ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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 ランスロットに乗り込もうとするニーナをセシルとロイドが説得していた。
「ニーナさん、あなたの筋肉量じゃ無理です!」
「でも!このままじゃトウキョウ租界がゼロに!」
「だからさぁ…君の筋肉量じゃ操縦できないの!」
 そう、ランスロットの操縦機器はスザク並みの筋力が無ければびくともしないのだ。
「プロテインを使用すれば政庁に行くくらいは…」
 そこに逆立ち歩きでスザクがやってきた
「君にフレイヤを撃つ筋力はあるのかい?」
「筋力は関係ないんだけど…」
「それだけじゃない。撃たない筋力も必要なんだ」
「だから筋力は必要ないんだけど…」

と言うわけで、本編スタートです。


TURN18

 まずはナナリーとコーネリアとの契約で確保する必要のあるユフィを確保するためにも政庁の制空権は押さえたい所だ。

「藤堂、千葉と朝比奈に政庁の制空権を抑えさせろ。」

『承知』

 ここで問題になるのは敵軍の第六世代以降のナイトメア…まぁ、そんなものはごく少数だろうがな。スザクのランスロットが出てきてもこちらにはジェレミアがいる。ロロは心配せずとも上手くやるだろう。何せあいつはもう立派なマッスルガイだからな。

 

 すると、蜃気楼に警戒のアラームが鳴る。モニターを確認すると案の定スザクがこちらに向かって飛んできていた。

『聞こえるかゼロ!戦闘を停止しろ!こちらは重戦術級の弾頭を搭載している。使用されれば4000万人単位以上の被害を出す…』

 ふん、スザクめ…俺相手にブラフなど舐めたことを…

「馬鹿が!ここでそんなものを使ってみろ、関係のない民衆まで巻き込む気か?もっとマシな嘘を吐くんだな!ジェレミア、お前の忠義と心の筋肉の力でスザクをこの世から消し去ってしまえ!」

『イエス ユア マッスル!』

 ジークフリートの装甲を利用して作られたサザーランドジーク…あれならば厄介なスザクをも始末できる!

『ジェレミア卿!?何故!!』

『枢木スザク…君にはかなり筋肉がある、とても筋肉がある、控えめに言っても筋肉がある!しかしこの場は…私の心の筋肉が勝る!!!』

 ギリギリで拘束を免れたスザクだったが、この俺の存在を忘れているようだな。

「絶対守護領域で殴る!!!」

『ここはヴァリスで!』

 無駄だスザク!この絶対守護領域を纏った拳…名付けて絶対破壊両腕はそのまま絶対守護領域としての防御も可能、その程度の攻撃で俺を倒すことは出来ぬゥ!!

 それにしても…

「コーネリア、何故傍観を?ユフィを助けたくはないのですか?」

『私に枢木を討てと言うのか…ユフィを支えてくれたあ奴を…』

「ほう…生きているユーフェミアと生きている枢木スザク…あなたは枢木スザクを選ぶと?」

『チッ…!』

 流石の姉上も立場を理解してくれたようだ。

『枢木!』

『まさか…コーネリア皇女殿下!?何故あなたまで…!!』

『訳は言えぬ、ユーフェミアの為に死んでくれ!!』

 それでいい…これで3対1…このままスザクを始末してやる…!

 

 ジェレミアのミサイルがスザクを襲う。俺は奴の進行方向を先読みし、絶対守護領域を蹴ってスザクに拳を見舞う。

『読まれている…!』

 俺の拳をギリギリで躱したが、体勢は崩れた。この状況なら!

「ずっと目障りだったんだよスザク!この裏切者が!!」

 俺は相転移砲を放った。

 

『そんな攻撃なんて!』

 

 避けたなスザク…俺の読み通りだ!あらかじめ空中に射出しておいた液体金属を凝固させたプリズムに相転移砲が当たり、反射し拡散する。

『なっ!?後ろから!?この攻撃は…!!』

 やはりこれをも回避するか、流石に伊達に"鍛えて"いないようだ…だが、これでチェックだ!コーネリアがランスでの突きを放ち、スザクはそれをシールドで防ぐ…それを蜃気楼でシールドごと殴り付け、吹き飛ばす。これで最早姿勢制御は出来まい!

「やれ!ジェレミア!」

『しまった!』

 俺がジークフリートから食らった電撃による拘束、それと同じものをサザーランドジークがランスロットに対して行う。これでスザクの拘束に成功した。ここまではすべて俺の作戦通り、あとは俺自ら絶対破壊両腕で粉砕すればナナリー救出の障害はなくなる!!

 

 しかし、俺の拳は妨害された。攻撃の出どころを確認すると…あれは…ナイトオブスリーのナイトメアか。何故ここに…!?

 続けての攻撃でスザクの拘束は解除されてしまった。ここにきて更にナイトオブスリーとは別のナイトメアだと…!?まさかシュナイゼル…トウキョウ決戦を読んでいたとでも…!?

「ロロ!どうやらトウキョウ決戦が先読みされていた。俺はしばらくこちらの対応をする。そちらへの合流は遅くなるが…」

『問題ないデス、ブラザー!シスターを助け出すのは任せてくだサイ!』

「頼んだぞ、ロロ!」

 流石は我が弟にしてマッスルガイだ…!

 

 

 

 この外の音…きっとみんな戦ってるんだ。それなのに私はこんなところで…!

「みんな…みんな戦ってるのに!」

 悔しい、その思いで私を捕らえる壁を叩く。何がゼロの親衛隊だ。こんな大切な時に戦えないなんて役立たずだ!

「くそっ!」

 八つ当たりに拳を叩き込む。

 

 ミシミシッ!

 

「えっ?」

 壁をよく見てみると。ひびが入っていた。毎日の鍛錬は無駄ではなかった。そうか、ルルーシュの奴ここまで計算して…!

「ふんっ!」

 ひび割れた壁を中心に連続の渾身の殴打。拳をそのまま打ち付けるのは怖かったのでドレスを破いて巻き付けてサポーターにする。

「ふん!ふん!」

 何度も、何度も、壁を殴打…やがて壁の破壊に成功する。

 

 しばらく政庁内を走っていると、誰かが壁を叩く音が聞こえてきた。もしかしたら誰かが助けに来てくれたのかもしれない。

「…誰かいるの?」

『…です!…人……で…!』

 少し壁から距離をとると、コンクリートの壁を突き破り、声の主が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日本人は撲殺です!」

 

 なんて事だ、声の主は撲殺皇女ユーフェミアだった。

「シュナイゼルお兄様ったら酷いわ!私をこんなところに閉じ込めて…折角黒の騎士団の方々が来ているならお出迎えしないと!…あらぁ?あなた確か一緒にキャンプした…。貴方は…日本人じゃ無いわよね?良かった。日本人だったら殴り殺さなくちゃいけないもの」

「…ブリタニアの血も半分入ってるけど、私は日本人よ。」

 殴り殺せるもんならやってみなさいよ。撲殺皇…って近い…!もう拳が目の前に……!!

 

「日本人を名乗る人はみんな撲殺です!!!」

 

 …目の前に迫っていた拳は誰かの掌によって防がれていた。でも、いつの間に…?

「大丈夫ですカ?カレンサン」

「このっ…離しなさい!」

 ユーフェミアの拳を止め、更に殴打を食らっても倒れない。ゴーグルで目元は見えないけれど、このルルーシュ並みの筋肉、白く煌めく歯、そしてこの独特な喋り方…

「貴方、ロロ ランペルージ!?」

「Yes I am!」

 更にユーフェミアはロロに金的を仕掛けるが、ロロはピンピンしていた。

「ノー!それはブラザーに仕掛けて失敗したことがありますカラ、勿論対策してマス!」

「なんですか貴方は。私はその方を…」

 次の瞬間、ユーフェミアはロロの腕の中で気絶していた。

 あ、ありのまま今起こったことを話すわ…!ユーフェミアに殴られると思ったらユーフェミアが気絶していた。何を言っているのかわからないと思うけれど、私にもわからなかった…瞬間移動とか、超スピードとかそんなチャチなものじゃァないわ。私の理解を超えるなにか恐ろしいものの片鱗を味わった気がするわ…!

「カレンサンはこの先の格納庫に向かって下サイ。咲世子と紅蓮が待ってますヨ。ボクはこの人を連れていかなくちゃいけないカラ」

「分かったわ。ロロも無事でいてね!」

「HAHAHA!!誰に言ってるんデス?」

 

 ロロに言われた通り、進んでいくと、そこには何か違う紅蓮があった。名は紅蓮聖天八極式…これなら…!!

 

 

 

『ブラザー!ユーフェミアは確保しまシタ。ナイトメアを奪ってそっちに向かうヨ』

「いや、今合流するのは危険だ。先に斑鳩に戻ってユーフェミアを部屋に押し込んでから合流しろ。こちらの戦局は拮抗しているがサザーランド如きで覆る戦いでは無い。それに乱戦ではお前のギアスを無闇に使うのは危険だしな」

『オーケーブラザー!』

 これで姉上に最低限の義理は果たせそうだな。それに姉上がこちらに寝返り戦ったことは既に知られている…更にユーフェミアの身柄はこちらが確保しているとなれば…まだまだ踊っていただきますよ姉上…。

『ゼロ!答えてくれ!自分が原因でこの闘いを始めたのだとしたら…』

「自惚れるな。お前は親を、日本を…筋肉以外を尽く裏切ってきた男だ。だから友情すら簡単に裏切る…ただそれだけのこと」

 そして接近してきたモルドレッドを殴り飛ばし、モルドレッドの極太ハドロン砲を絶対守護領域で弾く。スザクの相手はみんなに任せてここは先にナイトオブシックスを始末しておくか。

「お前のブレイズルミナスとやらとこちらの拳、どちらが上かな?」

 蜃気楼による連続パンチ、一撃を与えて離脱し、すぐに絶対守護領域を展開してそれを足場に方向転換、空中を縦横無尽に駆け巡り四方八方から拳を叩き込む。しかし流石だな、この拳でも簡単に壊せないとは…だが、全方位シールドなど…いつまでエナジーが保つかな?

『動けない…』

「堅いだけのナイトメアなど!!」

『ゼロ様、咲世子です。ナナリー様を確保しました。』

『キャータスケテーワタクシヲドコニツレサルキデスカー』

 ナナリー…こちらの意図を汲んで合わせてくれるようだな。棒読みのナナリーも可愛い。

 あとはこのままモルドレッドを始末して…むっ!?

『ゼロォ!』

 モルドレッドを始末する直前、ミサイルが飛来したため絶対守護領域で跳ね除ける。…モルドレッドはあの損傷だし落下もしている、ならば戦線復帰はないだろう。

 それにアレは…卜部から報告のあったナイトオブテンの機体か。確か突破力が異常だとか…ならば俺が直々に始末してやる…!

『ゼロ…私は美しい華が好きでねぇ…。だが黒い華は好みじゃないんだ』

「ほう?ならばキミには消えてもらおう」

 液体金属の凝固プリズムを取り出し、投擲!

『おおっと!』

 隙を晒したな?馬鹿め食らうがいい、相転移砲を!

『胸から出されるビームと先ほどのプリズムからの反射レーザーだろう?枢木から聞いているよ。ラウンズ相手になど同じ手が効くとでも?』

 馬鹿な、戦闘中に情報共有を…!?なっ何!?…しまった!敵の伏兵か…!両手足を拘束された…!だが、絶対守護領域で防御はできる!奴の武器は…どうやら右腕のドリルのようだが…

『さぁ!醜い華はさっさと散れェ!!』

 …い、いけない!モルドレッドを始末するのに時間をかけすぎた…!エナジーが保たない…!!

 

 その瞬間、蜃気楼の手足を縛る内の右腕を拘束する機体が爆発する。よし、この隙に…!自由になった右手のハドロンショットを使い拘束を解除して…

『させるかッ!』

 チッ!ラウンズめ、すかさず距離を詰めてきたか…!

 だが、俺とラウンズの間に輻射波動のビームが放たれる。

 

『ゼロは私が守るッ!!』

 

 どうやらやってくれたのはカレンのようだ。

「よし、そいつの相手はお前に任せる、私はスザクを始末しに行く!」

 藤堂からの報告では各地のゲフィオンディスターバーが破壊されている。時間はあまりないだろう。

 

 

 

 折角ゼロを始末できると思ったのだが…まぁ、黒い華よりは赤い華の方が好みだ。

「ヴァルキリエ隊は地上の雑魚を始末しておけ!こいつは私が相手をする!」

『『『イエス マイ ロード』』』

 これで邪魔は入らない…!

「さぁ、赤い華よ!私を満足させてくれッ!」

『その声…ふーん、ブリタニアの吸血鬼さんね。悪いけど、戦場で会った以上死んでもらう』

 ほう…?この女あの時の捕虜か…

『ブラッドリー卿、紅蓮の破壊許可が降りました。』

 破壊許可?関係ない、戦場に出てきた以上盛大に咲いてそして散って貰うだけだ。

 確かあの機体の恐ろしい武器は右腕の、フクシャハドーと呼ばれる一撃必殺の超兵器…ふむ、これが終わったらパーシヴァルに取り付けてもらうか。

 そう思っていると目前にその右腕が迫っていた。

「おおっと!」

 回避すると味方が貫かれ爆散していく。なるほど、右腕は有線式で切り離して自立行動しているのか、つまり本体は今ガラ空きッ!

 まずはシールドミサイルで牽制…回避されたか、だがそれくらいは対応圏内、ハドロンショットで回避行動を制限して距離を詰める!

 

 よし、この右腕で貫いてやる!

「さぁ!真っ赤な華よ咲き乱れろォ!!」

 突き出した右腕は短刀によって防がれた…が、終わりじゃ無いんだなこれが!

「これで決着はついた!」

 頭部のスラッシュハーケンで…

『ブラッドリー卿!』

 なっ!?ソレイシィ…!このタイミングで何故パーシヴァルを足蹴に…!私の邪魔をするつもりか!?

 

 その瞬間、真上から放たれた赤いフクシャハドーのビームがソレイシィのヴィンセントを消し飛ばす。まさか…あいつ私を庇って…!?

『邪魔が入ったけどこれで貴方の負け』

 再び射出された右腕をこちらも右腕で受ける。確か枢木が言うにはフクシャハドーに掴まれたらすぐにその部位を切り離さねばやられるらしい。右腕をパージすると同時にパーシヴァルの右腕が爆散した。成程、確かに強力だ。こちらは頭部のスラッシュハーケンを放つも、短刀を投擲され防がれた。

「まずい…!この私が…!」

 続けての右腕の殴打は盾を弾かれる代わりになんとか防ぎ、脚のハドロンショットを放つ…が躱された。なんだあの反応速度は…いけない…もう打つ手が無い…!

『そんなに華が好きならさァ…!アンタが盛大に咲きなッ!!』

 このままでは…やられる!

『ブラッドリー卿!お逃げ下さい!』

『邪魔をするなァ!』

 紅蓮とパーシヴァルの間に躍り出るも、2機のヴィンセントが一瞬で屠られる…!機体ポテンシャルが違い過ぎる…!くそ、私はこんなところで殺されるわけには!

 …!不味い掴まれたッ!

『捕まえたァ!食らいなァッ!!』

 なんだこれは!?か、身体が…燃えるように!!

「散ってしまう!私がァ!!このッ…………」

 

 

 

 ルルーシュ…何て苛烈な攻撃を…本気で僕を殺す気らしい…!それにジェレミア卿の攻撃、絶妙なタイミングでこちらのカウンターを潰してくる…隙が無い!

『枢木卿!ブラッドリー卿が…!』

 いけない…!アーニャも撃墜されてるから…!

『ス、スザク!そっちの援護にはいけそうに無い!さっきからカレンに追われててさ…おっと!』

 いや、この場は寧ろカレンを抑えてくれてるだけでも有難い。でもジノがカレンとやり合ってるってことは…

『枢木ィ!!』

「やめて下さい!皇女殿下!」

 MVSでランスの刺突を防ぎ、すぐさま蹴って距離を取る。続け様の援護射撃をブレイズルミナスで弾き…ルルーシュはどこだ!?

『命は貰ったッ!!』

「背後から!」

 回し蹴りを放つが、拳で殴り返され、脚部が砕け散った。やはりあのパンチを受けるわけにはいかない…!

『スザク!撃ってよフレイヤを!貴方も助かるのに!』

 ダメだよニーナ、これをこんな租界のど真ん中で撃てば沢山の人が犠牲になる。僕にその引き金を引く覚悟はない…!

 

 覚悟がない…?なんだ…?僕は……俺は…………

 

『終わりだ!枢木 スザク!!』

 MVSの斬撃を白刃取りで止めさせ、続けてのグロースターのランスの投擲を左腕を犠牲に対処。ヴァリスはルルーシュとの戦い中でとっくに叩き落とされていたので白刃取られたMVSをわざと折って拘束を逃れつつ、蹴りで距離をとり、欠けたMVSを投擲して空いた手を腰に伸ばす。

 

『"鍛えろ!"』

「俺は…鍛えるッ!!」

 覚悟を決められないような弱い心は…鍛えればいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フレイヤ…発射。

 




なんで私特に思い入れのないルキアーノに一人称視点与えてるんだろう…。マオの時はギアスの演出上もあってやったんですけど…

これが投稿される時点で先の話を突然書いてるんですけど、続きを早く見てほしい欲が凄く溢れますね。特別な場合を除いて一日一話ですけど。
…それでも毎日投稿ってすごいと思いません?(唐突な自画自賛)

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