私はV.V.くんが用意してくれていた機体に乗り込み、目的地を目指していた。放送ではビスマルクさん、ジノ、ドロテアさん、ノネットさん、ルッキー、ヴァルキュリエ隊、ワイヴァンナイツをはじめとしたラウンズ直属の親衛隊がルルーシュの新たに定めたナイトオブラウンズ達と戦闘を開始。しかし、映像ではスザクの新たなランスロットはヴァルキュリエ隊とワイヴァンナイツを除く親衛隊を軽々と一掃、精鋭であるはずのヴァルキュリエ隊とワイヴァンナイツですらロロ一人にあしらわれていた。ジノは卜部とかいう日本人を相手に早々に敗北し、ルッキーがなんとか互角に渡り合っている。ユフィのナイトメアによってドロテアさんとは撃墜され、ノネットさんも押されているようだ。
私の到着は一歩遅かったというのが正しい。ノネットさんもルッキーも機体を破棄しての撤退を選択し、ロロの相手をしていたヴァルキュリエ隊もワイヴァンナイツも旗色の悪さを感じ取り撤退、ビスマルクさんもスザクとの一騎討ちに敗北してしまったようだ。モニターに映るルルーシュはダブルバイセップスを披露し、服を破り去っている。
『全世界に告げる!今の映像で私が名実共にブリタニアの支配者とお分かり頂けたことと思う。そして見よ!この筋肉を!』
確かにプロテイン無しで見事な筋肉だ。姉としても誇らしい限りである。だが勘違いしてもらっては困る。ブリタニアの支配者?勝利の余韻はまだ早い…ナイトオブラウンズは…
「ナイトオブツーはまだここにいるわ!」
目の前にはスザクが乗っているであろう新型のランスロット。きっとルルーシュがロイドさん達にもギアスを掛けたに違い無い。それにロロの乗るヴィンセントに似た金色の機体、卜部とかいう人の紺色のアレクサンダ、ユフィが乗っているのはドロテアさんのパロミデスと同型機のようだ…色がどピンクなあたりがユフィらしい。4対1…か。まぁ私なら余裕ね。
『その声…その機体に乗っているのは…まさかマーヤか!?』
スザクからの通信…奴隷として戦わされているなんて可哀想に。せめて私の手で葬ってあげるのが友達としての義理というものだ。
「ええ、そうよ。私はルルーシュを止めるために来た…!貴方達をここで討ち倒し、ルルーシュのブリタニアを否定する!」
『そうは…させない!』
スザクのランスロットから放たれたのはヴァリスだろうか。しかし無駄だ…!
「そんなもの!」
この機体にも当然ブレイズルミナスは搭載しているわ!
『防いだ!?このアルビオンのヴァリスを…!?でも!』
私のブレイズルミナスが無くなったことでチャンスと感じたのだろうが、それは違うと言わざるを得ない。
『撲殺!』
どピンクのナイトメア…流石はユフィ、私の背後を取るなんてね!でもそれも無駄である。
『何…これは!?』
このジャンヌダルクの装甲は電磁装甲を使用している…!生半可な火力では傷ひとつつけられないのだ!
今度は紺色のナイトメアと金色のナイトメアが左右に展開し始めた。どんな攻撃でも防いでみせるわ…!
『卜部サン!ハドロンブラスターヲ!』
『心得た!』
すぐさま左右からの同時攻撃とは中々の連携だがそれすらもやはり無意味!
『左右からの同時攻撃でもびくともしないとは…まるで鉄壁…!』
『マーヤさんの胸板のように硬いデス…!』
「誰がまな板ですって!?」
『言ってまセン!』
気にしてるのに…!決めたわ…まずはロロから始末してやる…!ブレイズルミナスを解除すると同時に私はジャンヌダルクを一気に加速させ急上昇し、背後からのスザクの斬撃を躱してみせる。
『見た目によらず早い…!?』
「無駄よスザク。」
この機体…ジークフリートと呼ばれるナイトギガフォートレスをベースに作られた『ジャンヌダルク』はV.V.くんの研究チームとランドル博士が共同で開発した神経電位接続という、機体とパイロットを物理的に接続して意思で操作するシステムの理念とマッスルデバイスという筋肉をパラメータ化するシステムを融合させた全く新しいシステム、『全身筋肉接続』が用いられている。
つまり私ほどの筋肉であれば如何なる複雑な各種動作も容易に行えるというわけだ。更に、この世の最高峰レベルの筋肉を搭載し、コードによる不老不死の効果でこの機体にはパイロット対する安全面の考慮などというものは不要。更にニーナが手伝ってくれたのでこのジャンヌダルクの燃費は出力に対して非常に低燃費を実現している。よって一度の補給で何日でも戦い続けられるのだ。え?被曝量?知らないわねそんなもの…。
「攻撃が終わったなら今度はこちらが攻撃する番よ!」
私はジャンヌダルクを高速回転させ、ロロのナイトメアに突撃する。
「金色のナイトメアって…私のサグラモールと色被ってるじゃ無い!」
『ノウ!そんな理由デ!?』
6枚ものブレイズルミナスに阻まれてしまったが、それまた私のサグラモールと被っている…なんだかとことん気に食わなくなってきたわね…。
『滅殺ッ!』
今度はユフィのハーケンフィスト…サグラモールなどのハーケンフィストと比べてかなり大型の物のようだけど…
「ハーケンフィスト!返り討ちにしなさい!」
ベース機のジークフリートには巨大なスラッシュハーケンがついていたらしいが、私のジャンヌダルクにはスラッシュハーケンではなくハーケンフィストを搭載し、その数も倍に増えている。私のハーケンフィストがユフィのハーケンフィストとぶつかり合い、弾き返す。やはり出力はこちらの方が上のようね…!そして私のハーケンフィストは全身筋肉接続による自在な操作で素早い相手も追い詰める事が可能なのだ。
「捕まえたァ…!」
よし、ハーケンフィストの一つがロロの左脚を掴んだ!一気に叩き込んでやる…!
『ノウ!こんなハズでハ!』
ニーナがロイドさん達のところからやってくる時に持ってきたデータの中には紅蓮のデータも入っていた。つまりこのハーケンフィストには…!
「くらいなァ!!」
『これハ…輻射波動!?いけナイ!』
パージで逃れたようだが、まだまだ攻撃をやめはしない。四方向から同時にハーケンフィストによる輻射波動攻撃を仕掛け、敢えてブレイズルミナスを使わせる。スザク達に対してもハーケンフィストによる牽制で近づけないようにし、私は狙いを定めた。
「これで終わりよ…サグラモールのパチモンなんて…消えなさい!『筋肉我多荷電粒子重砲』を!」
ジャンヌダルク前面に取り付けられた砲門から荷電粒子重砲が放たれる。たかが二枚のブレイズルミナスではこの攻撃は防げないわ…!
「まずは一人…!…いや!」
煙が晴れた時に現れたのは黒いナイトメア…そう、ルルーシュの蜃気楼のものだ!
『無事か、我が弟よ』
『ブラザー!助かりまシタ!』
なるほど、私の登場で直ぐに駆けつけたというわけか。流石はルルーシュ、だがこちらとしてもルルーシュを倒す事が目的…向かう手間が省けたというものだ!
「ルルーシュ!貴方を止める!殺してでも!!」
『まさかお前が姉だったとはな…だが!異母兄などとっくに殺している!実の姉だろうと関係ない!』
ルルーシュの蜃気楼による絶対破壊両腕か、無駄なことを!
『何!?これは…!』
「私は貴方の姉…姉に勝る弟なんて居ないのよ!」
そう、ご存じ絶対守護領域…ルルーシュに扱えて姉の私に扱えないはずがない。なかなか複雑な計算が必要だが…私は脳味噌まで筋肉と良く褒められる。そして私の筋肉はプロテインにより凄まじい事になっている…つまり脳の処理能力も凄まじいことになっているはず!この程度の計算など容易という訳だ。ハーケンフィストに展開したまま射出するという真似こそできないが、この絶対守護領域に覆われたまま突撃すればその破壊力はルルーシュの絶対破壊両腕と同等!…殻に篭って突撃とは母さんそっくりの戦法になってしまうがこれも親子という事だろう。
「行くわよルルーシュ!」
『こんなはずではッ…!』
「ルルーシュ!今から貴方を破壊するわ!姉からのせめてもの慈愛として!!」
高速回転しつつ筋肉我多荷電粒子重砲を放ち、他のナイトメアを寄せ付けないように牽制、距離をあけさせたタイミングで全てのハーケンフィストをルルーシュに!
『輻射波動による攻撃…そんなもの!』
流石はルルーシュ、絶対守護領域で耐えて見せているが、この状況、何か気付いたはずだ。
『まずい…このポジションではッ!』
私は蜃気楼の背後に回り込み照準を合わせた。
私の筋ピューターが弾き出したデータによれば十基の輻射波動攻撃に耐えるので絶対守護領域は手一杯、筋肉我多荷電粒子重砲が直撃すれば蜃気楼は粉微塵になるわ!
「筋肉我多荷電粒子重砲を叩き込むッ!これで…チェックよ!!」
放たれた筋肉我多荷電粒子重砲だったが、それは蜃気楼には直撃しなかった。代わりに直撃したのは…
『ブラザーは…ボクが…守…』
下半身が破壊され、右腕のみになったロロのナイトメアだった。流石はルルーシュ…奴隷であるロロを盾代わりにしたということか…なんて卑劣なの…!でも最初の予定通りサグラモールのパチモンは排除ができた。これはこれでよしとしよう。一度ハーケンフィストを全て戻し、その場から素早く移動するとランスロットと紺色のアレクサンダの斬撃が空を切る。更にユフィのハーケンフィストをジャンヌダルクのハーケンフィストで弾き返す。
『ロロのラモラックがやられただと…!』
「ロロは貴方のせいで死んだのよ!貴方が奴隷にしてボロ雑巾のように使い捨てたのよ!」
『黙れ!』
そして私とルルーシュの間にスザクをはじめとした三機のナイトメアが割り込んでくる。どうやらまた盾とするつもりらしい。
やはりルルーシュを早く止めなければ…ユフィやスザク、卜部とかいう日本人までロロのように盾にして逃げようとするに違いない…!
『ルルーシュ、君は逃げるんだ。今の戦力ではマーヤに勝てない…!』
「逃すはずが無いでしょッ!」
ルルーシュに向けてハーケンフィストを放ったものの、ワイヤーが紺色のアレクサンダによって切断されてしまった。そんなに簡単に切れるものでも無いはずだけど…中々やるようね…。
『ルルーシュ、早く行ってくれ。…そう何度も切断させてくれるとは限らん。君には成し遂げるべき事があるはずだ』
ルルーシュが何を成し遂げるかは知らないが…きっとろくなことでは無い。また多くの人を殺すに違いないのだ。
「させない…!ルルーシュはここで止める!」
今度は紺色のナイトメアにハーケンフィストを更に放つ。今度は切断する隙は与えない…!
だが、今度はユフィのハーケンフィストによって1つが抑えられ、すかさずスザクによって切断されてしまった。
『お行きなさいなルルーシュ。私と約束したでしょう?新しい世界を作るのだと』
ルルーシュの作る新しい世界…?きっと暴力に支配された世界に違いない…!そうはさせてなるものか…!今ので2基失ったがハーケンフィストはまだ8基残っている…!
『そうだな…お前達の言う通り逃げるとしよう。』
やはりみんなを盾にするつもりのようだがそうはいかない…!
「逃がさないわルルーシュ…!ここで必ず止め…」
『だが!逃げる時は全員でだ!ユフィ!』
『心得ました!』
突っ込んできたユフィに対し、私は絶対守護領域を展開しつつ回転してぶつかり返す。目障りな腕の片方を破壊することに成功したが、ユフィが囮だと言うことにそこでようやく気がついた。
『二人とも、今だ!』
スザクのヴァリスとエナジーウィングからの攻撃、紺色のアレクサンダのハドロンブラスター、ルルーシュの蜃気楼の胸から放たれるビームと腕のハドロンショットが一斉にジャンヌダルクへと放たれる。
「そんなもの!」
ジャンヌダルクの絶対守護領域で防御出来るわ…!予想通りかなりギリギリではあるがなんとか防御に成功した。これで私の勝…
『マーヤ、私をお忘れではありませんか?』
続けての衝撃を受け、ジャンヌダルクにアラートが鳴り響く。一体どうやって絶対守護領域を…!?
『マーヤ、これはロロが一発分だけがを残して私達に遺してくれた…ハドロンブラスターです。』
…!
『マーヤは勘違いしていたようですが…私達は誰もルルーシュから操られてなど居ないのですよ。』
そんな馬鹿な…そんなことあるはずが無いッ!ジャンヌダルクは墜落しかけているが、まだ…ハーケンフィストは動く!
「ルルーシュッ!!」
せめて…ルルーシュだけでも…陽菜達の仇を…!しかし、ハーケンフィストはランスロットや紺色のアレクサンダに弾かれ、放った筋肉我多荷電粒子重砲も絶対守護領域を足場に高速移動して蜃気楼に避けられてしまう。いや、違う…回避はあくまでついでだ…!目的は接近しての…
『さようなら、姉さん』
ルルーシュの絶対破壊両腕がジャンヌダルクを貫き、コクピットの私の顔面を捉えた。必死に何かできないかジャンヌダルクを操作しようとするも、アラームが鳴り響くだけで動く気配は無い。
「ダメね…このジャンヌダルクはもう…!」
すると、アラートが鳴り響くジャンヌダルクのコクピットのモニターの一つにV.V.くんの姿が映し出された。
『やぁ、マーヤ』
「V.V.くん…!ごめん、負けちゃった」
『気にしないで。お陰で邪魔者は全部消せるんだから、ありがとうね。』
すると、突如私とジャンヌダルクの接続が強制的に解除されたのを感じた。
「V.V.くん…?一体何を?」
『何って…自爆だよ?今ならジャンヌダルクに積み込んで置いたフレイヤ・コアを作動させればルルーシュ達を消し飛ばせるからね。』
フレイヤによる自爆…?そんなことを聞いた覚えはない。
『安心してよマーヤ。コードを持ってるとは言え、流石に存在が無になったら不老不死も何もないからさ。僕はもうマーヤからギアスを貰ってるし、ギアスの状態を促進させる研究も終わっていたからね。邪魔者のルルーシュは君ごと掻き消えるし、あとはC.C.を捕まえてコードを奪うだけさ。』
そんな…一体今になって何故そんな…。
『…あっははは!随分と驚いてるね、マーヤ。まぁ、無理もないか、もうすぐ君は粉微塵になって消えるわけだし…冥土の土産に教えてあげるよ。僕の目的は筋肉に歪められた世界の破壊さ。君は何でもかんでも筋肉が解決するこの世界がおかしいとは思わなかったのかい?…まぁ、思ってないからそんな風なんだろうけどさ。』
「何を…言ってるの…?」
筋肉が…筋肉は全てを解決する、おかしいことなどあるはずはない。だって…筋肉なのだから。
「シャルルも、マリアンヌも、君も!どいつもこいつも筋肉筋肉筋肉っておかしいのさ!だから…このおかしな世界はリセットしなくっちゃね。君も違法プロテインは知ってるよね?』
違法プロテイン…何故今そんな話を…まさか…!?
『あれを作らせたのは僕さ。元々は筋肉を無くすだけの効果にしたかったんだけどうまくいかなくてね、副作用で一時的な筋肉の増加が起きてたんだ。君や僕が服用した脱法プロテインは副作用だけを起こさせるものだったんだ。』
「じゃあ、まさか…!」
『そう、完成したんだよ?完全な違法プロテインがね。コードが手に入り次第アポロンの馬車に空気散布型の完全な違法プロテインを搭載させて世界中にばら撒いて世界から筋肉を根絶やしにするんだ。あっははははは!皮肉だねマーヤ!筋肉筋肉言ってた君が筋肉根絶やしにする僕に利用されてたなんてさ!』
そうか…ずっと…ずっと私を利用して…!
「許さない…V.V.ッ!!」
その瞬間、私はトウキョウ租界で見たあの破壊の光に包まれてしまった。
マーヤ、しれっとコードユーザーなので対ロロとナイトメア戦闘できるんですよね。普通ならロロ一人で並み居るパイロット完封出来ちゃうという…。
●オリジナル機体紹介●
『ジャンヌダルク』
・簡単に言うと「様々なシステムを取り敢えず全部載せたゲテモノ」(あれ?主人公機だよな…?)
・V.V.がマーヤの為に作らせたナイトギガフォートレスであり、ベースはジークフリート。カラーリングは白。
・ブレイズルミナス、電磁装甲、絶対守護領域を搭載しており、蜃気楼と同等の圧倒的な防御性を誇る。
・機体の操作方法は神経電位接続とマッスルデバイスを複合させた全身筋肉接続。これにより、コード持ちであり、不老不死かつ世界最高峰の筋肉量を持つマーヤにしか耐えられない出力と運動性を実現している。
・ジークフリートにおける大型スラッシュハーケンは先端が輻射波動機構搭載の腕に置換されており、全身筋肉接続による自在操作のために搭載数を倍化。質より量を取ったために輻射波動砲撃こそ出来ないものの、全身筋肉接続により複数の腕を自在に操る事が可能。
・ジャンヌダルクの前方には筋肉我多荷電粒子重砲を搭載。神虎と同威力の砲撃が可能
・ニーナの協力により、核を組み込んだことで馬鹿みたいな出力とそれに見合わぬ低燃費を実現。但し、パイロットの被曝量がエゲツないのでコード持ち…というかマーヤ以外が乗った場合漏れ無く死亡する。