ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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「名誉ブリタニア人とはいえイレブンが騎士になるとは…」
「テレビ放送も許可したとか…」
「どうやって取り入ったのか…」
「そこはほれ、ユーフェミア様も最近は筋トレにハマっているようですし…」
「「HAHAHAHAHA…」」
 枢木スザクは正式なユーフェミアの騎士として、名誉ブリタニア陣としては異例の少佐となり、騎士の叙勲式に出席していた。
「枢木スザク。汝ここに騎士の誓約をたて、筋肉を鍛えブリタニアの騎士として戦うことを願うか」
「イエス ユア ハイネス」
「汝我欲を捨て大いなる正義のために、鍛えた拳で剣となり分厚い胸板で盾となることを望むか?」
「イエス ユア ハイネス」
「わたくしユーフェミア・リ・ブリタニアは汝枢木スザクを騎士として認めます」
 騎士として認められたスザクは貴族達に体を向け、ラットスプレッドフロントをするが、誰も声をかけない。拍手すらもなかった。しばしの沈黙の後のことだ。
「今日もキレてるよぉスザクくん」「胸板に鉄板でも仕込んでるのか?」
 声をかけたのはスザクの上司であるロイド。続けて声をかけたのはダールトンだ。ロイドだけならともかく、将軍であるダールトンには逆らえない。堰を切ったように貴族達はスザクに声をかけて行く。
「キレてるキレてる!」「腕にスタントンファでも付けてんのかい!」「正直抱いて欲しい!」

そんな訳で本編スタートです。


STAGE18 ムキムキスザクに命じる(枢木スザクに命じる)

 ラクシャータのルートで手に入れた潜水艦で移動しつつ、俺は組織説明を行なっていた。

「それでは黒の騎士団再編成による新組織図を発表する。軍事の総責任者に藤堂鏡志朗」

 これは当然だろう。かつてナイトメア無しで厳島において唯一ブリタニアを負かせた男だ。他に適任者が居ない。

「情報全般・広報諜報・渉外の総責任者にディートハルト・リート」

 次に情報、こいつはブリタニア人だが優秀だ。元々メディアの人間ということもあり顔も広くブリタニアの人間の知識にも精通している。

「必要なのは結果を出せる能力…人種も過去も手段も関係ないと考えればこの人選は適任だといえるな。」

「その通りだ藤堂。」

 藤堂の奴、どうやら空気を読んでくれたらしい。他の団員も他ならぬ藤堂の意見には流石に黙るしかないようだ。

「副指令は扇要。これまでと変わらず私を補佐して欲しい。」

「ま、任せてくれゼロ!」

 こいつはリーダーには向かないが、部下の意見を吸い上げて俺に伝えるという重要な役割をこなせるだけの信頼はある。それに新参者ではない古参ということでメンバーも納得してくれているようだ。

「技術開発担当はラクシャータ。」

「当然」

 ラクシャータのチームには現在、スザクのナイトメア捕縛作戦に向けゲフィオンディスターバーの開発を急がせている。

「零番隊隊長紅月カレン」

「零番隊?」

「零番隊は私の直轄…私の親衛隊と考えてくれれば良い。」

「わかったわ。因みに他のメンバーは?」

「それは後で伝える」

 零番隊は実質的に俺の正体を知っているもののみで構成される。つまりはカレンとC.C.のみだ。他の必要な人員は他の部隊から臨時で指揮下に置くとしよう。

 

 組織説明を終えると、ディートハルトから協議すべき議題があると進言があった。おそらくはスザクについてだろう。場所を会議室に移し、ディートハルトが口を開く。

「枢木スザク。彼はイレヴンの恭順派にとって旗印になりかねません。私は暗殺を進言します」

「暗殺?どうやって?」

「枢木スザクは人間です、銃や刃物などいくらでも…」

 ディートハルトは何か勘違いしているらしい。こういうことは実際見てもらう方が早いだろう。俺はピストルを取り出し、自分のこめかみを撃つ。

「ゼロ!?何を…!!」

「慌てるな。」

 ポトリと地面に落ちた弾を摘み、みんなにそれを見せつける。次に藤堂に目配せし、軽く頷く。

「ゼロ、行くぞ!」

 刀を抜いた藤堂が俺に刀を振り下ろすが、俺は肩で受け止めた。

「これで良いのだな?」

「あぁ、嫌な役目を任せてしまったな藤堂。見てもらった通りだ。鍛えた筋肉の前に刃物や銃では暗殺は不可能。枢木スザクも私に匹敵する筋肉を持つ。暗殺は不可能だ。」

「しかしゼロ!」

「爆破では民間人を巻き込む。他の手段では目立ち過ぎる。参考に言っておくと私はチェーンソーを腕の筋肉で受け止めたこともある」

 ここまでいえばみんな暗殺は不可能だと理解したようだ。

 

 

 

 騎士になった僕は様々なパーティに呼ばれた。一応僕の騎士叙勲祝いとのことだけど、貴族だらけのパーティでは正直僕の肩身は狭い。殆ど僕のところにきて声をかける人などおらず、たまにきたかと思えば皮肉を吐いていく。ブン殴ろうかと思ったけど、流石にそれはまずいだろう。どうやらブリタニア人と日本人では祝いの定義が違うらしい。だけど、セシルさんが企画してくれた特派のパーティなら気楽にやれそうだ。

「こんにちはセシル。今日は呼んでくれてありがと」

「セシルさん、この方は?」

 初めて見る人だ。穏やかそうな人だけど…

「紹介するわねスザクくん、この人はカノン マルディーニ伯爵。シュナイゼル殿下の側近の方よ」

「よろしくね」

「あ、はい、よろしくお願いします。」

 畜生、前言撤回だ。シュナイゼル殿下の側近の伯爵だなんて…これまた偉い人が出てきてしまった。これはまた肩身が狭いな…そう思っているとカシャリとシャッター音が鳴る。

「イレブンの騎士、記録。」

「こーら、アーニャ。彼は名誉ブリタニア人よ。」

 カノンさんの話を無視して何やらカタカタと文章を打っているようだ。

「全くこの子は…。彼女はナイトオブラウンズのアーニャ アールストレイム卿よ。今日はシュナイゼル殿下の代理で、私はその付き添い」

 こんな女の子が、帝国最強の騎士ナイトオブラウンズの一人…?年齢はナナリーと大差なさそうだけど…。と言うかまたど偉い方が来てしまった。

「よろしくお願いします。アールストレイム卿。」

「…アーニャで良い。」

 カタカタと打ち続けてるけど、まあ悪い人じゃなさそうだ。

 

 パーティが始まってすぐのことだ。

「あら、何かしらこれ。見たことない料理ね。はむっ……………」

 そう言って料理を口にしたカノンさんだったが、みるみるうちに顔色が赤から紫への虹の七色に変わっていく。人間の顔の顔ってあんなコロコロ変わるんだな…

「ミ°ッ」

 あ、倒れた。

「倒れたカノン、記録。」

「現場保全…流石はナイトオブラウンズ」

「な、何言ってるのスザクくん!?あぁ、カノンも泡吹いてるし…もしかしてこの料理って…」

 ロイドさんが慌てるのは珍しい。そして僕らの視線はセシルさんに向いている。まぁ、そういうことだ。なんだろう、見た目は美味しくできていたので、暗殺者の素質があるのかもしれない。僕も口にしていたら不味かったな。ありがとうカノン伯爵、貴方の勇姿は忘れません。

 

 そんな訳で僕が担いで…何故かアーニャも運ぶことになったけど…病院に突っ込んだことでカノン伯爵は一命を取り留めた。パーティは当然お開きだ。料理は丁重にヴァリスで処理した。

「人に担がれた時の風景、記録…高くて楽しい。」

 アーニャはまだ成長しきっていないから高い背からの風景は憧れだったらしい。

 

 次の日僕が招待を受けたのはナナリー企画の学校でのもの。聞けばこの日のために咲世子さんとルルーシュとミレイ会長がいくつかの日本食とパーティ料理を用意してくれたらしい。肩身は狭くないし料理は美味しいし最高だ。いやほんと、涙が出てくる。

「スザクの笑顔、記録。」

「ん?」

 カシャリというシャッター音がしてまさかと思って声の方を見てみれば何故か学園中等部の制服に身を包んだアーニャがいた。

「アーニャ!?なんで!?」

「この前パーティで料理食べられなかったから。日本料理…アーニャ、わくわく。」

「なになに?この子、もしかしてスザク君の恋人!?」

 あぁ、会長ってこういうの嗅ぎつけるの本当に早いよな…誤解を解くためにアーニャがナイトオブラウンズの一人だと説明するとみんなが固まった。そりゃそうだ。歳下だけど凄く偉い人だもん。というか理事長、ミレイ会長くらいには説明してても良さそうなのに。

「まぁ!声の感じ私と余り歳が変わらなさそうなのに、ナイトオブラウンズだなんて凄いんですね!」

 こういう時意外と堂々としてるのはやっぱ皇族の血だよなぁ…

「あれ?あなたもしかして…」

 アーニャがナナリーに興味を示したみたいだけど、扉が開いてみんなが今度は誰だよという感じにそちらを見た。シュナイゼル殿下とか出てからルルーシュが暴れかねないからやめて欲しいんだけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは!」

 良かった。伯爵のロイドさんだ。ナイトオブラウンズに比べたらたかだか伯爵なんて失礼だけど大したことない。というかなんでニーナと一緒にいるんだろ?メガネ仲間なのかな?

「あれ?ロイドさん?何か用ですか?

「うん、ちょっとね〜」

「ミレイちゃん、知ってる人?」

 あー、そういえばロイドさんとミレイ会長って婚約者だっけ。この前聞いて驚いたんだよね…

「僕のフィアンセ」

 あ、リヴァルが倒れた。

「倒れた人、記録」

 現場保存は大切だよね。

「ロイドさん、もしかして軍務ですか?」

「そ、大事なお客様が船でいらっしゃるんでね。お出迎えを。もちろんランスロットとユーフェミア皇女殿下も一緒に。アールストレイム卿もそれのついでで昨日のパーティに来たって訳」

 

 式根島というところでロイドさんの言う大事なお客様…要はシュナイゼル殿下を待っていると、やはりと言うべきか、ルルーシュが仕掛けてきた。そりゃそうだよね、昨日なんかロイドさんと談笑してたもん。ロイドさんは面白い子って言ってたけどさ…それに、アーニャはナイトメアを置いてきてしまっているので直接戦えないらしい。僕がユフィを守らないと。

「司令部が何者かによって攻撃を受けているとのことです!」

「ご安心くださいユーフェミア様、自分が守ります!」

「いいえスザク、ここにはアールストレイム卿も居ます。あなたは司令部の救援に向かってください」

 確かにここにはアーニャがいるし任せても大丈夫かもしれない。それよりルルーシュを止めなければ。

「騎士と皇女殿下のイチャラブ、記録。」

 アーニャ…君はマイペース過ぎるよ。

「あ、それ今度データ送って貰えます?」

 ユフィ…君もマイペース過ぎるよ。

 

 僕が駆け付けるとこの前の赤いナイトメアが暴れていた。中身はどちらからわからないけれど、どちらにせよかなりの強敵だ。周りの無頼を蹴散らしつつ、攻撃を仕掛ける。

「あれは…ゼロ!」

 どうやら今戦っているナイトメアの中身はゼロではないらしい。達くで無頼の肩に乗り、サイドチェストをしているのが見える。今日もキレてるなルルーシュ…!

 

 藤堂さんのナイトメアや赤いナイトメアを迎撃し、なんとか押し込んでいく。ルルーシュに追い付くと、何故か砂地に装備もなしに飛び込んでいく様子が見えた。砂地は確かに走り込みトレーニングに良いけれど、ナイトメアじゃ意味ないことはルルーシュにも分かってるはずだけど…

「罠か?だが、関係ない!ルルーシュを捕らえればすべて解決する!」

 幸い今のルルーシュが乗っているのは無頼だ。ランスロットなら簡単に制圧できる。

 

 次の瞬間、ランスロットの動きが止まった。 こんな時に故障か?ロイドさんめ、後でぶっ叩いてやる…!

『話がある!枢木スザク!出てきてくれないか?第1駆動系以外は動かせるはずだ』

 前言撤回、故障じゃなくてルルーシュが何かしたようだ。

『捕虜の扱いについては国際法に則る。話し合いに乗らない場合君は四方からナイトメアによる銃撃を受ける上、君を私が殴ることになるが?』

 それは流石にまずい。ここはルルーシュを信じて話し合いとやらに応じるしかない。ユフィの指示も出ることを了承してくれている。僕がナイトメアを降りると、ルルーシュが待っていた。

「単刀直入に言おう。私の仲間になってくれないか?」

「残念だけど、それはお断りするよ。」

 ようやくブリタニアを中から変えられるきっかけ…ユフィの騎士になれたんだ。ここで裏切れば日本人への差別は余計に酷くなるはず。ルルーシュめ、分かってて言ってるな?何が目的なんだろう。

「ならば仕方ない。日本語でダメなら、他の"言語"で話し合いをするしかないな。」

 徐にルルーシュは四股を踏み出した。なるほど、そう言うことか

「望むところだ」

 僕も四股を踏み、ルルーシュと見合う。これからの話し合いは肉体言語だ!

『見合って見合って!はっけよい…のこった!』

 恐らくだけど、藤堂さんの合図で僕達はお互いに組み合う。まわしは無いけれど僕らの指圧ならば問題はない。ルルーシュの方がパワーは上だろうけれど、日本人として相撲で負けるわけにはいかない!

「流石だなスザク!純粋なパワーによる猛攻にびくともしないとは!」

「君こそ、侮っていたよゼロ」

『のこったのこった!』

 一度お互い距離をとり、次は突っ張り勝負だ。

「どすこいどすこいどすこいどすこい!」

 砂地にでは上手く踏ん張りが効かないが、気合いで持ち堪えルルーシュの突っ張りを凌ぐ。

『応答しろ!聞こえるか?枢木少佐。応答しろ!』

『のこったのこった!』

 くそ、なんだこんな時に!こっちはルルーシュとの相撲で忙しいんだ…!

「どうした?出ないのか?」

「そんな隙を与えてはくれないんだろう?」

「当然」

『のこった!』

 段々ルルーシュの突っ張りにも対応できるようになってきた。なんとか目で追い、突っ張りをいなしていく。すると、とうとう待ちきれなくなったのか勝手に話し始めた。

『こちらはブリタニア軍式根島基地司令フッキン中佐だ。これよりテロリストに対し地対地ミサイルを撃ち込む。枢木少佐はその場にゼロを足止めせよ』

「なにっ!?」

『のこったのこっ…なに!?』

 一瞬、一瞬だけルルーシュが動揺した。今だ!再度組み付き、しっかりとルルーシュの服を掴む。

「部下に死を命じるとはな…!」

「君の家族を悲しませることになるが、これも一つの選択だ。」

 ルルーシュは僕を引っ剥がそうと躍起になっているが、そんな簡単に剥がされるほど僕は弱くは無い。

 

『生きろ。』

 

 ルルーシュ、君はそう願ってくれたね。でも、ダメみたいだ。

「このままではお前も死ぬ!本当にそれでいいのか!?」

「…済まない。でも軍人は命令に従わなければならないんだ。」

 僕は最大の友人である君を巻き添えに死のうとしている。やはりダメな奴さ。ふと、ゼロの仮面の一部が開いた。そんな機能あったんだ。そして、ルルーシュと目が合った気がする。

 

「"    "」

 

 ルルーシュに何かを言われた気がする。ルルーシュを離し、思い切り蹴り飛ばすことで距離をとりつつ、ランスロットに近付く。跳躍をする事で乗り込み、そのままランスロットでその場を後にする。僕は…俺は…!

 

 俺にはまだしなければならないことがある!!

 




みんな大好き(?)アーニャさんがフライング出演。筋肉によって世界が歪められたせいですね!くそ!筋肉め許さないぞ!あと、個人的には彼女にはもっとあったかそうな服を着てほしい。

スザクへのギアス当てゲーム!正解はSTAGE23にて発表!


●オマケ●
ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜 OPテーマ歌詞 その2

腕鍛えた、腕
果て無く強く
鍛えた日々の努力の賜物

強靭な男の中で修行するぞ
刺殺銃殺のある空間
強靭な指を立てて
俺の身体支えてる
綺麗に、逆立ちまで。


この手で潰した
新鮮赤いリンゴ

鏡に映る鍛えた身体を見てェ!


強靭な男の中て修行するぞ
刺殺銃殺のある空間
強靭な指を立てて
僕の身体支えてる
綺麗に、逆立ちまで。

強靭だ…

強靭だ…

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