「凄い騒ぎね、ルルーシュ」
「当然だろ?自分達の領土の中にいきなり国ができたんだ。さらにその国が宣戦布告したとなってはな。」
ゼロの仮面の下から現れたのはC.C.の顔。
「いつの間に入れ替わってたの?」
「はじめからさ。声は録音、身長はシークレットブーツ、体の厚みは空気を入れて誤魔化した。」
「気に入らないわね、私たちにまで秘密だなんて」
C.C.を責めるカレンだが、当のC.C.はどこ吹く風といった表情で仮面遊びを始めた。
「私たち…?わ た し に だろ?」
まぁ、そう言うわけで本編スタートです。
「ルルーシュ、オーブン」
「はいはい。」
会長に言われた通り、オーブンを確認する。グラタンは…うむ、いい感じの焼き具合だ。
「塩」
「はいはい。」
岩塩をひとつまみ。それを指圧で砕き粉状にして振りかける。汗をかいた時には塩分補給も大事だからな。
「フライパン」
「はいはい。」
肉。肉はいいぞ。筋肉がつく。
「卵」
「はいは…あっ…」
しまった。卵を砕いてしまった。気を取り直して片手で割ってみせる。誤って砕いた卵は殻ごと口に放り込んだ。殻はいいぞ、カルシウムで骨が強くなる。
「ベシャメルソース」
「はいはい。」
適度に掻き回しつつ、色味を確認する。問題なさそうだ。
「ジェラートは別皿、あぁ、ローズマリーは出してソルベに。ザワークラウトはディルシードね」
「はいはい。」
ジェラートを別皿に取り分けつつ、ローズマリーをソルベにする。まぁまぁ良い手際だろう。
「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテは」
「はいはい。」
最早ミレイの言葉を待たずにクリームをぶち撒けるシャーリーにタオルを渡しつつ手を動かしていく。いくらリヴァルが味音痴でシャーリーが不器用だからって俺と会長だけでこの種類の料理を処理するのはなかなか骨が折れる。まぁ、俺の骨は簡単には折れないけどな。
「それにしてもこの手の筋肉キャラは生活力無いってのがお決まりなのにね〜」
「自分で料理作る方が栄養管理できて楽なんですよ。」
「家計簿まで付けてるもんな」
なんでこいつそんなことまで知ってるんだ…?言ったことあったか?まぁ、知られたからどうこうと言う話でも無いし無視でいいだろう。
「そういえば、今日は俺とロロの生還記念パーティでしたよね?」
「うむ、あのテロからよくぞ無事に生還した!」
「でも会長、言うほど私たち心配してましたっけ?あの二人の筋肉なら大丈夫でしょって笑ってませんでした?」
まぁ、確かに筋肉があれば多少のテロに巻き込まれたところで平気だが、普通に爆発には耐えられないぞ…?
「そういえばロロは?」
「ほら、兄と違ってチートデイじゃないから。走り込みに行っちゃったんだよね。あんなんだから友達いないんじゃ無いの?」
「努力家って言ってあげなよ…」
みんなナナリーのことを忘れている。いや、妹のナナリーが偽りの弟にすり替わっている…!シャルルめ、俺の記憶だけでなくみんなの記憶まで…!こんなことを許してはいけない…!だが、この処置はナナリーが学園に来ないことを前提にしている。つまりナナリーはシャルルが握っている可能性が高い。慎重に動かなければナナリーが危ない…!
『はい、お兄様…ここで待っていますから、必ず迎えにきてくださいね…』
ナナリー…待っていてくれ、必ず、必ず迎えに行くから…!
それとなく学園やクラブハウスをランニング代わりにダッシュした感じ\コラァ!廊下を走るなぁ!/監視カメラが複数と監視役の生徒、教師が混ざっているようだ。と言うか生徒会メンバー以外全員知らない顔…恐らく俺のギアスを警戒して生徒は一新したか。生徒会メンバーは流石に記憶の改竄が複雑になりすぎるのだろう、ブラックリベリオンの時、俺がナナリーを連れ去る際のシャーリーの反応、記憶に関わるものは大きく違和感を感じればギアスを打ち破りうると言うことだ。だが、同時に生徒会のみんなは人質でもある。いざとなれば切り捨てる覚悟はあるが、できればそんなことにはしたくない。
そして監視データの送信先が敵の中枢…まさか学園内に支部を置いているとは驚きだが…と分かったまでは良かったものの、現状打つ手がない。
「おーいルルーシュ、明日の授業もちゃんと真面目に受けろよ。空気椅子と机下での筋トレは認めてやるから」
ヴィレッタ ヌゥ…奴にはギアスを使用済み。つまり単純な暴力などの他の手で脅すしか無い。それに俺の監視役の弟…こいつは拳で黙らせようにも俺に匹敵する筋肉を持つ。ならばギアスで…いや、この監視の中ギアスを使えばすぐにわかる。しかし現状ヴィレッタよりロロの方が突破できる見込みがあるだろう。
突破口を探す為、俺はパソコンをいじっていた。画像データ、ナナリーの写真でもあればと思ったが、流石にそんなヘマはしないか。上手くナナリーが写っていないものか、画像を加工して切り取られている。筋肉コンテスト…俺とロロが表彰台を独占している…それにこの写真は失恋コンテストか。
「ブラザー。何見てるんデス?」
「ロロか、ちょっと画像データの整理をね。今年も会長のどんな思いつきに振り回されるんだか…見ろよ、失恋コンテストの画像。皮肉だよなぁ、優秀したリヴァルにトロフィー渡すのが会長だなんてさ。HAHAHAHAHA」
俺は笑うが、ロロは笑っている様子はない。まさか気づかれたか?
「よく逃げ出せタネ。バベルタワーは軍に完全に包囲されていたのに、ブラザーはどうやって包囲網を突破したんダイ?」
「うん?おかしなことを言うなロロは。それを言うならどうやってテロリストから逃げたか、だろ?立ち塞がるテロリストどもを全員拳で黙らせただけだよ。ピストルの弾なんて俺には効かないし…お前にも連絡しようとしたんだけど、ジャミングが酷くてな」
こいつのこの発言、どうやら俺の正体を怪しんではいるものの確信はないと言う感じか。それにしてもこいつの携帯のロケット…あれは、10月25日はナナリーの誕生日、ナナリーにあげるはずのロケットだったんだ。可愛らしいハートで、中を開くことができる。開いたところには俺とナナリーの写真を入れ、ナナリーの目が治ったら二人で見ようと約束するはずだった!
「そういえばロロ、そのロケット…よく考えたら男にハートのロケットはないよな。何か別の」
「ノウッ!!!」
な、なんだ!?
「これは!これはダメデス!!これは僕のデス!!!僕が、僕が貰ったんデス!!!!」
ロロは必死な形相で俺の首に手を掛け、ギリギリと締め上げてくる。
「分かった。分かったからロロ、分かったから首を絞めるのはやめような。お前が俺以外の首を絞めたら簡単に折れるからな?」
「ソ、ソーリーブラザー…」
こいつの今の態度の豹変…何かあるな?探る価値はある。
筋トレしつつニュースを見ていると、ギルフォードによる黒の騎士団処刑が宣言された。手を打って来たか。だが、現状連絡を取る手段もギアスを仕込む余裕も無い。外に出ようとすればロロがついてくるだろう。それに俺が自然と行動する範囲は事前に監視カメラなどが仕掛けられているはず。不自然な行動を取ればバレてしまう。なんとかしなければ…!
「ルル、今日も筋トレ?ルルは鍛えたら鍛えた分だけ筋肉について羨ましいなー。私なんてちょっと腹筋が付いたくらい。」
「前よりも引き締まってるなとは思ってたよ。それに腹筋の綺麗な女性は魅力的だと思うよ、シャーリー。それよりどうしたんだい?悩み事?筋トレの仕方なら力になるよ」
「それがね、もうすぐヴィレッタ先生の誕生日なんだけど、プレゼントを考えなくちゃいけなくて…」
ほう?これはありがたい、自然な外出の口実ができたな…!
「手伝おうか?プレゼント選び。ヴィレッタ先生はお酒が好きみたいだし、俺は料理に使うこともあって知識ならあるから力になれると思うけど」
「いいの!?」
「もちろん」
俺は顔を微笑みに、内心をほくそ笑みシャーリーに笑いかける。
酒の知識が無いであろうロロがついてくるのは不自然、ならばやりようはいくらでもある!俺は制服から私服に着替え、部屋を出る。
「ブラザー。出かけるのカイ?」
「あぁ、ヴィレッタ先生の誕生日プレゼント選びなんだ。」
「そう、大事だよね、誕生日プレゼントは…いってらっしゃいブラザー。」
「なぁシャーリー。せっかくショッピングモールに来たんだし、プレゼント選び終わったら色々見ないかい?服とかさ」
「え!?う、うん!私は全然時間あるからいいよ!」
よし、シャーリーの協力も得られた。これで前提条件は全てクリアされた。それにC.C.から貰ったカラコンもある。
ワイン屋に入り、ヴィレッタ先生へのプレゼントを選ぶ。ここを適当にしてしまうと怪しまれる可能性があるからな、真剣に選ぶべきだろう。
「キフワインはヴィレッタ先生みたいな大人の女性には甘すぎるかな…ここはシャプラン辺りで…」
ワインボトルの反射で店の外を確認すると、どうやら会長達が付けて来ているらしい。とは言えワイン屋で仕込みはし難い。今後の通信のためにも携帯が欲しいところだ。
「プレゼントのワインは買えたし、携帯買いに行ってもいいかな」
「携帯?何に使うの?」
「ほら、俺ってちょっとした拍子で壊しちゃうだろ?だから念の為の予備をさ」
これならば言い訳としておかしくは無い。
「あー、ルルったら力加減下手だもんね。」
「そうかい?
携帯ならばモニターの反射でより鮮明に反射による周囲の確認ができる…おや、会長はロロまで連れて来てくれたのか、これは都合がいい。
「じゃあシャーリー、ちょっと契約してくるから時間潰しててくれ」
「うん、わかった!」
書類を書き進める途中で俺は瞼の筋肉をうまく使い、コンタクトをずらす。
「ここってどう書けば…?」
「はい?えっとここはですね…」
よし、こちらを見たな?
「"ちょっとしたお願いを聞いて下さい"」
「…はい、いいですよ。」
そして俺はケータイ屋にギアスをかけた。16:00になったら非常ベルを鳴らせと。これで仕込みは済んだ。あとは俺の監視役を釣り出すだけだ。シャーリーに声を掛けるが、ヘッドフォンをしているせいで聞こえてないらしい。肩を叩くと
「ひゃあ!?」
と驚きながらこちらを振り返った。あれ、大丈夫だよな?肩砕けてないよな?
「ごめん、強く叩きすぎた?」
「え?ううん!平気平気!」
それならよかったが…それよりそろそろ仕込みに入るか。
「シャーリー、気づいてるか?会長達が付けて来てる。驚かせたいから協力してくれないか?」
「なにそれ!面白そう!」
俺とシャーリーは小さな洋服店に入る。普段使わない店だ。監視カメラがある可能性は低い。仮にあっても流石に試着室に仕掛けるとは考え難い。持ち込んでおいた別の服に着替え、先ほど契約した携帯に逆探知防止と変声機能を備えた装置を取り付け、ショッピングモールの管理室に電話をする。
「私は黒の騎士団の団員だ。捕まっている黒の騎士団員を解放しろ。この要求が飲まれない場合、このショッピングモールを爆破する」
『そんな我々に言われても!』
電話を切り、匍匐前進で試着室を出る。これならシャーリーは他愛ない悪戯だと想うはずだ。彼女には迷惑はかからない。
『函館租界からお越しのマキシマッスル様、マキシマッスル様…』
店員にギアスをかけることも考えたが、放送がかかってから何やら不安げに話し合っていてこちらに気がついた様子がない。なるほど、今のはテロ警戒の放送か。
店を出た俺の後を付けている男が居る…これは釣れたな。16:00.にベルが鳴り、ショッピングモールは混乱に陥る。俺の後を付けていた男には偽の情報を報告するようにギアスをかけた。あとはこの隙に学園の本部に仕込みをしに行くか。カメラの正確な位置と角度が分かれば取れる対応策もあるし、敵の本部ならギアスが使える。
学園に戻り、地下司令部へ、残っていた人員にはギアスをかけ、カメラを確認していると、どうやらロロがこちらに向かっているようだ。入口の死角に隠れ、息を潜める。
「ブラザーはどこニ…」
部屋に入って来たロロに背後からヘッドロックを仕掛ける。
「なっ!?いつの間ニ…!」
不意のヘッドロック、完全に決まったそれは仮にロロに抵抗されどもびくともしない。どんなギアスか知らないが、この拘束から逃げられるのなら逃げてみるが良い。
「これで、チェックだ。」
Q.明らかに筋肉量の異なるC.C.にゼロの影武者ができるの?
A.ゼロのスーツに空気を入れて誤魔化した。
ゼロのスーツ元々ルルーシュの筋肉量に合わせたサイズの特注品で常に筋肉でパツンパツンなので空気によるパツンパツン状態でもバレない。特に映像の画質が悪いのでバレない!バレないったらバレない!作者の俺がバレないって言ったらバレねぇんだよ!オラ!わかりましたって言え!納得したってい言え!!(殴打)
筋肉を持ってすればいちいちコンタクトを指で外すなどという動作は不要!!!(ルルーシュの筋肉は特別な訓練を受けています、真似しないでください。)
ちなみにクソどうでもいい話ですが、筆者のLOST STORYSでの名前は「マクシミリアン」です。自己紹介にて「函館租界から引っ越してきました」としています
--以下追加箇所--
私の表現の限界なのですが
『はい、お兄様…ここで待っていますから、必ず迎えにきてくださいね…』
というナナリーの台詞は25話のセリフの回想となっています。ナナリーからの念話ではありません。
まぁ、念話でも別に話に影響はないので良いのですけれども…
--以上追加箇所--
●オマケ●
「ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜 MACHO STORYS」テーマソング
身体KINNKOTU KINNKOTU
鍛えた肉体を
ジムで更に鍛えに行こう
この腹いつから割れていたの
絶えず鍛えてた 割れてるエイトパック
腹の動きに合わせて 何度も
あの日 肉体 鍛えた身体の動きが
風を起こし肉食ってきた
筋肉がもっと増えるように
身体KINNKOTU KINNKOTU 筋肉付け
腹筋の時 服破り裂けて
身体KINNKOTU KINNKOTU
鍛えた肉体を
ジム更に鍛えに行こう