ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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「ねぇカレン…大事なこと聞いても良いかな」
「ん?何?」
「カレン、何か隠し事してない?私達に…」
「なんの話…?」
「私この前見ちゃったの。」
 カレンはポーチに仕組んだナイフを取り出そうとするが、刃物が折れたままであることを思い出し拳を握るに留めた。
「付き合ってるんでしょ!?ルルと!」
「ルル?」
「だってこの前中庭で…」
「違う違う!あれは向こうが胸倉を掴んで…」
「ルルが胸を掴んだ!?」
「変な想像ストップ!」

今気がついたんですけど、C.C.じゃゼロの替え玉出来なくね…?

それでは本編スタートです。


STAGE07 コーネリアをぶて(コーネリアを撃て)

 新しく総督としてやってきたコーネリアがサイタマゲットーでの包囲作戦をわざわざニュースで報道させていた。しかもご丁寧に時間まで報道している。十中八九誘いの罠だろう。しかし、俺にはこの"力"がある。コーネリアを倒し、母の死の真相を掴まなくてはならない。

「乗るつもりか?敵の挑発に」

「態々招待されたんだ。それにコーネリアには聞きたいことがあるからな。」

 しかしC.C.は納得しないようで、ドアの前に立ち塞がり、どこに隠していたのかわからないが、ショットガンを取り出した。

「行くなルルーシュ。お前に死なれては困る」

「言ってることとやってる事がおかしいんじゃないか?」

「片足を吹っ飛ばすだけだ。お前の場合、死にはしないだろう」

 …そうか、こいつ自身に特別な力…ギアスのようなものは無いらしい。

「お前、ギアスは使えないんだな。まぁ、予想はしていたがな。」

 俺は肩をほぐす。C.C.は俺の行動の意味を悟ったようでショットガンを構える。

「言い忘れていたが私は不老不死でな、殺しは脅しにならないんだよ。」

「その割には震えているぞ?いかに不老不死と言えど殴られるのは嫌なようだな。」

「お前に殴られるのが怖くない人間なんていないだろうよ」

「なんだ、お前は人間だったのか」

 だが俺の狙いは実際にC.C.を殴ることでは無い。今の肩をほぐす動きで服の中に隠しておいた弾丸を掌に収める事こそが本命だ。親指を弾く勢いで弾丸を飛ばし、C.C.の手に命中させ、ショットガンを叩き落とさせることに成功する。

「チッ…この肉ダルマめ!」

 拘束着からピストルを取り出し、すぐさま発砲するC.C.だが、全身の筋肉を力ませる事で弾丸を弾く。そのままラリアットをC.C.に食らわせ、流れるようにヘッドロックに繋げる。

「このままお前の意識が飛ぶまで締め固めても良いが?」

「ち…分かった、好きにしろ。思い切りラリアットなんぞかましよって…首の骨が折れるかと思ったぞ」

 手加減したつもりだが…手加減が足りなかったようだ。兎も角納得してくれたC.C.を部屋に残し俺はサイタマへと向かった。

 

 道中、サイタマのテロリストグループと見られる男をふん捕まえ、ギアスと通信機を用いてテロリストグループとの接触を図った。これで協力する気が無いのなら見捨てる他無いが…テロリストの返事を待つ間にまずはサザーランドを手に入れるために動くとしよう。

『どこの所属だ?それにその身体…腕にスタントンファーでも付けてんのかい?部隊名とIDを示せ』

「第三偵察中隊のパック シックスです。テロリストよりこのような物を押収しました。本部にご送信願えないでしょうか?」

 パイロットが降りてきたのでギアスで起動IDを聞き出しつつ顔面に肘を叩き込んで意識を奪う。

 

 サザーランドを奪った後にテロリスト達へと接触を図った。

「私の名はゼロ。シンジュク事変の事は聞いているはずだ。私に従え、そうすれば勝たせてやる」

 

 のこのこと現れた敵サザーランドをテロリスト達に破壊させ、その後も指示を出していく。コーネリアを引っ張り出すか、隙を作るか、もう暫くはコーネリアの動きを確認するのが良いだろう。

『全部隊に告げる!ゲットー外縁まで後退せよ!配置は問わない!』

 早速隙が生まれたようだ。これなら後退する部隊に紛れ込めばコーネリアのすぐ近くまで詰められるだろう。

「コーネリア…勝つのは俺だ…!」

 

 コーネリアは焦っているのだろう、親衛隊を出してなんとかしようともがいている。滑稽だ。俺はテロリストに敵味方識別信号を復活させ…囮のブリタニア機として活動させる。…しかし親衛隊は確認もせずにサザーランドを破壊した…。その後も釣り野伏せなどを仕掛けるが失敗し、気が付けば制圧されていた。馬鹿な…ゲームにすらなっていない!

 そして追い打ちをかけるように全パイロットに対してハッチを開くようにと通達がなされる。まずい…このままでは…!

 

 面通しをされれば俺が本来乗っているパイロットでない事はすぐにバレるだろう。そうなれば仮にゼロの仮面や衣装がなくても終わりだ。ギアスを使おうにも見た限り面通しをしているのはナイトメア、ナイトメア相手ではギアスは効果がない。周りの歩兵かパイロットに…その場合はどうやってこちらを任せるかがネックだ。ならば先制攻撃を仕掛けての強行突破…

 

 これしか無い!強行突破だ!!!

 

 俺は自分の番が来る前にまずハッチから姿を晒した。そして俺は全身の筋肉を膨張させ、ダブルバイセップスを決める。

「おい!見てくれ俺の筋肉を!!」

「なんだ!?」「うほ!良い筋肉!」「背中にペンドラゴンでも描いてんのかい!」

 俺の体に注目が集まった瞬間!この瞬間を逃さず俺はギアスを使う。

「"お前達も好き勝手に暴れろ"!!」

 俺の周囲の数体のナイトメアと歩兵が急に暴れ出す。混乱とはこうやって作るのだ!

『貴様何をした!』

 面通しをする為に近くに来たナイトメア…流石にナイトメアを素手でどうこうは出来ない。だがそれはあくまで装甲に対しての話!俺は勢いよく飛び出し、頭部に飛びつく。

『なんだ!?くそ…!』

 懐から取り出したライフル弾を親指の力で弾き出し、センサーを破壊する。視界を奪えば時間が稼げるという物だ。

『センサーを壊された!?貴様なんのつもりだ!』

 俺は混乱に乗じ、ナイトメアの間を縫う様に駆け抜ける。このままコーネリアの首を取ってやる!

 

 G-1内を突き進み、邪魔するものはラリアットにドロップキック、そして拳で捩じ伏せる。しかし、俺の前に1人の男が立ち塞がった。

「貴様か、ゼロとか言うテロリストは。あの珍妙な仮面や衣装は付けていない様だが…その肉体を見ればわかる。俺の目は誤魔化せんぞ。私は姫様を守る騎士、アンドレアス ダールトン!来い、ゼロとやら!」

 どっしりと構えるこの男…隙が無い…!強者である事は拳を交えなくても肌で感じる!俺はクラウチングスタートの姿勢を取り、スザクにも見せた俺の渾身の膝蹴りを仕掛ける。

 まずは一撃、膝蹴りは顔面に突き刺さる…が、この男は倒れなかった。

「中々のパワーとスピードだ!見せ筋野郎では無い様だな?ゼロ!」

「チィ!」

 その一瞬の隙を突いてダールトンの拳が俺の鳩尾を穿った。大した奴だ、このレベルの殴打を繰り出してくるとは…!

「ほう?ギルフォードの奴も耐えられん俺の拳を食らってまだ立てるとはな」

 この男、思っていた通り強い…!このままではコーネリアを殴りつけるだけの体力が保たない可能性がある…!ここまで来て…!

「どうしたゼロ。ご自慢の筋肉が萎んでいるぞ?」

 だが、俺とて無策で突っ込んできたわけでは無い。

「…む?なんだ…?呼吸がし難い…?」

「気が付いたか」

 俺はここに来る前にG-1の空調システムを操作し、酸素が薄くなる様にしておいたのだ。

「馬鹿な…ゼロ!なぜ貴様は動ける…!」

 その答えは簡単、俺はここに乗り込む前に空気を吸い込み、無呼吸で闘っていたのだ。こいつは俺が本気で戦っていると勘違いした様だが…違うな!間違っているぞ!無呼吸闘法は通常時よりもパフォーマンスが劣るのは当然のことだ。

「さっきから何事だダールト…貴様はゼロ!」

「い、いけません!姫様!」

 コーネリアが構えているのは…銃か!

「クロヴィスの仇ィ!」

 放たれた弾丸は無呼吸でパフォーマンスの落ちた筋肉では弾けず、俺の腕に着弾する。ドアが開いた事でダールトンとやらも酸素を取り込んでいるはずだ。ここは退くしかないだろう。腕から弾丸を摘み出し、親指で弾く。コーネリアはダールトンが庇ったようだが、これで追っては来れないだろう。俺は敗北を噛み締めながら立ち塞がる兵士を蹴り飛ばしつつサイタマゲットーから脱出した。

 

 俺が部屋に戻るとずっと待っていたのだろう、C.C.と目が合う。

「…どうやら失敗の様だな?ルルーシュ。それに腕も怪我している様だな。こっちに来い、手当てしてやる」

「条件が同じなら負けはしなかったさ」

 シュルシュルとC.C.は手際よく包帯を巻いていく。

「負け惜しみだな。条件を揃えるのも実力のうちだ。」

 確かにこれは負け惜しみだ。俺にもギアスという特別な力がある…それでも負けたのだ。認めなければならない、そして変わらなければ!ブリタニアを叩き壊す為に!

「だったら揃えてやるさ…ブリタニアに負けない俺の軍を!人を!国を!そして筋肉を!!」

「筋肉はそろってるだろう」

 

 

 

 僕が生徒会室に行くと、中からカレンが出てきた。

「とにかく私とルルーシュは関係ないから!あっ…」

「ルルーシュ?」

 ルルーシュがどうかしたのだろうか?去っていくカレンを見送り、僕が生徒会室に入るとシャーリーがいたのでルルーシュがどこにいるか尋ねる。課題でわからないところがあるから教えてほしいんだよね。

「ルルーシュは?」

「知るわけないでしょ!あんな奴!」

 シャーリーは怒った様子だ。ルルーシュ、一体何をやったんだろう。シャーリーをダンベル代わりにでもしたのかな?ナナリーがルルーシュにダンベル代わりにされていることを嬉しそうに話してくれたから、僕もこの前セシルさんで試したところ滅茶苦茶怒られて張り倒されたんだよね。

 

「ルルって真面目に努力してるけど暑苦しいしムキムキ過ぎて怖かったから正直最初は好きになれなかったの。でも高1の時交通事故を見かけたの。」

 しばらくして落ち着いたシャーリーはルルーシュの話を聞かせてくれた。僕としても幼い頃に別れたきりなので友人の話が聞けるのは少し嬉しいのだ。

「事故にあった車を引き摺ってね、自動車修理工場まで運んだんだって。その時私思ったの。いつも体を鍛えてるのはこうやって人を助ける為なんだって。そしたらムキムキでも怖くなくなって、そしたら…」

「好きになってた?」

「そうなるのかな…」

 そのあとシャーリーから聞いた話だと、ルルーシュがカレンの胸を触っていたらしい。そんなに胸筋が触りたいなら僕に言えばいいのに…。そのことについてカレンにははぐらかされたということだったので残された手は一つだ。僕は受話器に手を伸ばす。

「こういうのは本人に聞くのが一番だよ。ついでにシャーリーのことどう思ってるかも聞いてあげるね」

「ええ!?そんなことまで!?」

 僕が受話器を握ると…

 

 あ、受話器が砕けた。

 

 参ったな、後でミレイさんに謝らないと…




ダールトンのフィジカルが上方修正を受けました。()

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