ナナリー義姉さんを救出する為の「全速前進作戦」僕は兄さんと同じ部隊となり、C.C.さんと共に月虹影に乗って兄さんの後を追っていた。
「私はここで降りる、あとは頼んだぞ」
「分かりました。C.C.さん、お気を付けて」
「ふん、誰に言っている」
そう言ってC.C.さんは降りた後、しばらくして月下に踏まれてしまった。
「ナイトメア!?いけない…!」
月虹影は未完成、武装もろくにない…!そして迷わず攻撃してきた月下に押され、すぐに月下は兄さんへと襲い掛かっていた。
「兄さん!」
しかし、兄さんは素手(?)で月下を返り討ちにした。流石兄さんだ。これで安心…と思った矢先、僕の目には兄さんと、銃を取り出すシャムナらしい女の人が見えた。兄さんは言っていた。「まだ相手のギアスの発動条件までは分かってない」って。
だから、あのまま銃を持たせておくことは不味いと直感が働いた。でも、僕はもう無力だ。月虹影だって結局ただ動かしただけで役になんて立ってない。さっきだって僕は反応すらできなかった。
結局僕はギアスしか取り柄もなく、そのギアスももうないただのデクノボウなのだ。
しかし…その瞬間、僕の頭には兄さんとの日々が駆け巡った。そしてその風景には僕と兄さんが肩を組み腕をクロスさせる姿が映る。
『そうデス。ボクとブラザーは産まれこそ違えど魂で繋がったソウルブラザーなんデス』
…そうだ。ボクと兄さんは…魂で繋がってるはずだ。それに、ブラザーの鍛えてくれた心と…魂の筋肉はまだ残ってるはず!
つまり、ボクはまだ…マッスルガイなはずデス!ギアスとはCの世界…つまり精神に作用する力、普通の心臓の時は出来てたんダ。それが人工心臓になったからって使えなくなるはずナイ!当たり前だト、出来て当然と思うことデス!
「お願いデス…!発動してくだサイ!ボクのギアス!!一度だけでイイ!一瞬でもイイ!」
"絶対停止"ッ!!
その一瞬、僕は感じたんデス。ボクの人工心臓の鼓動が世界の鼓動とがしっかりと共振したのヲ。
月虹影を飛び降り心臓が止まっても筋肉の衰えた体に鞭を打ちシャムナから銃を奪いマス。そしてそこで時間切れ…ボクは痛みのあまり心臓を抑えて蹲ってしまいマス。でも…これでブラザーの作戦勝ちは揺らぎまセン…!
「…貴様いつの間に…一体どうやって…!」
そしてブラザーは何度も見せたあのクラウチングスタートの構えを取り…次の瞬間にはシャムナは倒れていた。な、何をしたのか全く見えなかった…!筋肉は衰えても未だに目だけは衰えていない僕ですら見逃してしまうナニカができるなんて…流石僕のブラザーだ!
ブラザーの指示で20時間後に爆発するように爆薬を仕掛け、月虹影に乗った兄さんとC.C.さんとナナリー義姉さんの代わりに僕は真母衣波に乗り、神殿を後にする。
「あぁ、ロロ…ここにいたのか」
「ブラザー、ナナリー義姉さんが無事で良かったね。」
「なに、お前のおかげさ。お前が絶対停止を使ってくれなければ危なかった。感謝する」
僕が絶対停止を使ってなくてもきっとブラザーならなんとかしていただろう。ブラザーは僕に肩を組んできた。その意味は簡単にわかる。細くなってしまったけれども僕もブラザーに肩を組み、腕を前に出してブラザーの腕とクロスさせる。
「俺とお前は」「魂で繋がった」
「「ソウルブラザー!!」」