私がルルーシュとの組手を終えた後、私はロイドさん達のところを訪れていた。正確には呼び出しを貰っているからなのだが、サグラモールはゼロとの戦いで腕を全て破壊されてしまっているのでその修理のためだろう。
「やぁ、マーヤくん待ってたよぉ〜!」
「サグラモールの修理、よろしくお願いしますねロイドさん。」
「そのことなんだけどさ〜あ!サグラモールの腕にハーケンブースターを仕込みたいんだけど良いかなぁ?」
ハーケンブースター…確かスザクのランスロットに仕込まれているシステムだったか。
「サグラモールにはスラッシュハーケンはありませんよ?」
「分かってるよぉ!ハーケンの代わりに腕そのものを飛ばそうと思ってるんだぁ!腕が飛べば遠くの相手に攻撃ができるよぉ!」
遠距離攻撃が…それはいい改修案かもしれない。
「じゃあその方向で改修お願いします。」
「そういうと思って実はもうやっちゃったんだぁ!」
…私に聞いた意味は…?まぁ、相手はロイドさんだし、仕事が早い訳だから別に良いか。
「実はこれねぇ、今手掛けてるナイトメアに搭載予定のシステムなんだぁ〜!」
「…実験って訳ですか」
「そゆことぉ!」
まぁ、もともとランスロットを手掛けているロイドさんに無理を言ってサグラモールやイスカンダルの対応もしてもらっている。多少の協力はするべきだろう。
政庁内にはナイトメアが暴れても平気なくらい広い空間が存在する。総督から了承を貰い、今回はそこを運用試験スペースにすることにした。
『じゃあマーヤくん、始めてくれる?』
「了解です。まずは右腕から試してみます。」
『あれ、僕は別に全部の腕を同時でも構わないんだけど』
ロイドさんの呟きは無視して右腕のハーケンブースターを起動する。
「ロケットパァンチッ!!」
右腕二の腕が分裂し、切り離された腕部が射出された。中々のリーチとスピードだ。射出後も方向転換が効く点は有り難い。
「巻き戻しは…これね」
巻き戻しに少々時間はかかるが問題はないだろう。
「次は副腕を飛ばします。」
サグラモールの四つ腕モードを起動し、更に副腕の2本のハーケンブースターを起動する。
『あのさぁマーヤくん。ロケットパンチはなんかダサいから他の名前考えなぁい?』
「えっ…格好いいと思ったんですけどダメですか?」
…うーん、スラッシュハーケンのように飛んでいく腕…拳…。
「ハーケンフィストってのはどうでしょうか」
ロイドさんとの会話をしつつ、副腕の操作を試みる。副腕は腹筋と胸筋で操作するのでなかなか難しい。
『ハーケンフィスト!うんうん、良いじゃない!』
こうしてサグラモールは新たにハーケンフィストを手に入れた。この新装備があれば今度こそゼロに勝てるかもしれない。時間が許す限り私はハーケンフィストの操作訓練を行う。
そして気が付けばすっかり夜になっていた。操作訓練を終えてから気が付いたが、どうやらシャーリーから連絡があったようだ。
「もしもし?連絡に気付かなくてごめんね。何かあったの?」
『あのね、今日会長の卒業イベントの発表があったの』
あぁ、そう言えば会長はもうすぐ卒業だったか。中華連邦から帰って来てからはスザクは総督補佐の仕事が多くなり多忙そうである。反面、エリア11滞在による治安維持はスザクの存在がある分私についてはかなり緩くなっており、要請が無い場合は基本的に自由となっている。スザクが出られない分私が祝う方が会長も喜ぶだろう。
「それで?どんなイベントなの?」
『キューピットの日って言って…男子は青い帽子を、女子はピンクの帽子を被って、相手の帽子を被ったら生徒会長命令で恋人になるってルールなの…』
…生徒会長ってそんなにすごい権限あったっけ…?
『あ、あと…私聞いたんだけど…』
「うん?何?シャーリー」
『私、相手がマーヤでも負けないから!』
シャーリーが私に負けない…?一体何のことか分からないが…。勝負を挑まれる以上、私だって負けるのはごめんだ。
「私だってシャーリーには負けないわ。」
『やっぱりマーヤもルルのことが!?…どっちが勝っても恨みっこ無しだから!』
シャーリーはそう言い残すと電話を切ってしまった。私がルルーシュを…なんだろう?
そしてキューピットの日の当日、何故か会長から放送室に呼び出されてしまった。
「ねぇ、マーヤ。」
「なんです?会長」
「ルルーシュの帽子を私の所に持って来てくれたら…ウェイトリフティング部を正式な部活として認めて予算を付けます。だから私の指揮下に入ってくれない?」
なん…だと…!?ウェイトリフティング部が正式な部活動に…!?これは…ルルーシュには犠牲になってもらうしか無いだろう。私は会長に対して跪く。
「何なりとお命じください。」
「宜しい。まずはルルーシュに対して開幕と同時に奇襲を仕掛けるわよ!」
「イエスマイロード」
最近のルルーシュはウェイトリフティング部に対する付き合いが悪い。これはその報いだ。
ルルーシュに対する奇襲を仕掛けるため、隠れ場所を探していると、森の中でアンチマテリアルライフルとミニガンを準備している不審な女性を発見した
「マーヤ様!?」
「あなたは…咲世子さん…!?」
確かルルーシュ達に仕えるメイドさんだったか、何故こんなところに…というか何故こんな物騒なものを…?
「マーヤ様、これには事情が…」
「こんな物騒なものを用意しておいて事情も何も無いでしょう?…ナイトオブラウンズとして見逃せません…逮捕します!」
「…申し訳ありません!」
すると煙玉のようなものを投擲し、その煙に乗じて逃げられてしまった。私の知覚範囲から一瞬で流れるとは…メイドさんって凄いのね…。
しかし、私が物騒なものと思っていたそれはどれも麻酔弾だったらしく、本当に何か事情が…この森に熊でも出たのだろうか。咲世子さんには悪いことをしてしまった…。
そしてそんなことをしている間にキューピットの日開始の花火が打ち上がってしまう。ウェイトリフティング部の為にもなんとしてもルルーシュの帽子を手に入れなければ!
そして、気がつくと私はロロの腹に拳を叩き込んでいた。
あれ?
「ボ、ボクの…絶対停止が…効、効かない…なんテ…!」
おかしい、私は確かに森の中に居たはずなのに…広場まで戻って来ている上にあのロロをブチのめしているなんて…。ロロほどのマッスルガイであれば本来私との殴り合いなんて片手を封じられてるような状況でなければ簡単には付かない。一体何があったのだろうか…?
いや、今はそんなことを考えている場合では無い。一刻も早くルルーシュを捕まえなければ。だが、よくよく考えれば私が普通にルルーシュを追いかけたところでルルーシュを捕まえられるだろうか?答えは否、不可能だ。ルルーシュの筋肉はあのゼロに匹敵する。それにこの前の組手でお互いの実力はよくわかっている。こうなったら…!
「会長、こちらマーヤ。ルルーシュへの奇襲は失敗。でも…一つ考えがあるの」
『考え?』
「ワイヴァンナイツを投入するわ!」
『なるほど、普段一緒に戦ってる部下な人たちがいれば連携をとって追い詰められるってことね!この私が許可します!』
よし、許可は降りたわね!
「こちらナイトオブツーのマーヤ ディゼル!ワイヴァンナイツ、イスカンダルに搭乗してアッシュフォード学園に急行し、ルルーシュ ランペルージを捕獲せよ!学生のデータは私から端末に送っておくわ!」
『なんだがよくわかんねぇがこいつを捕まえればいいんだな?』
『任せてよマーヤ』
『ねぇ、この人何かしたの?』
「事情は後で話すわ!」
いくらルルーシュでもナイトメア3機と私から追われれば流石に捕まえられるはず!待ってなさいルルーシュ!
到着したリョウ達との協力の結果、ルルーシュを室内である図書室に追い込むことに成功した。屋内に逃げるとは判断を誤ったわね!
「リョウ!図書室から校舎側への廊下を破壊して逃走ルートを塞いで!」
『おいおいいいのか!?お前の学校だろ?』
「生徒会長から許可は得てるわ!」
恐らくルルーシュは再び図書室に逃げようとするはず。
「ユキヤとアヤノはこのまま図書室周辺を警戒!私が突入する!」
私が突入すると、何故かルルーシュはシャーリーを抱き抱えていた。だが好都合…ルルーシュはシャーリーを抱えているので抵抗力と機動力が低下しているわ!
「追い詰めたわよルルーシュ。さぁ、観念してその帽子を渡しなさい」
「マーヤ…!まさかお前まで俺の帽子を狙うとは…!俺の作戦を悉く…!」
ウェイトリフティング部の部費は頂きよ!私が一気に距離を詰めると、シャーリーは自分とルルーシュの帽子を交換して頭に被っていた。
「なっ…!?」
しまった…!そんな手が…!ごめん、ウェイトリフティング部のみんな…私…負けちゃった…。
ここからは事後処理の話。会長はワイヴァンナイツの出動について、ナイトメアまで持ち出すとは思わなかったと主張。そして校舎破壊やその他の被害について、全て私が悪いと言うことになり結構な量の損害賠償請求が突き付けられた。そしてウェイトリフティング部の正式な部活認可及び予算は当然白紙になった。
更に、ワイヴァンナイツを私的に出動させたことについてこっぴどくスザクに怒られてしまった。うぅ、なんて日よ…!散々だわ。
ところで、人間は怒られたりすると不意に変なことを考えるものだ。特に、今まで疑問に感じていなかったことを急に不思議に思い始めることもある。
疑問とは、ルルーシュとロロについてだ。ルルーシュとロロはクラブハウスに住んでいる。それは学園における周知の事実であるし、別に私もルルーシュ達が学園内のクラブハウスに住んでいる事を批判するつもりはない。シャーリー達は学生寮に住んでいるし、私はたまたまクラリスさんと住んでいる家が近かったから通っているだけだ。
話は初めに戻るが、なぜルルーシュとロロはクラブハウスに住んでいるのだろう?しかもわざわざ咲世子さんというメイドさんまで雇って。ルルーシュやロロのどちらかが体が不自由ならまだ分かる。例えば車椅子生活だったり、耳が聞こえなかったり目が見えないのなら普通の学生寮では不自由なことがある。だが、誰もが知る通りルルーシュもロロも筋骨隆々、私に匹敵かそれ以上の筋肉が逞しいマッスルガイだ。そんな二人は何故学生寮ではなくクラブハウスに住んでいるのだろう?
「…って訳なんだけど、スザク何か知ってる?」
『…さ、さぁ…?僕に訊かれても困るよ…』
それはそうか、私のふとした疑問をスザクに尋ねてみたが、そんな事情をスザクが知るはずもない。
「それもそうよね。本人に訊いてみることにするわ」
『う、うん。それがいいと思うよ』
スザクとの通話を終え、すぐにルルーシュに連絡を取る。少しだけ間があったがルルーシュは電話に出てくれた。
『どうしたマーヤ。こんな時間に』
「ごめんなさい、ふとした疑問があって」
『マーヤが疑問?珍しいね、なんだい?』
「ルルーシュとロロってどうしてクラブハウスに住んでるのかなって。みんな家から通うか学生寮に通ってるわよね?それなのに体が不自由な訳でもない二人だけが特別扱いなのはどうしてなのかなって思ったの。」
すると、ルルーシュに鼻で笑われてしまった。
『おかしなことを訊くんだなマーヤは。逆に考えてみてくれ、俺やロロが普通の人と暮らせると思うかい?朝起きて筋トレ、ランニング、特別な朝ごはんに筋トレ、そして筋トレ、この身体じゃ嵩張るし、力加減を誤ったらすぐにものを破壊してしまう。そうだろ?』
「確かにそうね」
『だから俺とロロは特別にクラブハウスで暮らしてるんだ。そして俺達のようなマッスルガイだけだとついつい繊細な作業を疎かにしてしまう。そのために咲世子さんを雇ってるんだ。…何か変なところでもあるかい?』
「いえ、なんでそこに思い至らなかったのか不思議だったわ。ふふ、まるで忘れてたみたい。」
私は笑いかけるものの、ルルーシュは無言のままだ。何か癇に障ったのだろうか?
『なぁ、マーヤ』
「?何?ルルーシュ」
…?可笑しいな、電波環境でも悪いのだろうか?
「ルルーシュ?聞こえてる?」
『あぁ、聞こえてるよ。マーヤは…そうだな、忘れてるだけだよ。全部な。マーヤは悪くないさ』
政庁内の広い空間は原作でジノがグラストンナイツ相手にイキってたあの通路です。
マチョストではロロの絶対停止は
体感時間=思考時間を止める=呼吸やロロの心臓以外は止まらない
としています。マーヤ等の脊髄反射で行動可能な人物は脊髄反射に基づいて行動が可能です。
なので、ロロは咲世子に狙撃されずルルーシュを狙って絶対停止を発動させますが脊髄反射でルルーシュが反撃、更に脊髄に基づきルルーシュ達のところまで走って来たマーヤはロロとルルーシュと会敵、ルルーシュは脊髄反射で逃走、マーヤがロロの腹に拳を叩き込む
という流れになっています。