コーネリアはユフィに教わった撲殺の殴打としての連打がボルボナ フォーグナーの腹に突き刺さる。二人のナイトメア戦はコーネリアの優勢に終わったが、ボルボナ フォーグナーの自爆により二人はナイトメアを降りての肉弾戦に発展していたのだ。
「ぐぅ…!だが!この腹はそのまま貴様の拳から致命傷を防ぐ防御壁よ!更にこれで動けまい!」
「何ィ!?腕が抜けないだと!?」
ボルボナはコーネリアの拳を腹に沈ませ拘束する。コーネリアは両腕を引き抜こうと腕を引っ張るが脂肪と脂肪の間に挟まれており、がっちりとホールドされていた。そしてそのままボルボナは手を振り上げ、コーネリアの腕に手刀を加えていく
「戦場で沢山の命を殺めた悪き魔女の腕はこの腕か!?この腕か!この腹かァ!?」
完全に拘束されての手刀の連打は流石のコーネリアでも耐え難く顔を歪めていく。
「痛みでガードの緩んだ今が好機!この拳で貴様の顔を汚してやる!」
拘束を解き、拳を振り被るボルボナだったが、それは悪手であった。
「…拘束を解いたな?脆弱者がッ!!痛みなどで屈する私では無い!!」
コーネリアはボルボナ フォーグナーの拳に対して体を投げ出すように大きく踏み込んですり抜けると全体重を乗せた拳を顔面に叩き込んだ。
「ユフィに何度も食らって今や体に染み込んだ…カウンター技…実戦では初めて使うが、上手く決まったな…!」
コーネリアのジョルトカウンターが決まったところで最終話スタートです!
「私がシャムナよ。この場の制圧はこれで封じさせてもらった…つまりチェックメイトよ」
チェックメイトだと…?この俺が…
「やりなさい!マリオ!」
『ナムジャララタック!』
振り下ろされるのは月下の廻転刃刀。C.C.は再生途中、月虹影は動かせない、俺はナイトメアから降りている。ここは素手でなんとかするしかないだろう。そう思って身構えるとシャムナから声が掛けられた。
「最早脱出不可能よ!ゼロ、貴方はチェスや将棋で言うところのチェックメイトにハマったのだから!」
そして俺は廻転刃刀を右腕で受け止めた。
「次にお前は…『何故廻転刃刀で切れない!?』と言う」
「何故廻転刃刀で切れない!?…ハッ!?」
「馬鹿かお前。筋繊維だよ筋繊維。極限まで鍛えた幾億層もの筋繊維が斬られるはずがないだろうが。俺の筋肉を甘く考えたお前の負けだ。」
俺は左腕を変化させ、その握力で廻転刃刀を破壊し、一気に月下に近付き輻射波動を叩き込む。
『なんだこれは…!?クソ…!』
どうやら月下のパイロットは脱出したようだな。
「マリオ…!?くそ…こうなったら…!」
…?なんだ?シャムナは銃を取り出して…
瞬間、俺の視界にはシャムナが手に持っていた銃を紛失し困惑している様と、心臓を抑えて蹲っているロロの姿が写った。
「ブ、ブラザー…!い、今の、うち…デス…!」
「…貴様いつの間に…一体どうやって…!」
もうギアスは使えないと言っていたが…この土壇場でギアスを再び発動させるとはな…流石は俺の弟だ。
そして確信した。シャムナが手に持った銃…その銃で何をするつもりだった?対肉ダルマ弾でも俺に撃つつもりだったか?あり得ない、生半可な銃撃では俺には当たらないことは何度もやり直したなら分かるはず。実際に、この距離なら確実にキャッチできると断言出来る。では何のために銃を?簡単だ、自分に使うためだ。自分が死んだら過去に戻るギアス。それが相手の能力…!
俺はクラウチングスタートの姿勢を取り、瞬時にシャムナに接近した。
「な、何を!?」
今回は膝蹴りではなく、思い切り手刀を首に叩き込む。恐ろしく早い手刀、放っている俺ですら見逃してしまうそれは確実に意識を切り裂き丸一日は眠る事になるだろう。ぶっ倒すと思った時には既にその行動は終わっている…!こいつのギアスがいつまで戻れるかは不明だが、恐らく10時間も戻ることはできないはず。戻れるのなら俺達が監獄から出られないように手を打つはずだからな。念のために20時間後に神殿が崩れるように神殿を爆破するとして…問題はナナリーだ。とっくに装置から出したのに意識がない。
「もしかしてCの世界に意識を取り残されてるんじゃないのか?」
なるほど、あり得る。システムの一部として取り込まれているということか。俺は単独でのアクセスに自信がなかったため仕方なくC.C.と二人でナナリーを迎えにいく事になった。
「これがCの世界か、俺のせいなのか…随分前とは異なる雰囲気だな。」
「あぁ…ナナリーはあっちの方にいるな。迎えにいくのはお前一人に任せていいか?私は少し寄りたい所がある」
「分かった。」
C.C.と別れ、言われた方向に進むとナナリーを見つけた。…そこには確かにナナリーが居た。この世で最も可愛らしく、目に入れても痛くなかった、そして見た目だけでなく中身も完璧な我が妹だ。だが…
何故かナナリーは腕を組んでの仁王立ちでこちらを睨んでいる。可愛い。
「お兄様!迎えに来るのが遅いです!」
「あ、はい、すみません」
ここはCの世界だからなのか、足が不自由な筈のナナリーが普通に走ってこちらに寄って来る。その走る姿はかつて本国で何度も見た母上そのものだ。…いかん、嫌な予感がする!バックステップを踏むと目の前をナナリーの足が振り上げられた。
「チッ!」
舌打ち…!?というか今の軌道…
「金的を狙っていたのかナナリー!?」
「よくもあの時殴りましたね!!そのお返しです!!」
ダモクレスでの事を根に持ってたのか…確かにあの時はああするしかなかったから腹パンしたが…いや、ここは素直に謝ろう。
「あ、あの時はすまなかった、だが…」
「言い訳は聞きたくありません!」
ナナリーの怒りは本物だ…!低身長を活かしての低姿勢の潜り込むようなステップワーク…今まで車椅子生活だったナナリーが何故こんな体術を繰り広げられるかは謎だが、まぁ…俺の妹で母上の娘だからな…。瞬間脛に激痛が走った。それはナナリーによる足払いだ。俺の認知を超えるスピードだと…!?
「な、何をするんだナナリー!許さんッ!」
「許さないのは私の方ですッ!」
腹に膝をブチ込まれるが、その程度が俺に効くはずはない。ナナリーを捕まえようと腕を振るうが、悲しくも空を切り、後頭部に膝蹴りをブチ込まれる。向き直った俺に対し、ナナリーは既に次の攻撃行動に移っていた。
「たぁっ!」
声は可愛らしいが攻撃は全く可愛らしくないナナリーの喉潰しを腕を掴んで防ぐと掴んだ腕のファニーボーンに的確に膝をブチ込み刺激してくる。いや、一体いつ覚えたんだそんな攻撃…。溜まらず手を離しつつ距離を取るが既にナナリーの姿は視界にはない。振り返れども姿はない。再び正面を向き直すと首を掴まれ、腕を振りかぶるナナリーが視界に映る。
「俺でも捉えられない動きとはな…!」
「お兄様ッ!歯ァ食いしばって下さいッ!!!」
顔面にナナリーの拳が突き刺さるという貴重な体験をすると、ナナリーは途端に大人しく成りその場に座り込んだ。可愛い。そんなナナリーをダンベルのように抱き抱える。…少し重くなったか?ナナリー…逞しくなったんだな、身も心も。
「もう、お兄様ったら…また私をダンベル代わりにして」
「ナナリーの成長を感じるにはこれが一番だと思ってな。…みんなのところに帰ろうか、一緒に」
「はい」
Cの世界から出るとどうやらC.C.も出たところらしく目が合う。
「そっちの用は済んだのか?」
「…あぁ、お前達も無事に出られたようで安心したぞ。」
真母衣波にはロロに乗って貰い、俺とC.C.で月虹影に乗る。ナナリーを膝の上に乗せて発進させ、離脱を図る。
「お兄様…何だか懐かしいですね、C.C.さんと三人でナイトメアに乗るなんて」
思い出されるのはガウェインの中だ。あの時と異なり今回は俺が後部座席だが。
「…そうだな。あの時の約束をようやく守れた気分だ」
「えぇ、これで針を千本飲まなくて良くなりましたね」
「はは、そうだな」
その後、神殿に集結した味方を確認するといくつかのナイトメアはやられたものの全員無事なようだ。それにシュナイゼルによる上陸作戦も始まっている。これで完全勝利だと言えるだろう。
スザクが連れてきた少年、シャリオにシャムナが死んだ事を伝えると悲しそうな顔こそしたが受け入れてくれたようだ。見た目よりも心が鍛えられているらしい。
「…私は君の姉の仇だ。怒りはないのか?」
「…復讐とか、戦いはもう良いんです。僕の身体を維持する為に今まで多くの民が犠牲になった…これ以上犠牲を出す前に、これを機にジルクスタンは変わろうと思います。予言ではなく、これからは自らの意志と脚で歩いていこうと思います。…僕は歩けませんけど」
聞けば彼は脚が悪いらしい。脚が不自由なのにスザクと互角に渡り合えるとは…。その話を聞いた俺の背中に居るナナリーは興味を示し始めた。…きっとジルクスタンはこれからそう言った体の不自由な人を助けるための技術を開発する国として発展していくのだろう。今回の戦いで失った物は多いだろうが…人も国も失敗や苦労を糧に成長し、前に進んでいく。
…つまり筋肉と同じだな!
ナナリーとはCの世界で拳を交え分かりあった。ナナリーはもう俺の手を離れてもきっと上手く生きていける。寧ろ俺がいたら足枷となってしまうだろう。…というかジルクスタンの技術でナイトメアを作ってもらう気満々らしい。Cの世界のことを考えると…まぁ俺の妹だ。訓練すればあっという間に俺を凌駕するパイロットになるだろう、なって誰と戦うんだと言う問題はあるがな。是非ともナナリーが戦場の恐怖になる時代が来ない事を祈るばかりだ。
何にしても問題は全て片付いた。となると俺には果たさねばならない約束がある。電話を取り出しその番号にかける。
『はい、もしもし?』
「やぁ、シャーリー。俺だ、ルルーシュだ」
シャーリーには全てが終わったらシャーリーの気持ちに返事をすると約束をしていた。結局俺はあの後ゼロレクイエムで約束を破ってしまった訳だが、生き返ったのなら話は別だ。
『ルル!?本当のルルなの!?良かった!上手くいったんだね!』
「あぁ、そうらしい。」
『らしいって…なんで人事みたいに言ってるの?まぁ、ルルらしいけど』
おかしそうに笑う声を聞けばクスクスと笑う彼女の顔が思い浮かぶ。
『それで?返事、聞かせてもらえる?』
「あぁ…散々待たせておいて済まないとは思う、シャーリーの好意も…素直に嬉しい。だが、やはり俺はシャーリーとは一緒にならない。」
『はー…やっぱりかぁ…。C.C.さんでしょ?」
「…そうだ。」
しばらく言葉が止むが、ここは何も言わず黙ってシャーリーの返事を待とう…。
『ルルの、ばかやろー!』
「うわっ!?」
耳を澄ませていた後に突然の大声だったので流石に焦る。あまり驚かされると謝って握りつぶしかねないからやめてほしいのだがな…。
『はぁ、スッキリした!じゃあC.C.のこと、よろしくねルル』
「あぁ。ありがとう、シャーリー」
電話を終えると視界の端に大きな荷物を担ぎ、ヨロヨロと歩き出すC.C.を捉えた。…アイツ何してるんだ?
奴隷時代に重たい荷物を持つのは慣れていたつもりだったが、いざ久しぶりにやるとなると結構キツイ、そんな訳で俯いていた私の前に人影が差し込んだ、
「どこへ行くんだぁ…?」
「な、難民と一緒に国外に行く準備だ」
ルルーシュにはルルーシュの居場所がある。私はクールに去るさ…
「一人で行く気か?」
瞬間私の体が軽くなり、ルルーシュが荷物を代わりに担いだ。
「…お前、私と一緒に来る気か?ナナリーはどうする」
「何怒ってるんだ。もうナナリーは一人でも立派に生きていけるさ、それに頼れる友人や姉上、ユフィだって居る。それに弟のロロもな。」
更にルルーシュは私まで担ごうとした方が流石にそれは遠慮すると少し残念そうな顔をした。こんな人の多いところで肩車なんてされたら恥ずかしすぎる。肩車ウサギ跳びのトラウマは今でも偶に夢に見るのだぞ…。
「俺はもうお前と同じ不老不死だ。いつまでもどこかの組織にいたら異常性に気付かれて面倒なトラブルが起こる。だから俺達はお互いにそばにいる方がいい。だろ?」
それは…。
「それに…ありがたいことに何故か俺は不死身でありながら筋肉も鍛えられるらしいからな。だが…筋肉とは己の為に鍛えるものじゃない。守る相手がいてこその筋肉だ。」
「…!」
「お前を守ると約束したからな。これからはお前の隣でお前のために体を鍛えるとしよう。これは…L.L.とC.C.との間の契約だ。お前は俺の側に居ろ、その代わり俺がお前を守ってやる。」
ルルーシュ…お前名前まで捨てて…そうか…。
「あぁ、結ぼう…その契約」
「そういえば…お前これからどうするつもりなんだ?」
L.L.に話しかけられ、私は首を捻る。どうするもこうするも特に目的などない。離れるためにあそこを離れたのだから…
「いや、特に何かをするつもりはない。目的のない気楽な観光の旅でもしようと思ってたんだ。今まではお前を取り戻す旅だったからな。まずは置いてきてしまったトラックを買い戻そうと思ってる。」
「なるほど、目的のない旅か…それも悪くないな。生まれてこの方目的もなく出かけるなんて経験はなかったからな」
こいつの今までの人生は皇族、人質、ブリタニア転覆を目論む反逆者、悪虐皇帝…確かに暇する時間は無さそうだな。
そんな雑談をしつつ二人で歩いていると、周りの難民達が響めき、空を見上げていた。それに釣られて私たちも空を見ると、流れ星のような物が落ちていく。
「あれは…ギアスの、欠片…?」
「…ギアスの欠片?何だそれは」
「詳しくは分からん。だが自然とそう思っただけだ」
するとL.L.はため息を吐いた後ニヤリと笑った、
「ギアスに関するものならば人の世に放置するわけにはいかない。全て回収するぞ、C.C.」
「…どうやら早速旅の目的が出来てしまったみたいだな」
「ふっ、そうだな。だが、勿論俺に着いてきてくれるのだろう?C.C.」
「当たり前だろう?L.L.…何故なら我々は永遠の契約した…共犯者なのだからな!」
ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜 完
これにて「ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜」の物語は完結です!
R1、R2、そして腹筋のルルーシュ(復活のルルーシュシナリオ)を読んで下さりありがとうございました!
今回は縦読みはありませんよ。(笑)
キリの良さを重視して9月までは活動しようかなと思います。なので9月の4週目までだったら「え?あのキャラはどうなったの?」的なリクエストをいただけると…もしかしたら作者は書くかもしれませんね。(受付は活動報告にて行っています)
なお、リクエストがあったからと言って書かないかも知れませんので悪しからず。