また、双貌のオズは未読です()
「あった!紅蓮の右腕!」
黒の騎士団が壊滅に至ったあの戦いでは多くのナイトメアの残骸が生まれた。そんなスクラップの山の中からスザクに吹き飛ばされた紅蓮の右腕を掘り当てた。しかしながら損傷が酷い。
『紅月さん、そろそろ巡回が…』
「分かってる。」
輻射波動装置をリアカーに乗せてスクラップの山から離れ、トラックに積み込む。自分も荷台に乗り込み窓ガラスを叩く。
「出して!」
走り出したトラックは無事に私たちの潜伏先へとたどり着いた。
「卜部さん!ありました、紅蓮の右腕!」
「やったな紅月」
「はい!」
しかし、メカニック担当が渋い声出す。
「装置の損傷が酷いですね、簡易的に直しても前のようにはとても…」
聞けばやはりスザクの銃をモロに受けたのが良くなかったらしい。装置が損傷し、出力や燃費、規模などが下がってしまっている。しかし輻射波動には変わりがない。普通のナイトメアなら一撃で倒せる。
「帰ったのかカレン。ほら、例の衣装用意できたぞ。」
C.C.から渡されたのは赤というかピンクっぽいバニースーツとウサミミ。…本当にこれ付けるの…?
「なんだその顔は。仕方ないだろ?私はあまり顔を出すわけにはいかない。他に女団員が居ないんだ。お前がやるしかないだろう?」
ゼロを…ルルーシュを奪還するための飛燕四号作戦、その作戦の中で私はバニーとして潜入する必要がある。C.C.の言い分はわかるし、理解もできるけれど、だからといって理解できるとは言っていない。
「済まないな紅月、この作戦は君にかかっている。頼まれて欲しい。」
「あ、はい。頑張ります、卜部さん」
それにしても作戦の中で飛行船を使うのだが、そんなものどうやってC.C.は用意したのだろう。アオモリから逃げた時も…
逃亡生活の途中、エナジーフィラー保管所を抑えていた卜部さん達は藤堂さんたちの本隊の崩壊、ゼロとの連絡がつかないと言う事態に撤退を決め、スザクに負けて補給の為に下がっていた私はその道中に拾われた。その後も追手に対して何人かの団員が殿になると残り、散って行った。陸路をことごとく抑えられ、なんとかカワヅ港まで逃げた私たちは船を奪って北上を考えた。その時、ボロボロの服装に身を包んだC.C.と合流したのだ。
その後、とある倉庫会社の社長に私たちは見つかったのだが
「お前は…『緑の魔女』が命じる。我々に協力して欲しい。」
「…わかった。何をすれば良い?」
C.C.が交渉した途端、男は快くわたしたちを受け入れ、ナイトメアを隠すことに協力してくれた。しかも、わざわざ大きめの船にガラクタを乗せて出発させ、ブリタニアに捕まったら自爆するという追手に対する偽装までしてくれたのだ。
それから時が流れるごとにC.C.はどこからか機材や計器類を調達し、生き残りの団員に何かのプログラムをさせていた。
ある日気がついたことがある。C.C.はいつも大事そうに起動キーのようなものを握り締めているのだ。もちろん使う時は手放しているけれど、そうでない時はいつもC.C.は大事そうに肌身離さず持っている。ガウェインの起動キーかとも思ったが、形状が違う気がする。
「ねぇ、C.C.アンタがいつも大事そうに持ってるそれ、なんなの?」
「これか?これはまぁ、ゼロが私に託してくれたものだ。色々と大切なデータが入っている。」
ゼロ…ルルーシュが?ならば確かに黒の騎士団の再興には必要なものかもしれない。アイツはあの筋肉量とは裏腹に驚くほど頭がいい。ルルーシュにとっての「脳筋」とは脳=筋肉、全身筋肉=全身脳味噌くらいの物であり、度々の奇跡を起こしてきた。
ある日のこと、突然C.C.からの提案を受けた。
「卜部、一度アオモリに行くぞ」
「アオモリ?潜伏場所ならここで十分ではないか?移動はリスクがあると思うが」
偽装工作もあり、最近はかなり警戒が薄れている。とは言え未だに大通りは検問があるし、たまに裏道なんかで突発的な取り調べもある。
「ゼロが各地に資源を備蓄してくれていてな?アオモリにはエナジーフィラーが保管してあるんだ。いずれゼロを助け出す時にはナイトメアが必要になるだろう?我々はその為に整備している…しかし肝心のエナジーフィラーは保管所から盗んだ分を逃走中にほとんど使ってしまっている。これでは戦いにならん。」
最近はテロ活動を警戒してエナジーフィラーの管理が厳しく、なかなか強奪もままならない。そのエナジーフィラーが手に入るというならやる価値はあるのかもしれない。
そしてアオモリで大事件が起きた。C.C.こと『緑の魔女』が交渉した結果、ブリタニアのホテルを借りることができた、冬であること、日本人でありながら長い逃亡生活で湯にしっかりと浸かることができなかった反動なのか、久しぶりの入浴中、突然ホテルの支配人が戸を開けてきた。
「皆さま!お逃げください!軍…」
銃声と共にホテルの支配人が倒れ、私たちは真冬のアオモリをほぼ全裸で逃げる羽目になった。逃走中、干してあったバスタオルを盗んでなんとか色々隠したが、C.C.は全裸でしかも全く気にしていない様子だった。流石にC.C.にもバスタオルを渡して隠させる。身体に大きな傷があったけれど、昔何かあったのだろうか。
「無事だったか紅月!」
この声は卜部さん、良かった。彼方もうまく逃げられたらしい。振り返ると全裸の卜部さんが両腕を振りながら走ってきてきた。
「卜部さん!?せめて前だけでも隠してください!!」
「すまん。逃げるのに必死でな」
他の団員も全裸であり、もう色々とやばい変態集団のようになっている。
結局クリーニング屋で空き巣をし、各々服を盗んで着るまで私達は走り続けていた。そりゃそうだ。真冬に濡れた状態でアオモリで立ち止まったら?もれなく凍えて死ぬ。
その後、紆余曲折はありつつなんとか物資の補給に成功し、帰り道は山などを経由してなんとか無事に辿り着くことができた。真冬のアオモリには二度といかないと固く誓ったのは言うまでもない。
私はかつてルルーシュが乗っていた月下の左手のような形状になった右腕を取り付けた紅蓮を見つめ、胸元に起動キーのを押し込み、バニースーツに身を包む。と言っても殆どこぼれちゃってるけども…キッツいわねこれ…。飛行船に乗り込む卜部さん達を見送り、私はバベルタワーへと向かう。飛燕四号作戦…ルルーシュを、ゼロを、日本を取り戻す。
「ここからが私達の…反撃だ!」
逃走生活しているカレン達のエピソードです。
脳筋要素無くね?