ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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 なんやかんやあって遭難し、全裸のところをスザクに見られたカレンはスザクを襲った。注意すべきは全裸の側が襲ったと言う事だ。これはスザクの名誉のためにも必要な事である。カレンは勇猛にもナイフでスザクを襲ったが、鍛えられた腹筋の前にカレンのナイフは2回目の破損をすることになった。まぁ、根本からポッキリ折れた訳だ。
「ダメだよカレン。女の子が服も着ずに走り回っちゃ。」
「クソ…!ルルーシュといいスザクといいなんなのよこの筋肉ガチ勢…!」
「嫌だな、何もこんな時に褒めなくても」
「褒めてないわよ!!」
 何度か逃走を企てたカレンだったが…
「ははは!こんな森の中で鬼ごっこかい?カレンって意外と活発なんだね!」「病弱だって聞いてたけど、もしかして空気が良いせいなのかな!」「おーいカレン、そんなに焦らなくても木の実は逃げないよ?」
 スザクの脚力の前にすぐに追いつかれてしまい、逃げる事は諦め素直に川での食料調達に勤しんでいた。
「上手いねカレン!」
「まぁ、小さい頃お兄ちゃんとよく川で遊んだから…」
 
 余談だがこの時点でカレンが黒の騎士団だとスザクは気づいていなかったりする。

それでは本編スタートです。


STAGE19

 スザクにギアスをかけ、なんとか命からがらあの場を切り抜けたが…気が付けば海の上にいた。ありがたいことに近くに島があり、そこまで泳ぎ着くが、どうやら植生や気温は式根島と変わりはないとはいえ、式根島とは別の島にいるようだ。

「助けて下さーい!だれかー!助けて下さーい!」

 どこからか情けない声が聞こえ海の方を見ると…

「あなたは…!お願いです、溺れそうなので助けていただけませんか!?」

 バシャバシャともがきながらユフィがこちらに助けを求めていた。着衣水泳は想像よりも大変である。それがドレスとなれば尚のこと。よりにもよって皇族を殴り殺した男に助けを乞うとはな。まぁ良い助けてやろう。

「ありがとうルルーシュ。ふぅ、溺れ死ぬかと思いました。」

「どういたしまし…ん?」

「あら?どうしました?ルルーシュ?ルルーシュ?おーい、おーいルルーシュ?ルルーシュルルーシュルルーシュ?聞こえてますかー?もしかしてそのヘルメット集音声悪いんです?おーい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バレてる…だと…!?まさかスザクの奴!そう思って俺は拳を振り上げる。

「わわっ!誰にも言っていません!本当です。だから私をぶつ前にせめて…顔を…あと良ければ胸板とかも生で見せてもらえると、あ!割れてる腹筋もできれば!」

 なんか遠慮なく要求してくるな…。まぁ正体がバレてるなら仕方ない。俺は仮面を外し、素顔を晒す。ついでに腹筋も晒す。触っても良いぞ、遠慮するな。今までの分も触れ。

「…いつから気づいてた?」

「ホテルジャックの時、私を抱えて逃げたでしょう?その時に胸板を触ってルルーシュだってすぐに分かったわ」

 あの時か…

「しかしなぜコーネリアに相談しなかったんだ?」

「お姉様は私の言うことなんか…それにそれ以上に悲しくて。ナナリーはどうしてる?」

 ユフィはそう言うと視線を落とす。

「一緒に暮らしてるよ。目も足も悪いままだけどな。こっちも質問して良いかい?母さんが殺された事件、何か知ってないか?」

「私は何も…。あ、でもお姉様は何か調べてる様子だったわ。マリアンヌ様はお姉様の憧れの人だったみたいだし」

 憧れということはコーネリアの線も無いか?いや、断定は危険だ。憧れや好きという感情が何かの拍子に悪意に変わることはない話ではない。

「くしゅん!」

 さっきまで溺れていたと言うことはもれなく服はびしょびしょだ。俺のスーツは発注の時点で俺の汗を吸い、直ぐに乾く素材を選んでいるため既に乾いているが、このままだとユフィは風邪をひいてしまう。俺はマントを手渡し、服を乾かすように提案した。…いや、ユフィ。いきなり目の前で脱ぎ出すんじゃ無い。実の兄妹とはいえ腹違いだぞ…!自然乾燥では効率が悪い。乾いた木があれば摩擦熱で火を起こすなど造作も無い。システムは完璧だ。ささっと5秒で着火し、適当に木をくべて火を大きくする。

「凄い!流石ルルーシュ、物知りなのね!」

「木と木を擦れば摩擦熱が生じる、着火点の470℃くらいまで到達すれば火も付く。当然だよ。」

 火を確保したら次は食料だな。水は海水を煮て生じた水蒸気を結露させれば簡単に作れる。漂流物から必要そうなものを拾い集め、筋肉を用いて組み立てればそれくらい簡単だ。

「じゃあ俺は適当に食料を拾ってくるからここで待っててくれ。」

「はい、気をつけてくださいね」

 糞や足跡から獣の通り道であることがわかる。足跡の方向に向かえば獣があるはずだ。つまり…

 

 腕力でねじ伏せて獣を狩れば良い!

 

 野生の猪は海を泳ぐことがあると言う。どこから渡ってきたかは知らないが、走って逃げる猪にドロップキックを叩き込み、首をへし折って絶命させる。お前の肉は有り難くいただくとしよう。道中木の実を見つけ、スザクとカレンを見つけ、香草なんかも見つけた。漂流物にフライパンがあったし料理でも作るか。…うん?スザク?カレン?

「スザク!?」

「ルルーシュ!?」

「カレン!?」

「ルルーシュ!?」

 

 そんなこんなで俺達遭難四人組は星の輝く空の下で焚き火を囲って魚を食らっていた。

「ふふ、焼いた魚にかぶり付くだなんてお姉様に見られたら怒られちゃうわね」

「驚いたよ。ルルーシュがユフィを見つけてくれてたなんて」

「それより驚いたのはゼロの正体をずっとスザクが知ってたってことよ」

 助けが来るまでは生き延びるため協力しようという話のもと、停戦協定が結ばれた俺たちは男女四人平和に過ごしている。

「というかルルーシュ、なんでこのお人形の皇女様と仲が良い訳?」

「お人形…?確かに私はお人形のように可愛いけれど、そんなストレートに褒めなくっても…」

「…」

 そう、ユフィは天然なのだ。一人では何も出来ないお人形の皇女様という皮肉はお人形の"ように可愛い"皇女様に自動翻訳されている。これにはカレンも黙るしか無いだろう。

「あれ?ルルーシュ言ってなかったの?ルルーシュがブリタニアの皇子だって…」

「はぁ!?」

「おい馬鹿!スザクお前…!」

 忘れていた。スザクも天然だったな…これには俺も絶句するしか無い。

「どういうことルルーシュ!?ずっと私たちを弄んでたの!?」

「達って…ルルーシュ。まさかお父様に似て女遊び?」

「ユフィは黙っててくれ…!話が拗れる!」

「答えてルルーシュ!」

 暴走寸前のカレンを抑えるには真実を話すしか無かった。というか、天然夫婦のせいで誤魔化しを言ってもすぐに横から訂正されるのだ。

「俺とナナリーの母は庶民の出でな、他の皇族によって疎まれ暗殺された。母を失った俺達は皇帝シャルルによって日本に人質として送られたんだ。」

「そこで僕と会ったんだよね」

「あぁ…だからあんた達仲良いのね、納得。じゃあ学園でのあの喧嘩騒動はお芝居だったわけ?」

「えっ?スザクとルルーシュって同じ学校なんですか!?」

「だからユフィは黙っててくれ!!話が逸れる!!!!」

 人が大事な話をしてるんだから話を逸らすんじゃない。

「そして皇帝は俺とナナリーがいることを分かって日本に戦争を仕掛けた。人質の俺達のことなんてどうでも良い訳だ。」

「…だから復讐って訳ね。ふうん、納得した。」

 そう言うとカレンは再度焼き魚を飾り始める。それと、そろそろ良い頃合いだ。

「みんな、できたぞ。"猪肉の香草包み"だ。塩と木の実ソースを使ってお好みで味付けしてくれ」

 俺が狩った猪は何故か根本から折れたカレンのナイフで捌き、森の中で見つけた香草で包んで焼いたものだ。味付けはシンプルに海水を煮て作った塩か、森の木の実を俺が握り潰して絞った木の実ソースからの選択式である。

「漂流物にフライパンがあって助かりましたね、ルルーシュ」

「あぁ」

「んー、このソースだとさっぱりしてて肉に合……………木の実のソースってまさかあんた握って絞ったとか言わないわよね?」

「他にどうやってつくるんだ?こんな島にミキサーがあるはずがないだろう」

 カレンは天を見上げている。なんだ?そんなに美味かったのか?スザクは…これでもかと言うくらい塩をかけて齧り付いている。うん、豪快でよろしい。

 

 食事を終えて真っ先に口を開いたのはユフィだった。

「ねぇ、ルルーシュ、ルルーシュとナナリーが生きていると知ればお姉様もきっと力になって下さいます。テロなんてやめて私達と…」

「ルルーシュ!まさか今更ゼロを辞めるなんて言わないわよね!?」

「ナナリーの為にもここは自首して罪を償うべきだ。捕まったテロリストの末路は悲惨だよ。」

「…俺は既にこの拳でクロヴィスを葬っている。今更退く気は無い。」

 俺がそう宣言すると全員が黙った。その後は黙々と食事を取り、捜索隊らしき光を見つけ明日はあちらに行こうと話をし、眠った。

 

「そういえばユフィ。どうして名誉ブリタニア人のスザクを騎士に?」

「それは…スザクはお姉様を助けて下さいましたし、他にもたくさん活躍しています。私はそんな姿を見て、任せたくなっちゃったんです。」

「なんか…照れるな」

 そんな風に歩いていると、開けた場所にやってきた。

「ルルーシュ、この場所なら上空からでも見つけやすいんじゃないかな。」

「そうだな、ここで火でも起こして狼煙を見つけてもらうか。」

 開けた場所を歩いていると、突然地面が光り輝く。なんだ?俺のギアスやC.C.の額と同じ模様!?突然体が浮いた感覚に陥り、周りをよく見ると地面が浮かび上がって…いや、逆だ、俺達が落ちている!?

 衝撃の後、再度周りを見渡せば遺跡のような内部にいる様だ。そしてブリタニア軍に囲まれていた。待ち伏せ…?いや、それにしては対応が杜撰だ。

「銃を向けるな!皇女殿下に当たる!」

 スザクが壁になれば関係ないが、それは俺も同じことだ。

「ゼロ!あそこにナイトメアが!」

「よし、お前はあれを起動しろ、俺が時間を稼ぐ!」

 何故かスザクは動かないが好都合、今のうちに兵士をボコボコのボコにしてねじ伏せる。すると視界にある男が映った。

「シュナイゼル!?」

「君が…ゼロか」

 俺が一気に距離を詰め、拳を叩き込むがシュナイゼルは済ました顔でそれを受け流す。

「君のパンチが破壊力に優れているのはわかるけどね」

 その後の蹴り、拳、頭突き、あらゆる攻撃が読まれて対処される。

「全て受け流せば問題はないよね」

 おのれシュナイゼル…!俺の攻撃を完全に…!

『ゼロ!こちらへ!』

 今回はシュナイゼルの始末はお預けだ。カレンの言葉の方へ跳躍し、ナイトメアに取り付き、そのままコクピットに座る。

「複座のナイトメアとはな。」

「そうね、正面のナイトメアはどう突破する?」

「ふむ、こいつの武装…ハドロン砲と言うのか、これならば!」

 俺はスイッチを押すが、狙いよりもメチャメチャにビームを吐き散らしたようなことになった。

「なんだ!?武器は未完成なのか」

「安心しなさいルルーシュ、見てなさいよ!」

 カレンが何やら操作すると、ナイトメアは飛び上がった。

「ほう?このナイトメア、空が飛べるのか。ならばこの機体は黒の騎士団で有り難く使わせてもらうとしよう!HAHAHAHAHAHAHA!!!!!」

 

 

 

 僕は…えっと。そう、確か見晴らしのいい場所に…その後は…?ダメだ、思い出せない。何か奇妙なものを見たような気がするんだけど。気が付けば遺跡のようなところにいて、ブリタニア軍に囲まれていた。と言うよりもこれはユフィを守ってくれているのかな

『ゼロ!こちらへ!』

 カレンの声がしてそちらを見ると、巨大なナイトメアにルルーシュが乗り込むところだった。そしてそのあとビームみたいなものを吐き散らし、飛び上がって消えていった。

「ガウェインが、我々のガウェインが」

 どうやらあのナイトメアはガウェインと言うらしい。

「所詮は実験機だ。良いじゃないか。それよりも今は二人の無事を喜ぼう」

「シュナイゼルお兄様!」

 どうやらあの人がシュナイゼル殿下らしい。

「枢木スザク少佐。第2級軍規違反の容疑で逮捕します」

「え?」

「逮捕します」

 僕はどうやら逮捕されるらしい。事情の説明を要求すると、ボイスレコーダーを差し出された。

『枢木少佐!命令を!』

『うるさい!知ったことかそんなもの!』

 確かに僕の声だ。こんなことを言った記憶はないけれど…

「どうやってランスロットから出たのかは知らんがゼロを始末する千載一遇のチャンスを自分の命を惜しんでふいにした。抗弁する気はあるかね?」

「僕が、そんなことを?」

「これ以上はない命令違反だぞ!」

 こうして僕は捕まった。けれども、シュナイゼル殿下から特別に非常時のことだからと許しを受けた。でも、僕は僕自身が許せなかった。だから、騎士の証をユフィに返すことにした。

「こんな僕に資格なんてありません。でも、ありがとうございました。認めていただけて、すごく、嬉しかったです。」




脳筋的サバイバル術:木の板に枝を回転させて擦りつかせその摩擦熱で火を起こす。(理論的には可能だけど…)

脳筋的サバイバル術:糞や足跡から獣の通り道を割り出し、獣を腕でとっちめる。

脳筋あるある:絶好のチャンスにギアス掛けるの忘れがち

因みに、最初は捜索隊が来るのめっちゃ遅くなって4人がすっかり原始人みたいなサバイバルを謳歌すると言う展開も考えました。が、没になりました。
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