ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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 扇は、ゼロに黒の騎士団に日本解放の希望を託し、日本解放戦線が誇り高く散っていった港を訪れていた。すると、テトラポットに人がいるのを見付けた。
「大丈夫ですか!?君!」
 扇は元々甘い人間だ。そして最近は正義の味方として戦っていたこともあり、困っている人を見かけたら助けざるを得なかった。
「車にでも撥ねられたのか!?病院に連れて行かないと…」
「ゼロ…やはり、お前が…」
「なっ!」
 ゼロの正体を知る手掛かり…それは彼に対する裏切りでもあるが、本当に知っているのなら口封じする必要、つまりは彼のためなんだと自分に言い訳をした扇は怪我をした女性、ヴィレッタ ヌゥを連れて帰った。

それでは本編スタートです。


STAGE16

 根詰めている私を気遣ってくれたのだろう。ユフィから気分転換をしようと言われた。そこはクロヴィスの作った庭で、どこかアリエスの離宮に似た見た目をしていた。

「久しぶりだな…こういう時間は。エリア11に来て以来、予想外のことが多すぎた。」

 そう、まさかクロヴィスを殴り殺すなどという蛮行をしでかしたゼロに、何度も知恵比べで負けるとは思っていなかった。…ふと視線を上げると、ユフィのお腹が視界に映る。何となく手を伸ばし、触ってみる。

「ひゃっ!?」

 ふむ、すこしぷにぷにしているな?少しからかってやろう

「デスクワークばかりで少し太ったんじゃないか?」

「もう、お姉さまったら!」

「ははは!済まない済まない」

 私は視線を再び庭へと移す。こうしてみるとここがエリア11とは思えないほどだ。

「お姉様、似ていると思いませんか?アリエスの離宮に」

 ユフィも同じことを思っていたらしい。

「あぁ、そうだな。」

「クロヴィス兄様が指示したんですって」

 それは私も知っている。最初は政庁の屋上に庭など不要と思ったが、義理の弟の遺した物だと言われればなかなか手が出しにくい。それがアリエスの離宮に似ているとなれば尚更だ。

「意外と気に入っていたのだな。あそこのルルーシュとは喧嘩ばかりしていたくせに」

 ルルーシュ、あいつも私の可愛い義弟の一人だ。色んな意味で…そしてその妹のナナリー。脚を悪くし、目見えなくなってからろくに会えずに一生の別れとなってしまった。あの日のことは後悔してもし切れない。

「ライバルだったんですよきっと」

「相手は年下だぞ?」

 まぁ、その年下に負け続けていたのがクロヴィスで、かく言う私もチェスでは度々敗北を喫していた。その腹いせに体格差で無理矢理押さえつけて身体のあちこちをくすぐってやったことも少なくない。あれはこう…なかなか良かったな。ふふ。

「でも兄様が遺した絵の中にルルーシュ達を描いた物がありましたよ」

「そうか、早くこのエリアを平定しゼロを捕まえねばな。クロヴィスに…そしてルルーシュやナナリーにも申し訳が立たん。ここは兄弟3人が命を散らせた天地なのだから」

 

 

 

 俺は空港で電話でディートハルトからの報告を受けていた。

『はい。紅蓮弐式再調整後の慣熟訓練は予定どおりです。キョウトとインド軍区の間で話がついたためあとは開発チームとラクシャータの到着待ちで…残念ながら月下を直す余裕はありませんでした。ゼロには無頼を用意する予定です。」

 ほぼ全壊だからな。仕方がないだろう。

「組織運営はどうなっている?」

『ええ。組織の細胞化現在92%。構成員も階層1から14まで割り振ってあります』

 大組織になった黒の騎士団だが、このディートハルトの提示してきた組織体形はかなり効果的だった様だ。

『ゼロの指示どおりブリタニアが所有している倉庫にもこちらの協力員を送り込みました。カントウブロック全564箇所にも戦力人員を分散してあります』

「ブリタニアの動きはどうなっている?」

 人が増えれば高まるリスクもある。些細なミスで捕まるのだから人が増えれば誰かが捕まるリスクはあるのだ。

『発見されたこちらの拠点は32箇所うちダミーは11箇所。逮捕されたのは47名ですが階層8以上とは情報が遮断されているためブリタニアもそれ以上は探れません』

「そうか、ならば問題ないだろう。」

『キョウトの後押しもあってか一般民衆が軍や警察に通報するケースはほぼなくなりましたしブリタニア内の協力者リストも。はい。例のゼロが手配しておられたグループです』

 これで当面の問題は解決された。あとは欲しい駒か

「藤堂はどうなっている?」

『はい、藤堂と四聖剣についてはまだ捜索中です。』

 片瀬とは合流できなかったのはある意味幸運だったのかもしれない。片瀬からも頼まれているかれらとの合流は急ぎたいところだが…

「分かった。引き続き作業を続けろ。」

 スタスタとこちらに誰かが歩いてきた。そいつは俺の前を通り過ぎ、立ち止まるとどうやら時間を確認しているらしい。

「よかったのか?私が使者で」

「へりくだれば舐められる。そういう相手だろ?中華連邦は」

 聞けば俺が蹴り殺し、死体をチェーンソーでバラバラにしてクロヴィスランドに埋めてやったマオとは中華連邦で知り合ったらしい。C.C.に中華連邦の言葉を話せるか尋ねるとご丁寧にあちらの言葉で流暢に「当然」と言ってきた。優秀過ぎて頼り過ぎてる気もしなくもないが、今回中華連邦への使者としては他に適任はいないだろう。

「自信がないな、私はお前と違って謙虚だから」

「その調子でやってくれ。」

 どうやらあいつと俺では謙虚の定義が違うらしい。帰ってきたらそうだな、美味いピザでもご馳走してやろう。きっと喜ぶぞ。

 

 

 

「おはよう。ルルーシュ」

「おはよう。スザク」

「…上司に相談してね、研究機関について調べてもらってるんだ。そして、ナリタにそれらしい施設があったとも聞いてる」

 それだけでルルーシュの言った通りとは限らないけれど、正直言ってかなり怪しい。ロイドさんが調子に乗り過ぎて色々ハッキングとかしまくってようやく見つけた情報だったし、どこに移動したかはまでは分からなかったけど。

「今でも君のことは信用していないけれど…学校ではただのスザクとルルーシュで居たい。…ナナリーのためにも」

「そうか、ありがとう。…ナナリーが寂しがっててな。今度食事でもどうだ?」

 僕は予定を思い出し…あ、だめだ。今晩くらいしか空いてない。

「こ、今晩なら…」

「分かった!」

 ルルーシュはダッシュで居なくなり…………あ、戻ってきた。ほんと見た目に比べて足が速いよなぁ。

「ナナリー喜んでたぞ。さ、授業行こう」

「うん…あ、どうしよう課題やってないや…」

「なにやってんだ不良学生。教室で教えてやる。」

 すると、リヴァルがバイクでぶつかってきた。危ないなぁ…僕ら以外にぶつかったらどうするつもりなんだろう。ほらみなよ、バイクが凹んでる。

「おいルルーシュ!会長お見合いするって知ってたか!?」

「あぁ、今日だろ?」

 へぇ、会長お見合いするのか、会長は美人だし僕みたいな名誉ブリタニア人でも優しく接してくれる明るい女性だから、良い人が見つかるといいけれど。そう言えばセシルさんが今日ロイドさんがお見合いするとか言ってたっけ?あの人多分特派のトレーラーの中でするんだろうな…悪い人では無いからロイドさんにもいい人が見つかると良いんだけど…

「今日!?知ってて何で教えなかった!!」

「教えたら泣くだろ?」

 なんでリヴァルが会長のお見合いで泣くんだろう?嬉し涙かな。

「大丈夫だよ。僕も知らなかったから」

「こんな時に天然で返すな!」

 天然?僕が…?

 

 授業が終わり、僕は生徒会室に来ていた、久しぶりにアーサーとも戯れたいしね。あ、またキスしてきた。猫って可愛いなぁ

「スザク、貴方って痛覚とか無いの?」

 カレンがそんなことを言うけれど、あるに決まっている。みんななんでそんなことを聞くんだろう?

「それにしても心配ね、シャーリー…頭を強く打ったって。あのルルーシュにぶつかって」

「ほぼトラックに轢かれた様なもんだもんなぁ」

「トラックって…」

 そう、みんなの中ではシャーリーはそう言うことになっている。本当はルルーシュがシャーリーをブン殴り記憶を破壊したんだ。僕は…みんなに嘘を吐いている。また…

 

 ナナリーとの食事の時間はあっという間に過ぎてしまった。

「そういえば覚えてますか?七年前、暑い夏の日に…」

 夏の日…七年前…僕は、そう、僕は父を殺した。あの時は戦争を止められると思ったから。でも、結果は…。僕はルルーシュがクロヴィス殿下を殺した事を責めたけれど、僕にその資格なんてないじゃ無いか。僕はあの日の罰を受けずにここに居る。ルルーシュがゼロだと知りながら黙っている。僕はまた罪を重ねている。

 ナナリーに見送られ、僕はルルーシュと外で二人きりになった。

「どうした?スザク、お前顔色が悪いぞ」

「ルルーシュ、君はブリタニアへの復讐でクロヴィス殿下を殺したんだよね?」

「…何を今さら。あぁそうだ。コーネリアも、ユーフェミアも他の皇族も…俺の復讐の邪魔をするなら殺す。ナナリーが幸せに暮らせる世界を作るためにシャルルを殺す。」

 ナナリーがそれを望んでいるとは思わないけれど…。ルルーシュはまだ考え覚悟を決めて、罰を覚悟で殺している。僕とは大違いだ。

 

 だからだろうか、こんなことを打ち明けてしまったのは。

 

「僕はね、ルルーシュ。父を殺したんだ。…枢木 ゲンブは僕が殺した。」

「…殴ってか?」

「いや、ナイフだよ。そんなことはどうでも良くないかい?」

 ルルーシュは少し驚いた様だったけれど、何も言わなかった。少しだけ考えた様な素振りをして

「悪かったな…その、ずっと気付いてやれなくて。でも、そのお陰で今の日本があるんだ。お前は間違ってない。」

 忘れていた。ルルーシュは優しい奴だったことを、僕は怒られたかったんだけど…逆に慰められてしまった。そしてなんだか、少しだけ楽になった気がする。卑怯者だな、僕は。

「そうか、だからお前あの時俺を庇ったのか」

「あの時?」

「ほら、俺を銃で撃てって命令されたろ?」

「あぁ…」

 確かにあれは友人を庇って死にたかったのかもしれない。

「あんなピストルで俺を撃ったって効きやしないのに…お前だってほぼ無傷だったんだろ?そうやって人のためにわざと死にに行くような…罰を受けに行くのはやめろよな。どうせなら…」

 彼は僕を見つめてきた。

 

「生きろ。」

 

「…そうだね、みっともなく生きて、僕は罪を償うよ。日本人のために、ブリタニアを変えて。」

 僕は静かに頷いた。するとルルーシュは肩をすくめる。

「だからさ、今後黒の騎士団の前には来ないでくれ、お前が来ると俺の作戦が崩れる」

「それはできないよルルーシュ」

「残念」

 戦場では手加減しない。それが僕の定めた僕のルールだ。

 

 

 

 私は夜、シャワーを終えて姿見の前に立った。少しお腹あたりを触ってみる。ふにっとした感触…うう…

「お、お姉様に言われた通り、もしかして太った…!?」

 思えば学生の頃はスポーツを楽しんでいた。私だってお姉様の妹だ。運動神経は悪くない。ところが副総督としての仕事はどうだろう。大抵がデスクワーク、精々施設内を少し歩く程度だ。そして本国と変わらずにお茶とお菓子を食べている…なんてこと…ふ、太る要素しかない。お姉様みたいに戦場を奔走する趣味(?)があるならば体を動かす機会もあるが、あいにく私は争いごとは苦手だ。

「どうしましょう…」

 1人の乙女として太ってきたことが気になってきたからと急にお茶をやめ運動し始めたと知られれば、お姉様に揶揄われる未来は見えている。一人で、室内でできる運動が良いだろう。特段体を動かすこと自体は嫌いでは無いのだ。自室のパソコンで何か無いかと調べてみると…

「あったわ!ボクササイズ、これなんていいんじゃ無いかしら!」

 リズムに合わせてパンチ。これなら大きな音も立てにくいし、道具も不要だ。ひっそり痩せられる!




ヴィレッタが見てもないゼロの正体をルルーシュと判断したのは「シャーリーから離れろ」と言われたためです。まぁ、ルルーシュにぶっ飛ばされた影響で記憶が飛んで行きましたが。

本来はナナリーが束縛プレイされマオがヒャッハ!する回ですが、蹴り殺されてしまっているので大幅カットです。その代わりスザクが自主的に父親殺しを白状してます。

尺稼ぎにオリジナルエピソードとして太ったのを気にするユーフェミアについて記載しています。
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