そういうわけなので本編スタートです。
撲殺皇女ユーフェミアの悪評は一気に伝播し、我々黒の騎士団を含めた反乱軍は莫大な数に膨れ上がった。このまま物量で押し潰してやる。この日のために俺はギアスを使い、階層構造となっている租界の管理職員達にギアスをかけ、特定のワードに反応して特定の時間に特定の行動をとるようにしておいたのだ。
「聞くがよいブリタニアよ。我が名はゼロ。力ある者に対する反逆者である!0時まで筋トレでもして待とう。降伏し我が軍門に下れ。これは最終通告だ。0時まで筋トレでもして待つ、我が軍門に下れ」
これで0時に租界の一部の階層のフロアパーツが一斉にパージされる。一部の職員は異変に気がつくだろうが、咄嗟に止められるものなど居まい。
こんな時に電話…?しかもユフィから?一体なんだ…?
「もしもし?」
『やぁ、ルルーシュ。君を信じた僕が愚かだったよ。』
「…スザクか、どうしたんだ?急に」
ユフィの携帯を使ってスザクが掛けてきたのか。
『ルルーシュ、君には殺したいほど憎い人間が居るね?』
「あぁ、居るよ。クロヴィスはその一人だったってだけだ。」
『そうかい。僕にもいるんだよルルーシュ…それが君だ。僕は今から君を殺すよ。そんな風に考えてはいけないと思っていた。ルールに従って戦わなければそれはただの人殺しだって…でも、君を止めないともっと多くの人が傷つく。これ以上君に罪は背負わせないよ。』
流石に殴ってユフィがああなったとはスザクも思っていない訳か。…まさかギアスの事が?ありえない…いや、あり得ないなんて有り得ない…?俺以外に存在したギアスユーザー…マオのように、例えばC.C.…こいつと同一の存在が居ないなどと言うのはあまりにも楽観的すぎる。お世辞にも頭がいいとは言えないスザクのことだ、スザクにギアスのことを教えた奴がいる…!?
「ユフィのためだろう?気にするな、俺だってクロヴィスを殺してる。止まるつもりも引き返すつもりはないんだ。」
『君はナナリーのためだとでも言いたいのかい?それをナナリーが望んでるとは思えないな。』
「ナナリーは優しいからな。俺がナナリーの代わりに変えるんだ。」
ナナリーは優しすぎる。ワガママは滅多に言わない。だが、俺はナナリーの目と足が治った時にこんな強者が弱者を虐げる世界は見せたくない。ナナリーの望む優しい世界を作ってから俺はナナリーを世界を見せる。
『君は卑怯だ。ナナリーを言い訳に使って!君ほどの男なら!それだけの力があれば!もっとやりようはあったはずだ!僕はそう思っていた!やり方には賛同出来なかったけど、やろうとしていることだけは正しいと…でも、君はそうしなかった。だから僕が止めるよ、殺してでも…僕達は友達だからね。』
「あぁ、7年前から友達だ。じゃあもう切るぞ。」
時間はジャスト0時、租界外縁に布陣したコーネリアの軍は一斉パージの影響で落下し、落ちるパネルに潰されて崩壊していく。
「さぁ来いスザク!ユフィもお前も踏み台にして…俺はナナリーのために優しい世界を作り上げる!そのためには今あるものは全部邪魔だ!今の世界は全部全部全部ぶっ壊す!!」
馬鹿なコーネリアだ。俺を相手に正面からの戦いに拘るなど!
「…そういえばC.C.、どうやらスザクにギアスのことがバレた。何か心当たりはあるか?」
「何?…まさかV.V.が…?」
名前がイニシャル…どうやら予想通りこの女と同一の存在がいる様だな。
「その件は一旦後に回す…後で全部話してもらうぞ?あとは政庁陥落の映像と共に独立宣言を全世界に向けて発信すれば嫌でもあの男が出てくるはずだ。」
…V.V.とかいう存在はスザクに接触した…つまりブリタニア側か?…まさか、あの男も?有り得ない話ではない、仮に奴が王の力、ギアスを持っていたならブリタニアが今の様な強国になったのも頷ける。もしも俺の様に人に命令を下せるなら?相手の心が読めるなら?同じように何か強力なギアスがあったなら…ただ引き摺り出すだけではダメだな、何か策を…。いや、一旦目の前の戦闘に集中だ。これが失敗したら元も子もない。地上の戦闘は藤堂に任せておけば大丈夫だろう。
『ゼロ、コーネリアを見つけた。だが済まない、討ち損じて逃げられてしまった。』
「気にするな。奴はブリタニア政庁に戻り立て直しを図る筈だ。当初の作戦通りそのまま正面からの押し出してほしい。」
『わかった。』
次はナナリーを救出するか、スザクが本気になった以上、ナナリーを取られるのはまずい。危険に突き合わせる事になるが、俺のすぐそばに置くのが一番安全だ。
「零番隊は特務隊と共に学園地区を優先して押さえろ。その中の1つに司令部を置く」
『…ルルーシュ?本気なの?』
「カレンか、ナナリーを保護するためだ。」
『あんた…!?わかってるんでしょうね。』
許せカレン。黒の騎士団も日本も所詮はナナリーの為の駒だ。だが、ブリタニアを壊す為の大切な駒でもある。優先順位こそあれ、別に捨てるつもりもない。航空戦力をガウェインのハドロン砲により薙ぎ払って壊滅させる。ブリタニアの兵の動きは明らかに政庁のみを守り援軍を待つ動きだ。その分こちらは正面さえ押さえれば他を押さえることは容易い。
『ルルーシュ、アッシュフォード学園の制圧は終わったわ。』
「分かった。ナナリーは生徒会室か?」
『さぁ?そこまでは知らないわよ。でも、あんたも咲世子さんもC.C.も居ないなら生徒会のみんなはナナリーといようとするだろうから…』
…確かにそれもそうか。しかし咲世子さんには居て欲しかったが用事があると言われてはな…今まで世話になったこともある。できれば巻き込まれていないと良いが…
「カレンは再び紅蓮に乗り周囲を警戒してくれ。スザクと対等に闘えるのはお前しかいない。」
『分かった』
「あぁ!そうかよ!」
俺が生徒会室に行くと玉城が銃でリヴァルを殴ろうとしていたので、玉城をブン殴った。
「な、何すんだよゼロ!」
「手荒な真似はするなと伝えた筈だ。私の命令が聞けないなら、まずはお前を血祭りに上げてやる。」
「あ、はい、すいませんでした」
リヴァルの他には会長、シャーリー、ナナリー…ニーナが居ないがまぁいいだろう。目的のナナリーが居るならば問題ない。
「この学園は我々黒の騎士団が徴用し司令部として使用させてもらう。大人しくしていれば危害を加えないと約束するが…君たちに若者は時に勇敢だ。それ故に保険を頂こう」
「何をする気!?」
俺はナナリーに指を刺す。
「目が見えない少女…正体を知られたくない私としては都合が良い。足が悪く一人で逃げられない点も気に入った。」
「なっ、ナナリーを人質にするつもりか!?そんな筋肉モリモリな癖に卑怯だぞ!」
「…先ほどの殴打を見ただろう?怪我をしたくなければ退くことをお勧めするが?」
リヴァル達は少しだけ躊躇し、渋々道を開けてくれた。俺だってリヴァルを殴りたくはない、俺はナナリーを抱き上げる。
「あっ…」
ナナリーは何かを言い掛けたが直ぐに口を閉じた。
「あのっ…!」
「うん?」
シャーリー?なんの用だろうか。
「港で、私のことを助けてくれてありがとうございました。でも、貴方がやろうとしていることは、きっと悪いこと…だから」
シャーリー…まさか記憶が戻ったのか!?このまま放置するのは不味いか…?しかし匿う場所が…。それにナナリーの前で処理するのはまずい…!
『ゼロ、扇だ。ランスロットが現れたぞ。今カレンが応戦してる。』
くそ、よりによってこのタイミングでくるとは…いや、正体をバラすつもりならとっくに伝えている筈。ここはスザクの処理を優先するべきだろう。
「済まないが我々は忙しい。この少女の安否は君たちの行動次第だと肝に銘じておき給え、私は失礼する。」
俺はナナリーを抱いたままガウェインに乗り込み、仮面を外す。
「おいお前、何故連れてきた?」
「その声…C.C.さん?やはり、お兄様なのですね?」
抱え上げた時に見破られていたようだな。
「そうだよ、ナナリー。怖い思いをさせて済まなかったな。もうしばらく待っていてほしい。ナナリーは必ず俺が守るから」
「…はい。」
ナナリーは良い子だ。頭を撫でてからC.C.の膝の上に移動させる。
僕がルルーシュを探していると、突如何かが放たれた。それを弾き、放った主を探す…居た、赤いナイトメア…
「カレンか!」
『スザク!戦場で会った以上、死んでもらうよ。』
カレン、君はもしかしてルルーシュに操られて…?いや、そんなことは関係ない。邪魔をするものは全て殺すだけだ。君も被害者の一人だとしても!
「答えろカレン!ゼロは、ゼロはどこにいる!!」
一撃目はMVS、これで叩き切る!
『言うはずないだろ!!』
またあの右手か、厄介だな。なんとかしてアレを封じないと…。こちらは空が飛べる分攻撃のタイミングを作りやすい、これを利用しない手は無いな。再度のMVSに対しカレンは跳び上がり右手で防いできた。
『そんな武器なんかァ…!』
「やるな…!」
カレンはそのままぶつかった衝撃を利用して上に跳ね、スラッシュハーケンとビルを利用して高所を取る気の様だ。でも、そんな小細工は簡単に対処できる。君よりも更に高所から君とビルの接触点を攻撃すれば君は落ちざるを得ない!思った通りカレンは落ちていく
「これで終わりにする!」
『飛べるからって…』
カレンは右手の鋭利な爪でビルの壁に突き刺し落下速度を和らげている…!?あれはルルーシュが僕を助けた時の動きだ…!ッ!それがなんだ!落下速度を落とすと言うことは僕は追撃がしやすいと言うこと!
『…調子に乗るなッ!!』
何!?右手の爆発を利用して回避された!?あれはチョウフでルルーシュにドロップキックされた時と同じように移動に利用を…!カレンにこれ以上戦いの経験を積ませる訳にはいかない!どんどん吸収して強くなっている!
僕はそこで焦ったのだろう、MVSの横振りはのけぞりで躱されてしまった。これも前ルルーシュにやられた動きだ…!ガシリと左腕を掴まれる。やられる…!
『捕まえたァ…くらいなァ!!』
僕はここで死ぬのか…!?…ユフィ!!!
『"鍛えろ!"』
ッ!そうだ、俺は生きてユフィを鍛えなくちゃいけない!あの右腕の攻撃は一撃必殺…だからこそそれが決まれば隙が生まれるはず!使えない左腕をパージし、この至近距離でヴァリスを叩き込む!…よし、こちらは左腕を失ったけど、あの右腕を吹っ飛ばす事に成功した、これで勝負はついた!僕は飛び上がり、ヴァリスを構える。
「さぁ、答えろ!ゼロはどこだ!」
『…しつこい男は嫌いなんだけど』
そうか、なら死んでもら…!僕は咄嗟に回避行動をとった。直後俺のいた所にハドロン砲が放たれる。
『スザァク!!』
「ゼロか!!」
あの機体はハドロン砲こそ恐ろしいが接近戦は苦手なはず、あの巨体では格闘戦などままならないだろう!
『おっと、それはさせんよ!』
くっ!指のスラッシュハーケンで牽制を…!?そうだよな、ルルーシュがガウェインの弱点を考慮しないはずがない!
『受けるが良い!』
「甘い!」
放たれるハドロン砲をシールドでなんとか受け流し…この威力、正面からは受けられないな…!ヴァリスを放つ…しかし、空を飛ぶガウェインにそう易々とは当てられない。やはり決めるには近接戦闘しかない!
『近接戦闘には持ち込ませんよ』
甘いよルルーシュ、スラッシュハーケンくらい簡単に避けられる!終わりだルルーシュ!この蹴りで君を…!
『やはり回転蹴りか、その程度の攻撃、私が読んで居ないとでも?』
「なに!?」
こちらの蹴りに対し、ガウェインも回転からの蹴りを仕返してきた。速度もリーチも重量もガウェインが勝っている…!ブレイズルミナスで…ダメだ!衝撃までは防ぎ切れない!でもなぜだ!?ガウェインにそんな運動性能…
「まさか!?」
『気付いたかスザク。そうだよ、さっきのスラッシュハーケンはお前を狙って打ったんじゃあない。前後に放ち、それを同時に引っ張る事で回転モーメントを得たんだよ。』
まずい…!このままじゃやられる…!
よし、スザクめ、シールドで受けたようだが、次で終いだ。崩れた体勢に対し、こちらはフロートを解除しつつスラッシュハーケンを地面に打ち込み巻き取る。重力に巻き取りの速度の力を加えた両脚蹴り、再度シールドで防いでも地面に叩きつけることくらいは出来る!
『墜ちる!?このランスロットが…!!』
ランスロットを蹴り落とし、再びフロートを起動して距離を取る。
「今だC.C.ハドロン砲でとどめを!!」
「分かった。」
放たれたハドロン砲をシールドで受けたようだが…
『いけない…!やはりシールドでは…!』
よし、爆散したな。
『ユフィーー!!!!!』
さらばだスザク、最初にして最後の親友よ。
スザクを始末できたよ!やったねルルーシュ邪魔者が減ったよ!
『筋トレしてでも待つ…0時に租界を…』
●唐突な次回予告●
C.C.「お前こそ、私が戻るまで生き残れよルルーシュ」
ルルーシュ「誰に言っている。」
次回、STAGE final「筋肉」