色々なことがあったけれど、無事日本という国は復活した。そしてブリタニアとの政治も和解路線で進んでいることもあり、今この日本ではブリタニア人と日本人が混在している。
特にカレンなんかはブリタニアの学校…まぁ、元々通っていたって言うところも大きいんだろうけど…に通い直している。それにしてもなんで道場ってのはまたこんな田舎の、しかも山の上に作るのかな。一度眼鏡を外し、手の甲で顔の汗を拭う。こういう時いちいち外さなくちゃいけない眼鏡って不便だよね…
石段をようやく登り切ると道場が見えてくる。元々藤堂さんの道場があった土地を整備し直したものだ。まぁ、今は藤堂さんは黒の騎士団の仕事で不在だから別の人が師範をしてるけどね。
「おーい、う…表屋さん」
「おぉ、朝比奈か。よく来たな。」
そこそこ広い道場のど真ん中で座禅を組んでいた表屋さんがこちらにやってきた。
「道場は繁盛…してなさそうですね」
「まぁ、仕方ないさ。宣伝もほとんどできていないしな。しかし朝比奈、お前息切れしてるじゃ無いか。…鈍ったんじゃ無いか?」
「僕も歳ってことですかね」
表屋さんは呆れた表情になった。
「亡くなられた仙波大尉の前でも同じことが言えるのか?」
「…そうですね、鍛え直します。って言ってもこの脚じゃぁ…ね」
「…まだ本調子では無いのか」
僕は悪逆皇帝ルルーシュと黒の騎士団の最終決戦、ダモクレスを巡る戦いの中で怪我を負った。まぁ、死ななかっただけでも儲け物だとは思ってるけどね。しかしながらその後遺症で今も右脚が上手く動かないのだ。
僕は改めて道場の名札掛けを見る。藤堂さんと表屋さんの名札しか掛かっていない。繁盛してないどころの話じゃ無いよねこれ。まぁ、別にお金には困ってないから良いんだろうけど。
「それにしてもこの道場もすっかり綺麗になりましたね。前来た時なんて目も当てられないほどボロボロだったって藤堂さんから聞きましたよ。」
「あぁ、なにぶん時間だけはあったからな。それに雑草抜きは足腰が鍛えられる。」
そんな他愛無い話をしていると、僕らに声がかけられた。
「ごめんくださいモニ!」モニ!
モニ…?まさか…
「モニカ殿!?何故ここに」
「何故って…ここで日本の剣術が学べるとアーニャから聞いたモニ。だから学びに来たモニ。」モニモニ
間違いない、元ナイトオブトゥエルブのモニカ クルシェフスキーだ。神根島の闘いで森の中を彷徨っているところを黒の騎士団が保護し、その後は蓬莱島で監視対象になっていた。そしてルルーシュが死んだ日はコーネリア達と共に僕らの解放のために動いていた。
「モニカ殿…みかん農園の方はよかったのですか?」
「機械化も進んでるし、元々私は加工食品を担当することの方が多かったモニ。あ、これお土産のみかんモナカモニ。」モニ~
「おぉ、ありがたく頂戴しておこう。」
モニカさんはキョロキョロと周りを見渡している。日本の文化に興味があるようだ。
「それにしてもまさか初めての門下生がブリタニア人とは」
「あれ?もしかしてブリタニア人はダメモニ?」モニ?
「いや、そんなことはない。藤堂流剣術道場はいかなる国籍、年齢、筋力、性別を受け入れるのがモットーだ。」
そしてモニカさんはあるものへ指を刺した。達筆な筆で書かれた日本語だった。多分モニカさんには読めなかったのだろう
「あれはなんて書いてあるモニ?」
「ん?あぁ、あれか…」
「"四聖剣は虚名にあらず"」
朝比奈くん、実は生きてましたってお話。
Q.「表屋」って誰?
A.オリジナルキャラクターです。「表屋 稚炎(おもや ちえん)」と言います。