ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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EXTRAINING01 ブリタニア式バスケ

「今回の取材…なんめわざわざ受けたんですか?会長」

「リヴァル…もう私は会長じゃないって言ってるでしょ?」

「すみません、癖で…つい」

「全く…」

 リヴァルとミレイが乗っているのはジルクスタン行きの飛行機であった。ナナリー名誉顧問誘拐の事件以降、どうしても人々はジルクスタンから距離を置きたがったのだ。リヴァルもどちらかと言うとそちら側の人間だが、ミレイが強引に連れ出したのである。

「そうそう、シャーリーから聞いたんだけど、カレンがね、お父さんと東京クロヴィスシーに行くんですって」

「…あれ?カレンってお父さんと折り合い悪かったんじゃなかったっけ?」

「最近仲直りしたらしいわ」

 父親と仲直りしたと聞き、リヴァルは少し複雑そうに視線を逸らす。その様子を見たミレイは呆れたようにため息を吐いた。

「あんたねぇ…まだお父さんと仲悪いわけ?」

「しょうがないじゃないですか…今更帰りにくいですし…」

 その言葉を聞き、ミレイはオーバーにやれやれと首を振る。

「私もついてってあげるから、この仕事終わったらカルフォルニアに行くわよ。」

「…えっ?それってどういう…」

 ミレイからの答えを書く前に飛行機内に着陸が近い旨のアナウンスが入り、結局リヴァルは問の答えは有耶無耶になってしまった。

 

 

 

「テレビをご覧のみなさーん!こんにちは、ミレイ アッシュフォードでーす!本日はジルクスタンよりお送りしてます。かつて戦士の国として傭兵を輩出していたこの国ですが、今現在では超合衆国における連携の下、体が不自由な人でも快適に過ごせるような技術の開発などに国の舵を切っているようです。また、近年ではジルクスタンの傭兵育成技術を活かして様々なスポーツ選手を育成し、各国に輸出する事で大いに活躍している…戦士の国は選手の国に生まれ変わったと言う事なんですね〜」

 ジルクスタンは例の一件を受け、傭兵家業からいわゆる「助っ人外国人」として各国に強靭な選手を輩出するスポーツ業に力を注いでいた。ジルクスタン代表のシャリオ曰く戦争は無くなるがスポーツは無くならないからとのこと。そして今日ミレイ達がジルクスタンを訪れたのは何を隠そう、新スポーツ『ブリタニア式バスケ』によるブリタニアとジルクスタンの親善試合があるのだ。

「本日はジルクスタンにお越し頂きありがとうございます。ナナリー名誉顧問…いや、ナナリー監督」

「えぇ、よろしくお願いしますね。シャリオ監督」

 ナナリーとシャリオの両監督が握手を終えるとベンチへと戻っていく。ナナリーは選手であり、自身の兄姉である三人を見つめ喝を飛ばした。

「徹底的に叩きのめしてあげてください」

「…いや、ナナリー?これ親善試合…」

 ナナリー監督の余りの物言いにコーネリアは焦るが、ナナリーはコーネリアに睨み返すと

「監督は私です!」

 と言い返す。余りの圧に最早コーネリアは何も言えなくなってしまった。

 

『会場の皆さーん!そして、中継をご覧の皆さーん!こんにちは!実況のミレイ アッシュフォードでーす!これからブリタニア式バスケのルールについて軽くおさらいをしまーす!ルールは簡単、通常のバスケットボールを3人の選手で行うだけ!ただし、通常よりも試合時間は短いですよ〜。それでは選手の入場です!』

 

 ブリタニア側の選手はシュナイゼル、コーネリア、ユフィの3名。それぞれブリタニア式バスケにおける必殺…必勝技と呼ばれる特技を持っている。

 対してジルクスタン側の選手はボルボナ フォーグナー、ビドゥル、クジャパットの3名。選手同士も握手を終えると早速死合…ではなく試合が始まった。先に攻めるのはブリタニア側、ユフィからノールックパスを受け取ったコーネリアがドリブルで進んでいく。その前に現れたのは元山賊のビドゥル。

「この先は行かせねぇ!」

 ビドゥルはそのガタイの良さを活かし、相手選手に圧と長いリーチによるボール簒奪が得意な選手であった。しかし、今回は相手が悪かった。

 コーネリアはボールを高速回転させつつ凄まじい速さでパスを射出した。そのボールは地面にワンバウンド、回転の影響でコーネリアの狙い通りに飛んでいく。

 

 そしてボールが到達したのはビドゥルの腹であった。その凄まじい速度と回転によりビドゥルは壁に吹き飛び、ビドゥルにやって反射したボールをコーネリアは受け取ると更にドリブルで突き進んでいく。

『でました!コーネリア選手の必殺技、閃光のように鋭い正にキラーパス!あの技で多くの選手を葬ってきました。ブリタニアの魔女と恐れられるコーネリア選手による閃光のようなボール捌きからシャイニングウィザードと呼ばれています。』

 そしてコーネリアはゴールに向かってボールをシュート…するが、そのボールはボルボナ フォーグナーによって叩き落とされた。ボルボナ フォーグナーはブリタニアに負けたあと必死で肉体改造を施し結果にコミットした結果、年齢を感じさせないマッスルガイに変貌していたのだ。

「ボルボナ フォーグナー…!最早贅肉者でも脆弱者でも無いようだな…!」

「我が褐色の城壁と言う異名は伊達では無い!」

 しかし叩き落とされた先に待っていたのはユフィだった。

「ユフィ、ボールを私にパスしてくれるかい?」

 ユフィに対して声を掛けたのはシュナイゼルだったが、ユフィがボールを渡した先はなんとクジャパット。

『おっと!?ユフィ選手、ここでなんとパスミスです!』

 ミレイは知らぬ事だが、ユフィは確かにシュナイゼルにパスを出したつもりだった。そう、クジャパットは人物の認識を入れ替えるギアスで己とシュナイゼルの姿を入れ替えて認識させたのだ。

 

Q.ルール違反では?

A.ギアスを使ってはいけないなどと言うルールはバスケットボールのルールには記載されていない。(殴打)

 

「私はスポーツマンシップなど持ち合わせていないのでねぇ…」

 ニヤリと笑いドリブルで突き進むクジャパットだったが、その前に現れたのはシュナイゼル。ビドゥルは未だに起き上がれず、ボルボナ フォーグナーはゴール前でコーネリアにマークされている。ユフィの認識は入れ替えたが、明らかに自軍ゴールを狙う動きでどうやらギアスの事を把握されたらしく既にシュナイゼルの姿をしているクジャパットに向かってきていた。

 つまりクジャパットに残された選択はシュナイゼルに対してフェイントを仕掛けて抜き去る事である。しかし、それが不味かった。既にシュナイゼルはブリタニア最強の防御である天地知闘の構えを取だていたのだ。シュナイゼルは相手の視線や筋肉の動きで行動を先読みし、的確にフェイントを弾き、更に手刀でボールを奪う。そしてすぐにユフィにパスを出した。ユフィは先程ボルボナ フォーグナーにコーネリアのシュートが塞がれていたことを思い出しダンクシュートを決めることにした。そしてユフィは思い切り踏み込んで跳躍する。そして、ダンクシュート。

 

 ブリタニアは3点を先制した。

 

 ブリタニアは3点をダンクシュートで先制した。

 

『今回も出ました!ユーフェミア選手のスリーポイントダンクシュート!最早止める術はありません!』

 結果として、コーネリアのシャイニングウィザードでクジャパット試合続行不可となり、ボルボナ フォーグナーではユフィのダンクシュートを止められず試合は一方的に決まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …と思っていたのか?

「選手交代!僕!」

 意識不明の重体のビドゥルに代わり、シャリオがコートに入った。ブリタニア式バスケにおいては健常者と車椅子プレイヤーの両方がコートに入ることが許される。スポーツとはより広い人に楽しまれる自由なものであるべきなのだ。そして車椅子プレイヤーには車椅子バスケのルールが適用される。そしてシャリオはボルボナからボールを受け取ると、かつてナナリーが見せた超絶テクニックで車椅子を飛ばし、なんとシャリオもスリーポイントダンクシュートを決めたのだ。ブリタニア式バスケにおいてスリーポイントシュートやダンクシュートはできて当たり前の世界であり、その両方を合わせたスリーポイントダンクシュートの成功確率が勝敗を分けるのである。

 再度ボールを手にしたコーネリアがすかさずシャイニングウィザードでボルボナを葬り去らんとするが、ボルボナはコミットした身体で耐えた。そしてまたシャリオにボールを渡すとスリーポイントダンクシュートが放たれる。しかし、更に試合が動いた。

「選手交代!私!」

 なんとナナリーもコーネリアと交代しコートに入ったのだ。そして忘れてはならないのがナナリーはあのマッスルガイシャルルと運動神経化物のマリアンヌの悪魔合体によって爆誕した子供…。あのルルーシュの妹である。よって彼女の車椅子捌きはシャリオを圧倒し、また上半身も胸筋以外は見た目以上に発達していた。ゴール前から相手ゴールへの正確なスリーポイントシュートを叩き込めば最早止められず、シャリオのスリーポイントダンクシュートもシャリオが射出される前に垂直跳びをする事で進路を妨害…正しく言えばナナリーのいるところにシャリオが突っ込んできているだけなので反則にはならない…すると、その点差は丸々うちに開いていく。結果としてダブルスコアでジルクスタンを圧倒したのだ。

 

「今回の試合、MVPはナナリー監督だと思われますが、今のお気持ちはどうですか?」

 ミレイによってマイクを向けられると、ナナリーは可愛らしく笑う。

「このまま技術を研鑽して、篠崎監督率いる日本チームに今度こそ勝ちたいと思います。」

 

 そう、このブリタニアチームですら篠崎流には勝てないのだ。恐るべき篠崎流。

 

 

 因みに、今回の一件でジルクスタンを避ける動きは減ったとかなんとか。

 




ブリタニアの全速前進作戦のお陰とカレンがマッスルデバイスで原作より一方的だったため、ビドゥルは死亡回避。
クジャパットは卜部に鞘で殴打ぶん殴られ気絶しただけなので死亡回避。

コーネリアのシャイニングウィザードはプロレス技のシャイニングウィザードではありません。

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