ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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TURN09′

 中華連邦に来て、オデュッセウス殿下の護衛につき、暫くするとシュナイゼル殿下がやってきた。スザクとルッキーと私の三人で跪き、挨拶を行う。

「シュナイゼル殿下、我々3名は中華連邦ではシュナイゼル殿下の指揮に入れとのことです。何なりと命じて下さい。」

「ナイトオブラウンズが3人も…これは心強い。ナナリーには感謝しないとね…あぁ、ただ…ここは祝いの場だからね、もっと楽にしてくれないと」

 そう言われて私達は立ち上がる。すると、シュナイゼル殿下は私の近くにやってきて耳元で囁いてきた。

「もうすぐゼロが来る。クルシェフスキー卿の救出の段取りは私に任せておいてほしい」

 何故ゼロが来ると言い切れるのだろう…?いや、シュナイゼル殿下は私よりも圧倒的に頭の切れる方だ。私の知らない情報なども仕入れているのだろう。なんにせよゼロが来るならば私やスザクが守らなければならないだろう。

 シュナイゼル殿下は少し微笑むと私から離れて進んでいく。しかし、次のアナウンスを機に場に緊張が走る事になる。

『スメラギコンツェルン代表、皇 神楽耶様ご到着!』

 祝賀会に現れたのは幼い女の子…あれが神楽耶という女性なのだろう…とカレン、そしてゼロだった。私はすぐにシュナイゼル殿下を見るが、殿下は余裕そうな表情をしたままだ。

 ゼロ達は即座に槍を持った貧弱な中華連邦の兵士達に囲まれるが、ゼロは槍の先端を握り潰していた。あんなものがゼロの筋肉に通じるはずがない…!

「やめませんか?諍いは…本日は祝いの席です。それから皇さん、明日の婚姻の儀にはゼロの同伴は控えていただけますか?」

「それは仕方ありませんわーーー!!!」

 うるさっ…

「ははは、賑やかな女性だね」

 シュナイゼル殿下の言葉と槍が効かないという点から兵士達は引き上げていく。貧弱な兵士では意味がなくとも私の筋肉ならばと思い、シュナイゼル殿下の前に立つと、ゼロがノーモーションからの正拳突きを放って来た。

「こんなもの!」

 私の腹にぶち込まれたそれはノーモーションで放たれたことで威力が減衰していたため、腹筋ガードのみで防ぐことができた。

「殿下はやらせない!」

「流石にガードが硬いか」

 すると、ゼロの背後からひょっこりと神楽耶と呼ばれていた女の子が顔を出した。…なんだか陽菜達を思い出してしまう。

「スザクさん、お久しぶりですわーーー!!!」

 前言撤回。うるさい。

「相変わらず煩いな、従姉妹の君は」

 スザクの発言からするとどうやら知り合いのようだ。

 すると、ゼロは今度は大きく半身を引き、拳を握りしめていた。攻撃のモーションだ…私を相手にするにしてもそのモーションは分かりやすくデカすぎる。無駄な動きも多いし、かと言ってモーションの割にその筋肉にはほとんど力が入っていない…つまり見せかけだ。

「どうです?一度手合わせでも」

「ほう?面白いね。」

 シュナイゼル殿下はその場で脚を肩幅ほどに開き、右手を下に、左手を上に構えていた。どうやら誘うためにわざとやっていたようだ。

「私が勝ったら神楽耶様へのプレゼントに枢木卿を頂きたい。」

「では私が勝ったらそちらが捕虜としているクルシェフスキー卿をお返し頂こう。これは…面白い余興になりそうだね。」

 流石はシュナイゼル殿下、早速モニカ救出の段取りをしてしまうとは。シュナイゼル殿下のあの構えは天地知闘の構えだ。いくらゼロとは言え打ち破れるはずがない。それにシュナイゼル殿下には秘策があるようだ。先程囁いてきた時に、この場には似つかわしくない匂いを感じたのだ。

 ゼロをこの手で打ち負かさないのは残念だが、シュナイゼル殿下がゼロをボコボ…

 

「あ、あの!せめて別室でやって下さい、料理に埃がかかります…」

「「あ、はい、すみません」」

 

 …。

 

 天子様の一言で私達は別室に移動した。ゼロとシュナイゼル殿下は部屋の中心で対峙し、殿下は再び足を肩幅に開き、右手を下に構え、左手を上に掲げていた。無闇に動かず体力を温存して俺の攻撃を待ち構え、相手の全ての攻撃を知覚し、的確に防御と反撃を行う最強の構えだ。

 因みにルッキーはオデュッセウス殿下の側で警戒を続けてもらっている。

 ゼロが拳を放った瞬間、その拳は上に弾かれ、同時に手刀を喰らっていた。

「「「「おぉぉぉ…」」」」

 流石はシュナイゼル殿下の天地知闘の構え…!あのゼロの攻撃すら通じないとは!しかし、今のやり取りで分かってしまったことがある。それはシュナイゼル殿下はゼロに負けないが…同時に勝てもしないと。

「マーヤ、どうしたんだい?ゼロは随分苦戦していると思うんだけど」

「えぇ、確かにゼロはシュナイゼル殿下に有効打を与えられていないわ。でも、それは殿下も同じなの。殿下は全ての攻撃を知覚し、的確に反応して防御してそのまま反撃までできる凄い方だけど、殿下の筋肉量ではあの程度のモーションから放つ攻撃ではゼロの筋肉装甲に有効打は与えられないの。」

「それって…」

 そう、決着がつかない…!ゼロはどうやら攻め方を変えるようで、構えを取り直していた。

「行くぞッ!」

「いつでもどうぞ」

 余裕そうにシュナイゼル殿下がゼロの連続殴打に対し、全てを弾き更にすべてに手刀で返しているが、勝負が長引けば不利になるのは実は殿下の方。何故ならあのゼロは私の完全脊髄反射行動を見て知っただけで体得する戦闘の天才…きっと殿下の技の秘密に気がついているはずだ。

「ふむ、君の攻撃は私には効かないし、私の攻撃も君には効いていないね、このままでは決着がつかないが…」

 そう殿下が発した瞬間、ゼロは少し距離をとり、クラウチングスタートの構えを取っていた。

 

 ゼロの全質量を乗せた膝蹴り、あのトラックに衝突されるのと同等の破壊力を誇るあれだけは絶対に弾けない…!そして両脚と両手のバネで加速するため、あの神速の一撃にはシュナイゼル殿下でさえ反応すらできないはずだ。だが、それこそがシュナイゼル殿下の狙い。全ては殿下の掌の上なのだ。ゼロの膝はガツンと何かに当たったように止まり、シュナイゼル殿下は吹き飛びはしたものの、何事もなかったかのように立ち上がり、服の埃を手で払っている。

「やはり腹を狙ってきたね?」

 シュナイゼル殿下は服を捲ると腹にナイトメアフレームの装甲を仕込んでいることを明かした。異臭の原因はアレだ。

「君程の男だ。この婚姻に介入しようと現れることは読んでいたよ。そして私では回避不能の一撃を放ってくると…しかし当たっても通じなければ意味がないよね。」

 流石シュナイゼル殿下…!まさかここまで読んでいるなんて!

 

 その時、突如現れた女性がゼロの腰に何かを当てたのか、パキンと何かが折れて地面に落ちる音がした。

「ゼロ!ユーフェミア様を可笑しくした犯人!!どうしてここにいるのよ!!」

 あの女の人…誰だろう?

「邪魔をする…」

 ゼロが蹴りを放った瞬間、スザクが二人の間に入り両腕をクロスすることでなんとか防御をしていた。そしてよく見れば女の人の近くにはミレイ会長がいる。…さっきまでこの場にいなかったの二人が一緒にて、あの髪色と髪質…そして私やゼロの胸筋より慎ましい胸、まさかニーナか…?

「よすんだニーナ!この男にそんなナイフは通用しない!」

 ニーナと思われる女はスザクによって羽交締めにされていた。

「どうして…!私のユーフェミア様を壊したのに…!」

 そしてニーナは泣き崩れていた。ニーナとユフィ…何か関係あったっけ?

「ゼロ、勝負はお開きにしよう。それと、くれぐれも明日は出席を辞退してくれたまえ、今度は手刀では済まさないよ。」

 

 昨日のシュナイゼル殿下の言葉が効いたのか、神楽耶さんはカレンだけを連れて現れた。更に、昨日の手合わせはゼロの負けという事なのか、捕虜にされて居たモニカも連れて居た。

「シュナイゼル殿下、ご迷惑をお掛けしたモニ」モニィ

「いやいや、君が無事で居てくれて本当に良かったよモニカ。それにしても…ゼロ、君と言う男がどういう人物かわかった気がするよ。」

 そしていよいよ婚姻が交わされようとした時、乱入者が現れた。

「我は問う!天の声、地の叫び!人の心!そして筋肉!何をもってこの婚姻を中華連邦意志とするか!全ての人民を代表し私はこの婚姻に異議を唱える!」

 剣を持った男は高らかに叫んでいる。…あ、確か総領事館にもいたはずな人だ。

「血迷うたか!星刻!」

「黙れ趙 皓!全ての人民を代表し、私はこの婚姻に異議を唱える!!」

 取り押さえろと誰かが叫ぶが、彼の剣の前にバッタバッタとなぎ倒されていく。筋肉の量はあまりないが、中々洗練された動きね…!

「クルシェフスキー卿、私達でシュナイゼル殿下をお守りするぞ。枢木卿と筋肉女はオデュッセウス殿下を」

「分かったわ」

 ルッキーの指示で私達は動く。

「オデュッセウス殿下、ご無事ですか?」

「心配はいらないよ。頑丈さには自信があるんだ」

 確かにオデュッセウス殿下はがたいだけで言えば私にも劣らないだろう。それにしてもなんだかとても殴りたくなる顔だ…何故だろう?

 シュナイゼル殿下はルッキーが付いているし大丈夫だろう。…あれ?シュナイゼル殿下がモニカに何か言ってる。そしてモニカは跳ねながらどこかに行ってしまった。

「星刻ぅ!星刻ぅ!」

 天子様はどうやら剣の彼に助けを求めているらしい。中華連邦は天子様が納得していると言っていたけど、どうやらやっぱり嘘だったみたいね…。

「我が心に迷いなし!我が筋肉に疲れなし!」

「星刻ぅ!」

 天子様は彼を迎えるように手を広げていたが、不意にブリタニア国旗が落ちてきた。…そして旗の中からは仮面とマントのあの男。マッスルガイのゼロが天子様を抱き抱えた状態で佇んでいた!

「感謝する星刻。君のおかげで私も動きやすくなった。」

「ゼロ…それはどういう意味だ!?」

 星刻と呼ばれた彼が問いただすと、ゼロは天子様のこめかみに指をデコピン状にして近づけた。ゼロの筋肉量ならばデコピンでも天子様の脳を破壊することが可能…なんて卑劣な男なの…!?

「君たちにはエリア11での貸しがあったはずだが…?」

「だからこの婚礼を壊してやる。君たちが望んだとおり…但し、花嫁はこの私がもらい受ける。」

 デコピンの指をちょんちょんとこめかみに当て、抵抗しないように脅しをかけていた。いかに私でもデコピンよりも早く動き彼女を救うことなど出来ない…私はなんて無力なんだろう…!

「星刻ぅ!」

「天子様!…ゼロ、この外道が!」

 星刻と呼ばれている男を始め、この場の誰もが卑劣なゼロを睨んでいるとき、シュナイゼル殿下だけは冷静にゼロを見つめていた。流石はシュナイゼル殿下ね…!この状況ももしかしたらシュナイゼル殿下は予知していたのかもしれない。

「くっ…!ゼロ!天子様を返す気は無いのか!」

「星刻、君なら天子を自由の身に出来るとでも?違うな…」

 すると、ゼロの背後の壁が崩れ、黒の騎士団のものと思われる新型のナイトメアが現れた。

「卜部!シュナイゼルを!」

『うむ、分かった』

 しかし、黒の騎士団のナイトメアの攻撃をフローレンスのスラッシュハーケンが止めていた。そうか、さっきのシュナイゼル殿下はこれを予期して…!

『呼ばれて飛び出てモニニニーン!!」モニニン

『そのふざけた語尾…モニカ殿か!』

『そっちは卜部さんモニ!?」モニ?

 …どうやら二人は知り合いのようだ。えっ…もしかして向こうに囚われてる間に…!?なんだろう…ロマンスの予感…!

 




【11/07/22:27追記】一部不要な文章が残っていたので削除しました。
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