ブリタニア式バスケをご存知だろうか。そう、あのシノザキジャパンが無敗の強さを誇り、日々ジルクスタンとブリタニアで選手育成に励む試合終了時に怪我人が出なかったことが無いとまで言われる新スポーツである。
しかし、ブリタニア式バスケは互いに3人以上の選手確保とその選手達による破壊行動…ではなく、激しい動きに耐えられるだけの頑丈なフィールドが必要であった。更に、その激しい競技制故に試合時は勿論練習においても爆音が鳴り響くこととなる。そう言った事情からナナリーはブリタニア式バスケとはまた違うスポーツについて考え、頭を悩ませていた。
「ブリタニア式バスケよりもより手軽に挑めるスポーツが良いのですが…。何か良い案はありませんか?ローマイアさん」
エリア11での総督時代に長く世話になったミス・ローマイアはナナリーが皇帝になった後も世話役として起用されていた。本人は皇帝の付き添い人など恐れ多いと謙虚にも断ったし、そもそも現在のナナリーは目が見える上にブリタニア式バスケにも興じる程巧みな車椅子のドライビングテクニックを有しており、シャルル皇帝時代の世界情勢により長らく開催されていなかったオリンピック・パラリンピックが再開されるとパラリンピックの車椅子関連競技に関しては全て金メダルを掻っ攫うという偉業を成している(ちなみに、男性競技に関してはジルクスタンのシャリオが総なめしている)こともあり、基本的に付き添いを必要とはしないのである。そもそも政治はシュナイゼルが行っているので為政者としての皇帝ではないのだが。
話は逸れたが、そんなナナリーがローマイアを起用しているのは単に仲が良くなった年上の女性に甘えたいというだけだったりする。業務内容もほぼ談笑したり茶を共にするくらいなのと、たまにあるチャリティーイベント等のスケジュール管理くらいである。
「…そうですね、例えば知り合いの得意な競技から発想を得るのはどうでしょうか」
「なるほど!」
ローマイアのアドバイスによりナナリーが思い浮かべたのは当然最愛の兄であるルルーシュ。今はもうL.L.と名乗り、C.C.と行方をくらませてしまった為互いの誕生日くらいにしか会えない遠い存在であるが、ナナリーにおいて人間を一人思い浮かべろと言われて思い浮かぶのはルルーシュを置いて他にいないのはいうまでもない話である。
「…チェス、なんてどうでしょう」
「チェスですか。(義兄のシュナイゼル様から着想を得たのでしょうね)良いのではないでしょうか。チェスは盤上のスポーツとも呼ばれますから」
こうしてナナリーは時たまシュナイゼルからアドバイスを貰いつつ新たなるスポーツ…「ブリタニア式チェス」を爆誕させたのである!
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「おいL.L.。見てみろナナリーがまた何かやらかすようだぞ。性懲りも無くまたスポーツを生み出したようだ」
「またも何もまだ何もやらかしてないだろう。ブリタニア式バスケは中々面白かったぞ?」
一人対三人で3ポイントダンクシュートはともかく、『パス』と称して思い切り地面に叩きつけたボールのバウンドの直撃による相手選手の気絶及び試合続行不能を連発してたアレのどこがスポーツだというのだ。スポーツマンシップの欠片もないぞ…やるならビーチバレーくらいが丁度いいな。…いや、コイツらのスパイクやサーブが直撃したら死ぬな。やめておこう。それにしても今の問題はナナリーが生み出した新たな殺人競技のことだ。なになに…?
「ブリタニア式チェスだと…?」
「ほう、確かナナリーはブラインドチェスが中々上手かったからな。きっと良い競技になっているだろう」
そうだといいがな…。ふむ、どうやら駒の種類は普通のチェスと変わらないらしい。てっきり好きなマスに置ける『ルルーシュ』とかいう駒でも作ってないかと心配だったのだがな。…何?
「ポーンの駒の重さが1kgだと…!?ふざけているのか!?水1Lと同じではないか!」
しかもこのブリタニア式チェスのルールとして試合に使用するのは事前に申請した右手か左手のどちらか片方のみで駒に触れて良いのは親指、人差し指、中指のみだと…!?3本の指で1kgを持てというのか!?馬鹿か!?あと同時に動かして良い駒は1つまでと書いてあったがこの条件で同時に何個も動かせるやつがいてたまるかという話だ。
「なるほど、ナナリーはチェスにおけるマテリアルアドバンテージを意識したルールづくりを行なったようだな」
マテリアルアドバンテージ…あー、確かクイーンが9点でルークが5点、ビショップやナイトが3点でポーンが…
…1点。1…。なんだ?嫌な予感がするな…。
「クイーンの駒は9kgか、これではそう簡単に動かすことはできないな」
というか普通に考えて指3本で持ち上げるのは至難の業だろう。
「更にルールはアルティメットスピードチェス…ターン制を廃止しているのか。面白い、チェスでありながらリアルタイムに戦況が変化する…これは先読みが重要だな」
1〜9kgの重りを指3本で保持しなくちゃならん時点でスピードもへったくれもあるか馬鹿。しかもキングに至っては99kgらしい。誰が持てるんだよ!!
因みに、その日の宿屋でL.L.がブリタニア式チェスを3人に挑まれた時一人で全員をパーフェクトゲームで勝利しているのを見て私はもう考えるのをやめた。なんだよチェスのパーフェクトゲームって。しかも全試合右手しか使っていない。
ブリタニア式チェスのルール
・時間無制限、ターン制無し
・通常のチェスと同じ駒を使用し、動かせる方向も同じ。但し、後述の理由によりキャスリングは実質的に不可能。
・プレイヤーは試合開始前に試合に使用する手を左右から選択し、その手の親、人差、中指でしか触れてはならない。
・同時に動かして良い駒は1つ。さらに駒を動かす場合は持ち上げて版から浮かし、一度に動かせるマス以上を動かしてはならない(ポーンの場合は連続で進む場合しっかり1マス1マス置いて持ち上げてをする必要がある)
・チェスにおけるマテリアルアドバンテージの概念から、駒の重さは異なる(ポーン1kg、ナイト・ビショップ3kg、ルーク5kg、クイーン9kg、キング99kg)
・勝利条件は相手のキングが取れるように自分が今持っている駒を動かして当てること。(相手プレイヤーがキングを動かすために持ち上げている場合取ることはできない)。もしくは相手プレイヤーが反則または試合続行不能の場合。
・相手プレイヤーへの物理的接触は禁止とする