「これでおちたな。エリア18の成立か」
「姫様、次の行動計画ですが…」
「すまぬ、愚弟の後始末につきあわせる」
「いえ。我ら、姫様のおられるところが国でございますれば」
「エリア11は一筋縄ではいかんぞ」
「承知しております」
「殴り飛ばしてやる、ゼロ。クロヴィスの仇…!」
それでは本編スタートです。
「ただいま」
「おかえり、ルルーシュ」
「おかえりなさい、お兄様」
スザクを救い出し、再び法廷へと歩いていくスザクを見送った日、俺は夕飯を済ませてから帰宅した。
「その様子だと食事は外で済ませてきたようだな。」
「あぁ。」
「心配したんですよ?ゼロという人の騒ぎに巻き込まれたんじゃないかって。電話しても繋がらないし」
食事を済ませてから帰ったのはC.C.と帰宅時間をズラす為だ。電話に出なかったのは失態だったな。それにしてもスザク、本当に無事だろうか。俺の希望はあくまで俺の想像に尽きない…もしもスザクが…
しまった。力み過ぎてティーカップを砕いてしまった。
「あぁ、何をやってるルルーシュ。濡れてしまってるじゃないか。ほら、さっさと洗面所に行ってこい。着替えは自分で出せ。後片付けはしておいてやる」
俺はC.C.に後片付けを任せ、先に部屋に帰った。C.C.にはナナリーを寝かし付けるのも任せてしまった。こんな力加減ではか弱いナナリーの肋骨を折りかねない。
「…済まなかったなC.C.」
「全くだ。私はお前の部下でもなければ召使でもないのだぞ」
そう、俺とC.C.は契約者。初めはただの居候を画策したようだが、働かざる者食うべからずとして力ずくで追い払ったところ今の雇用状態に落ち着いた。基本的には3食昼寝付きなのだから文句を言われる筋合いはない。
「そんなに助けたスザクとかいう男が心配か?お前ほどではないが…あいつもなかなか逞しい体をしていたじゃないか。」
「どんなに鍛えようとピストルならともかく大口径の銃器で撃たれれば死ぬさ。処刑ってのはそういうことだ。」
絞首くらいなら鍛えられた首の筋肉により対処可能だが、筋肉の守りを貫く銃器で撃たれれば流石に抵抗のしようがない。
「ところで、オレンジとは結局なんなのだったのだ?」
「でまかせだよ。血統に拘る奴らほど多少の疑念で瓦解するものだ」
その日は結局まともに筋トレもできないまま眠ってしまった。
僕の名前は枢木 スザク。ある日古い友人のルルーシュと再会できたと思ったら銃で撃たれ気絶し、その後ランスロットに乗ってテロの鎮圧をしていた。その時に出会った手強いサザーランドがルルーシュだったのは驚きだったけれど…それよりも困惑したのはクロヴィス殿下の殺害だ。殴り殺されてしまった殿下は僕が殺したということになり、今僕はその裁判を受けている。ルルーシュが言う通りこの裁判は全て仕組まれたものなのだろう。それでも構わない。ここで僕が逃げてしまっては弾圧が起こるだけ、僕の安い命でみんなが助かるなら…そうだ、これは僕への罰なんだ。
「枢木スザク一等兵。第11方面軍域。重要107号。クロヴィス殿下殺害容疑については、証拠不十分につき釈放とする」
僕に下された判決は証拠不十分による釈放。ルルーシュ…ゼロのことはたんまり調べられたが、命を張って助けてくれた友人をおいそれと売ってしまうほど僕は非情にはなりきれなかった。これが間違ったことだとはわかっているけれど…
「どいてくださーい!あぶなーい!」
僕の上方から女性の声がする。屋外で?上から?ふと顔を見上げれば綺麗な女の人がこちらへと近づいてきていた。
うん、別の言い方をすればそれは落下という。
僕は女性を受け止め、膝肩腰股関節膝をクッションのように曲げ、落下の衝撃を受け流す。
「あの、怪我とかしてませんか?」
「ごめんなさい。下に人がいるとは思わなくて」
「まさか僕も人が上から落ちてくるとは思わなかったですよ。」
抱えたままだった女性を下ろして荷物を拾う。
「あら?」
「?どうかしたんですか?」
「はい!どうかしたんです!」
ははーん、さてはこの人天然だな?
「実は私、悪い人に追われていて…」
「なんだって!?それはいけない!すぐに立ち去りましょう!」
女の人が悪い人に追われていると聞けばこんなゆっくりはしていられない。すぐさま荷物と女性を担ぎ、ダッシュでその場から立ち去る。
暫く走り、距離を置いてから僕は女性を再び下ろす。
「足、とっても早いんですね!あ!自己紹介がまだでしたね、私は…ユフィ」
「ユフィ?僕は枢木 スザクです。」
女性は僕の名前を聞き終える前に猫に対して何やらニャーニャーと言っていた。どうやらこの人の中で僕の名前なんてものはその辺の猫よりも価値が低いらしい。これが僕への罰か…!
それにしてもユフィと猫の戯れを見ていると中々人懐っこい猫のようだ。僕も猫は好きなので手を出してみる。ははは、いきなり手にキスをしてくるなんて中々愛らしい猫だな。
「スザクさん?手、噛まれてますよ?ねぇ?聞いてます?」
猫は怪我をしていたらしく、近くの店で手当てができるだけの道具を購入する。ユフィ曰く僕は猫に噛まれていたらしい。噛み跡(?)には唾付けときゃ治るよと説明したのだが、不衛生との事で消毒と絆創膏の処置が取られた。包帯を巻かれた猫はどこかへと走り去ってしまう。もう少し戯れたかったけれど仕方がない。気まぐれなのも猫の可愛らしいところだ。
「ねぇ、スザクさん。もう少し私に付き合って下さいな。」
「勿論」
ロイドさん達を待たせてしまっているが、この女性を追う悪い人の問題も残っている。守るためにも僕がそばにいるべきだろう。
僕とユフィは暫くウィンドウショッピングなどを楽しんだ。
「スザクさん。もう一箇所だけ案内をお願いしてもいいですか?」
「えぇ、何なりと」
「ではシンジュクに。私にシンジュクを見せてください草薙 スザクさん。」
「枢木です。」
やはりまともに名前を聞いてもらえていなかったらしい。これが僕への罰か…!
僕らがシンジュクにたどり着くと学生二人が日ほ…イレブンに絡まれているところに遭遇した。
「出てけよ!ブリタニアの豚ども!」
彼には人間が豚に見えているらしい。何か深刻な病に違いない。
「な、なんだよ…!イレブンの癖に!」
「日本人だ!イレブンなんて呼ぶな!このブリキ野郎!」
重病の彼は学生を殴ろうとしていた。病が苦しいのは同情するが暴力は良くない!
「やめてください!暴力は!」
「邪魔すんなよ!」
難病の彼は僕の方に走ってきて拳を突き出してきた。どうやら殴り合いをご所望らしい。
「そっちがその気なら!」
僕は彼の拳を甘んじて受けつつ、渾身の一振りを腹にブチ込む。彼の拳は僕への罰、僕の拳は彼への罰だ。彼は気絶したようで、彼の付き添いの人が引き摺って行った。
「スザクさん、大丈夫ですか?」
「ええ、平気です。」
「大丈夫じゃないよ!僕のカメラが…」
「遅いんだよ!名誉の癖に…」
遅い?この僕が?やはり日ほ…イレブンの僕とブリタニア人では身体能力に差があるらしい。
「僕が遅いと言うのなら速さで勝負してください」
「「「え?」」」
僕はルルーシュに勝ちきれない、それは僕が遅いからに違いない!もっと早さを磨くため、目の前の彼らに追いつけるような速さで拳を突き出す!修行を積めばきっとルルーシュにも勝てるはずだ!そう思って突きだした拳は学生の顔面を捉え、彼は意識を失った。きっと僕の速さが上がったからだろう。もう一人の学生は助けてくれとどこかへと走り去ってしまった。
ので、僕は彼に走って追いつき、背後からドロップキックをお見舞いする。これで僕の速さが証明できたはずだ。
「スザクさんってお強いんですね!」
ユフィは手を叩いているが、僕の強さなどまだまだだ。もっと鍛えなければ。そう思っていると爆発音聞こえる。
「おーいスザクくん!ここは危険よ!」
突如現れたのはセシルさん。僕の上司みたいな人だ。彼女の手料理は独特なセンスに溢れており……………うん、独特だ。可能なら2度と食いたくはない。
「何があったんです?」
「純血派の内ゲバだよ。ナイトメアでどんぱちやってんの」
ナイトメアでどんぱちだって!?これは僕の速さを磨くためのチャンスだ。
「待ってください!ランスロットのデータを取るチャンスではないでしょうか!」
こうして僕はランスロットに乗り、純血派の内ゲバに介入した。誰が敵で誰が味方かわからなかったので全員を平等にボコボコにした。途中で誰かか乱入してきたけれど、御構い無しさ。
『くそ…!イレブンに負けたまま終われるか!ケイオス爆雷を使う!』
悪あがきのケイオス爆雷を起動する前に蹴りで打ち返す。
「おやめなさい!」
ユフィが走って現れたので僕は手を止めた。
「私、ユーフェミア・リ・ブリタニアの名の下に命じさせていただきます!双方とも、剣を抑え…な………あれ?」
双方とも剣を抑えるどころか全員僕がボコボコにしてしまっている。ユフィ…じゃなかった、ユーフェミア皇女殿下はちょっと恥ずかしそうに顔を赤らめている。…可愛い。
昼休みのこと、俺が学園の中庭でベンチを持ち上げてスクワットをしているとカレンがやってきた。
「ルルーシュくん、今いいかしら」
「あぁ、この程度の負荷で会話が出来なくなるほど俺の身体は貧弱ではない。」
「あなたよね?ゼロって」
…何故バレた?スザクのように情報は出していないはずだが…
「あなた自分の体よく見た方がいいわよ。あんな逆三角形ボディ早々いてたまるもんですか。」
なんてことだ。ではこの前のバスルームでの工作はなんだったというのか。
「何が俺は協力もしなければ邪魔もしないよ。ガッツリ当事者じゃない」
冷静さを欠いたのだろう。俺はベンチを投げ捨て、カレンの胸倉を掴んでしまう。
「…誰にも言うな。ナナリーにもだぞ」
「分かってるわよ…!私達にしてもあんたの力は必要だし…」
そして次の日、大変なことが起こった。
「本日付けを持ちましてこのアッシュフォード学園に入学することになりました。枢木 スザクです。よろしくお願いします。」
スザクが学校に入学してきたのだ。
はい、体格のせいで秒でゼロとバレルルーシュでした。
一応言い訳ですが、ルルーシュとゼロの双方を近くで生で見ないと流石に確信が持てないと言うことにさせてください。
スザクですが、原作より天然+脳筋要素が増されています。
7/29追加
●オマケ NGシーン●※化物語ネタ
「クルルルギさん」
「ユフィ、ルが一つ多いよ。僕の名前は枢木です。」
「ごめんなさい、噛んじゃいました」
「クルルルルギさん」
「ユフィ、今度はルが二つ多いよ。僕の名前は枢木です。」
「あら、私ったら噛んじゃったみたい。ごめんなさい」
「わざとでしょ?」
「かみまみた!」
「わざとじゃない!?」
「クルギさん」
「それだとルがひとつ少ないからね」
「ごめんなさい、噛んじゃいました」
「ルルルギさん」
「ユフィ、僕の名前を黒い椎茸みたいな髪型の人の部屋のBGMみたいに歌い上げるのはやめてくれないかな。僕の名前は枢木だよ。」
「ごめんなさい、噛んじゃいました」
「わざとでしょ?」
「かみまみた」
「くっ…もしかしてわざとじゃない!?」
「ウツリギさん」
「ユフィ、僕をシャーリー、カレン、ナナリー、ユフィとペアリングのある最低浮気野郎みたいにいうのはやめてほしい。僕の名前は枢木だ。」
「ごめんなさい、噛んじゃいました」
「違う、わざとだよ」
「かみまみた」
「わざとじゃないのか!?」
「神を殺す!」
「どんな悲劇体験を!?」