ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜 蒼穹に散らないゼロ 第三話

 破廉恥えるーん女児アンチラの齎した情報により、俺達は偽物を追う手掛かりを得た。そして、ナナリーの囚われていた写真をグランが団員に見せた結果、捉えられている場所が古いエルステ帝国の様式の物だと気付いた者がいた。そこから島の中のエルステ帝国の施設を洗い出し、候補を絞る。同じ団の仲間の妹だからとグランの団員達は協力を申し出てくれたため、最も怪しい施設に俺やスザク、グランと言った主力が向かい、残りの施設は他の団員達が監視してくれると言う手筈になった。多種多様な国家、民族、考えを持つだろうこの団を上手くまとめられているグランには全くもって驚かされる。…全ては彼の人柄による物だろう。

「なぁスザク。」

「なんだい?ルルーシュ」

「俺は元の世界に帰ったら黒の騎士団の在り方を見直すことにした。グランを見て…思い知らされたことがある。だから…」

「ルルーシュ、その話は帰ってからにしよう。君の未来の決定にはナナリーも立ち会う権利がある。」

「…そうだな」

 その言葉に俺は頷き、ガウェインに乗り込む。

「それではスザク、カレン、グラン、ビィ、ルリア!準備はいいか!」

「私には聞かないのか?」

 後ろから流れる雑音は無視し、言葉を続ける。

「これよりナナリー救出作戦を開始する!作戦は時間との戦いだ、故に分かっているな?」

 俺は一度目を閉じ、そして開く。今回の作戦は単純にして明快。

 

「全 速 前 進 だ ! !」

 

 カレンは帝国施設である軍事要塞から現れたゴーレムとの交戦を開始、カレンならばまずやられることはないだろう。そしてスザクからは発着場を封鎖したとの連絡があった。これで相手の逃げ足は封じた。このまま追い詰めてやる…!すると、またしてもスザクから通信が入った。

『ルルーシュ、要塞内部から多数のサザーランドだ!交戦している!』

 …サザーランドだと…?カレンの方にはゴーレムなのにスザクの方にはサザーランド…恐らくサザーランドは余り数がないのだろう。ならばスザクが負けるはずはない。

「スザク、サザーランドはお前一人に任せる。できるか?」

『…勿論だ。俺は…サザーランドの大群を倒して"鍛える"!!』

 よし、あとは施設内を探索しているグラン達がナナリーを見つけてくれるはずだ。

『こちらカレン。聞こえる?ルリア達が要塞内を確認したけど見当たらないって』

「なに?」

 そんなはずはない…ナナリーが居ないのならサザーランドを出す必要なんて無いのだ。…まさか地下か?味方にすら秘密という線はあり得る。何せ俺自身が味方にすら隠し事をして戦っているのだから。そうと決まれば…

「C.C.、後で俺を回収してくれ。」

 事前に入手していた要塞のデータと地質データを考えれば地下の作り方など簡単に予測できる。俺はガウェインから飛び降り、そのままの勢いで地面にフットスタンプを叩き込み岩盤を破壊する。地下に入るとサザーランドと目が合うが、すぐさま回収に来たガウェインにより俺は回収され、乗り込むと同時にスラッシュハーケンをブチ込みそのワイヤーでバラバラに切り刻む。コクピットの中を確認すると無人であり、どうやらドローン化されているらしい。

 

 そのタイミングでサザーランドを殲滅したスザクと同じくゴーレムを殲滅し、グラン達を連れてきたカレンと合流する。全員で進むと、広い空間に出た。そこには台座と、ナナリーの姿が見える。そしてナナリーの前には偽物が立っていた。

 最早首魁が何もせず立っているとは…最早万策尽きたと見える。相手に次の手を打たせる前に速攻で決める、それがこの全速前進作戦の肝だからな。

「終わりだ!偽物!」

『万策尽きた?違うな、間違っているぞゼロ!』

『ルルーシュ!退がれ!!』

 スザクの言葉に瞬時にその場を飛び退くと上から緑の棘の生えたオレンジが現れた。これは…ブリタニアの兵器開発プランにあったナイトギガフォートレス…!?

『ゼロ!私でした!こんな世界で貴方に復讐出来た機会がやってきましたですね?何たる暁光!宿命!数奇!!受けよ!私の屈辱ゥッ!!』

 馬鹿げたフォルムに反してその高速回転による突撃はあらゆる物を軽く穿ち突撃してくる。

『ルルーシュ!』

 咄嗟に庇いに来たスザクがブレイズルミナスで防御するが、その破壊力にブレイズルミナスは砕けてしまう。やられる一歩手前で今度はカレンが現れ、輻射波動を放つことでなんとか防ぎ切った。

『その光ッ…!貴方様ですね?私をこんな姿にしたくださった方は!!』

 どうやらカレンに狙いを定めたらしく、またしても回転突撃を放ってくる。

『来るなら来なァ!』

 再び輻射波動で防ぐカレンの作ってくれた隙を見逃さず、俺はハドロン砲を放つ。

『見 え た』

 瞬間ハドロン砲を躱され接近を許してしまう。図体の割に素早い…!腹にパワーも強いのか…!

 必死でガウェインによる拘束を試みるが、状況は厳しそうだ。すると、青い光が放たれる。

「あれは…コロッサス!」

 ルリアが遣わせたのは星晶獣コロッサス、ガウェインとコロッサスで挟み込むように拘束することでオレンジの抵抗を封じた。

『ここだッ!!』

 そして現れたランスロットによる二振りの剣により装甲を切り刻まれ、オレンジは爆散した。

 

 

 

 あのオレンジのデカブツはルルーシュ達に任せてオイラ達は偽ゼロを捕まえてナナリーを助けるぜぃ!…それにしてもらさっきからなんだが体がポカポカするなぁ?

「くそ!なんでだ!アクティブ ディナイアル システムだぞ!?全身が火傷の痛みのはずなのに!!」

 あくてぃぶ ティナ?でぃ?…なんだって?よくわかんねぇけど、オイラ達くらいのマッスルガイが火傷の痛み程度で動かなくなるはずないぜぃ!何せグランはあのヒュドラの火球を受けてもピンピンしてんだからよぉ!

「なっ…そんな馬鹿な…!生物学的に炎には燃えて然るべきろ…!!」

 オイラ達みたいなマッスルガイは凄まじい新陳代謝で大量の汗を噴出して体を汗の膜で覆えるから実質水属性の性質を持つからなぁ…火属性攻撃は水属性で半減できるって知らねぇのかなぁ?

「じゃあそこの女は!?」

「はわっ!?わ、私ですか…?これくらいバルツに比べれば微風ですよ〜」

「クソ!クソクソ!こうなったら!!」

「せ、星晶獣の気配ですっ!何か仕掛けてきます!」

 ルリアの声に反応して相棒は駆けて居たぜ、相変わらず速えなぁ〜!

「は、速い!だが!」

 相棒のトリプルアタックを躱すなんてアイツやるなぁ!でもよぅ、相棒のターンはまだ終了してないぜぃ!

「今のはツープラトンだ」

「‥何!?」

 相棒のツープラトンは相手に攻撃を仕掛けてその後間髪入れずにもう一度攻撃する相棒の奥の手だぜぃ!ダメージアビリティで使用間隔は15ターンと長めだぜ!…使用間隔ってなんのことだ?オイラは急に何言ってんだ…?まぁいいや。

「な、舐めるなぁ!!」

「おいおい、オイラを無視すんなよなぁ〜」

「背後に!?いつの間にッ!!」

 オイラがアームハンマーを振り下ろすと、間一髪で避けやがった。すげぇなコイツ!オイラ、ワクワクしてきたぜぇ!

「恐ろしく早いビィの不意打ちすら避けるとは…やはりお前、心が読めるようだな。道理で俺とスザクの合体技ミサイルルーシュが外れたわけだ」

「遅かったじゃねえかルルーシュ」

 ルルーシュとスザクが合流してきたぜ、これからが本場って訳だよなぁ!

「あの星晶獣とやらがナイトメアの駆動系に悪さをするらしくてな、来るのが遅れてしまった」

 そういうとルルーシュは肩を竦めてたぜ、ルルーシュってキザだよなぁ

「馬鹿な!お前達の前には鉄格子があったはずだ!!」

「何を言ってる。鉄格子くらいひん曲げれば通れるに決まってるだろ。」

「そうだぜ、オイラ達マッスルガイを舐めすぎだよなぁ」

 圧倒的な筋肉を持ってすれば鉄くらい簡単に曲げられるぜぃ!それに…そろそろ身体もあったまって来たよなぁ〜!

 

「超えてやるかぁ…"理"って奴をよぉ!!」

 

 オイラは奥義『理の超越』で瞬時に偽ゼロの背後に回り込んで回し蹴りを叩き込むぜぇ!

「かはっ!?」

 吹っ飛んだ先には既にスザクが待ち構えてるぜぇ!スザクの奥義『回転くるくるキック』で吹き飛ばされ、グランが奥義の『ドロップキック』で更に弾き飛ばし、最後に…………

 

 

 

 ビィとスザクのコンボからのグランのドロップキック、これで3チェイン…あのダメージでは最早心を読めても無駄な事だ。俺はクラウチングスタートの姿勢をとり、一気に加速した。

「罪のない人間を無闇に傷つけ、目も見えず、足の悪いナナリーを人質にするという蛮行、決して許さん!これで終わりだッ!!」

 

 俺の奥義『流星蹴り』が炸裂し、加速した膝蹴りを叩き込みそのまま突き進む。そして俺とは異なる方向からスザク達が接近し、四人同時に拳を振り被った。

 

「行くぞッ!」

 

 F U L L C H A I N !!

- 筋 肉 の カ ー ニ バ ル -

 

 四方向からの同時攻撃、これは躱せない!

「ごひゅッ!?」

 偽ゼロは吹き飛ぶ事なくその場に崩れ落ちた。これで終わりだろう。…しかし、俺は甘く見ていた。奴の執念を。

「ルルーシュ!背後だ!!」

「何ッ!?」

 ボロボロになった偽ゼロは何かを手に握っていた。そしてそれを俺に突き立ててくる。

「これはなぁ!ブリタニア最新の殺人ウィルスだ!これでお前もは死ぬ!!見ろ、この割れたガラス片を…何かわかるか?そのウィルスへの特効薬が入ってた瓶のガラスだよ!!お前達が散々痛めつけてくれたおかげでお前は死ぬんだ!ざまあみろ!!」

 なるほど、危ないところだったな…これがもしナナリーに刺さっていたらと思うとゾッとする。

 

「…何故だ、何故死なない!とっくに死んでもおかしくないはずなのに!!」

「何故か?簡単な話だな。筋肉だよ。」

「は?」

 俺ほどの筋肉があればウィルスなど無意味!圧倒的筋肉から放たれる圧によりウィルスは死滅!

 即ち俺の体は病気や怪我、そして細菌やウィルスに対しても強靭!無敵!!最強ォ!!!

「ルルーシュ、本当に平気なのかい?」

「当たり前だ。この俺がウィルスなどという矮小な存在に害されると思うか?」

「…思わないな。流石はルルーシュだ。」

 暫くすると、えるーんのように脇や背中の布面積の少ないヒューマンらしき女とどらふのように胸筋の発達した小柄なヒューマンらしき二人組が現れた。

「事案ですか?」

「よぉリーシャにモニカ!こいつが例の通り魔だぜぃ!」

「グラン、今回も犯人確保の協力感謝するモニ」モニィ!

 こうして偽ゼロは秩序の騎空団と呼ばれる組織に引き渡されナナリーも無事に取り戻し、ついでにジェレミアもなんだか俺の顔を見たら正直に戻ったので一件落着となった。

 …ん?なんか今変な語尾が聞こえたような…いや、気のせいだろう。

 

 ルリアが取り込んだ星晶獣の磁力操作と残されて居た謎の装置を操ることでどうやら俺達が来た時と同じ時空の歪みが形成出来たらしい。ドルイドシステム様々だな。

 

 この世界の生活は楽しいものではあったが、俺にはあの世界にやり残したことがある。母の死の真相を暴き、あの男を倒す…!別れは辛いがな。

「はわわ…皆さん帰っちゃうんですね、寂しいです。」

「済まないルリア、俺には元の世界でやり残したことがあるんだ。」

「もう二度と会えないとは思うけどよぅ、俺たちの事忘れねぇでくれよな!」

 お前のような特徴の塊を忘れる奴はいないだろうに

「グラン、お前には…本当に世話になった。それに、お前の団長としての姿に俺は己を見直すことに決めたよ。」

 グランは何も言わずに頷くと、サイドチェストを披露して来た。するとビィも続いてアドミナブルアンドサイを披露し、スザクもラットスプレッドを行っている。そして俺もダブルバイセップスを決めた。

 

「「「「ナイスバルク!」」」」

 

 俺達はお互いの筋肉を褒め称え白い歯を見せ合う。人種も…人種どころか種族も、立場や主義も主張も異なる俺たちがこうして笑い合い筋肉を褒め合う。これが平和というものなのだろう。

「グラン、ビィ、ルリア…それに協力してくれたみんな、ありがとう。お陰で俺はナナリーを取り戻し…元の世界に帰ることができる。再び会う事は出来なくても…きっと俺達は繋がってるはずだ。」

「うん!」

「当たり前だぜぇ!」

「はい!」

 

 

 そう、魂の筋肉でな!

 

 

 

ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜 蒼穹に散らないゼロ Fin

 




「river525さん」からのリクエスト「蒼穹に散るゼロシナリオ」でした。

なんとプロローグ+6話+エンディングなはずの原作のうちの4.5話(というかほぼ半分以下)で話を終わらせる暴挙。

●登場キャラクター●
・偽ゼロ
本名はデルフィナ。V.V.と契約して心を読むギアスを得た少女。とある理由からまぁ色々と拗らせて色々やらかした。ぶっちゃけ原作でも同情の余地がない残念な人。詳しくはグラブルやろう。サイドストーリーに常設されてるから初心者でも少し進めればプレイ可能だぞ。

・リーシャ
秩序の騎空団に所属するエルーンみたいに脇や背中の空いた制服(?)を着る女性。グランとは同年代であり、特に秩序を乱すものに対する対応の際にはグランやビィを軽く捻り潰すほどの力を見せる秩序絶対正すウーマン。お前の服装も十分秩序を乱し得ると思う今日この頃。

・モニカ ヴァイスムント
秩序の騎空団に所属するドラフみたいに発達した胸筋と成人女性にしては小柄な身長と童顔が特徴の女性。グランやリーシャよりも歳上なのだが見た目のせいでいつも歳下に見られている。ミートギアス版に限っては語尾が変。いわゆる合法■リという乱れた秩序そのものみたいな存在だと思う今日この頃。

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