「直接会うのは何年振りかな…V.V.…しかしまぁ…」
V.V.は答えない。それもそのはずだった。
「シャルル…なぜ今頃V.V.のコードを奪った?しかもわざわざ殴り殺してまで…」
V.V.は答えない。
「V.V.…お前羨ましかったんだろ?筋肉を鍛えられる身体が…」
それでは作者も何書いてんのかわかんなくなってくるくらい混沌とした本編スタートです。
生命反応を感知し、向かった先で見たものは神根島の遺跡で見たような壁だった。そして壁から電気のようなものが走ったかと思うと
俺は蜃気楼を降り、謎の空間に立っていた。
「これは…?ホログラムとかではない?それに、いつ俺は蜃気楼から降りた?」
「その通り!それにナイトメアなどという無粋な物…!この場所には不要!」
忘れもしない、この声は…シャルルだ!奴に目を合わせればギアスが飛んでくる。ここは一旦蜃気楼の影に隠れよう。
「8年前の質問に答えてもらうぞ!何故母さんを守らなかった?他の皇族に疎んじられていると知りながら!」
「人は、平等では無い…。お前は他の者には無い肉体を持っている。力づくで聞けば良かろう」
なるほど、肉弾戦に持ち込みギアスをかける気か、そっちがその気ならば…
「チチチチチチチチ…」
「なんの、音だァ…?」
俺は駆け出し、シャルルに対して拳を叩き込む。しかし、流石にシャルルもタダでは殴られてはくれずバックステップで回避したようだ。
「なるほど、そういうことか」
「どうしたシャルル?貴様もギアスを持っているのなら、それを使ったらどうだ?使えるならの話だがな!」
そう、俺は今回シャルルのギアス対策に目を閉じている。当然こちらからのギアスも使えず、視界すらも無いが問題はない。相手がどこにいるかなど気配やこの舌打音の反響でわかる。ソウルブラザーであるロロとの模擬戦を繰り返し俺はこの技の会得に至った。この力で奴を倒してやる…!
「ナナリーの未来のため、死んで貰うぞシャルル ジ ブリタニア!」
チチチチチチチチ…と舌打を繰り返し、音の反響で場所を掴む。確実に仕留める為、渾身の一振りを腹に打ち込む。しかし、その感触は想像していたものとは異なる。まるで鉄を殴ったようなものだった。
「多少身体を鍛えた程度でワシを倒せるとでも?貧弱なりルッルーシュ!!」
馬鹿な!この俺の拳を多少鍛えただと!?
「チチチチチチチチ…」
突き出された拳をなんとか音の反響で感知し回避する…が、避けきれず頬を掠める。プツリと皮膚が切れ血が流れている様だ。
「掠っただけでこの威力…!」
「無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!ルッルーシュ!!!!無駄ァ!!!」
高速の連続パンチを全て受け流し、どうにか打開策を考える。しかし思考をまとめる前に次の攻撃が飛んでくる。
「たかだか10年ちょっと鍛えたお前の筋肉がワシを上回ることなどあり得ぬ。」
「それはどうかな?」
俺は真のマッスルガイとして超効率的トレーニングの日々を過ごしてきた…最近では逆立ち指立て伏せをしながら眠れるほどに…それに力がダメなら技だ。この十年間必死に体に叩き込んだあらゆる武術を仕掛ける
「力が劣るなら今度は技か、だがしかし!!技の強さは鍛えた年月に依存する!ワシは皇帝の座を守る為、あらゆる武術を極めておる!即ち!小童の貴様如きの技など無駄ァァァ!!!!」
掛けた技は全て弾かれ、正面からの拳も耐えられた…クソ…!
奥の手のギアスはお互い目を見る必要がある以上使えない…使えない?本当にそうか?方法はある…ならばバレないように準備をするしかない!
「どうしたルッルーシュ!お前はワシのサンドバッグか?なんたる貧弱さ!!お前の努力など無駄ァ!!」
振るわれる拳をクロスした両腕でなんとか防ぎ、そのまま距離を取る。
ポタポタと流れる汗を手で拭う。これだけ激しく動いたなら当然だ。まだだ、まだ俺は…!
舌打ち音でシャルルとの距離を測る。この距離ならば外さない!クラウチングスタートの姿勢からの膝蹴り…!この感触、確実に鳩尾に決まった!
「ぬうん!!」
確実に決まったはずだが流石はシャルル、即座に俺を投げ飛ばして来た。しかし、流石の奴でも効いたようだな!体制を崩している今がチャンスだ!
俺は目を開け、ギアスを使う。
「"死ねぇ!!"」
「…良かろう。」
シャルルは自分の拳を高々と振り上げ
「オーーーールハイル!ブリタァァァニアァァァァ!!!!」
そのまま心臓に向け拳を振り下ろし、肉体を貫き絶命した。
ギアスは光情報。故に反射が可能。俺は床に流した汗を集め水鏡を作ったのだ。
「勝った…!ようやく勝ったぞ!」
「ふふははははは!愚かなり!ルッルーシュ!!」
シャルルは目を開けこちらを睨む。そんな…あり得ない…
「銃やナイフ毒に筋肉…この世の如何なるものを持ってしてもワシを殺す事はできん!全ては…無駄ァーーーー!!!!」
手袋を外し突き出された掌にはC.C.の額と同じマーク。コイツが不老不死に…!?
だが、ここで俺が逃げればナナリーの身が危ない、ならば退くわけにはいかない!!
「うおおおお!!」
俺はラッシュの突きを放つ。
「ほぉ…?まだワシに向かってくるとは…愚かなりルルーシュ!」
負けじとシャルルもラッシュの突きを放ってきた。1発、2発と俺の体に拳が突き刺さって行く。
「ふはははははは!ルッルーシュ!無駄!無駄!無駄!無駄!全ては無駄ァ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!!」
やがて俺の拳は全て弾かれ、シャルルに蹴りを叩き込まれて吹き飛ばされる。だが、俺は諦めない。
「まだ、立ち上がり向かってくる…か、このワシに近づいてくるのか」
「当然だ。近づかなければシャルル。お前をブチのめせないからな…!」
「ならば…近づいてくるが、良い」
再び俺はラッシュの突きを放つ。そしてシャルルによって弾かれ、また蹴り飛ばされた。
そして再び立ち上がる。何度も、何度も
「何故だ…何故向かってくるルッルーシュ!!貴様では、ワシは殺せぬと言うのに…」
数十回にも及ぶ攻防、その全てで俺の敗北であった。だが俺は立ち上がる。殺せない?そんなことは関係無い。ナナリーの為を思えば何度だった立ち上がれる力が湧いてくるのだから。
--この時、心と体の両方の筋肉を鍛えたルルーシュは、妹の為という他人を思いやる気持ちを爆発させた!
そして心の筋肉が体の筋肉と混ざり合い、とてつもない爆発力を産んだ!!
故にルルーシュの筋肉は膨張し、数十年の蓄積に劣らない筋肉を構築、更なる高みを目指し鍛える筋肉に更なるパワーを与えたのだ!!!--
再びのラッシュ対決、俺の拳がシャルルの体を捉えた。
「何ィ!?ワシが、このワシがルルーシュに押されている…!?あり得ん!そんなはず…」
「あり得るさ…お前は不老不死、つまりもうお前の筋肉は成長しないという事だ!」
「馬鹿な!この土壇場で…貴様はワシとの打ち合いで急激な成長を遂げ、ワシと互角に…ワシ以上の筋肉を身に付けたとでも!?小癪な…!」
突如距離を取られたかと思うと、俺の視界は謎の仮面と歯車によって埋め尽くされてしまう。シャルルめ…!逃げたか!?
「シャルル!貴様は何を企んでいる!」
「貴様は…己に嘘を吐いておる。かつて筋トレに明け暮れるのはもう沢山だと言っておきながら、お前はナナリーを言い訳に身体を鍛えざるを得なかった。本当はマッスルガイになどなりたくはなかったのだろう?」
「そんなことは…!俺は手に入れた!普通では到底なし得ない胸筋を!腹筋を!殴打を!」
するとどこからか俺でもシャルルでも無い声が聞こえてくる。
『筋肉がつき過ぎてお気に入りの服が着れなくなった。』『みんなが筋肉をジロジロと見てくる』『モニモニ言いながら乳首をさすられる』『ガチムチな弟から背後を狙われる』『事あるごとにポーズを決めないと落ち着かなくなった』『すぐに服を脱いで筋肉を見せたい欲求に駆られる』
『本当は恥ずかしいし、ムキムキになんてなりたくなかったのに』
「違う!!」
そうだ!俺は俺の意思で…!
「嘘など吐く必要はない。何故ならお前はマッスルガイでマッスルガイはワシ、つまりお前はワシなのだから。そう、最初からマッスルガイは、人類は一人しかいない。過去も未来も現在も…歴史上たった…一人」
「お前は何を言っている…?」
するとどこからかC.C.が現れた。
「C.C.…!?」
「シャルル、筋トレの時間は終わりだ。その肉ダルマにもう価値は無くなった。私はもうここにいる。」
「そうだな、C.C…お前の願いはワシが叶えてやろう」
「C.C.!ピザくらい俺が食べさせてやる!何もシャルルに頼らずとも…」
どうせこのピザ女の願いなど死ぬまでピザが食べたいくらいだろう、それくらい皇帝の財力がなくとも俺が…
するとC.C.は涎を拭きながら首を振る。
「ルルーシュ、私の願いは私が死ぬ事。私の存在が永遠に終わる事だ。」
「なんだ、それなら俺が…」
俺が拳を振り上げるとC.C.は焦ったようにシャルルの背後へと隠れた
「お前の拳では私は死なん!やめろバカタレ!痛いのは嫌なんだ!」
「安心しろ!今の俺の拳なら痛みを感じる間も無く」
「そういうことではない!」
「コードを持つものは一定以上のギアスを持つもののみによってのみ殺されうる…どうやら知らなかったようだな、ルッルーシュよ…」
C.C.は更に謎の台を構築し、それに何かをしたかと思うと俺は吹き飛ばされた。
謎の霧掛かった世界で…ええい、霧が邪魔だな。俺は思い切り息を吸い込み、霧を吸い込んだ。よし、視界がひらけたな。
ひどく汚れた格好の女児がおぼつかない足取りで歩いてくる。何故こんなところに…きっとシャルルに酷いことをされたに違いない。やがて女児が倒れそうに成ったため急いで駆け寄るが、女児は俺の体をすり抜けて地に伏してしまう。
「何!?どこのだれとは知らないが俺はこんなか弱い女児一人守れないのか!?くそ!こんなことではナナリーを守ることなど到底不可能!何が伝説の真のトゥルーマッスルガイだ!!」
「無駄よ」
背後から声がかけられ、振り返るとC.C.のようでそうでないような女が居た。
「これは私の記憶。干渉はできない。」
そんなことはない、記憶とは即ち過去、過去も現在も繋がっているのだから鍛えた果てに干渉する方法だってある筈だ。
いつのまにか視界は教会のような建物の中に移り、さっきの女児とシスターが話している場面にやっていた。
『あなたに生きるための理由はあるの?』
生きる理由?そんなのは決まっている。俺は筋肉を膨張させつつダブルバイセップスを決める
「あるさ、ナナリーだ。俺はナナリーを守る!そのために鍛えてきた!」
「だから干渉は…」
『何かしら、今やたら私好みの逞しい殿方がダブルバイセップスを決めていたような…』
「えっ干渉してる!?怖…」
『私は死にたくないんです!』
「だったら俺が守ってやる!真のマッスルガイならば守る対象の一人や二人増えたところで!」
『あれっ、なんだろう、今すごくムキムキなお兄ちゃんがすごく頼もしいこと言ってくれた気がする…』
「なにこれ、こんな記憶私知らない…怖いよ…」
次の瞬間、再度場面が切り替わり、C.C.らしき女がやたらと格式の古そうな屋敷の中持て囃されているところを映し出した。
「わ、私のギアスは人に愛されるギアス。このギアスのおかげでどんな人からも愛されたわ」
「愛される…?」
ギアスとはその人の願いの形のはず。マオはおそらく人の顔を窺う子供だったのだろう、だから人の心を読むギアスを、野望のために人を操りたい俺やシャルルは人を操れるギアスを、俺と出会う前のロロは自分が最も鍛えた男になりたい、相手の鍛錬を止めたいという人の体感時間を奪うギアスに
つまりC.C.の本当の願いは誰かに愛されること…?
…だが、他人に愛す事を強制するなんて悲しすぎる。
「…お前はそれで良いのか?人の愛なんて強制させるものじゃない筈だ。偽りの愛に意味なんてない、そんな物全て捨ててしまえ」
すると記憶のC.C.は困り果てるような顔になっていた。
『…そうだよね、こんなの本当の愛じゃない。』
「ナチュラルに私の記憶と会話するのやめてくれる?でも、私はやがて愛され過ぎてなにが本当の愛かわからなくなったわ。」
更に場面が切り替わり、C.C.らしき女とシスターの二人が教会にいる場面になった。
『あの男の人に言われた通り貰ったものは全部捨てました。でもしょうがないでしょ?ギアスのせいなんだから』
『なら終わりにしましょう。私もあの逞しい殿方のようになりたいと体を鍛えたけれど、不老不死になってからはもう体を鍛えることすらできない』
『あの…なんの話?』
するとシスターは突然狂ったように笑い出し
『残念!あなた騙されちゃったの!』
残念なことに物理的に干渉するまでの筋肉は俺には無く、必死に止めようとしたがシスターは死に、C.C.へとコードが引き継がれたような光景が映し出された。
『最後に…またあの殿方の逞しい体が見えた…気が…す…』
「……も、もう突っ込まないわ。私はこうしてコードを押し付けられ…ちょっとなにする気?」
俺は軽く跳躍して体を温める。そしてクラウチングスタートの姿勢をとり、一気に駆け出す。童女の頃のC.C.に俺は約束したんだ。
俺の膝蹴りが空間を砕いた。
「あぁ、もうその…勝手にして」
気がつくと俺の肉体は蜃気楼のコクピットに移っていた。
「C.C.!」覚えてるか!?あの日の約束を!!」
『開いたのか!?思考縄梯を!!』
C.C.はシャルルから離れてくれた。俺の想いが通じたようだ。
想いはパワー パワーは筋肉 つまり筋肉は想いとなる。つまり全身筋肉の俺の想いを受け取りC.C.は心を動かされたのだ。
謎の物体が蜃気楼に引っ付いてくるが全て殴り飛ばし、絶対守護領域を展開した拳で暴れ回る。
「俺はこの空間を破壊し尽くすだけだァ!!」
「なんったる愚かしさァ!!!」
そして砕けた足場から落ちるC.C.を俺は瓦礫を足場に飛び移り抱き抱える。
「C.C.!俺が守ってやる!お前が笑って暮らせるように!」
安心してください、貴方が読んだのはコードギアスの二次創作です。()
過去(記憶)干渉はあくまでもC.C.が直接見せたあの空間を介してのみできる技です。
また、ルルーシュの心の筋肉による超筋肉強化もCの世界でのみ発動可能な技です。
Cの世界は現実世界よりも超常的なことが起こりやすいんでしょうね。納得しましたか?(殴打)納得したと言え!!!(殴打)