不手際で23日に22話を投稿していました。23日19:10時点で削除し、24日19:00に公開し直しています。
ユーフェミアとナナリーは学園祭の時、二人きりで話をしていた。
「ねぇ、ユフィお姉様、覚えてますか?昔お兄様を二人で取り合って…」
「覚えてる。どっちと結婚するのか今日決めてって迫ったの」
「そうですそうです、二人で腕を引っ張って…」
「服がビリビリーって破れちゃったのよね!ふふふ…」
「知ってましたか?あの時お兄様、肩を脱臼してたんですって!」
「まぁ!」
「「うふふ、あはは」」
それでは本編スタートです。
※一部の人には受け入れられない展開かもしれませんがご了承下さい。
「なんかさぁ、久しぶりじゃない?」
「なにが?」
俺はリヴァルのバイクと並走しながらリヴァルと会話をしていた。
「こうやって二人で話すのがさ」
「…そうかな。」
「そうだよ。」
目的につくと俺はサイドカーから荷物を取り出す。
「悪いな、寄り道してもらって」
「良いって、こっちも買い物に付き合ってもらってるし。」
「じゃ、シャーリーと待ち合わせてるから」
そう、今回の寄り道とはシャーリーとの待ち合わせ。最近シャーリーはまた俺に関わろうとしている。本当は突き放すべきなんだろうが…非情になりきれない。甘いな、俺も。
「シャーリーの記憶戻ると良いな。じゃな!ルルーシュ!」
そう言ってリヴァルは走り去ったが、俺として記憶が戻るのは不味い。とは言え、確かにこのままなのも良くはない。せめてフェネット氏の死の真相さえわかればな…。
「何が行政特区だ!何が援助だ!署名などするものか!」
突然そんな大声が聞こえてきたのでそちらを向くと、小さな子供をステッキで殴りつけている男を見つけた。
よし、殴るか。
「もう平等になった気か?下の者はおとなしく上に従っておればいいのだ!」
「もう平等になった気?違うな、間違っているぞ。人々は既に皆平等だ。」
「なんだ貴様?」
男が俺を睨みつけるが、俺は拳を見せつける。
「人は死ぬまで殴れば皆等しく死ぬ。つまり、既に平等だ。」
俺が拳を振り上げると、男のそばに立っていた男が立ち塞がった。
「そこまでだ学生くん」
「む?あなたは…」
「おや?」
この大柄の男、どこかで…
「し、師匠!大変失礼致しました。」
大柄の男は帽子を取り俺に頭を下げた。
「久しぶりだな。今何やってるんだ?」
この男は俺がかつて荒らし回っていた地下格闘で出会った、俺と同じ珍しいブリタニア人格闘者だ。俺がボコボコにしたところ、俺を師匠と呼び、しばらく稽古という名目でボコボコにしていたことがある。つまり…ボコボコにしていた相手だ。
「はい、師匠に鍛えていただいた腕を売ってボディーガード業を」
「ほう?つまりあいつが今の雇い主か?」
「あ、は、はい…」
俺はかつての弟子に腹パンをぶち込む。
「ゴフッ…」
「あいつは君が仕える価値のない男だ。早くうちに帰りたまえ」
「あ、は、はい…そうします…。」
負傷を負った不肖の弟子は腹を押さえたままとトボトボと帰っていった。
「…わ、私もこれにて失礼する…」
ふん、自分が殴られた訳でもないのに…これだから貴族ってやつは。
署名運動をしていた子供がお礼を言ってきたので、優しく頭を撫でてから筋肉をつけろとアドバイスをしてその場を立ち去った。
「こーらルル!また人を殴ってたでしょ!」
「み、見てたのかい!?シャーリー、でもあれは…」
「見た感じ、がたいのいい男の人は知り合いだったんでしょ!?じゃあ殴らずに解決できたたんじゃないの!?」
「あ、はい。」
反論できない、確かにそういう道もあったかもしれない。
「もう、ルルは折角頭も良いんだし力も強いんだから、もっと穏便に解決とかできないの?」
「…善処するよ」
その後、これでもかというくらい荷物を持たされ、シャーリーとの買い物は終わった。
俺は黒の騎士団を行政特区周辺で待機するように命じ、ガウェインに乗り行政特区へと向かった。
「ようこそゼロ!行政特区日本へ」
会場に現れた俺へと真っ先に声を掛けてきたのはユフィだった。
「ユーフェミア・リ・ブリタニア。折り入ってお話ししたいことがあります」
「わたくしと?」
お前以外にユーフェミアはいないだろうという言葉を飲み込み、俺はあくまで冷静なゼロを演じた。
「はい。あなたと2人きりで」
俺は一通りボディチェックを受け問題ないと言われた。馬鹿め、俺の最大の武器はこの肉体、銃も刀も必要ないだろうに。
「ではこちらへ」
「ユーフェミア様。やはりこの男と2人っきりになるのは危険では?」
「あらスザク、妬いてるの?」
「ゆ、ユーフェミア様!?」
腹違いとは言え実の妹が親友とイチャイチャするところを見せられるとなんというか…なんだろう、腹が立ってきたな。
案内された先で俺はその場の機材を徹底的に拳で破壊…しようかと思ったが、場合によっては活用するかもしれない。電源を切るだけにとどめておこう。
「意外と慎重ね、てっきり拳でぶっ壊すのかと思ったのに」
「後で使うかもしれないからな。無駄に壊すのは馬鹿のやることさ」
「無駄には壊してないつもりだったんですね。」
俺は仮面を外し、ユフィを見つめる。今から俺はギアスを使いユフィに日本人を虐殺命令を出させ、日本人を決起させるつもりだ。俺のギアスならそれが可能。犠牲は出るが、行政特区日本をぶち壊してブリタニアを倒すにはそれくらいの荒療治が必要なのだ。
「この式典は世界中に中継されている。そこでブリタニアの皇女である君が日本人の虐殺命令を下す。するとどうなると思う?」
「うーん、怒るんじゃないかしら」
「あぁ、騙し討ちされたとなれば日本人は怒り、君の信用は地に落ちる。そして暴動が起こるだろう。」
そうだ。ブリタニアの中の偽りの日本に浸ろうとする腑抜けた連中にはこれくらいしなければならない。
「何ふざけてるんですか?私と一緒に日本を…」
「一方的に押し付けるのは筋トレの負荷でも政策でも悪手なんだよ。」
すると、何故か俺は左目に激痛を覚えた。なんだ!?昨日筋トレしすぎたか…!?
「ルルーシュ!」
痛みのあまりうずくまると、ユフィが駆け寄ってくる。それを手を振り払うことで追い払う。
「やめろ!これ以上俺を哀れむな!施しは受けない!俺はこの肉体のように自分の力で手に入れてみせる!」
そうだ。俺はクロヴィスを殴り殺したんだ。ここでお前が憎まれ、それを俺が殴り殺す。そうすれば俺は、ゼロは、日本人から俺の体よりも分厚い信頼を得ることができる!
「…そのためにも、汚れてもらうぞ!ユーフェミア・リ・ブリタニア!」
「その名は返上しました!」
…何?今なんて…?返上?
「いずれ本国から発表があると思いますが皇位継承権を返上しました」
「なぜ…?まさかゼロを受け入れたから?」
「私のわがままを聞いてもらうのですから、それなりの対価は必要でしょ?」
なぜ、何故ユフィはそこまで?
「随分と簡単に捨てられるんだな君は…俺のためだとでも言うのか?」
「ふふ。相変わらず自信家ね。ナナリーのためよ」
…そうか、ナナリーのためか…
『もう、ルルは折角頭も良いんだし力も強いんだから、もっと穏便に解決とかできないの?』
…そうだな、シャーリー。俺程の力があるのなら、穏便にやる方法だってあるはずだよな。
「…君の勝ちだ。この行政特区を生かす形で策を練ろう。ああ。部下になるわけじゃないからな?」
「ええ」
よく考えたら日本人の虐殺なんて、ナナリーの望む優しい世界に必要だとは思えない。俺が間違っていたよ。
「でも私って信用ないのね。筋肉で脅されたからって私が日本人を殺すと思ったの?」
「ああ違うんだよ。俺が本気で命令したら誰だって逆らえないんだ。俺をぶて、スザクを解任しろ、スザクをぶて、コーネリアをぶて、クロヴィスの亡骸を掘り起こしてぶて、シュナイゼルをぶて、全裸でダブルバイセップスをしろ、コーネリアの恥ずかしい秘密を話せ、幼少期のコーネリアの可愛らしいエピソードを暴露しろ、コーネリアのスリーサイズと体重を暴露しろ、服を裏返しに着て歌いながら踊れ、コーネリアが最近気にし始めて使い出したスキンケア商品を紹介しろ、コーネリアの好きなところを話せ、シャルルに金的をしろ、そう、どんな命令でもな。」
「ふふっ、へんな冗談ばっかり」
まぁ、そうだよな、こんなのは冗談に聞こえるよな。
「本当なんだ。例えば"日本人を殴り殺せ"って命令したら君の意思に関係なく…」
うん?なんだ?いま、何が起きた?何故ユフィは苦しんでいる?
「いや…そんなのしたくない…いや…!」
なんだ!?何が起きている…!ま、まさか…!まさか…!!先ほどまで苦しんでいたユフィはピタリと止まり、ゆっくりと顔を上げると、まるでそれが当たり前のことかのように
「…そうね、日本人は殴り殺さないと」
と言った。俺もマオと同じようにギアスのオンオフができない…?暴走している…!?いや、そんなことより、ユフィを止めないと!幸い俺の筋肉を持ってすればユーフェミアを取り押さえることくらい可能だ。俺がユフィに駆け寄ると、ユフィによる金的が炸裂した。
「マ°ッ」
そういえばユフィ、島で遭難した時にチラッと見えたが腹筋が割れていた…それに今のパンチのモーション、殴り慣れている…!一体どこでそんな技術を…いや、今はそんなことどうでもいい!だ、だめだ…!いくら筋肉を鍛えようと不意打ちの金的を喰らっては…!身体がまともに動かん…!
なんとかユフィの後を追い部屋を出るが、既に背中は見えない。
『日本人を名乗るみなさん!殴り殺されてください!』
会場からそんな声が聞こえる。まずい、間に合わない!俺が辿り着くと、既にユフィは壇上を降り、老人の顔面に拳を振り下ろさんとしていた。
ルルーシュがガウェインに乗って現れた。ルルーシュ、君が本当に行政特区日本に参加してくれるなら心強い。でも、まだシャーリーのお父さんの件が未解決だ。そのことがいつまでもつっかえてどこか君のことを信じられない。でも、この行政特区日本が問題なく終われば…僕はきっと君のことを信じられると思う。賢い君のことだ、きっと上手くやれるさ。
「ユーフェミア・リ・ブリタニア。折り入ってお話ししたいことがあります」
「わたくしと?」
ユフィと2人で?そんなの流石に危険すぎる。ユフィの頭をぶん殴って記憶を吹き飛ばし、行政特区日本を白紙に戻すなんて言い出すかもしれない。
「ではこちらへ」
ユフィはルルーシュだと知ってるからかあっさりと了承してしまう。流石にもう少し危機感を持ってほしい。ここは僕が止めないと!
「ユーフェミア様。やはりこの男と2人っきりになるのは危険では?」
「あらスザク、妬いてるの?」
「ゆ、ユーフェミア様!?」
何を言ってるんだこんな時に…いや、そりゃ少しは妬いてるけど、だってルルーシュとユフィは実の兄弟とはいえ腹違いじゃないか…。ルルーシュはナナリー…妹を溺愛しているし、同じ愛情をユフィに向けたっておかしくはない。
僕の心配をよそに2人は行ってしまった。心配だけど、ここでユフィを裏切る訳にもいかない。ここはルルーシュを信じて会場の警備に専念しよう。
しばらくすると、ユフィが走って戻ってきた。…あれ、ルルーシュはどこだろう?
「日本人を名乗るみなさん!殴り殺されてください!」
…え?ユフィ?君は何を言ってるんだ…?呆然とした僕はそのままユフィを見つめてしまう。その間にユフィは壇上から降りて、おじいさんの顔に拳を振り下ろそうとしている。だ、だめだそんなの!
脳筋ルルーシュの弱点:金的