「雨の中話すのもなんですからお店でお茶しながら話を聞かせてくれませんか?」
見るからに怪しい男の人をお茶に誘うなんておかしいかもしれない。でも、私のパンクした頭ではそれを言うのが精一杯だった。
雨の中、私はルルにキスをせがんだ。
車の中、私はルルがゼロだと唆された。
港の中、私はルルがゼロだと気付いた。
山の中、私はルルにルルを忘れろと言われた。
腕の中、私はルルがゼロだと思い出した。
いきなり現れた皇帝陛下によって私は何かをされた。そしてついさっきそれまで忘れていたナナちゃんのこと、そしていきなり現れたルルの弟のロロ。訳がわからないし、いつのまにかナナちゃんが皇女様になっていた。私にルルがゼロだと言ってきた軍人さんは破廉恥な水着を着た先生だし、ルルーシュはゼロだ。カレンもテロリスト。何が本当で何が嘘かはわからなかったけれど、私はルルが好き。それはわかる気がした。
「アイスティーをお願いします。」
「では私はコーヒーをいただけますか?」
「かしこまっ!ちょっちまってて〜」
赤毛の明るい店員さんに注文すると沈黙が訪れた。
「申し遅れました。私、ジェレミア ゴットバルトと申します。元ブリタニアの軍人です。」
「えっと、そのブリタニアの元軍人さんがなんのようですか…?」
「私はナリタにて貴方のお父上に命を救われたのです。」
「えっ、ナリタって…」
ジェレミアさんは少し気まずそうな顔をした。
「私は、フェネット氏の真相をあなたにお伝えせねばならないのです。」
お父さんの死の真相…?ゼロが…ルルーシュが犯人じゃないの…?
「実は、フェネット氏は私を庇い、轢かれてしまったのです。…ブリタニアの極秘研究機関のトラックによって。」
ジェレミアさんは尚も話を続けた。
「そして、あろうことか…!そのブリタニアの職員は口封じと偽装を兼ねてフェネット氏に銃を向けたのです!今なら殺しても黒の騎士団のせいにできると!わ、私は…!私は守れなかった…!軍人でありながら、怪我をしたという理由でフェネット氏に親切にしていただき、肩まで貸していただいた!シャーリー様のことを自慢げに話して下さいました!そのフェネット氏は私を庇い、殺されたのです!」
「そんな…」
だけれども、不思議と今更ブリタニアのその研究機関を恨む気にはならなかった。多分、優しかったお父さんはそんなことは望んでいないと思うから。
「私を…私を庇ったりしなければフェネット氏は死ぬことはなかった!私がフェネット氏を殺したも同然です…!貴方様に何をされても私は文句は言えません。如何ように…」
そう言ってジェレミアさんはまた頭を下げてしまう。
「頭を上げてください、ジェレミアさん。私、許します。そもそもジェレミアさんは悪くないし…」
「何という寛大なお心…!」
お父さんには悪いけど、私の心はルルがお父さんを殺した犯人じゃないって分かったことが…一番嬉しかったな。
ジェレミアさんとはそこで別れ、私はスザクくんと話をするためにイケブクロへと向かった。
フェネット氏の死の真相です。
まぁ、わざわざ語るまでもないのですが