冗談はさておき今回も短い割に色々と酷いです。
ゼロレクイエムの後、私は強制労働施設に入れられました。多くの命を奪った罪、憎まれる者の末路としては当然でしょう。しかし、しばらくするとナナリーのおかげで私たちは施設の外に出ることが出来ました。それからは黒の騎士団の将校として身分と責任のあるお姉様に監視されるという名目で引き取られ、昔のように姉妹で仲良く過ごしています。流石に私を黒の騎士団で雇う事は出来ず、私は職を探しました。
そして私はなったのです。プロの…
レスラーに。そして謎の仮面闘士マスク ド ユフィとして多くの人をボコボコに打ちのめし病院に送る毎日を過ごしています。
そして今日は特別な試合のある日、念入りな調整を済ませ、控えスペースに待機し、呼ばれるのを待ちます。
『赤コーナー!誰かこいつを止めてくれ!病院送りは当たり前!拳を振るうは撲殺皇女…マスク ド ユフィーーー!!!』
「撲殺です!」
私が手を振りながらリングの上に登るといつものように観客の皆さんが豚の真似をして声援を送ってくれます。
「ユフィー!応援してるぞー!!」
いつもの席にいるお姉様とギルフォードにも手を振り、私は対戦相手を待ちます。
『青コーナー!素手でナイトメアを倒し、空を走る我らが伝説の仮面の英雄!…ゼロの登場だー!!』
ゼロに扮するスザクが無言でリングに上がるとダブルバイセップスを決めました。今日も見事な筋肉です、流石は私の騎士。
私は手を差し出し笑顔で語り掛けます。
「ゼロ、手加減は必要有りません、全力でかかってきてください」
「…」
コクリと頷き、手を握り返してきたスザクの手を思い切り握って逃げられないようにして、私はゴングが鳴る前に、懐から肉叩きを取り出し、それで思い切り殴りかかります。
「!?」
『で、出たー!マスク ド ユフィの容赦ない試合開始前の不意打ちだー!!』
『あの技で多くの対戦相手をKOして不戦勝になってますからね、ゼロの行動に期待です』
『まぁ、彼女にとっては軽い挨拶みたいなものですからねぇ』
しかし流石はスザク、これくらい腕で簡単に防ぐようですね。しかし甘いです。私は予め改造をしておいたリングを思い切り踏み込んで畳替えしさせ、格納しておいたチェーンソーを手に取ります。
『おっとー!?マスク ド ユフィ、これはリングの改造かァ!?リングの改造は反則になりますがどう思われますか?解説の星刻さん』
『踏み込んだ地面がたまたま畳返し、そこにあったチェーンソーを拾っただけですからね。あれは事故です。反則ではない』
『というわけで反則ではないようです!というかまだ試合始まってないんですけどね。』
あら、そうでした。肉叩きを投げつけゴングを鳴らし、ついでにチェーンソーを起動させます。
『さぁ改めてゴングが鳴ったぞ試合スタートだ!』
「…」
スザク、ただのチェーンソーなんて効かないと余ってるのでしょう?甘いですよ
チェーンソーを振りかぶり、それを思い切り薙ぎ払うとスザクはジャンプで躱しました。予測通りです。勢いを殺さず振り抜き、そのままチェーンソーを上へと投げ捨てます。
スザク、思わず上を向きましたね?上には事前に仕込んでおいた針天井があるのです。今のチェーンソーは針天井を固定するワイヤーを切断する為のもの。スザクも空中でこちらの策に気が付いたようですね。それでは私は一度リングから降ります。
「ッ!!」
スザクは針天井に押し付けられ、リングまで落ちてきました。しかし、針の先端を握ってどうにか持ち上げているようですね。
『いやー、まさか針天井があるとは、驚きですねぇ星刻さん』
『神聖なリングの上に針天井があるなんて運営は何を考えているのだ!』
『確かにそうですねぇ。』
スザクが動けないうちに私はある物を取りに会場の外へと出ます。
私が戻るとスザクはなんとか針天井をどかしたようですね、私がどこから来るのかキョロキョロと見回していますが甘いですよスザク。私が仕掛けるのは横からではなくもう一度上から…そう、これこそ私の十八番の技…
「ッ!?」
今更見上げても遅いですよスザク。食らいなさい!
「ロ ー ド ロ ー ラ ー です!!!」
まだまだプロレスは始まったばかり、行きますよ、スザク!
ミートギアスの筋肉に犯された世界でツッコミ役不在になるとどうなるかがわかるお話でしたね…
Q.ルールは無いんですか?
A.試合が面白ければヨシ!(欠如した倫理観)