「こちらFUKKIN6、間もなくトウキョウ租界管轄空域に入ります」
『了解。飛行目的は筋肉の広報宣伝で間違いないか』
「変更なし。滞空時間も申告どおり14時間を予定」
『確認した。上空飛行を許可する』
「対応感謝します」
そう告げた女はニヤリと笑う。その背後には複数のナイトメアと人影が揺らいでいた。
それでは本編スタート…の前に一言。
「日本人よ!続編を待ち望む全ての読者よ、私は帰ってきた!再び読んでくれて私は嬉しい…」
それでは改めて本編再スタートです!
TURN01 筋肉が目覚める日(魔神が目覚める日)
今日もようやく授業が終わった。俺もなんだかんだあったが高校三年生…とは言え、自慢じゃないが知識だけで言えばとっくに大学が出られるくらいには賢いつもりだ。筋肉?そっちは皇帝にも負けないつもりさ。さて、今日は確かバベルタワーでデスマッチの…
「ルルーシュ」
俺に声をかけてきたのは…やっぱりヴィレッタ先生か。
「またですか、粘り強く根気のある人は男女問わず嫌いじゃ無いですが…しつこいですよ」
「もう逃がさないぞ」
俺は先生を無視して走り出す。俺の方が足が速いのだ、声をかける前に確保しなかった先生の負けである。
「先生、体力勝負を持ちかけた時点で先生の負けですよ」
「舐めるなよ!」
チラリと先生を見ると……おいおい、テーザーガン!?正気かあの先生!俺はテーザーガンを打ち込まれ…ることはなく、筋肉により跳ね除ける。
「大袈裟すぎませんか!?ただの学生に」
「だったらまじめに授業を受けろ!それと、お前のように筋肉でテーザーガンを跳ね除ける奴はただの学生じゃ無いんだよ!」
単位に問題はないはずだが…全く困ったな。俺は服を脱ぎ、高速で全身を摩ることで摩擦熱と汗を生じさせ、蒸気を発生させた。
「うっ!?」
「ただの蒸気ですから」
走って階段を降りる最中、ミレイ会長が差し入れをくれた。ササミスティックだ。ありがたい。
外を走っていると、上から声が聞こえてくる。
「ルルーシュ!」
大変だ会長!空からヴィレッタ先生が!壁を用いて三角跳びして空中でヴィレッタ先生を受け止め、そのまま茂みに放り投げる。
「殺す気かルルーシュ!」
「だから茂みに投げたでしょう?それに3階から飛び降りたヴィレッタ先生の方が余程命を粗末にしてますよ!」
俺はリヴァルのバイクのサイドカーに乗り、運転手に出発の合図を出す。
「じゃあリヴァル、これ借りるな!」
盗んでないバイクは走り出した。
自分で走るのもいいが、たまにはバイクで風を感じるのも悪くない。
「まったく、放課後ぐらい自由に過ごさせてほしいよな。」
「でもブラザーが授業サボってばかりだからでショウ?」
「かったるいじゃないか、あんなの。ほら会長からの差し入れのササミスティックだ。」
俺はササミスティックを差し出す。ささみはいいぞ、低カロリーで高タンパクだ。しかし、食べるために前方確認が疎かになり、バイクが揺れる。
「おいおい!」
「だってブラザー!」
よく考えたら俺がもう少し上手くやればこうもなってなかったか、なんでも弟のせいにするのは良くないよな。
ゼロが起こした反乱事件…ブラックリベリオンからもうすぐ1年。このエリア11もすっかり落ち着いた。事件当初はいろんな噂が飛び交って俺達兄弟もブリタニア本土に二人で泳いで帰ろうかと思ったけど…
「ブラザー、進路調査票は出したんデス?」
「え?」
「ヴィレッタティーチャーが怒ってたからサ。大学に進学するんでショウ?」
進路か、まだ決めてないんだよな。学生って身分にも飽きたことだし…かと言って人に使われるのも気が乗らないな。いっそ社長にでもなるか?
ふと目に入ったモニターには磔にされたイレブンがユフィ執行官に殴られている様が放送されている。
『撲殺です!日本人は撲殺です!』
『こ、これはイレヴンに対する差別ではない!く、区別だ!』
カラレス総督が叫んでいる。区別…ね。というか流石の総督も執行官による撲殺処刑にはドン引いてるな。俺も特段イレブンに思うところはないが、殴り殺されるなんてあんまりだとは思う。しかし執行官いい体してるな、一度手合わせしてみたい。
『イレブンはゼロという詐欺師に踊らされ、日本人という名に戻ろうとした!好戦的で体を鍛えたがる危険な人種である!故に我等ブリタニアによって管理・教育され、適度に高カロリーの食事を摂取しなければならない!』
イレブンは負けた。筋肉か足りなかったから。おとなしくボディービルに興じていれば矯正教育エリアに格下げされることもなかったろうに。ゼロ、馬鹿な男だ…あれっぽっちの筋肉だけじゃ世界を変えるなんて…
バベルタワーに着いた俺はバイクを降りた。弟とはここで別れるつもりだったが、弟は首を横に振った。どうしても着いてくるつもりらしい。エレベーターでは遅すぎる。俺と弟は階段を駆け上がりながら会話を続けた。
「ついてくるのはまぁいいけどさ。本当は送ってくれるだけでよかったし、そもそも送ってもらわなくても良かったんだよ。今日のは非合法だしさ…」
「補導じゃ済まないヨ?」
「警察が俺を止められるはずないだろ?」
今日はイレブンの兄弟二人を相手にデスマッチを予定している。
「でもどうして?ブラザーは金が欲しいわけじゃないんでショウ?」
「決まってる。もっと強いやつと戦いたいからさ」
弟にはそう言ったが、そんなのは嘘っぱち。こんなのは所詮ただの退屈凌ぎだ。
デスマッチは俺の完勝だった。二人の連携の拳も俺の筋肉の前では無意味。俺は兄弟仲良くラリアットをブチかまし気絶させる。そしてこれはデスマッチ。動かなくなるまで拳を振り下ろすのだ。何度も…何度も。途中で兄の方が気が付いて俺に組み付き妨害を図ったが、それで止まる俺ではない。肘打ちで顔面の骨を砕き黙らせる。そして再び振るうのだ。
デスマッチを終えた俺はカジノの中を歩いていた。
「ブラザー、デスマッチは終わったんだし帰りまショウ?」
「いいじゃないか、もう少し…」
そんな風にカジノ内をふらふらしていると、やたら引き締ったボディの赤髪バナーさんにぶつかってしまう。まぁ、ぶつかった衝撃で吹っ飛ぶのはバニーさんだけなのだが。
「あっ!すみません…」
「ははは、いいんですよ。こんなデカい体してる俺の方が悪いんです。お怪我はありませんか?たまに俺にぶつかっただけで骨折れる人とかいるんですよ。」
まぁ、見た感じそんなにやわじゃ無さそうだし問題はないか。手をとって起き上がらせつつ、少しだけ人間観察をする。やはり体が引き締まっている。それにただの筋肉じゃない…実践を経験している筋肉だ。
「いえ、吹き飛ばされた私が悪いんです。私は貧相な女、貴方はマッスルガイですから。私たちのように筋肉のない人間は我慢しなくちゃいけないんです…」
するとバニーさんは急に頭を鷲掴みにされ、持ち上げられる。ゴリラのような男がゲスな顔を浮かべてバニーさんを舐め回すように見ている。
「ふむ、良い商品だ…」
なるほど、兎狩りか。視線を奥に移すと同じように捕まっている女性が沢山いるのが見える。
「私は売り物じゃない…!」
「売り物だよ。勝ち取らないものに権利などない!」
なるほど、一理あるな。なら勝ち取らせてもらおう。
「フンッ!」
俺は一歩踏み込み、引き絞った右手を思い切り振り切る。俺の拳は男のこめかみを打ち抜く。
「ふべらっ!」
頭蓋骨は砕けたかな?
「勝ち取るとはこういうことを言うのだ。」
「こいつ、まさか地下のキング!?」
取り巻きの男が銃を取り出し、すぐさま発砲するが、弾丸など無粋。俺はそれを指で弾丸を掴み、そのままデコピンで撃ち返す。
「ピデブ」
捕まっているバニー達の指の拘束具は彼女たちの指を傷つけないように砕き解放しつつ、オーナーを探す。この騒ぎでやってくるだろう。
「済まないオーナー、弁償はファイトマネーから当ててくれ。あとこれは迷惑料だ。」
懐から金を出して渡しつつ俺はオーナーを見る。
「これは困りましたね地下のキング様、これと今回のファイトマネー分だけでは足りませんなぁ、何ぶん…殺人ですので…」
手を揉みながらこの男は俺の足元を見てきた。いい度胸をしている…が、商魂に限らず逞しい奴は嫌いではない。
「分かった。次はライオンでもなんでも連れて来い」
これで一件落着…かと思えば当然爆音と振動が轟く。テロでも起きたのか…?
「こっち!」
赤髪バニーさんが急に俺の手を取り、引っ張る
…が、普通に俺はその場から一ミリも動くことはなかった。
「くそっ!この筋肉ダルマ…!びくともしない!」
「ふむ、そっちに行けば良いんだな?」
「えっ?ちょっと…きゃあ!?」
バニーさんに連れていかれるより、俺が走った方が早い。バニーさんを抱えて駆け出す。
「ちょっと待ってくれよブラザー!」
テロが起きてるんだったらこのバニーさんは守ってやらないとな。彼女はこんなに頑張って筋肉をつけてるんだ。もっと育てればもっと美しいボディになるに違いな…
「ハァイ!ブラザー!」
…あれ?おかしいな、いつのまにかバニーさんが弟にすり替わっている。体が本能的に、よりウェイトトレーニングになる方を持ち上げてしまったのか?
「出口はあっちだぜブラザー?」
「あ、あぁ、そうだな。」
走り出してすぐ俺たちの足元は崩れてしまった。
「なんちゅう脆い床だ!」
俺はすぐに上のフロアに向けて弟を放り投げる。
「ブラザー!」
当然俺は下に落下していく。このまま何もせず地面に叩きつけられれば流石の俺も気絶するだろう、だが問題はない。
まず、右の足元の空気を思い切り踏み込む。空気との摩擦で少しだけ体が上昇する。次に、左の足元の空気を同様に思い切り踏み込む。するとやはり空気との摩擦で少しだけ体が上昇する。あとはこれを繰り返す。流石に弟を投げつけたことによる反作用で下方向に加速しているため、体を浮かす事はできないが、落下を軽減する事は可能だ。ふわりと着地し、周りを見渡す。
「探したぞ、この肉ダルマめ」
声のした方を見ると、緑髪の女が立っていた。ふむ、あまり鍛えていないようだな?だが、身のこなしからしてなかなか動けるとみた。
「私はお前を迎えに来たんだよ、ルルーシュ。私は味方で敵はブリタニアだ。」
「いや、俺の味方はタンパク質で敵はカロリーだ。」
「…。契約しただろう?私たちは共犯者」
何を言ってるんだこの女は?そう思っていると、突然女性は撃たれてしまった。
「大丈夫か君!?」
抱きとめるが銃痕は胸にあった。こうなれば俺の筋肉を使った圧迫止血をするしかない。止血ついでに周りを見ると、ブリタニア軍がいた。この女の乗っていたナイトメアはブリタニア軍のものではない、つまりテロリストか。まさか一緒にいたら俺も巻き込んで撃たれたりするのか?まぁ、撃たれても平気だが。
「お役目ご苦労、ルルーシュ ランペルージくん。」
「役目?なんの話だ!?」
「4時00分起床。4時10分より弟とランニング10km及び各種筋肉トレーニング、7時12分より鏡で筋肉のキレを見ながら高タンパク低カロリーな朝食。鍛えた筋肉の部位に偏りはなし。8時45分登校。ホームルームと1時間目の授業は着席せず空気椅子しつつ握力トレーニング。…な、なんだこれ…」
今日の…俺だ…こいつ、俺のストーカーらしい。
「観察日記というところかな?ゴリラの」
「ゴリラさんは植物を食べても筋肉に変換できるすごい種族だぞ!!馬鹿にするな!!!謝れ!!!!!」
「わ、私は男爵だからね、ゴリラのために謝ったりはしない。」
ゴリラさんの凄さがわからんとは愚かな奴らめ…!
「そして君は罠と言ってもいい、その魔女、C.C.の」
何を言ってるんだ?さっきからこいつは…まぁ良い…
ゴリラさんの名誉の為にもとりあえず殴るか!
彼女をゆっくりと床に置き、そのままクラウチングスタート。俺の膝蹴りは流星の如く。ストーカー代表の顔面をブチ砕いた。
「しまった、殴るつもりが蹴ってしまった。まぁいいか。」
「貴様!」
こちらに向けられたのは…まずいな、機関銃だ。サブマシンガンやピストルならまだしもライフル弾はまずい。俺は天井、鞄、床にを思い切り蹴り、高速で跳ねる様に移動する。これならば銃は当たらない!
「こいつ本当に学生か!?」「そもそも人間の動きじゃねえ!!」「とにかく撃て!撃てば当たる!!」
俺を撃つと言った男の懐に俺は入り込んだ。
「撃って見ろ。但し、撃って良いのは、俺にぶたれる覚悟のある奴だけだッ!!」
渾身のアッパーで下顎の骨を砕く。
「まだ撃ってねえのにぶってるじゃねえか!」
確かに、一理あるな…だが
「撃つまでぶたないとは言っていない!!」
「無茶苦茶だ!!うわぁ!!!」
そのままその場を制圧した俺は倒れた女性の元に駆ける。止血が効果あると良いのだが。そう思っていると女は何事もなかったかのように立ち上がる。止血の効果って凄いな。
「…相変わらずというか、ますます人間離れしたな?お前…。力を…あー…面倒だな、おい、ちょっとこっち来い。」
突然女は俺に接吻をしてきた。なんてことだ!弟のために取っておいた俺の初めてが!!!
…うん?違う、俺は過去にも同じことをしている。というか…俺はここで何をしている?そうか…俺の日常に棘のように突き刺さっていた苛立ち…ああ。全ては偽りの記憶。そもそもなんで弟にファーストキッスを取っておかなくちゃならんのだ。
「思い出した…俺は…!」
ダブルバイセップスを決め、俺は高らかに叫んだ。
「俺が、ゼロだ!!」
あの日から俺の心には納得がなかった。かみ合わない偽物の日常。ずれた時間。別の記憶を植え付けられた家畜の人生。キレのない筋肉。決まらないポージング。
『ゼロ!お待ちしておりました!どうか我らにご命令を!』
天井を突き破り現れたのは紅蓮と月下、声の感じは卜部か?そういえばさっきバニー姿のカレンを見た気がする。
「いいだろう!何故ならば!私の体脂肪はほぼゼロ!そして黒の騎士団のリーダーのゼロでもあるのだから!筋トレで筋肉を壊し休む事で筋肉を作る。それと同じ様に!世界を壊し世界を創造する!!」
「最終話」とは言ったが二期をやらないとは言っていない。
(「いつから2期があると錯覚していた?」とは言いましたが、「やらない」とも言っていません)
2022/8/1/19:00時点で十三話までは書き溜めれています。恐らくR2も毎日更新できる…はず…
R2からはより一層キャラ崩壊しているキャラが出てくるかもしれません。(何?もう出てる?何のことやら)
25話の後書きが縦読みでしたが気づきましたか?
-
当然(cvラクシャータ)
-
何の事かわからないな(cvコーネリア)