ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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 ユフィはルルーシュとナナリーが生きていることを知り、どうにかしてスザクとルルーシュが戦わなくていい方法を模索していた。
「そうだ!エリア11の中にイレブンが日本人に戻れる場所があればいいんじゃないかしら!」
 こいつは名案だとウッキウキでシュナイゼルに話をすると
「ユフィ。このアイデア素晴らしいと思うよ。そうだね、行政特化であれば副総督の立場でも可能なんじゃないかな。それに枢木 スザクは名誉ブリタニア人、彼を騎士に任命したユフィの言葉ならイレ…いや、日本人のみんなも協力してくれるよ」
「えっ!じゃあ!」
「君は君の信じた道を進むといい。コーネリアには私から話しておくよ」
 頭の良さについて絶大な信頼を寄せているシュナイゼルからのお墨付きをもらい、ユフィはウッキウキで部屋を出た。

 ユフィが部屋を出たあと、シュナイゼルは一人で微笑んでいた。
「行政特区日本…これがあれば黒の騎士団は瓦解する。この戦いは我々の勝ちのようだね、ゼロ…」

 そんな訳で本編スタートです。




STAGE21

『皆さ~ん!お待たせいたしました!これよりトウキョウ租界でいっちばんオープンなアッシュフォード学園の学園祭を始めま~す!』

 今日は学園祭、ナナリーも楽しみにしていたし、俺も今日くらいは平和に過ごしたい。カレンもスザクもそのことに納得してくれているようなので、取り敢えず大丈夫だろう。

『スタートの合図はこの一声から!』

『あの…いいんですか?』

 スタートの合図はナナリーがすることになっている。それは、目も見えず脚も不自由なナナリーを気遣い、会長が学園祭に携われるようにと配慮してくれたのだ。

『いいの』

『それでは…にゃぁ〜!』

 ナナリー!おおおおおおナナリー!ナナリーおおおナナリーナナリー!!!うおお!!!うおおおおおお!!!!!

「「ナナリーーーーーーーーー!!!!!!!」」

 俺とスザクは周りの目も気にせず叫んだ。いいじゃないか、可愛かったんだから。カレンからうるさいと蹴飛ばされ、スザクはピザの材料カット、カレンはホラーハウス、俺は文化祭の運営に戻った。

 

『各地域の緊急時における対応は全てデータに残してあります』

「澤崎達にも利用価値はあったな。…ところでディートハルト、お前今表の仕事をしてるはずだが…平気なのか?」

『ええ、私は左遷された身ですし、ゼロのテレビデビューと黒の騎士団のデビューを放送した責任でカメラを持つことが禁止されていますからね。私立アッシュフォード学園という場所で開催される世界一のビザ作りの特番に携わっているのですが、撮影班は出ていきましたし、中継車内にいるのは私だけですから問題はありませんよ』

 つまりマスコミが学園祭に?まずいな、俺は顔を晒すわけにはいかない。

「そうだったか、藤堂はどうしている?」

『放送局など占領目標のリストアップを行っています。キョウトへのダミー計画書共々チェックをお願いしたいのですが』

「分かった。明日確認する。」

『ああそれと報告が遅れましたが、本日租界諜報員の篠…

 ディートハルトの電話とは別に、誰かが俺に声をかけてきた。

「大変よー!リンチよリンチ!」

 会話内容から俺の正体が発覚するのは不味い、俺は後で電話すると伝えて電話を切る。会長に聞けばイレブンの見学者がブリタニアの見学者から因縁をつけられリンチにあっているらしい。

「あそこよルルーシュ!ほら!」

 やたらとお姫様抱っこに拘っていたミレイを抱えて現場に駆けつけ、ミレイの指を指す方向を見ると…

「うん?」

 あれはいつぞやのカルフォルニアドッグ屋をリンチしていた連中か?

「おい、お前たち」

「ぁあ?なんか文句あん……」「あ、あの筋肉…間違いねえ…」「筋肉に殺される!」「うわああああああ!!!」

 俺の顔を見るなり逃げ出した。まあ、判断としては賢いな。

「流石ねルルーシュ!」

「前懲らしめたことがあっただけですよ」

 その後、ピザの進行に3%の遅れがあった為、気合いで解決することになった。

 

「スザク、材料を切るのに手こずっているらしいな」

「ルルーシュ、来てくれたのか。何分量が多いからね。でも焦って手加減を間違えるとまな板ごと切っちゃいそうで」

「だったらスザク、俺の胸板をまな板がわりにしろ。包丁では切れないから遠慮なく玉ねぎが切れるだろ?」

 俺は服を脱ぎ、胸板を軽く水洗いして寝っ転がる

「流石だねルルーシュ!それじゃあ遠慮なく…」

 軽快なリズムを刻むスザクの包丁の前にあっという間に玉ねぎは切り刻まれた。玉ねぎの次はトラックから運ばれてきたチーズ関係だが、そちらはスザク一人で十分とのことで、俺は再び全体の仕切りに戻ることとなった。

 

「危なーい!」

 飛んできたピコピコハンマーをキャッチすると、スザクの上司のセシルとかいう女がやってきた。

「ごめんなさい、思い切り叩いたら一撃で折れちゃって」

「いえ、ブリタニアの軍人さんにも楽しんでいただけててるみたいで良かったです。」

「ええ、本当はお酒があると最高なんだけど、流石に…ね?」

 流石に学園祭でアルコールの提供があるはずがない。それは流石に諦めて欲しいものだ。するとシャッター音が聞こえた。不味い、俺はメディアには露出できない!振り返るとそこに人影はなく、視線を下ろすと音の正体がいた。

「スザクよりマッシブな人、記録。」

「アーニャ、勝手に人の事を撮影しちゃダメモニ!早く消すモニ!」モニ!

「…わかった」

 あれは確かナイトオブシックス…また学園に来てたのか…隣の…なんか凄い語尾が聞こえた気がする金髪の女はよく分からんが、写真を消すように言ってくれた事には感謝しよう。

 俺はラウンズとそのオマケを見送り、再び進行に戻る。くそ、これではテロの準備が…

「おい、そこの肉ダルマ」

「うん?あぁ、お前か。変装はバッチリ出来ているな。ピザは午後からだ。大人しく待ってろ」

 話しかけてきたのは変装して制服を着せたC.C.こいつの目当てはピザだが、ピザは午後から。頼むから邪魔しないで欲しい。

 …そういえばC.C.って何歳なんだ?幼いマオにギアスを与えてるってことはそれなりの歳は行ってるよな?不老不死とはいえ…あ、そうか…心の年齢が高いからナリタのときの服装をあんなに気にしてたのか…

「C.C.」

「なんだ?」

 俺はC.C.を見ずに話しかけた

「お前見た目は若いんだ。女子高生でも全然違和感ないな」

「…そ、そうか?ま、まぁ?私はC.C.…だからな!こういう若い格好も?当然着こなせてしまうさ!ふふっ、仕方ない、午後までは部屋でおとなしくしておいてやろう」

 そう言うとC.C.は満足そうに帰っていった。なんなんだあいつ?まぁ、自主的に大人しくしてくれるんだ、ピザは多めに持って行ってやろう。

 

 機材の確認の兼ね合いで俺は倉庫を訪れていた。バーナー用のボンベ…うむ、ちゃんと予備以外は持っていってるな。予定通り進行してるといいんだが。そう思っていると倉庫にスザクとシャーリーが入ってきた。

「バーナー用のボンベでしょ?予備は確か…」

「どうしたんだい?二人とも」

「あ、ルルーシュ。実はバーナー用のボンベにトラブルがあってね、予備が欲しいんだけど」

 ちょうど確認したところだったのですぐに案内すると、スザクが担いで走っていった。あいつ張り切ってるな。学園のみんなに頼られてるのが嬉しいらしい。学園のみんなもスザクの事を受け入れてくれていて友人としてはとても嬉しい。やっぱり筋肉か?筋肉の多いスザクだから受け入れられているのか?ならば日本人を全員マッチョに…

「あのさ、ルルーシュ。話したいことがあるんだけど」

「うん?なんだいシャーリー」

 本当は作戦の準備を進めたいのだが、それを言うわけにはいかない。と、その時突然シャーリーの近くのパネルがシャーリーへと倒れ始めた。

「危ない!シャーリー!」

 動けないシャーリーを助けるために片手で抱き寄せ、片手でパネルを止める。

「あっ…」

「どうした?もしかして強く引っ張り過ぎて脱臼でもしたか!?」

 するとシャーリーは首を振る。よかった、怪我はしていないようだ。

「…ありがとう。ルル、私のことまた助けてくれたね」

「どういたしまして、いや、当たり前のことをしただけだよ。そういえば話ってなんだい?」

「あー…うんとね、今度買い物に付き合ってほしいなって。ダメかな?」

 シャーリーとはなるべく関わらない方針だが、「ぶつかった衝撃で記憶を吹っ飛ばした」事になっているわけなので事情を知ったシャーリーは気にせずに前みたいに仲良くしたいと積極的に俺に関わろうとしてくる。流石に邪険にしすぎるとスザクや他のみんなから怪しまれるため、程よく付き合うべきだろう。

「わかった。予定が合えば付き合うよ」

「ホント?やった」

 俺も俺でそろそろ進行管理に戻る必要があったので、シャーリーに別れを告げその場を去った。

 

『さぁ!始まりました世界一のピザ作り!ご覧下さい!私の足元にあるのが今回のためだけの特製オーブン!実はこれ材料費だけで済んでるので意外と予算は掛かってなかったりします!組み立ては生徒会副会長と風紀委員の二人がやってくれました!素晴らしき筋肉の有効活用!』

 リヴァルの奴張り切ってるな…まぁ、会長の推し企画だし成功させたいんだろうな。

 俺が管理室で進行管理をしていると、扉が開きミレイ会長が入ってきた。

「さすがね。時間どおりいけそうじゃない?」

「最近人を使うことを覚えましたから。それにしてもみんな楽しんでくれてるみたいでよかったです。あとはピザ作りが成功すれば大成功ですね」

 そしてまたドアが開いた。…この香りはナナリーか。しかしもう一人は…咲世子ではない…誰だ?ナナリーとどこか似た…まさか?

「お兄様」

「ナナリー、ピザは…」

 ナナリーの方を見ると、変装をした気になっているであろうユフィが居た。誰も止めなかったのか…?サングラスに帽子…お前、それで本当に変装した気になってるのか?冗談だろ…?お前のその特徴的なピンク髪、それをどうにかしろ、せめて髪型を変えろ、いや、誰も止めなかったのか!?しかも服装、なんでそんなに派手なんだ…会長に断りを入れ、俺はユフィとナナリーを担いで別のところへ急いだ。

 

 遠くでスザクが乗るナイトメア、ガニメデがピザ生地を大きくしているのを眺めながら、俺達兄妹の3人は話をした

「世界一のピザ、アーニャわくわく」

「ピザ、楽しみモニ!」モニカモニモニ!

 アーニャとそのオマケもスザクのピザ作りに夢中のようだな。

「私もこの学校に入学しようかしら。ルルーシュとスザクがいるなら楽しそう。」

「副総督の仕事はどうするんだい?」

「勿論続けますよ?」

 スザクや俺より欠席が多くなりそうだな。

「出席日数が足りなくて3人揃って補習だな。先生言ってたんだ。『いくら成績が良かろうと、ユーフェミア様の騎士だろうと』ってさ。」

「あら、そうなると『皇女殿下でも』って言って補習受けさせられるのかしら?」

 その時不意に風が吹き、ユフィの帽子が吹き飛んだが俺がすぐに回収してユフィに被せ、その日は他愛のない話をして終わった。なんだかその時やたらとボクシングについて聞かれた気がするな。

 

 

 

 私の占領した地域であるエリア18にて起きた問題解決のために私は一度エリア11を離れエリア18での問題対処に当たっていた。ゼロと比べれば稚拙な奴らだったので軽く捻り、首謀者に腹パンをかまして私はエリア11へと戻ってきた。私が抜けた穴にはシュナイゼル兄上が自らの正規軍を回してくれている。そして今日はそんなシュナイゼル兄上の出立の日である。

「よくぞ一晩でエリア18から。コーネリア軍は優秀だな」

「とんでもない。兄上が自らの正規軍を代わりに回してくださったからこそです」

「それぐらい当然だよ」

「本国待機のグラストンナイツも合流しこれで我が軍は本来のあるべき姿となりました。グロースターのザッテルバッフェもあります」

 これも兄上の計らいの結果だ。私が抜けた穴を尽く兄上が埋めてくれている。結果、我が軍はゼロを捉えるための戦力増加に成功したこととなる。

「分かっている。中華連邦との交渉にはそのカードを使わせてもらおう」

「お願いします」

 兄上としもエリア11に配備される私の軍が増強されることは交渉にて優位に働く。私とて無駄にブリタニアの魔女と恐れられているわけではない。数々の国を陥落させエリアとしてきたのだ。

「光栄だな。戦場では並ぶ者のないコーネリア姫にお願いされるなんて」

「兄上、揶揄わないでください…!」

「本当さ。戦場での君は武闘会の男の筋肉に流れる汗より美しく輝いているよ」

 やだもう!私は照れ隠しにビンタを見舞ってしまう。しかしその手はしっかりと兄上によって握られ止められていた。

「腰を使いスナップの効いた素晴らしいビンタだね、コーネリア。まるで…そう。閃光のように」

「っ!やめてください…私ごときが…ユフィはどこへ行ったのかしら?兄上のご出立だというのに」

 兄上には敵わないな。恥ずかしいので話題を変えて誤魔化そう。

「ユフィならゆうべ話をしたよ。ああそれとバトレーが管理している件だけど」

「ああ。構いませんが本当にあれに利用価値が?」

 私は前に視察した強化人間プロジェクトについて思い出す。神経電位接続…自らの身体への改造が必要な…私には不要な技術だ。

 

 私は現在、自身の乗るグロースターの整備状況を確認していた。エリア18は砂漠地帯、砂などが残っていると動作不良の原因となるからな。

「何も総督自ら立ち会って頂かなくても」

「何をいう。私が命を預ける機体だ。私が整備を見届けなくてどうする。…あ、そこはもう少し硬めでいい。」

「え、ですがそれだとクッション性が」

「強度が落ちては意味がない!乗り心地など捨て置け!」

 ゼロに勝つ為には乗り心地より実を取らねば。するとニュースを確認していた我が騎士ギルフォードが何やら慌てている。

「姫様!ユーフェミア様が!」

 ユフィが?今度は何をしでかした?まさか枢木と結婚などと言わないだろうな?そうなれば………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………うぅ、ユフィを殺して私も死んでやる…!くそ、やっぱりそんなのは嫌だ。いっそ結婚式には呼ば無いで欲しい何をしでかすが自分でもわからん。あぁ、もし子供とかできたらユフィに似て可愛いんだろうなぁ…あ、でもイレブンとのハーフ…?くそ…!なんて事だ!だが、枢木に似て強い子になれば…?いやいや、ハーフの皇族が皇帝になど…そもそもハーフとして迫害されるのでは?そんなのはあってはならない!くそ、こうなったら私が皇帝になってハーフに優しい政策を…!

「姫様!?聞いておりますか?姫様!」

 よし、コーネリア・リ・ブリタニアの名の下にブリタニア人のハーフにはブリタニア人と同じ地位を授けることを政策にしよう!そもそもブリタニアは強い国、その国民の地も他国のものより強いはず!そうに違いない!ならば半分がブリタニアの血ならもうそれはブリタニア人だ!ふふふ、我ながら完璧だ。

「姫様!どうなされたのです姫様!姫様ァーーーー!!!」

 …はっ!?いけないいけない…なんだったか、ユフィがどうかしたんだったな。

「また、何かやったのか?」

 モニターに映るユフィを見れば政庁の記者発表フロアにいることがわかる。それにしても生放送とはな。

『わたくしユーフェミア・リ・ブリタニアはフジサン周辺に行政特区日本を設立することを宣言いたします!この行政特区日本ではイレヴンは日本人という名前を取り戻すことになります。イレヴンへの規制ならびにブリタニア人の特権は特区日本には存在しません!ブリタニア人にもイレヴンにも平等の世界なのです!』

 ユフィ…何ということだ。そんな夢物語では…。

『聞こえていますか?ゼロ!あなたの過去もその仮面の下もわたくしは問いません!ですからあなたも特区日本に参加してください!』

 何だと?クロヴィスはどうなる!?

「何だこれは!」

「落ち着いて下さい姫様!」

 一体ユフィは何を考えているのだ…!




カレンの脱出の必要性がないので扇は潜入してません。なので倉庫にカレンも来ません。よってディートハルトからの報告も咲世子さんに関するものになっています。…あれ?その場合大事なフラグが折れる気が…?

ルルーシュの身体能力が高すぎたのと、シャーリーを蔑ろにしなかったおかげでユーフェミア身バレを防ぎ、無事にピザは完成しました。やったねC.C.!

●NGシーン●
「あの、本当にいいんですか会長、俺なんかの号令で…それじゃぁ………」
 俺は大きく空気を吸い込み…
「ヤー!」\it"s my life!!/

●お知らせ●
不手際で同時刻に22話も公開していました。23日19:10時点で修正しております。

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