ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

57 / 156
 天空要塞ダモクレス。シュナイゼルがトロモ機関に作らせたそれは空に浮かぶ要塞。高出力のブレイズルミナスはあらゆる攻撃を弾くかもしれず、搭載したフレイヤは全てを消し飛ばす。

 そのフレイヤはペンドラゴンへと落とされた。

 ナナリーはシュナイゼルからルルーシュの悪政を打倒するためと聞いていた。そしてペンドラゴンの人々は既に避難済みとも。
 そしてナナリーはシュナイゼルに提案をした、「フレイヤの発射スイッチを下さい」と。
 それにシュナイゼルは計画通りと思った。

 そしてそれはナナリーも同様だった。

それでは本編スタートです!


TURN23

『陛下!アヴァロンから緊急入電です!』

 超合衆国を制圧したものの、スザクの声の焦りは尋常ではなかった。やってきた兵隊達に各国の代表達を連行させつつ報告を聞いた。

『帝都ペンドラゴンにフレイヤが…!』

 シュナイゼルに先手を撃たれたか…兵士達に持って来させた輸送機に乗り、モニターで確認すると建造計画書で見た天空要塞ダモクレスの姿があった。

『ルルーシュ、これは君の予測していた…』

「あぁ、そのようだな」

 スザクと皇室専用チャンネルで通信をしていると誰かが割り込んできた…このタイミング、シュナイゼルか

『筋肉を鍛えるのは気持ちが良いよね。でも、他人を従えるのに喜びを見出し始めたら終わりだよ、ルルーシュ。フレイヤ弾頭は全て私が回収させて貰った。』

「ほう?ブリタニア皇帝に弓を引くと?」

『残念だが、私は君を皇帝と認めていない』

 なるほど、自分こそがふさわしいと言いたいわけか…面白い…!今度こそ完膚なきまでに叩きのめしてやるぞシュナイゼル…!

『いいや、間違ってるよルルーシュ…ブリタニアの皇帝に相応しいのは彼女だ』

 そう言って映し出されるのは正に絶世の美少女、神の求愛を受けた美しい容姿に聞けば天にも登るような声音、その髪の色は美しく、独特な癖毛が唯一無二と言える存在だと知らしめる…即ち我らが愛すべきナナリーだ。ナナリーが生きていてくれた…!なんということだ!俺は今初めて神とやらに感謝している。しかし、それを顔に出すわけにはいかない。そのナナリーがシュナイゼルの手にあると言うことはこれは奴のジョーカーだ。俺に対しての…

 ナナリーは頬を膨らませ、眉を一生懸命吊り上げている。可愛い。

「お兄様、スザク、私はお二人の敵ですよ」

 一生懸命怒っている様な声音を出している。可愛い。だが、相手は長年共に過ごしてきたナナリー、モニター越しでも分かる。敵の態度ではないと。恐らくナナリーのことだ、また行政特区の時のように俺を助けようとしてくれているに違いない。そうなればこちらの打つべき手は…

「ほう?愛らしい姿で我々を籠絡しようとは…しかし、この私がそんな物に動じるとでも?それに…お前はシュナイゼルが何をしたかわかっているのか?」

『はい、帝都ペンドラゴンにフレイヤ弾頭を撃ち込んだんですよね』

 やはりやったのはシュナイゼルか

『それがわかっていて何故!』

『黙りなさいスザク!ギアスの方が正しいというのですか!?あともし私のところに来ることがあればまた限定品のパンといちごミルクを買ってきてください。デザートのプリンも忘れずに』

『え?あ、はい。』

『ナナリー?枢木 スザクにここに乗り込まれたらそれは我々の負けだよ?』

 今のうちに他に誰がシュナイゼル側に付いているか確認しておくか…。ディートハルト…ふむ、シュナイゼルの中に何かを見出したか。それにギルフォード卿…仕える姉上の代わりにナナリーを守ろうとでもしているのか?律儀なことだな。

「我が妹よ、お前がシュナイゼルと手を組み、我が覇道の前に立ちはだかるというのなら容赦はしない。この分厚い両腕で叩き潰すだけだァ…!」

 そう言って通信を切る。

 

 まさかナナリーが生きていてくれたとはな…。するとさらに通信が入った。相手はジェレミアだ。

「どうしたジェレミア」

『はい、先程シノザキなる女性が陛下にお取り次ぎをと…』

「何!?咲世子が!?」

『はい、トウキョウ決戦においてナナリー様はシノザキ…あぁ、サヨコ殿と共に逃げ、その後シュナイゼルによって捕縛…カンボジアから遥々その情報をと』

 そうか…見間違えるはずもないがやはりあれは本物のナナリー、そして何故生きていることが今までわからなかったのか納得もいく。シュナイゼルめ…!しかし、流石は咲世子だ、よく頑張ったと褒めてやりたいところだ。咲世子は華奢だが間違いなく心の筋肉を鍛えたマッスルウーマンだろう。

 元よりナナリーの生死に関係なくシュナイゼルとは決戦をする予定だったそれにこれは都合が良い。俺の後の皇帝にはナナリーがなれば良い、優しいナナリーならばきっと…良い世界を築いてくれるはずだ。

 

 そしてブリタニア軍を使い日本を再占領、しかし帝都ペンドラゴンの消失により内政機能が麻痺、各エリアの軍隊は黒の騎士団と対峙している為下手には動けない。だが、これはいつ崩れてもおかしくはない。こちらの部隊は日本を再占領した部隊のみに限られるが、ナイトオブラウンズは4人ともこの戦場に投入している。つまり更なる援軍が来る前に黒の騎士団とシュナイゼルは攻撃を仕掛けざるを得ない…ならば俺の勝利は確実。

「この戦いこそが世界を賭けた決戦となる!シュナイゼルと黒の騎士団を倒せば我が覇道を阻む者は一掃される。世界は我が筋肉によって破壊され、筋肉のようにより強靭なものとなって創造される!ブチ砕くのだ!敵を!シュナイゼルを!天空要塞ダモクレスを!その筋肉で!!恐れることはない、未来はこの筋肉と共にある!!!」

 

 そして…ダブルバイセップス!

 

 蜃気楼の中からシュナイゼルへとオープンチャンネルを繋げる。

「ご機嫌ようシュナイゼル。あなたはフレイヤを切り札のように掲げているが果たして撃てるかな?」

 俺は用意しておいた人質達の映像を見せた。

『人質が…でもね、世界の平和と僅かな命、比べるまでもない』

 残念ながらシュナイゼルにとってはそうかもしれないが黒の騎士団はそうはいかない、特に星刻はな…!

『撃つなよシュナイゼル!その時は私の拳で貴様を殺す!こちらとていざという時の覚悟はあるが…無駄にして良い命など無い!』

『ならば全体の指揮系統は私に譲ってくれるね?安心したまえ、私はチェスでも殴り合いでもルルーシュに負けたことはないんだ』

 いつまでも中華連邦のとかの俺と同じだと思うなよ…?

「どれ…手合わせ願おうか!!」

 愚かなりシュナイゼル!俺はお前との会話の中、ずっと解析していたのだ、俺は蜃気楼から液体金属を凝固させたプリズムを発射、すぐさま相転移砲を放射し、拡散した相転移砲が黒の騎士団のナイトメアを破壊する。そして俺はこのとっておきの秘策を早速披露する…

 

「全 軍 全 速 前 進 だ ! !」

 

 以前のコーネリアとのサイタマでの戦いで学んだことがある。チェスはお互いの駒の力が同じだからこそ成り立つゲーム!だが、現実ではそんな状況はあり得ない。こちらの盤面には幾つものクイーンがあるようなものだ。ならば細かい陣形のやり取りなどせず、速攻で決めてやる!戦いが長引けばフレイヤ封じの策も機能しなくなるからな…!

「敵左翼はジェレミア、ロロ、C.C.が抑えろ!右翼はユフィ、卜部で抑える!正面戦力は私とスザクで蹴散らしてやる!!」

 

『私を相手に天子様を人質に取ることがどういう事か分かっているのか!?真のマッスルガイとは何かを教えてくれた貴方が!』

「お前が真のマッスルガイだと?ふざけるな、お前のような出来損いが…マッスルガイなどと、その気になっていたお前はお笑いだったぞ星刻!」

『…貴様ァ!』

 神虎の天愕覇王荷電粒子重砲…我が相転移砲で相殺してくれる!こちらのハドロンショットはフーチ型スラッシュハーケンに阻まれるか、ならば!

 

「拳を食らえ!!」

 

 しかし神虎は近くの暁にスラッシュハーケンを掴ませると一気に後退した。

『君と接近戦をするつもりはない!』

 それで俺から逃げられるつもりらしい…愚かな事だ

「雑魚の暁と協力したとて、俺から逃げることは出来ぬゥ!!」

 後方に展開した絶対守護領域を蹴り、一気に距離を…

『ルルーシュ!上だ!』

 上?…何ッ!?

『ルルーシュッ!!』

 紅蓮の右腕…カレンか!スザクのお陰でギリギリ防ぐ事はできたが…!

「助かったぞスザク」

『礼は不要だよ。僕らにはなさねばならないことがあるからね』

 …そうだ、あらゆるものを犠牲にしてでも俺は世界を手に入れる…!

 

 

 

『カレンの相手は任せるぞ』

「イエス ユア マッスル!」

 カレン相手に出し惜しみはできない…ロイドさんとセシルさんの話曰く、カレンの乗る紅蓮聖天八極式は"今の僕が操る"ランスロットアルビオンよりも高性能、しかもパイロットのカレンは女性だから負荷への耐性が高い!つまり…今のところは彼女の方が強い…だから勝つには…"鍛える"しかない!

『スザク!決着をつけるよ!!』

「あぁ、僕達の殴り合いに!!」

 スーパーヴァリスは…ダメだ、輻射波動に止められる。エナジーウィング…あちらもエナジーウィングを持っているから相殺される。MVSによる攻撃…あちらの十手型のMVSに止められる、スラッシュハーケンを…ダメだ、あちらのスラッシュハーケンに弾かれる!幸いあちらの攻撃はシールドで止められる…だったら…!

 

「蹴りを食らえ!!」

 

 ブレイズルミナスを展開した蹴りを!

『甘いよスザク!』

 輻射波動を展開した掌底…!?カレン…やるな!

『全軍このまま前進せよ!両翼は我が軍が押し切りつつある、このまま力で捻じ伏せろ!』

 ルルーシュ…君の覚悟を無駄にはできない、ゼロレクイエム…アレを完遂させる!それが…!

『…さっきよりも早い!』

 対カレンの戦いで僕は鍛えられた!ならばマッスルデバイスがランスロットの限界を引き上げてくれるはず!ビスマルクさんをも破ったこの陽昇流誠壱式旋風脚でトドメを!

『待て待て待てーい!この玉k』

 何!?カレンの前にいきなり暁が!機体を丸ごと盾に止められた!?いけない…!

『スザク!!』

 投げられた十手を弾くとすぐさま右手が迫ってくる。スーパーヴァリスを放つが輻射波動に止められてしまった。いけない…!もっと、もっと鍛えなければ!

 

『は、早い!』

 数度の紅蓮との攻防、僕の身体は更なる鍛錬を得た!もう一段階ランスロットの力を上げられるはず!だが、紅蓮だけを相手にしているだけでは鍛錬の効果は薄い!もっと、もっとだ!!もっと!!!紅蓮を蹴り飛ばし、スーパーヴァリスを構える。

『そんな武器なんか!』

 カレン、残念だけど…

 

 僕は構えたヴァリスを戦艦に向ける。ルルーシュ曰く斑鳩と名付けられた黒の騎士団の戦艦だ。あれを墜とせば更なる鍛錬となる!スーパーヴァリスに対して斑鳩はハドロン砲を放ってきたけれど、ルルーシュ曰くあれに連射機能はない。

『待て!』

 紅蓮の攻撃に対し、MVSを投げつけることで牽制し、一気に斑鳩に接近する。動力部を破壊すればあとは落ちるだけだ。ブレイズルミナスを展開した蹴りでフロートに蹴りをブチ込むと程なくして煙が上がる。

『扇さん!…スザクゥゥゥゥ!!!』

 カレンがまた向かってくる…来い、僕は今君を相手しつつ戦艦を一つ落とした…これで僕の筋肉はさらに鍛えられたはずだ!

『よくやったスザク!私は今からダモクレスに直接攻撃を仕掛ける!紅蓮と神虎を抑えておいてくれ!』

 2対1か…ならば僕の筋肉はさらに鍛えられるな…!!

 

 

 

『斑鳩が墜落とはね…さらに両翼も抑えられている…まさか単純なゴリ押しでここまで苦戦させられるとは…でもねルルーシュ、チェックをかけられたのは君だよ…さぁ、ナナリー、フレイヤを』

 流石はお兄様、シュナイゼルお兄様を策もなしに追い込むなんて…。いいえ、これは恐らく私の事を想定しての策。

『…?どうしたんだい?ナナリー、標準はもう合わせてある。あとはスイッチを…』

「すみません、シュナイゼルお兄様…スイッチは先程落としてしまいまして」

 

『…え?』

 

 もちろん嘘だ。だが、スイッチは押さない、私はスイッチを押させない為にこれを手にしたのだから。

 そう、あのお兄様なら見越していたはず、私がシュナイゼルお兄様からフレイヤの発射スイッチを譲り受け、それを「使わない」という選択を取るであろうということに。あとは私を救いにやってくるであろうお兄様にこれをお渡しするだけ。あぁ、待ち遠しい…

 シュナイゼルお兄様は私をお兄様へのカードとして切ったようですが、そうはさせません。効果的なカードとして突き刺さるのはお兄様のカードとして、そして窮地に追い込まれるのはシュナイゼルお兄様の方。

『ナナリー…まさか君は…なるほど、そういう事かい。参ったな、私が読み負けるとは。君を侮って…いや、その可能性を捨てきってしまっていたよ』

 

 私にはお兄様さえいれば良いのですから。

 

 

 

 ダモクレスのブレイズルミナスか、そんなものは蜃気楼の絶対破壊両腕を持ってすれば破壊可能だ。

 背面に展開した絶対守護領域を蹴り、最高硬度の絶対守護領域で殴り付けるとブレイズルミナスが砕け散る。後はダモクレスの内部を制圧して黒の騎士団をボコボコにブチのめせば誰も俺に逆らえなくなる。

「まずは脱出経路を封じておくか」

 蜃気楼で側面の壁に穴をブチ開け、蜃気楼を降りて内部を探索する。

 

 小賢しくゴーグルをしているが、接近してブン殴ればギアス対策など無意味。

「"私の指示通りに動け!"」

「イエス ユア マッスル…」

 その後も片っ端から殴ってギアスを掛けて進んでいく。途中で管制室のようなところに出たので調べてみるとフレイヤでの自爆をセットしているようだ。

「シュナイゼル…無駄なことを。」

 ギアスで操った兵士達に見張らせ、制御システムにハッキングして自爆を解除させる。ついでに監視カメラのハッキングも済ませてダモクレス内の映像を確認した。どうやらシュナイゼル達は脱出する気らしい。無駄な事だ。脱出艇を発信できないように小細工を仕込む。

 そして脱出艇のモニターに通信を繋げると、シュナイゼル達が映し出された。

「シュナイゼル、どこへ行こうと言うのかな?」

『…そうか、チェックメイトを掛けられたのは私か…なるほどね』

 そう言うとシュナイゼルはシートに腰を掛けた。

『教えて欲しいな、何故私は負けるのか…』

「筋肉が足りないからだろう。あなたには鍛える気がない。」

『やはりそうか…と言う事は私を殺すのかな?しかし君がここに走って到着するまでどれほどの時間が掛かるだろうね?』

 いいや、違う…間違っているぞシュナイゼル。俺は思いきり跳躍し、天井をブチ抜く。そしてそれを繰り返し、シュナイゼル達のもとに向かう。そして天井と脱出艇の底をブチ抜き、眼前のシュナイゼルの顔面に拳を叩き込む。

「は、早すぎる…!」

 そして俺はシュナイゼルの顔面を鷲掴んだ。

「筋肉の鍛錬を怠り筋肉の可能性に気がつけなかったあなたの負けだ。そしてあなたには…”ゼロに仕えよ”という言葉をプレゼントしよう。」

 こうしてシュナイゼルは我が軍門に下った。更にシュナイゼルの側近に腹パンをぶち込み気絶させる。

「ゼロ…!貴方の物語は既に完結している…!貴方は、生きていてはいけない!」

 ディートハルトが突然こちらにピストルを向けてくるが、そんな豆鉄砲を恐れる俺ではない。そしてディートハルトはピストルを放つが、俺の前に躍り出たシュナイゼルがピストルの弾を弾き、ディートハルトの首に手刀を叩き込む。どうやら打ち所悪く首の骨が折れた様だ…これは死んだな。まぁそんなことはどうでも良い。

 

 あとはナナリーのもとにダッシュで向かうだけだ。待っていてくれ!ナナリー!!




脳筋ルルーシュによるダモクレス攻略法:ナナリーが発射スイッチを抑えて撃たないことを信じて全速全身して速攻で乗り込む
RTAかな?

地味に22話のガングラン、二重の極み理論で攻撃したんですけどわかる人居たんですかね。

2022年8月23日4:17に「TURN20」のスザクとビスマルクの肉弾戦のシーンに少しだけやりとりを追加しました。でも聖闘士星矢知ってる人じゃないと分かりにくいネタになってますね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。