「何かの間違いです。」
「君には親衛隊の殺害容疑も掛かっている。認めたまえ。今ならイレブンではなく、名誉ブリタニア人として裁いてもらえるぞ?」
「自分は…やっていない!!」
椅子を押し倒され、顔を蹴られるスザクだったがそんじょそこらの蹴り如きが堪えるスザクではない。
「何かの間違いです!自分はやっていない!!」
数時間掛けてボコボコにしてようやく黙ったらしい。
と言うわけで本編スタートです。
シャワーを終え、廊下を歩いていると、ナナリーの車椅子を押すカレンとナナリーを見かけた。
「生徒会と言っても、大したことは無いみたいですよ?たまに書類仕事が…この前も部活の予算審査を期限前日に思い出したみたいで」
「なにそれ、大丈夫なの?」
「いつもお兄様が気合いでなんとかしてくださいます。ふふふ」
「そうなんだ、なんかわかるかも」
どうやら俺の脅しを恐れたか…あまりにも愛らしく傷付けるなど恐れ多い可愛らしいナナリーを前に手を出すのは諦めたのか、あるいは両方か。二人は仲良く雑談をしているようだ。俺としてもナナリーの友好関係を邪魔したくはない。俺がシャワー室にいる間、C.C.に密かに見張らせていたが問題はなかったようだ。C.C.はアレでいて実はかなり能力が高い。格闘術もそれなりに出来るし、ナイトメアの操縦についても飲み込みが早いのだ。しかも料理もできる(但し余りブリタニア圏の料理では無いものが殆どだが)頼めばナナリーの世話もそつなくこなし、ナナリーもC.C.の事は気に入ってくれたようだ。咲世子さんからの評価も高い。
二人と合流したのち、会長の趣味であるお祭りのことを話す。
「男女逆転パーティーの時なんてお兄様の格好すごかったみたいですよ!私は残念ながら見れませんでしたが…」
「みんなが女装した俺を見て『お前のような女がいるか』だもんな。結構自信あったんだが」
「…その身体でよくそんなことがのたまえるわね…」
一見カレンの反応は普通のようだが、念の為釘を刺しておこう。
「カレン、バスルームでのことは誰にも言うなよ」
「えっ?」
「なんのことですか…?」
「カレンが入ってきた時、たまたまカーテンが開いててさ、それで、な?」
「言わないわよ!当然でしょ!」
そんなやりとりをしつつ、みんなの元に戻るとニュースを見ているようだった。
「ルルーシュ!ビッグニュースだぜ!」
珍しくリヴァルがニュースの内容に興味を持ったらしい。
「クロヴィス殿下が亡くなられたのよ。何者かに殺されたって…」
「ナンダッテ!?」
「えぇ!?」
俺が殴り殺したのだからそこに驚きはない。
『たった今、新しい情報が入りました。実行犯と見られる男が拘束されました。発表によりますと、逮捕されたのは名誉ブリタニア人です』
ん?犯人が捕まった?そんな馬鹿な話があるか。犯人は俺だ。そして名誉ブリタニア人………?まさか!
『枢木スザク一等兵。容疑者は元イレブン、名誉ブリタニア人の枢木スザクです!』
ナナリーは悲しそうな顔で今日のニュースについて話しかけてきた。
「ねぇ、スザクさんですよね。さっきのニュース…」
「あぁ、スザク、生きてたんだな。」
片手で抱いたまま、空いた手で何度も頭を撫でる。
「戦争の後お別れしちゃったままでしたから…お兄様、嘘ですよね…ニュース…」
「あぁ、嘘だよ。あのスザクがそんなことをするはずがない。何かの間違いだよ。」
なんとかスザクを助けなければ。しかしどうやって…?ナナリーを寝かしつけた後、眠れない俺は片手指立てをしながら必死に頭を回転させる…こうなれば俺が真犯人だと名乗り出るしかない…!
ギアスをかけた店長に俺はさまざまなものを用意させた。
「ああ、全て注文どおりのはずだ。こっちの世界では超一流って奴がやってるし、スライドシステムも確認済み。あとは、証拠を全て消して私が忘れてしまえばいいんだよな?」
これで俺自身の用意は整った。あとは人手だ。
ニュースの時、ジェレミアと言う男がクロヴィスの死について語っていたことから。シャーリーから純血派について質問された。
「ブリタニア軍は、ブリタニア人だけで構成するべきだって連中だよ」
つまりクロヴィスの死を利用してスザクを処刑し、そのままブリタニア軍から名誉ブリタニア人を排除、軍内での地位を上げるのが目的か。なかなか頭がキレるらしい。だが血統などに縛られる奴は大概そこが弱点だ。生まれなどにこだわる奴ほど少しの疑念で崩壊するのが関の山、さてどうしたものか。
授業がなくなった事を幸いに俺を賭けチェスに連れ出そうとしたリヴァルを撒き、俺は呼び出したカレンと接触するために動いていた。C.C.に携帯電話を持たせ、落とし物センターに届けさせる。キーホルダーには態々カレン シュタットフェルトの名前を書いてな。C.C.からカレンが電話を受け取ったと言う連絡を受け、続けてカレンの持つ携帯電話に電話をかける。
「ゲットー近くのスクラップ置き場に来い。お友達も一緒だ。」
スクラップ置き場にて佇む俺に背後から声がかけられた。
「お前…なのか?」
その声はカレンのものだろう。俺は勢いよく振り返り、カレン達を見る。
「私の名は、ゼロ」
「ゼロ…?シンジュクのあの声はお前が?停戦命令もお前がやったのか?答えろ!」
「全て私だ。そしてわかっただろう?お前達のテロでは奴らに勝てない。だから私がブリタニアとの戦争に手をかそう。」
カレンの他には男が3人…この程度なら仮に襲われても返り討ちにできるな。
「戦争だって!?」
「ふざけるな!軽々しく戦争だなんて!口でならなんとでも言える!顔も見せられないようなやつの言葉が信用できるか!」
「そうだ!仮面を取れ!」
ここまでは想定内だ。だから俺はスクラップを一つ拾い上げ、彼らに見せつける。
「なんの真似だ?」
「私が見せるのは顔ではない、力だ。力を見せれば…フンッ!!」
両手でスクラップをペシャンコに押し潰す。
「…少しは信用できるだろう?」
「……それくらい鍛えれば誰にだって出来る!それくらいの事で戦争が出来るか!」
カレンが食い下がるが、それもまた想定内だ。
「鍛えれば誰にだって出来る…確かにそうだろう。だが、現実はどうだ?誰にでも出来ることが出来る人間というのは意外にも少ない。何故か?やりきるだけの強い覚悟がないからだ!俺はブリタニアを打倒する、そのためにこの身体を手に入れた!」
「マジかよ…アイツ」
「あんな身体を手に入れるなんて他の誰に出来る…?日本解放戦線にだって無理だ、少なくとも俺にはできない…!」
そして俺はスクラップ置き場から廃車とあるものを引き摺り出し、写真を2枚見せる。
「これはクロヴィスの御料車だ。そしてもう一枚は君たちもご存じの毒ガスのカプセルだ。これを明日までに作れ。形だけそう見えれば良い。私の力は腕力だけではない、奇跡を見せてやろう。あの枢木 スザクを救い出す。そうすればお前達も私のことをより認めざるを得ないだろう?」
「…わかった。協力する。」
「…俺たちもだ。ハリボテを作るくらいなら捕まるリスクはないし…」
そして救出作戦にはカレンと扇という男を採用し、C.C.にも極秘裏の協力者として参加させ、スザク救出作戦は始まった。
「出てこい!殿下の御料車を汚す不届き者め!」
出てこいと言われたタイミングで車の前掛けを燃やし、俺の姿が露わになる。
「私は…ゼロ!」
「もう良いだろうゼロ!君のショータイムはおしまいだ!その仮面を外してもらおう!」
俺は仮面を外す…フリをして車の荷台をこじ開ける。
「なっ!?それは!」
そう、中を見ていないジェレミアはこれは毒ガスのカプセルと考えるだろう。
「私を撃ってみるか?だがその時は覚悟しておけ、私の拳がお前をブツぞ。」
俺が右拳を振り上げる。
「…わかった。要求は?」
「交換だ!コイツと、枢木 スザクを」
「笑止!こやつはクロヴィス殿下を殺めた大逆の徒!引き渡せるはずがない!」
俺はカレンに合図を出し、車を進めさせる。
「いいや、違うな!間違っているぞ!クロヴィスを殴り殺したのは…この私だ!!」
俺はダブルバイセップス・フロントを決め、筋肉を隆起させる。この筋肉を見れば人を殴り殺すなどと容易いと誰にでもわかるだろう。
「殿下の死因はトップシークレットのはず…!まさか貴様が…!?」
「イレブン一匹で尊いブリタニア人の命が大勢救えるんだ。悪くない取引だと思うがな。それともその細い腕で私を止めようと?」
ジェレミアは俺に銃を向け発砲するが、この距離だ。弾丸の軌跡さえ読んでいれば掴み取ることなど造作もない。
「こ、こやつは狂っている!殿下の御料車を偽装し愚弄した罪、贖うがいい」
「良いのか?公表するぞ。オレンジを。私が死んだら公開されることになっている。そうされたくなければ…」
ジェレミアは突然のことに困惑し、なおも発砲するが前述の通りこの距離ならば単発の銃の弾丸を掴むことは可能だ。
「何のことだ? 何を言っている?というかなんで弾丸が掴める!?」
「"私達を全力で見逃せ。そっちの男もだ"!」
俺はジェレミアにギアスをかける。
「…いいだろう、くれてやれ!」
こうして俺はスザクを解放することに成功した。
「君はル…うう!」
言葉を発すると電気が流れる仕組みのようだ。俺はスザクとカレンを両脇に抱えて走り出す。
『逃すか!』
俺がスイッチを押すとハリボテのカプセルから勢いよく煙が噴出される。更にC.C.が上手くやったようだ。ブリタニア人は毒ガスだ、死にたくないと走り回り混乱を作り上げることに成功する。そのまま道路を飛び降りる。
「私に捕まっていろ!」
「言われなくてもそうします!」
カレンを抱える手を離し、ビルに指を突き立てる。指の力で壁から落ちる速度を緩和してから扇の出すクッションに着地する。その後は混乱に乗じて追っ手を撒いた…一部の歩兵には追いつかれたのでブン殴り黙らせたがな。
「手荒い真似を受けたようだな。」
俺はスザクの首についた機械を引きちぎり投げ捨てる。
「枢木一等兵、ブリタニアは腐っている。君が世界を変えたいなら私の仲間になってくれないか?」
「それはできないよ、ルルーシュ」
ん…?今コイツなんて言った?
「クロヴィス殿下が殴り殺されたって聞いて真っ先に君の名が浮かんだよ。ナナリーを守るために鍛えた身体でまさか人を殺すなんて…」
どうやらバレてしまっていたようだ。
「…そうか、あの動きのいい取り逃がしたサザーランドは君だったのか。道理で…」
どうやらシンジュクでのこともバレたらしい。
「考え直せスザク。ブリタニアはお前が仕える価値のない国だ。」
「なら僕は価値のある国に変えるよ。ブリタニアの内側から」
こうなったスザクは頑固だ。ここはスザクの自由にさせる他ないだろう。
「本当は君を逮捕したいけど、今殴り合えば返り討ちにだろうからね。僕は行くよ。あと1時間で軍事法廷が始まるからね。」
「ば、馬鹿か、お前は! あの法廷はお前を犯人にするために仕組まれている。検察官も、判事も、弁護人も!俺がなんのためにお前を助け出したと思ってる!」
俺はスザクの胸倉を掴む。…仲間にならないならまだしも死にに行かれるなどたまったものではない。
「それでも、それがルールだ。僕が行かないと、イレブンや名誉ブリタニア人に対して弾圧が始まる」
スザクは俺の腕を無理やり引き剥が…そうとするがそれは叶わず、代わりに胸の部分の服を引き千切ったことで俺から逃れ、去っていく。しかし、スザクは何かを思い出したように立ち止まりこちらを振り返った。
「ルルーシュ、ありがとう…助けてくれて。嬉しかったよ…」
俺は呆然と立ちすくむが、ふとジェレミアの発言を思い出した。「殿下の死因はトップシークレット」…疑念のあるジェレミアが半ば無理矢理でっちあげたスザクよりも、殴り殺したと発言した俺の方が真犯人としては都合が良いのでは無いだろうか?軍内部から皇族殺しが出るよりも外部犯の方が都合だって良いはずだ。そもそも、クロヴィスに残された打撲跡を調べればスザクの拳ではないことくらい分かるはずだ。…もしかしたらスザクは生き残るのではないかという希望を胸に俺は帰路についた。
流石は昔の友人スザク、あっさりとゼロがルルーシュだと見破ってしまいましたね!
まぁ、他にルルーシュがゼロだと解る人なんていないよね!はっはっは!