「これ、この動きなんだけどさ…姿勢プログラムにないよね?どうやってるの?」
シャリオはスザクの強さを奪う為、スザクを拘束し、拘束したスザクに映像を見せていた。
「あぁ、これ?これは上半身を捻って…」
「あー!はいはい、こんな感じね…すごいなぁよくこんなの思いつくな」
二人は…意気投合していた!
スザクにかけられたギアス、『鍛えろ』はスザク本人だけではなく、周りの人間に対する意味でも適用される。
自分を捕らえた相手とは言え、姉のために最強の戦士にならんとするシャリオの想いにスザクの鍛えろの呪いは反応、敵であるシャリオをスザクは鍛えまくっていた。
「脚が動かないからなんだ!上半身を鍛えろ!まずは懸垂100回!」
「イエス!ボス!」
「判断が遅い!相手がカレンだったら死んでるぞ!」
「イエス!ボス!」
「何度言ったらわかるんだ!君は相手の行動予測が甘い!そんなんじゃ君はすぐにスクラップだぞ!」
「イエス!ボス!」
「君には身体の筋肉も足りなければ心の筋肉も足りない!そんなことでは何も成せないぞシャリオ!!」
「イエス!ボス!!」
そして今日も一通りの鍛錬を終え、去っていくシャリオの背を見送り、スザクは己の拘束具と自分の筋肉を見て思った。
もうすぐ拘束具を引きちぎれるくらいには鍛えられるな と
それでは本編スタートです。
背後に誰かの気配を感じ、振り返る。そこには俺が砕いた紫の破片があるだけで誰も居ない。しかし…
「…行ってくるよ、母さん」
C.C.と共にCの世界から脱出すると、突然の銃声が聞こえ、C.C.を貫かんとする凶弾を拳で弾く。そして弾丸が放たれた方を見ると見知らぬ男たちの他に拘束されたロイドと咲世子が見えた。ロイドは兎も角、あの咲世子を捕らえるとは…敵は中々やるようだ。
「ちっ、狙いが逸れたか、今度はちゃんと狙えよ!」
叫んでいるのは髪の薄いヒョロヒョロな男、血色も悪い。
「お前、飯はちゃんと食べてるのか?」
「は?」
「筋肉が足りないぞ。そんなんじゃ部下も心配なんじゃないか?どうなんだ?」
「え、あぁ…はい、そうですね、好き嫌いせずちゃんと食べて欲しいとは思ってます。この前もブロッコリーを残して…」
それ見たことか。栄養のある食事は体作りの基本だ。それを怠るとは愚かな奴め。
「…テメェ!ふざけてんのか!?」
どうやら当の本人には俺の発言は侮辱と取られたらしい。そんなつもりはなかったんだがな…。
「俺達軍人はな…映画館の席を取られたり、飲食店で値段ふっかけられたり、そんな事で殺しはしない。だがな!俺達に対する侮辱って行為だけは許しはしない!それは何故か、俺達を侮辱するってことはそれ即ちジルクスタンというこの国そのものへの侮辱と同義だからだ!」
「だから?」
「丸腰で俺達を、ジルクスタンを侮辱したんだ、テメェ…覚悟は出来てるんだろうな!?」
…丸腰?俺が丸腰だと?こいつ…どこを見て物を言っている…武器ならあるさ、この俺の肉体がな!
「さっき貴様は覚悟と言ったが、お前こそ出来ているのか?」
「なに?」
「お前が始末される覚悟をだよ。人を始末しようとしてるんだ。逆に自分が始末される覚悟は当然してきているんだよな?」
「何を馬鹿な、死ねえ!」
薄髪の男が何かを放ったのでC.C.を庇うように前に立つ。
そして…ダブルバイセップス!
爆発が起きたが俺は無傷、当然だ、何せ俺はニトログリセリン程度の爆発では死なないのだからな
「なんなんだぁ?今のは…」
「なっ…!?そんな馬鹿な!」
俺は一歩ずつ奴らへと距離を詰めていく。
「ば、化け物…!な、何してる!お前達、早くあいつを撃て!」
「俺が化け物…?違う、俺はマッスルガイだ…」
奴らの放つ鉛玉を全て空中で掴み取る。それはマガジンが空になるまで行われ、結局俺にもC.C.にも一発たりとも当たることはなかった。そして弾丸を観察すると奴らの自信に納得する。そしてそれを粉々に砕いた。
「成る程な、貫通力を上げてあるのか…これなら確かに俺やスザクにも傷を負わせることができるな…だが、結局のところ当たらなければどうということはない」
「いいや…おかしい、ありえない!こんな事態は知らない!!」
それでは奴に覚悟の程を見せてもらうとしよう。何故なら…
「俺を撃って良いのは…俺にぶたれる覚悟のある奴だけだ!!!」
そう言うと俺は目にも止まらぬ速さで男達の顔面を殴り、その頭を木っ端微塵に弾け飛ばす。
「うーん、私はとんでもないものを復活させてしまったのやもしれんな…。」
「?何を言っているC.C.、それよりもロイド達を助けるぞ。」
「あぁ」
ロイドの拘束はC.C.がナイフなどで切ってくれるだろう、俺は咲世子に近づき、その体を拘束する謎の物体を砕いた。
「ルルーシュ様、ありがとうございます」
「何、礼はこの事態を切り抜けてからだ。この施設がどう言う状態か説明できるか?ロイド」
「勿論ですよぉ陛下」
「陛下は辞めたく…ッ!!」
瞬間、凄まじい筋力の波動を感じ、入り口に視線を移すとそこにはスザクが立っていた。
「…僕は夢を見ているのか?ルルーシュ…なんでここに…?」
「…どうやら死に損ねたらしくてな。」
俺がそう答えた瞬間、スザクは視界から消える。後ろかと思い気配を探るがC.C.の気配しか感じなかった。つまり…
「上か!」
「遅い!」
咄嗟のガードも間に合わず、俺の顔面にスザクの踵がめり込んだ。うーむ、相変わらずのキレだなスザク。続けての顔面への殴打を回避するが同時に放たれていたらしい腹部への殴打に身体が少しだけ後ろに吹き飛ばされる。
「らしいとはなんだ!僕がどれほどの覚悟で生きていたと思っている!死に損ねたのなら今度こそ完全に消し去ってやる!!」
すると俺とスザクの間にC.C.が割って入ってきた。
「待ってくれスザク!これは私の我儘なんだ!」
「うるさい!知ったことかそんなもの!僕はルルーシュを殺さなくちゃ行けないんだ!」
スザクがC.C.に対して手を振り上げたので瞬時に背後に回り込みその腕を掴む。
「この手はなんのつもりだスザク。C.C.は関係ないだろう。殴りたいなら俺だけにしておけ」
「…だったら望み通りにしてやる!」
スザクの膝が俺の顔面に突き刺さる…瞬間!俺は思い切り体を反らして回避し、反った勢いをそのまま攻撃に転換し、頭突きを顔面に食らわせる。
「無抵抗に殴られるとは言っていないがな!スザク!」
人間、いきなり顔面に頭突きを食らえばよろめくもの、それがスザクでもだ。よろめくスザクの背後に周り、勢い良く脚払いを仕掛けてスザクの体を180°回転させる。そして片手とスザクの体を拘束し、一気に跳躍してからスザクの首を両脚で固定、空いた片手で天井を押し出し勢いをつけてスザクの脳天を床に突き刺す。
するとスザクは首の力だけで床から跳び出たのち、なんでもなかったかのようにこちらに構えを取った。
「また僕を騙したのかルルーシュ!この卑怯者!」
「おや?そうかい?」
スザクに再度拳を叩き込まんと踏み込むと、スザクは思い切り地面を蹴って天井に消えていった。なるほど、上からの奇襲か…面白い、天井を観察し、どこからくるのか構えて待つ、突如地面から音が鳴り、スザクのアッパーが俺の顎を貫いた。
「ま、回り込んだのか!?」
スザク…!こいつ鍛えてやがる!だが、殴られっぱなしは主義ではない!すぐさま跳び跳ね起きで起き上がり、拳圧による暴風を食らわせる。その隙にこのフロアに残っていた水を飲み込み胃に水を溜め込む。そして筋肉を操作して胃から水を汲み上げて口に含み、水圧カッターの要領で吐き出す。
「これは!ゼロレクイエムの時に見せた技の応用!?」
スザクは腕でガードするが、この切れ味には流石に耐えられず、スザクの腕に切り傷が刻まれる。更に2度、水圧カッターを放つとなんとスザクは腕での血を投げ飛ばし俺の水圧カッターを防御した。
「初めてやってみたけどうまくいったようだね」
「やるな…スザク!」
「ルルーシュこそ」
気付けばロイドも咲世子もC.C.もフロアから居なくなり、俺達は拳を交えつつ徐々に上階へと向かっていった。道中、何やらここの看守らしい連中から銃を撃たれた。
「「邪魔をするな!!」」
俺とスザクによる拳圧の暴風が看守達を吹き飛ばす。更に暫く殴り合っていると、突如ナイトメアが現れた。
『見つけたァ!死ねェ!!』
放たれた砲弾をスザクが俺に弾いてきたので俺は撃ってきたナイトメアに弾く。着弾するとナイトメアは爆散した。
「チッ、弾くのか」
「お前に出来て俺に出来ないはずがないだろう…とはいえ、邪魔が多いな…喧嘩の続きはまた今度にしよう。」
「そうだね、今は襲ってくるナイトメアを倒すのが先だ。」
俺は左腕を変化させ、動きを確かめる。なんとなく使い方も分かる気がする。
「スザク、お前は一度ロイド達のところに行ってナイトメアをとって来い。ここは俺が食い止める」
「分かった。僕が戻ってきたら今度は逆に君がロイドさんのところに行って作戦を考えるんだね?」
「話が早くて助かるよ」
スザクは床をブチ抜き去っていき、それと同時に天井から再びナイトメアが降りてきた。放たれる砲弾を左手で防ぎ、胃から大量の水を汲み上げ、それを窄めた口から高圧力で噴射しつつ薙ぎ払う、名付けて
『ルルーシュ!無事か!』
「スザク、来たか」
スザクに後のことを任せ床をブチ抜きロイド達のいた司令室らしきフロアに戻る。
「あ、陛下ぁ…聞いてくださいよ。スザクくんったらせっかく僕が持ってきたあのラクシャータの機体を突っぱねてあんな醜いナイトメアになったんですよぉ」
突っぱねられた機体とは黒い月下のことらしい。
「私たちを襲った奴らが使っていたんだ。それをお前が積み込んだ…覚えてないだろうがな。それで、作戦は?敵はあまりに多く囲まれている。カレンの救出は咲世子に任せればいいとしても…」
「ふん、これくらいならば問題はない。ロイド!月下には私が乗ろう。」
作戦はこうだ。ロイドは咲世子に守らせ、隙を見て逃走。こちらの作戦は簡単だ。鹵獲した敵のナイトメアに乗ったC.C.とカレンとスザクの三人で敵陣を強行突破。そして敵の大将を叩く。つまり
「全 速 前 進 だ !」
「お前を信じた私が馬鹿だったよ」
「同感」
「二人ともやろう!僕らが生き残るにはこれしかない!」
スザクは乗り気だが何故か女性陣は否定的だ。何がいけないのだろう。まぁ、すでに時間はないのでやるしかないのだが。
スザクは早くもあのナイトメアの操作方法をマスターしたらしく、速度を落とさず高速回転しながらその常軌を逸した動体視力で敵のナイトメアを撃ち抜いていく。C.C.とカレンは堅実に狙いを定めてから確実に数を減らして行っているようだ。俺はというとロイドに急ピッチで黒い月下のための武器を作らせていた。そして出来上がったのが
ブレードタイプのスラッシュハーケンのブレードを円状に並べた所謂丸鋸、これをタイヤの代わりに四足ナイトメアの脚に取り付けることで回転丸鋸が完成する。その脚を持ちやすい太さに調整したナイトメアのフレーム素材にくくりつけ、もう一本脚を接続しバランスを整える。もう一本はタイヤはそのままにする事でタイヤによる移動補助と丸鋸による攻撃を兼ね備える獲物が完成した。
「でもよかったんですか陛下?陛下なら殴るからの方が得意なのでは?」
「殴ったり蹴ったりするにはそれなりの剛性が必要だ。しかし月下にそれを求めるのは酷だろう。だったら獲物を振るうことを俺は拒まんさ」
「あはぁ〜!要らない心配だったみたいですねぇ」
咲世子にライドの脱出を任せると俺は月下に乗り込み、スザク達が開けた穴を通って上に向かう。するとスザクから通信が入った。
『ルルーシュ、恐らく敵の大将らしきナイトメアを発見した。座標を送る』
「分かった。すぐに向かう」
脳筋世界なら何しても許されるのでスザクが平和を乱したことそっちのけで相手を鍛えていても問題はない。いいね?(殴打)
スザクは鞭打ちされてない(されても無傷)なので原作のような弱体化は受けておらず、更にムキムキなので自力で脱出してます。文句はないね?(殴打殴打)
嘆きの大監獄脱出戦…なんだかルルーシュがどんどん馬鹿になっていく気がしますがきっと気のせいです。気のせいです。(殴打殴打殴打)