ミートギアス 〜筋肉のルルーシュ〜   作:ベルゼバビデブ

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サブタイトルを付けるならばコーネリアの憂鬱R2とかですかね


REQESTRAINING07

 全戦惨敗、それが私だ。コーネリア殿下の夢…姫様との結婚の条件とはユーフェミア皇女殿下を倒す事。

 

 しかし、試合でもスポーツでも学問でも、勝てない…!

 

 かつては私が教える立場だったナイトメアも今やユーウェインを駆る元ラウンズの腕前を持つユーフェミア様に私が太刀打ち出来ず惨敗、スポーツでは持ち前の筋肉を持って惨敗、学問は筋肉で脳を拡張した脳筋のユーフェミア様に凡人の私では敵うはずなどなかったのだ。

 

「ギルフォード、いい加減諦めたらどうです?貴方のような脆弱にして惰弱な男にお姉様はお任せできません。」

 

 申し訳ございません姫様…私の力が及ばないばかりに…!それにこれは姫様だけのためでは無い。ユーフェミア様の為でもあるのだ。先日、ユーフェミア様にボコボコのボコにされた日、姫様から手当てを受けた…その時の姫様は実に憂鬱そうであり、その呟きは今も覚えている。

『ユフィ…かつて溺愛していた私が言うのもなんだが、そろそろ姉離れできないものか…』

 そう、姫様はユーフェミア様が逞しくなられていくうちにかつてほどの溺愛はなくなっていったのだ。別に姉妹仲は良好ではある。それを悪いとは私も思わない…しかし、姫様の心配もわかる。故に…姫様とユーフェミア様の為にも私は必ずユーフェミア様に勝たねばならない。

 

 そして、今日も惨敗した。女性であるユーフェミア様になら或いはと思い大食い勝負を持ち掛けたのだが、考えが浅はかだったようだ。

「ギルフォード、これで丁度99度目の負けになりますね。」

「…はい」

「お姉様に相応しい強い男になる気はあるのですか?」

 そのつもりも覚悟もある…しかし、こうも壁が絶望的に高いとは…。

「次で決めて下さいね、ギルフォード。私を負かすか、お姉様を諦めるか」

「…はい」

 次…次の戦いでなんとかして勝たねば…!

「なぁ、二人とも…私は別に…」

「お姉様は引っ込んでいて下さい!」

「えぇ…私の結婚なのに…」

 ご安心ください…!次こそは必ず…!

 

 …そうは言ったが、どうすればユーフェミア様に勝てるだろうか。思い出せ…過去の経験の中に必ず勝てるヒントがある筈だ…。

『何?私とギルフォードのどちらを騎士とするか…?ふむ、当然姫様の騎士として相応しいのはより逞しい筋肉を持つ私だろう』

 そうだ。過去には私はダールトン将軍と姫様の騎士をかけて…あの時は結局…

『…ジャンケン?私とギルフォードで?』

『運も実力のうちというだろう?ダールトン、ギルフォード。私の騎士という名誉…見事その運で勝ち取ってみせよ!』

 そうだった。私は姫様の騎士を運で勝ち取ったのだ。ならば今回だって同じこと…!

 

「え?ジャンケン…ですか?」

 

「はい、ユーフェミア様、この私に最後のチャンスとしてジャンケンで勝負して下さい。」

「…まぁ、良いですけど。じゃあルールを決めましょう。『最初はグー、ジャンケン ポン』のポンでお互いに手を出すということで。タイミングはお姉様に確認してもらい、後出しは負けの一回勝負としましょう」

 私はその言葉に頷く。

「後はそうですね、相手への接触は禁止…も追加していただけないでしょうか」

「…。私が最初はグーのグーで殴り飛ばすだなんて考えてたんですか…?」

 …いや、全くそんなこと考えてなかったが…まさかやろうとしてたのか…!?

「しかしギルフォード、貴方にはもう少し期待していたのですが買い被りだったようですね。運に頼るなんて」

「運も実力のうちと言いますので」

 そして姫様の前で拳を突き出し、息を整える。

「「最初はグー!ジャンケン…」」

 

「「ポンッ!」」

 

 ユーフェミア様はパー、私は…

 

「チョキ…!?ギルフォード、あなた…!!」

「勝たせていただきました。ユーフェミア様」

 ユーフェミア様はきっとこう思っただろう、『ジャンケンならば圧倒的筋肉と反射速度から相手の手を直前で確認して勝てる手を出せる』と。しかし今回はそれを逆手に取らせて貰った。この方法はあのダールトン将軍にも通用した秘策。

「…ギルフォード、まさか右手でグーを出しておきながら背中に隠した左手で勝負をしてくるなんて…盲点だったわ。運任せだなんて嘘、しっかり私に心理戦で勝ったといったところかしら」

 そう、グーを出した右手を変化させるのではなく、あらかじめ出しておいた左手を勝負の手として展開するこの方法ならば裏をかくことができるのだ。

 

 こうして私は姫様と…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや…ギルフォードをそんな目でみたことないから…」

 …えっ?

「えっ?」

「えっ?お姉様?」

「えっ…だって私は一度もギルフォードを相手にとは言ってないし…」

 えっ?

 

 えっ…?

「ひ、姫!?それでは…!?」

「すまんギルフォード」

 私は…今まで一体何のために…?

「あー…ギルフォード、なんだ、その…アレだ。」

「何でしょう、姫様…」

 

「お友達から、始めましょう…?」

 

 結論から言えば、姫様の婚活はまだ続いている。ただ、前回と違うことはユーフェミア様という妨害が無いことだろうか。ユーフェミア様はユーフェミア様で婚活…というか武者修行のような事を始め旅に出てしまった。…ユーフェミアの武者修行、通り魔みたいな事をやってないといいが…。

 

 結果としユーフェミア様の姫様離れは出来たというべきだろうか。それだけでも良いとしよう…。




「野良犬ジョーさん」のリクエスト「ユーフェミアのコーネリア離れ」でした。

…いや、結果はリクエスト通りだけど過程がほぼ描写されてないなこれ!?

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