紙をくしゃくしゃに丸め、捨てることにした。
しかし彼女は気がつかなかった。くしゃくしゃに丸めたそれはダストボックスには入らず、机と棚の間に落ちていったことを
それでは本編スタートです。
朝早くシャーリーの部屋を訪れるが、同室の女学生が言うには少し前に荷物を持って出掛けてしまったらしい。行先も聞いていないとのことだ。
「ルルーシュ。」
「…スザクか」
今はスザクと話すよりもシャーリーの行方を調べたい所だが、仮にシャーリーがスザクに話している場合も考えられる。元々スザクは俺がゼロだと知っているが、保護している場合があり得るのだ。俺は黙ってサイドトライセップスをし、屋上へと向かった。
「昨日のことだけど、許しは請わないよ」
「お前の邪魔さえなければコーネリアに勝てたんだがな」
軽口を叩いてみるが、スザクの表情は硬いままだ。
「…フェネット氏だが、団員に聞いてみたがやはり心当たりはないらしい。そもそも俺たちはあの時逃げるのに必死だったんだ。民間人を殺す余裕なんてないさ…と、言ったところでお前は納得しないんだろう?」
「君がこのことについて嘘を吐くとは思いたくはないけれど、真犯人が出るまでは君たちがやったと言う前提で話を進めたい。」
そこまで俺を疑っておきながら警察に突き出さないあたり、こいつの甘さがよく分かる。ここらでジャブを打っておくか。物理ではなく言葉でだが。
「お前、シャーリーが今どこにいるか知らないか?」
「…まさかシャーリーまで口封じをするつもりか!?」
確かに俺は口封じをするつもりではいる。もしも彼女が俺の正体に気付いたのならの話だが。しかしスザクが知らないということは軍にはバレていないのか、とりあえずは安心だな。
「彼女、今朝早くにどこかに行ってそれからなんだ。携帯にも繋がらないし…あんなことがあった後だろう?クラスメイトとして心配なんだよ。」
この言葉も実際のところは本音だ。
「…僕も知らない。でもシャーリーのことは心配だね。僕も探してみるよ。…君に口封じされたら僕はもう君も自分も許せなくなりそうだから」
そう言ってあいつは去っていった。
俺はシャーリーと同室の女学生にギアスを掛け部屋の捜索が終わるまで外に出てもらった。
「なんで私までこんな盗人まがいなことをさせられなくちゃならないんだ?」
「今は一刻も早くシャーリーを見つけ出さねばならん。猫の手も借りたい」
「にゃーん」
今のは…!?いや、触れないでおこう。しかしなんだ、その…結構惹かれるものがあったな…。まぁいい、今朝訪れた時には見落とした何かがあるかもしれない。引き出し中の小物入れを開けると写真…大量の写真が入っていた。中には俺の寝顔まである。一年の時の文化祭のものや…結構ツーショットが多いな。もしもの場合口封じの後に処分する必要があると思い、それらを回収した。
「ふん、日記にも何も書かれていないな」
「そうか…」
ふと、カレンダーが目に止まる。今日の日付に何か書かれて…ナリタ…?フェネット氏が亡くなった地だ。可能性はある。俺はC.C.を連れて電車に乗り、ナリタへと向かう。
「ナリタにいるのか?シャーリーは」
「まだわからない。だが他に手がかりが無い」
現状は可能性が高いと言うだけ、そもそも訪れていたとしてももういない可能性だってある。
「いたらどうする?口封じをするのか?」
「ゼロの正体に気付かれたらそうせざるを得ないだろう」
「ところで」
「うん?」
C.C.が着ている服のあちこちを摘んでは眉間に皺を寄せた。
「この服はなんだ?お前の趣味か?」
流石に拘束着のまま外に出すわけにもいかない。とは言えサイズの合わない俺の服を着せるわけにもいかない。
「それは将来のナナリーのための服だ」
「呆れたな。何年先を見据えてるんだお前は。しかも…すこし胸元がキツぞ。」
「だが可愛らしいじゃ無いか、結構似合ってるぞ?拘束着の方がお似合いではあるが」
「…そ、そうか?ま、まぁ私はC.C.だからな!どんな服でも似合ってしまうさ」
ナリタについてからは二手に分かれて捜索することになった。人探しなら写真もいるだろうと思い、一枚渡しておく。これで見つかってくれると良いんだが…
(ルルはどうしてこんなこと…)
「さぁ?どうしてだろうね?」
僕はナリタに作られた戦死者慰霊碑の前にいるシャーリー フェネットに話しかけた。
(誰だろう…ナンパかな…?こんな慰霊碑の前で?…見るからにヒョロヒョロで頼りなさそう…。しかも何あのファッションダッサ…)
ちっ…この女、僕のことを馬鹿にして…!
「立派な慰霊碑だね、シャーリー フェネットさん」
(どうして私の名前を…もしかしてストーカー!?気持ち悪い…助けて…ルル…)
なんだこの女…自意識過剰だな。すごく腹が立ってきた。それにしてもまた"ルル"か、そこから揺さぶってやろう。
「ひどい男だね、ルルーシュは。ずっと君に嘘をついていたんだろう?」
「えっ…」
ひゃは!驚いてる驚いてる!良いねえその顔!サイコー!
(なんでこの人ルルのことまで!?もしかしてゼロだってことも知ってるの!?)
そうか、ルルーシュはゼロか。これは良い弱みを握れたな。それに…ふうん?ルルーシュに父親を殺されてるのか
「本当はゼロ…君のお父さんを殺した男なのに」
「だ、誰なのあなた!?」
(この人どこまで知ってるの…!?まさかあの夜のことも…)
あの夜…?あぁ、なんだこの女、自分の父を殺した男にキスをねだったのか不潔な奴め。
「彼は君のお父さんを殺す命令を出したその口で君の唇を奪ったんだよ?許せないよねぇ、そんなの。罰を受けなくちゃあいけないよ彼も…君も」
「私も…!?」
「君は大罪人のゼロの正体を知りながらそれを隠してる!知り合いに軍人もいるのに。君も犯罪者、ゼロと同じだよ」
「違う、私は…!」
必死だね!君の考えなんて手に取るようにわかるよ。
「その上父親の死と引き換えに対価まで得て!」
「違う!私は!!」
(シャーリーはどこだ…?いや、そもそもナリタにいるのか?…ナリタと言っても広すぎる、捜索範囲を絞るべきか?…ダッシュで町中シャーリーのことを大声で呼びかけながら走る方が早いんじゃ無いか?恥ずかしがって出てくるかもしれない!)
そんな声が聞こえた。その後突然地響きと爆音が聞こえてくる
(シャァーーーーーリーーーーー!!!!どこだーーーーーー!!!!!)
「シャァーーーーーリーーーーー!!!!どこだーーーーーー!!!!!」
くそ!心の声も肉声もうるさいな…!!シャーリーとか言う女から奪った携帯でルルーシュに電話をかける。
「もしもーーーーし!!!!シャァーーーーーリーーーーーですかーーーーー!!!!今どこに」
うるせえ!電話越しなのに叫ぶんじゃ無い!!鼓膜が破けるだろうが!!!
「さぁ?どこかな?」
(誰だこいつは。なんだこいつがシャーリーの携帯を?しかし酷い私服センスだ。とりあえず殴るか?)
「良いのかな?僕を殴ったら彼女は一生誰にも見つからないところで一人で孤独に死ぬことになるかもしれないよ?」
「なに!?」
(くそ、殴るのはまずい…軍人やスザクならともかく、あのヒョロヒョロな男を殴ったら殺してしまう。あと改めて見てもこいつの私服センス絶望的だな。コーデにもなっていない)
こいつまで僕を馬鹿にして…!くそ!ふざけやがって…!まぁいい、まずはこの携帯を放り投げて次の行動を引き出そう。ひゃは!怒った怒った!
「シャーリーはどこだ!」
「知りたい?じゃあ勝負しようよ。」
僕はポケットからチェスの駒を取り出す。
(チェス…?ふん、馬鹿な奴め。俺の体を見て筋肉だけのバカだと錯覚したか?チェスは俺が最も得意とするゲーム…シャーリーの居場所を書き出したら両脚の骨を砕いて首をへし折ってサッカーボールにしてやる…)
馬鹿は君だよルルーシュ。僕は相手の心が読める…つまり君の次の手が分かるってわけ!
「得意なんだってねぇ、君」
僕とルルーシュは山頂行きのケーブルカーの車内でチェスをやっていた。まぁ、僕はこのゲームルール知らないけどね。
(冷静に考えれば恐らくチェスはひっかけに過ぎない。本当の目的は俺を人気のない場所に連れ出すこと。電話を使ったのは俺の顔を知らないからか?チェスは用意できた様だが、周到に準備したわけでは無いはず…だったら)
「つけいる隙はある?もうちょっと勝負に集中した方がいいんじゃ無い?」
(馬鹿な…ここでその駒の動きだと!?不味い今の俺にとって唯一にして最悪の手を取られた…!こいつ何者だ!?俺をチェスで追い詰めるなど…!)
僕はルルーシュの心を覗く。
(ここでこのポーンを取られない限り…なっ!?取られた…!?他にも取れる駒があったのに?ならばルークで…その後はクイーンを囮に相手の守りを…く、崩せない!こいつ…俺の誘いに乗ってこない!?まずい、このままでは…!…………馬鹿な、この俺が負けた!?)
「ねえ、これって僕の勝ちでいいのかなぁ?」
ルルーシュの心を読む感じだと僕の勝ちらしい。
(馬鹿な、何者だこいつは…俺が完璧に読み負けるなんて!)
「あれれぇ?聞いてないの?C.C.か」
その瞬間僕の顔面に衝撃が走った。なんだ?何が起きた!?僕は今何をされた???さっきまでと風景が違う。僕は…なんで壁を背にひっくり返っている???
(C.C.…この完璧な心の読み…まさかこいつは心を読むギアスを?可能性はあり得る。ギアスを持つのが俺だけとは限らないからな。そんな能力あり得ないはあり得ない!俺の何でもいう事を聞かせる能力だって普通に考えたら強力なのだから)
ケーブルカーが軽い振動を起こす。恐らく頂上に着いたんだ。でも…ダメだ、頭が割れる様だ!た、立ち上がれない…!
(勢い余って殴ってしまったが生きているのか、案外丈夫らしい。ならこのまま肋骨を一本ずつへし折って吐かせてやるか。それでもダメなら指を一本ずつ砕く。いや、面倒くさいな。全部一気に砕くか、そうしよう。うん?…窓の外に誰かいる…?あれはシャーリー!)
ルルーシュはケーブルカーから出ていった。た、助かった。でもこのままじゃあいつに拷問されて殺される。なんで殴っただけであんな威力が出るんだ。ふざけるな…くそ、ショットガンだ、ショットガンを取りに行こう。このままなんとか這ってショットガンを取りに行くんだ…!
「シャーリー!よかった無事だったんだな!?」
「来ないで…!わ、私を口封じに…殺しに来たんでしょ!?」
「違う!俺は」
「いや!こないで!」
外からあの女とルルーシュの声が聞こえる。そのまま痴話喧嘩に興じてろクソッタレ共め…!
「私、私もう全部言うから!スザクくんに、警察に!ルルがゼロだって!それで…黙ってた罪を償うの!」
「君は俺の正体を知った者が口封じされるからと思って秘密にしていたんだろう?それは君の優しさだ、罰なんて受ける必要はない!」
(どうしたんだシャーリー!いつもより様子がおかしい…まさか、あの男に何かされたか!?そうだ、思考が読めれば相手を誘導するくらいできるはず…!)
ちっ…気付きやがった。でももう少しでショットガンに手が届く。後はこいつであの女諸共ブチ殺してやる。…と思った時何故かケーブルカーが動き出した。なんだ!?誰が動かしてる?いくら今の僕でもあの距離の操作室に…まさかC.C.!くそ、くそくそ、C.C.がそばにいるのに見れないじゃ無いか…!ルルーシュ…!許さねえ、許さねえぞルルーシュ…!
俺は今のやり取りで確信した。シャーリーはゼロが俺と知ってしまったのだ。口封じをするしか無い。俺は逃げようとするシャーリーの前に回り込み、その細い腕を掴んで捕まえた。
「いや、いや離して!」
「ダメだ。離さない。」
シャーリーはガクガクと顎を鳴らし、必死に掴まれた腕を振り払おうともがいている。無論そんなことで離すほど俺の握力は貧弱では無い。俺はシャーリーの顎を砕かない程度に強く掴み、顔を上げさせる。
「シャーリー、嫌なことは全部忘れるんだ」
「出来ないよ!」
「できる。俺が忘れさせてやる。」
殴って記憶を吹き飛ばすのは確実性が無いし、何よりシャーリーの頭蓋骨が砕ける可能性がある…
「何を…何をする気?何を言って…」
「シャーリー、君を巻き込んでしまって済まなかった…。こんなことしかできない俺を許してくれ。」
俺はシャーリーにギアスを掛けることにした。彼女の目を見つめる。彼女の目には俺が映る。
「ルル…!?ダメッ!!!」
「"俺に関することを全て忘れろ"」
これで今後シャーリーは俺に関わらないはずだ。これで変な事に巻き込まれないで済むだろう。口封じも出来るし、殺していないからスザクにも怪しまれない…完璧だ。そう、完璧な…はず、なんだ…
思考を読む相手に勝つ方法?殴ることを思考する前に体で実行すれば良いのさ!(脳筋的解決法)
それはそれとしてシャーリーにはアニメ同様記憶を消されてもらいます。心見られたり記憶消されたり散々だなシャーリー、HAHAHA!!!