カフェゼロ二號店、玉城には商才があったらしく、今では主に黒の騎士団員…専ら元扇グループにカテゴリされるメンバーの今の溜まり場のようになっている。
そう言う私も部下に連れられこの店によく通っている。
「次の広報資料に使う写真、どちらにしましょうか星刻さん」
「そうだな…やはり天子様、ナナリー殿、神楽耶殿の三人が仲良く写るこれが良いのではないだろうか。各国が国境を超えて手を取りあっていることがよくわかるだろう」
不思議な事に部下の南とはよく気が合う。南は旧黒の騎士団の時からガタイが良いとも思っていた。
「よぉ〜!南ぃ、しんくーも久しぶりだなぁ!まーた俺の店で仕事の話かぁ?」
「なんだ玉城、邪魔するな向こうへ行け」
南は玉城と古い仲な事もあり中々ストレートなやり取りだ。
「済まないな店長、オススメの小料理を二皿追加してくれ」
「あいよ!ちょっと待ってな!」
長居をする時はこうして追加で注文を頼むのが最低限のマナーだろう。ここの料理は特別おいしい…というわけではないが、こうして人と話しつつつまむにはちょうど良い塩梅だ。
暫く南とは天子様や神楽耶殿の魅力をどう広報宣伝しようか話し合っていると、注文した料理を玉城が持ってきたようだ。
「よぅ!お待ちどうさん!」
「済まないな」
「いいって事よ!金は貰ってるわけだしよ!…そういやぁしんくーはあの噂知ってるか?」
あの噂?どの噂だろうか、取り敢えず心当たりは無いため首を横に振ると、玉城は何故か南の隣に着席した。
「お前店は?」
「別に俺が居なくたって問題ねぇって。それよりも噂ってのは、最近のゼロについてのことなんだよ」
ゼロの噂…。生きていたルルーシュのゼロなのか今尚仮面を被り続けるもう一人のゼロのことなのか、どちらのことなのだろうか?
「最近よぉ、ゼロがな?パシリにされてんだとよ!」
玉城の発言に南は呆れたような顔をしていた。
「お前またその話か?くだらない噂を広めるのはやめろ。ゼロに失礼だぞ」
しかし玉城も譲らない。
「本当だって!この前知り合いのやってるイタリアンドルチェの店に来たって言ってたんだよ!メモ出してよ、『これください』ってよ!…しっかし、あの姿で店に来られたら可笑しくって商売なんてできねぇよな!ははははは!」
言っては悪いが、あの格好で店に入るのは普通に不審者だろうと思う。
「店長!サボってないでちょっと来てください!」
「サボってねぇよ!ちょっと待ってな!」
言っては悪いが、客の隣に座って駄弁ってるのは普通にサボりだろうと思う。仕事をしに行っただろう玉城が突如叫び声を上げたので、ふと入り口を見ると…
「済まない、この店で蜜柑モナカは取り扱ってるだろうか?近場はどこも売り切れでね。遠くに買いに行こうにもいますランスロットはメンテナンス中で出せないんだ。」
ゼロが立っていた。…絵面は完全に不審者だな。というか、ランスロットをそんなに気楽に乗り回すな。
「蜜柑モナカか、ちょっと待っててくれ。確か…お、ラスイチだ、ラッキーだったないがゼロ!ほらよ!」
「感謝する。これで名誉顧問に怒られずに済む。それでは」
商品を受け取り颯爽と去っていくゼロだったが、その背中からはもはや哀愁すら感じる。
「嘘だろ」
目の前の惨状に言葉を漏らしたのは南だ。私もそう思う。ゼロがパシられてたんだ。誰だって驚く、私だって驚く。
その後、ゼロはパシられているという噂が爆速で広がったことは…言うまでもないだろう。
「砂糖掛け舎利別漬け蜂蜜饅頭さん」や「ラグビー好き」さんからのリクエスト「黒の騎士団にパシられてるのがバレたゼロ」のお話
リクエストは活動報告にておこなっています。
一言で終わるようなリクエストでも受け付けてますのでお気軽にどうぞ(期限:令和四年九月二十四日)