「あら?この足音…スザクさん?」
「やぁ、ナナリー。元気かい?」
行政特区日本の事件で皇位継承権を失ったユフィとは反対に、ナナリーは皇族としての地位を取り戻していた。
「お兄様の行方、分かりましたか?」
「ごめんねナナリー。まだわからないんだ。」
僕はまた嘘をついている。ナナリーは僕がルルーシュを倒した後に見つけた。瓦礫の中を座って佇んでいた。最初はルルーシュが迎えに来るからと頑なに動こうとしなかった。
一度ルルーシュを拘束し、再び戻るとやはり佇んだままだった。仕方ないので半ば無理矢理に抱き抱えて連れて行った。
何故あそこにいたのか聞けば、ゼロに人質として捕らえられていたと言っていた。機体の中で女性の膝の上に座らされ、目も見えず足も不自由だから好都合だと言われたそうだ。一応丁重な扱いをされ、怖い思いはしなかったらしい。ミレイ会長たちに確認しようとしたけれど、皇帝陛下がギアスでナナリーのことを忘れさせているから無理だと言われた。
今さら皇族に復帰したナナリーにブリタニアの友人などいるはずがない、生徒会のメンバーは記憶を奪われている。ナナリーは孤独だ。僕とナナリーが話せば否が応でもルルーシュの話になる。僕にルルーシュの話をする余裕は無かった。
今日はある人との連絡を取る日だ。モニターにはかつて総督としてお世話になったコーネリア殿下の顔が写っている。
『久しぶりだな枢木。』
「は、コーネリア殿下もお久しぶりです。」
『私は今ユフィの治療法を探してエリア18に来ている…が、ここでの収穫はなさそうだ。』
「そうでしたか」
旅の中では昔のように髪を整える時間はないのだろう、ボリュームというか、髪のふんわり感がおとなしい気がする。
『ユフィはどうしている?』
「は、相変わらず手強いです。日に日にパンチのキレが上がっています」
『そうか、ユフィに武道の才があったのは驚きだが…私はユフィに喧嘩などさせたく無いのだ。必ず治療法を見つける。それまでは…死ぬなよ、枢木』
「はい、殿下もお気を付けて」
ギアスの呪いに治療法などあるのだろうか?それでも今はコーネリア殿下を信じて待つことしかできなかった。
今日も僕はそこを訪れていた。
「あら?スザク!今日も会いに来てくださったのですね!」
元皇女殿下、ユーフェミア リ ブリタニア。今はユフィ タダノと名前を変え、拘束されている。失敗には終わったものの、ユフィは行政特区日本をやろうとした。皇女としての名の剥奪はその対価らしい。今は皇女としての位も剥奪され、ただの一般人として生きている。コーネリア殿下はユフィの治療法を求めて単独で旅を続けているらしい。ギアスの治療法、そんなものはあるのだろうか。
「やぁ、ユフィ。今日も元気そうだ…ねっ!」
パシッと右ストレートを受け止め、続けての足払いに対して逆にこちらが足払いを仕掛ける。ユフィは転倒するが、その顔は笑顔だ。
「ふふっ、やっぱりスザクは強いわね!きっとスザクを殴り殺せたら日本人を全員殴り殺せる気がするの!これからも私を手伝ってくださいますか?」
跳ね起きで立ち上がり、そのまま回転しつつの蹴りを繰り出してくるユフィの攻撃を捌き切るのは至難の業だ。でも…
『鍛えろ!』
そう、僕は鍛えなくちゃいけない。僕がユフィの事を、そして僕自身のことを!昨日よりも早い拳をユフィの腹に叩き込み、ガラ空きになった後頭部にアームハンマーをブチ込む。床に叩きつけられたユフィは一度跳ね、動かなくなったようだ。
『枢木卿、今日はその辺で』
「…分かっている」
また来るよ、君を鍛えに。ユフィ。
ユフィをこんな風にした君は許せない、ルルーシュ。でも彼は今、C.C.捕縛作戦に餌として使用されている。管轄は機密情報局、僕がどうこうできる部署では無い。あちらも皇帝陛下直属の部署なのだから。
個人的にコーネリアは2期のなんかこうちょっと落ち着いた髪型の時の方が好きです。それはそれとして復活のルルーシュでのコーネリア殿下の服装、言っちゃ悪いですけどそこそこいい歳なのに凄い丈の履き物ですよね。良いぞもっとやれ
●オマケ●唐突な次回予告(偽)
新番組!
「ビートギアス 〜音楽のルルーシュ〜」
目の見えないナナリーを楽しませるため、ルルーシュは音楽に注力した。元々皇族として嗜んでいたピアノ、バイオリンは勿論、意外にもナナリーはクラシックよりロックがお好みだったこともあり徐々にルルーシュはドラム、エレキギター、キーボードなどを極めていく。
ある日、謎のアーティストC.C.と出会った少年ルルーシュは謎の仮面ボーカル兼キーボードのゼロとしてカレン、C.C.と共にバンド「黒の騎士団」を結成する。
枢木スザクに楽曲の盗作の疑いを掛けていたバンド「純血派」のジェレミア達を音楽性の違いからバンドを解散させ、枢木スザクを救い出す。バンドに勧誘したルルーシュだったが断られ…………