何が言いたいかと言うと、ルルーシュ、スザク、カレン、ユーフェミア以上四人は絶賛遭難中。そして助けが来る気配が
な い !
※本編にて没にしたエピソードをやっぱり考えてみた版です。
STAGE19? 捜索隊、ゼロ
初夜に合流し、互いの素性をバラしあった次の日。俺たち四人は砂浜にてぼーっと水平線を見つめ、いわゆる体育座りをしていた。
「こないな、捜索隊」
「こないね、捜索隊」
「なんで誰もこないのよ」
「あっ!見て下さい皆さん、今イルカが跳ねましたよ!」
捜索隊が来ない。黒の騎士団はまだわかる。所詮はテロ組織、そこまでする義理がないと言われてしまえばそこまでだ。では、ブリタニア軍はどうか?名誉ブリタニア人のスザクはともかく、皇女のユフィがいて捜索隊を出さないとはどうなっている?頭がおかしいのか?コーネリアとか発狂してそうだが…
「こんなにゆっくりした時間はいつぶりでしょう?私キャンプなんて初めてです!」
うん、ブリタニア…というかユフィは頭おかしいのかもしれないな。我が義妹ながらなんかそう思う。
とにかく、捜索隊が来るにしろ来ないにしろ、サバイバルの準備だ。
「スザク、どこかに川とかなかったか?」
海水から取り出す方法は効率が悪い。とてもじゃないが4人分は賄えないだろう。
「それならあっちに川があったよ。イワナっぽい魚もいたから水質はそんなに悪くないと思う。」
長期のサバイバルにおいて、水場の確保は重要だ。清潔さを確保するにも、飲み水を確保するにも、何もかも。そんな訳でスザクの案内で川に来た。取り敢えずこの周辺に拠点を築くべきだろう。
それにしてもこの四人でサバイバルか…
俺(頭がいい)、スザク(体力バカ)、カレン(頭もいいし運動もできる)、ユフィ(………)
うん、ユフィのサバイバル適性が低いのは分かった。だがなんとかなるだろう。
「みんな、何か使えそうなもの持ってないか?」
「使えそうなもの?私はこの折れたナイフくらいしか無いわよ」
「僕は特に何も」
「私もありません」
俺もゼロの仮面くらいだ。
現在の我々の持ち物は…ナイフは調理用と割り切ろう。獣を解体するときに必要だ。となるとまずは…石器を作るか。手当たり次第に石を拾い、うちつけあう。良い感じの大きさと鋭さを目指して斧を作るとしよう。
「ルルーシュ?それは…石器?斧を作ろうとしてるのかい?」
「あぁ、木の伐採はできるに越したことはないだろ?」
そういうとスザクはどこかへと消え…あ、戻ってきた。
「はい、ルルーシュ。なんか良い感じの棒と蔦だ。」
「気が利くなスザク」
「まぁね」
いい感じの棒を持ってきて得意げな顔を見ると…犬みたいだ。うん、雑種犬だな。カレンは………忠犬だな。そんでもってユフィは血統書付きの犬だ。
「あら、じゃあカレンさん。私たちは木の実でも探してきましょうか?」
「え?あ、あぁ…」
良い感じにした石といい感じの棒と蔦でなんか良い感じになんかそれっぽい感じにすればそれっぽい石斧の完成だ。
スザクに木を伐採させ、広場を作ろう。切り株はスザクと協力して引っこ抜く。まぁ、使い道はないが…いや、高さを整えれば机や椅子にできるか。川ということは野生動物の水飲み場である可能性が高い。スザクの持ってきた良い感じの棒の中から長めの良い感じの棒を選び、良い感じに尖った石と組み合わせる。これで投げ槍の完成だ。
水場にのこのこやってきた獣はこれで…!
「ふんっ!」
獣の脳天を投げ槍が穿ったのだろう、良い感じに仕留めることができた。とは言え、いつまでも運良く捕まえられるとは限らない。保存食とかも考えなければ。その為には塩が必要だし、器を作らないとな…
「おーいルルーシュ!また切り株引っこ抜くの手伝ってくれー」
「分かった。」
何個かの切り株を引っこ抜いた時だ。
「この土、粘土か?」
粘土なら土器が作れるな。スザクにも伐採作業は中止させ、粘土掘りをさせる。食料を持って帰ってきたカレンとスザクに土器を作らせつつ、俺は火の準備をした。ユフィはスザクの応援をしている。お前も働け。
スザクが伐採した木の枝を適当に見繕い、へし折って薪を確保する。本来は乾燥させるべきだが、そんな余裕はない。幸い、火はすぐにつけられる為、今すぐに火はつけなくても大丈夫だろう。
まぁ、そんなこんなで時は過ぎた。木の幹につけていた印が365をとっくに過ぎたある日の事だ。
「見てくださいルルーシュ、ルルーシュの甥ですよ。」
まぁ…そういうことだ。捜索隊が来な過ぎた。スザクとユフィの間には子供ができてしまったし、この島での暮らしにもすっかり順応してしまった。現在俺は野生動物の家畜化計画と木の実の本格栽培を試行錯誤中だ。俺達の村(?)はこの無人島の高台に木の柵で覆われ、頑丈な作りをしている。カレンは意外にも土器作りが上手く…逆にスザクの作るものは散々な出来だった…世が世なら陶芸家紅月カレンとして有名になっていただろう。
「相変わらず上手いもんだな。」
「昔永田さんって人のところでやったことがあっただけよ」
そうは言うがカレンの作る土器は中々見事だった。
ナナリー、この場にナナリーが居ないのが残念だ。この俺たち四人…と、新たな生命による計5人の世界は実に平和だ。ブリタニアも日本もない。全員が全員に優しい世界。その理想郷はこの島にあったんだよナナリー。
印をつけるのをやめてしまっていくつかの日々が過ぎた。俺の甥と姪が合計で9人を超えた。スザク、お前はベースボールチームでも作るのか?そんなことを言っているが、なんだかんだ俺とカレンの間にも子が3人ほど出来た。やれやれ、俺も雄の本能には勝てないらしい。農業と畜産は軌道に乗り、海上養殖も順調。ついに島の全てを整備し尽くした俺達はやはり平和に過ごしていた。まぁ、整備したところで走る車など無いのだが。
更にいくつかの時がすぎ、何度かの冬をやり過ごし、子供達もすっかり大きくなった頃だ。島に船がやってきたのだ。ブリタニア軍でも黒の騎士団でもない、その捜索隊は…
「お兄様!ようやく見つけました!」
目を見開き、すっかり大人の女性になったナナリーだった。
当たり前ですけど、続くはずがありません。
また、「ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜」の後書き的なものを活動報告に記載しましたので暇な方はお読みください。