ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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「東堂中佐!」
「卜部、無事だったか。」
「はい。助けるのが遅くなり、申し訳ありませんでした。」
「何を言う。お前と紅月がゼロを助けたからこそ我々も今ここにいるのだ。」
 中華連邦の総領事館、ゼロの作戦によって助けられた黒の騎士団の団員達は喜びを分かち合い、再会に打ち震えていた。中でもたまたまエナジーの保管庫という前線から外れた場所で闘っていた卜部はブリタニアの手を流れることに成功し、カレン、C.C.らと共に逃げ延びていた。長い逃亡生活では彼の日本国土への知識は大いに役立てられ、自由人なC.C.やまだまだ子供のカレンに変わり、残党のリーダーとしての側面を持っていた。因みに、ゼロの正体を知る人物だったりするのだが、それを吹聴するような男ではなかった。

それでは本編スタートです。


TURN05

 中華連邦の総領事館の一室で俺、C.C.、カレン、卜部、ロロは話をしていた。

「君がルルーシュ…ゼロを助けたパイロットか?」

「イエス。ロロ…と言いマス」

「彼はブリタニア人だが私の逃亡生活を手助けしてくれ、ブリタニアの苛烈な体制を憂いた我々の同志だ。今後も私はブリタニアの目を欺くために学生として生活するにあたり、彼の援助を受ける予定だ。」

「つまり仲間ってことね?よろしく、ロロくん」

「よろしくデス」

 この3人にはどうせ俺の正体がバレている。ロロはブリタニア人でしかも学生だ。いきなり全員に言うわけにもいかないが、コイツらには言っても問題はないだろう。

「ではゼロ、私は藤堂中佐と話してくる。他の四聖剣とも話があるしな。…安心してくれ、君が己の正体を隠している限り藤堂中佐にも秘密にしておくつもりだ。」

 そう言って卜部は部屋を出て行った。卜部は真面目な男だ。よほどのことがなければ秘密は墓まで持っていくだろう。

「…ねぇ、ロロくんの乗ってたあのナイトメア…バベルタワーの…?」

「…イエス」

「あれはコイツの立場上仕方のない戦闘だった。許してやってくれないか?」

「…立場?ただの学生じゃないって事?」

 俺は頷く。

「ふーん?大方皇子のアンタを暗殺しにきたその後を逆にたらしこんだって感じ?」

「たらし込むなんて言い方はよせ。利害の一致だ。」

 俺とロロは二人で肩を組み、腕をクロスさせる。

「そうデス。ボクとブラザーは産まれこそ違えど魂で繋がったソウルブラザーなんデス」

 カレンは呆れた顔をしている。…C.C.お前もか。

「暑苦しいのが増えたな、やれやれ」

「ま、良いわ。仲間になるって言うなら歓迎するし、じゃ、私も扇さん達と話してくるから」

 そう言うとカレンは去って行った。…ようやく本題に移れるな。

「さて、C.C.、このロロは相手の体感時間を止めるギアスを持っている。」

「…まさかギアスユーザーだとはな。」

「このギアスはV.V.から貰ったんデス。」

「V.V.の組織は中華連邦にある事はロロから聞けたんだが、詳細な場所までは分からなかった。心当たりとかないか?C.C.」

「済まない、私にもわからないな。」

 まぁ、それは仕方がない。学園からも調べられる事は調べつつアプローチはするとして…そろそろ私も団員達に顔を出さないとな。

 ロロを黎星刻の紹介したルートで先に帰らせ、俺は広場に向かった。

 

 広場に着くと、こちらに気付いた藤堂が話しかけてきた。

「いつの日か必ず助け出してくれると信じていたぞ、ゼロ」

「済まない藤堂、助けるのが遅くなった。」

「何を言う。元はと言えば大見栄を切ったのに結局押し負けてしまった私が悪いのだ。」

 しかし、それも元はと言えば俺が戦場を離れたからである。藤堂のせいでは無い。

「卜部の話だと合流できたのはごく最近だそうだな。何があった?」

「敵の新型に対する囮はC.C.に任せたのだがな、前線に戻る前に破壊したはずのランスロットを見つけたのだ。私はすぐさまラクシャータにナイトメアを手配してもらっだのだが、結局敵わず敗北し、私も逃亡…運悪く他のメンバーと合流もできなかったと言うわけだ。」

「そんなことが…やはりスザクくんを仲間にできなかったのは痛手か」

 しかしそんな過去のことを言っても仕方がない。俺は助け出した団員達に声を掛ける

「皆!今日までよく忍び耐えてくれた!再び私と共に日本解放に協力してほしい!」

「無論だ。」

「今度こそブリタニアを倒そう!ゼロ!」

「おいみんなぁ!俺たちのゼロを胴上げしようぜぇ!!」

 玉城はそんなことを言ったが、玉城以外誰も駆け寄ってこなかった。

「ゼロを胴上げは…なぁ?」「持ち上がるのか…?あれ…」「落ちてきた時腕もげそう」

 …ちょっと寂しかったので一人で玉城を胴上げした。

 

 俺は今後の作戦を考えるため、黒の騎士団の幹部を集めて作戦会議を行なっていた。

「俺まで参加していいのか?ゼロ」

「当然だ南。お前にはディートハルトのような現在いないメンバーの役割を一部担ってもらう場合があるからな。」

「あまり期待されると困るが…まぁ、最善は尽くすさ」

 俺は作戦書を取り出し、みんなに見せた。

「中華連邦に逃げる?正気かゼロ!?」

「あぁ、キョウトすら壊滅した今のエリア11内では派手に動くのは難しい、どこかで再起する為に力を蓄える場所が必要だ。」

「しかしそれでは逃げ出したように見えないか?民衆からの信用が…」

 確かに、それはネックだ。どうにかして民衆が納得する方法を取りたいが、上手い手が見つからない。

「ゼロにでも思いつかないことがあるんだな。」

「無論だ。そのために皆の知恵を借りようとこの場を設けている。民衆の納得する方法を皆も考えてみてほしい。何か私の考えのヒントになるワードなどが飛び出るかもしれないからな。」

 とは言え、いつまでも同じ議題に頭を悩ませるのも時間の無駄だ。次の議題に移ろう。

「そう言えば扇、お前ブラックリベリオンの時に腹を撃たれたそうだが傷は平気か?」

「あ?あぁ、もう平気だ。」

「ところで誰に撃たれた?黒の騎士団の中に裏切り者が?」

「いや、それは…」

 なんだ?扇の様子がおかしいな。

「直属の諜報員に裏切られたんです。褐色で銀髪の女に…。やっぱりブリタニア人は信用できないな、扇。」

「え?あ、あぁ…」

 ディートハルトのことも信用していないということか…。それにしても扇が俺に秘密で諜報員だと?副リーダーとして何かしようという気持ちは認めるが相談くらいして欲しいものだな。まぁ、正体を隠している俺が言っても説得力はないが。

「お前に直属の諜報員とはな…そんな話は聞いていないぞ?」

「す、すまないゼロ。」

 別に秘密を責めたわけでは無いが…うん?褐色で銀髪の女だと?

「南、扇、その諜報員とはこの女か?」

 俺はヴィレッタの写真を見せる。

「コイツです!」

「ほう?」

 これは使える情報だ。「ヴィレッタは本当は黒の騎士団の扇要の直属の諜報員」こんな噂が立てばブリタニアでは裏切り者と扱われるだろう。目障りなヴィレッタを陥落させる手が手に入るとは…!

「わかった。いい話を聞かせてもらったよ。」

 

 次の日、アッシュフォード学園では大変なことが起きた。

「本日より復学することになりました。枢木スザクです。」

 そう、スザクの復学だ。ゼロが復活したこのタイミング…確実に怪しまれているな。

「席はルルーシュの隣な」

 

 

 

 

 ここは一先ずスザクに不意打ちの拳を叩き込んでやる!

 

 

 

 

 

「!」

 パシッと手で止められ、反撃の蹴りが飛んできた。それを腕でいなし、俺とスザクは対峙する。

「ふっ、相変わらずの動きだなスザク」

「君こそ、殴りかかるなんてひどいじゃ無いかルルーシュ」

 ルルーシュというだけで近づいてきた…そして俺の消された記憶はナナリーのこと、母のこと、皇族であったこと、ゼロであったこと。つまり俺とスザクは昨年学園で拳を交えた友人ということになる。

「あ、ルルーシュ。休学中のノート映させてくれないか?」

「ノート写すより俺が補習してやるよ」

「ありがとう、助かるよ!」

 そんな会話をしつつ、俺は偽りの親友を演じた。しかし、ヴィレッタを脅しているところをスザクと鉢合わせるのはまずい、仕掛けるタイミングを図る必要が出てしまったな。それに…スザクの奴、顔こそ笑顔だが明らかに視線がコチラを探っている。スザクはそう言うことは素人だからな、ちょっと気をつければ見てわかる。逆に言えば気を付けなければそうとわからなかった。コイツ…鍛えてやがる。

 

 スザクが帰ってきたこともあり、生徒会のメンバーとロロで昼飯を食べる事になった。

「…それでね?私たち以外はみーんな帰っちゃったの。先生もよ?」

「なるほど、道理で見ない顔が…」

 スザクの登場でロロが余計なことをしなければ良いが…後で釘を刺しておくか。

 

 俺はロロの協力を得て学園内の監視員達にギアスをかけた。

「これで残るはヴィレッタだけか」

「イエス。しかし枢木スザク…彼の対処はどうするんデス?ボクが暗殺をしましょうカ?」

 俺は首を振る。ここでスザクを始末すれば疑いを強めるだけだ。それではナナリーが危ない。スザクを騙し続けるのが賢明だろう。

 

 会長の計らいでナイトオブセブン枢木スザク復学記念パーティが行われることになった。会長の祭り好きにも困ったもんだ。とは言え、パーティの主役であるスザクはそれなりに時間を取られるはず。ならば仕掛けるなら今日だろう。

『お待たせしました!これより、ナイトオブセブン歓迎会を始めまーす!開始の一言はもちろんこの方から!』

『本当に僕がやるんですか…?それじゃぁ…』

 スザクが息を吸い込んでいるのが聞こえる

 

『ヤーーーー!!!!』\It′s my life!/

 

 俺とロロは二人でジャガイモの皮剥きをしていた。

「ナナリーは目も見えず足も悪かったからな。こうやって二人で作業をするってのは新鮮だよ」

「ブラザー?」

「誰かと一緒にランニングとか、筋トレとか、ナナリーとはできなかったからな。これからも頼むぞ、ロロ」

 ロロは少しだけ口を閉じ、真剣な顔つきになった。

「ブラザー。実はボクのギアスには弱点があるんデス。」

「弱点?」

「イエス。ボクのギアスは使用中、ボクの心臓も止まってしまうんデス。」

 …うん?それだけか?

「…どこが弱点なんだ?」

「エ?」

 俺はロロの左胸に思い切り拳を叩き込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「心臓が止まるならこうやって外から衝撃を加えて無理矢理動かせばいいじゃ無いか。」

 

「なるほど、流石ブラザー!賢いデス!!」

「だろう?」

 じゃがいもの皮剥きはロロに任せ、俺はディートハルトと連絡を取るための手段を南に指示していた。

「キュウシュウのFサイドを通じて連絡を取れ。」

『分かった。』

 すると背後から声をかけられた。

「おい、ルルーシュ」

「うん?C.C.…?何をしにきた?」

「これを回収しにきた。」

 よほど大事なのか、C.C.はぎゅっとチーズ感を抱き締めている。こう見ていると結構可愛いな。あぁいや、もちろんチーズくんがだ。

 それにしても…言えば持って行ってやったのに。

「折角来たんだ。ピザも食っていけ。流石に顔は出せないから部屋で大人しくしてもらう必要はあるが…。ロロに案内させよう。いざという時ギアスで逃げられるからな」

 C.C.を部屋に連れて行ってもらい、再度ロロと合流。この時間ならスザクはピザ作りをしているはずだ。つまり、仕掛けるならば今。

 

 地下の司令室でヴィレッタはロロに軽めのヘッドロックをされ俺の前に立たされている。

「ロロ…貴様裏切ったのか!?」

「ヴィレッタ ヌゥ…ブリタニアの男爵、しかしその正体は黒の騎士団の諜報員。ゼロの様々な奇跡も、お前のような軍の裏切り者が居たなら理解が出来る。ギアスなどという信じられない物とブリタニア軍人の裏切り者、民衆はどちらを信用するかな?」

「私を…脅す気か!?」

 俺は首を振る。

「脅す?いやだなヴィレッタ先生…これはお願いですよ。…それともせっかく得た地位を捨て、囚人になりたいんですか?」

 これでもうヴィレッタは逃げられないし、協力せざるを得ない。トウキョウセクションは、アッシュフォード学園は我が手中に落ちた!…うん?電話?

 

 電話の相手としばらく話し、俺はヴィレッタとロロに着いてく?ように指示を出した。

「ヴィレッタ先生、ロロ…早速我々の合同作戦が始まりそうですよ」

「わ、私に一体何を指せる気だ…!」

「ブラザーのためなら一肌脱ぎマス!」

 ほう?ロロはやる気十分だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スクール水着の水泳部員が決めポーズをする。

「美少女から!」

 そして次に複数の水泳部員が破廉恥極まりない水着に身を包む(包んでいない)ヴィレッタを紹介する様にポーズを決める。

「アダルティなお姉さんまで!』

 …ヴィレッタ、表情筋がピク付いているぞ。接客業なんだから笑顔を作れ。

 

 

 

 そして俺とロロはブーメランタイプの海パンでサイドチェストを決め、爽やかにスマイルをキメる。

「「そしてハンサムなマッスルガイも(いるぞ)(いマス)!」」

 

「「「水泳部カフェへようこそ!」」」

 

 ふっ、俺の筋肉を見せつける良い機会だな。

「やっぱりルル達に頼んでよかったー!」

 電話でシャーリーから協力してくれと言われた時は驚いたが、どうやらうまくいった様だ。

「ダブルマッスルガイ、記録。」

「アーニャが言ってた通りこの学校って賑わってるな、水泳部カフェってのも斬新だし…てか凄い筋肉だ。腕にメギドハーケンでも付けてんのかい?」

「カフェの料理も美味しいモニ。これは世界一のピザも楽しみモニ」モニモニ

 な…!?あれはナイトオブラウンズ…!?なぜアッシュフォードにスザクを含めて四人も…!アーニャのブログで見た事がある。ありがたい事にラウンズ全員での記念撮影があったおかげで情報収集ができているが…

「…この胸板。たしか前にも」

「ブログ、よく拝見させて頂いております。アールストレイム卿。」

「…アーニャでいい。」

 そういうとアーニャはカタカタと携帯を弄っている。またブログでも書いてるのか?すると今度は金髪の男が肩を組んでくる。馴れ馴れしいな。

「君がスザクが言っていたランペルージ卿だね?それに弟の…。二人揃ってマッスルガイだなんて凄いなぁ!あ、我々はプライベートで来ているのですから敬称は不要ですよ、ランペルージ卿。」

 ナイトオブスリー…いいとこのボンボンって感じか。

「私はモニカモニ、よろしくモニ!ルルーシュくんの話はスザクくんから良く聞くモニ。とっても頭が良いって…それにしても、前に服の上から見た時も思ってたけど筋肉凄い…触ってもいいモニ?」モニ?

 この語尾の変な女はモニカ クルシェフスキー。ナイトオブトゥエルブ、しれっと昨年の文化祭にも来ていた女だ。アーニャのブログで正体を知った時は驚いた。それはそれとして俺の筋肉に興味があるなら触らせるのはやぶさかではない。

「えぇ、どうぞ」

「やった!あ、すご、逞しいモニ…」モミィ…

 オイコラ、乳首をさするな。コラ。

 

 

 

 C.C.達を黎星刻のルートで総領事館に送り返す。これで残った障害はスザクだけか。

「ラウンズのみんなにも会ったんだって?ルルーシュ」

 そう思っているとスザクは俺のいる屋上へと姿を現した。

「スザク?おいおい、主役が会場を離れるなよな」

「みんな楽しんでるようだから。それに僕はあんまりブリタニア式のダンスとか出来ないからね。」

 やはり仕掛けてきたか。だが、すでに障害は取り除いてある。焦る必要はない。

「僕はね、ナイトオブワンになるつもりだ。そしてこのエリア11…日本をもらう。そして僕が統治するんだ。だから、ゼロはもう必要ないんだよ」

「間接統治か、でもスザク…それってお前がナイトオブワンじゃなくなったらどうするんだ?怪我とか、老いとか、いつかは死ぬわけだしさ」

「そうだね、僕の統治はいわば時間稼ぎだよ。」

 時間稼ぎ?なんの話だ?

「時間さえあればこの人が変えてくれる。電話だ。君に」

「電話?誰からだい?」

「新しいエリア11の総督だよ。」

 新しい総督が俺に?一体…まさか!ナナリーを!?

「困ったな、そんな偉い人と話せだなんて…」

 俺が恐る恐る電話を取ると、俺の予想通りの声が聞こえてきた。

『お兄様!ナナリーです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 可愛い。




原作ではアーサーに羽ペンを取られる騒動がありますが、鍛えすぎたスザクは秒でアーサーに追いつくので大事になりません

ロロのギアスは効果として心臓が止まるのでそれを無理矢理心臓の筋肉を動かして弱点克服は出来ませんが、止まった心臓に外から力を無理矢理動かすことは可能です。可能なんだよ。脳筋世界では俺ができるって言ったらできるんだよ!!!オラ納得したって言え!!!納得したって言え!!!!(殴打)

●追記・修正のお知らせ
裏切り諜報員ヴィレッタに関する会話を一部修正しました

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