「後は一人で帰れるよ。」
「畏まりました、お気を付けて、シャリオ様」
シャリオはボルボナ フォーグナーと別れると一人車椅子を走らせ自室に向かっていた。その時、背後に気配を感じたシャリオはふと振り返る。そこにはフードを被り顔を隠した人物が立っていた。
「君は…まさかマリオかい?」
「お久しぶりです、シャリオ様」
シャリオはマリオとは、ジルクスタンの一件以降会っていなかった。そもそも、マリオと交友があったのは主にシェスタールであり、それ以外ではシャリオよりどちらかと言うと姉のシャムナの方がマリオと交友があったのだ。
「今までどこにいたんだい?てっきり死んだものかと思ってたよ。」
「…シャムナ様が死んだと言うのは本当ですか」
その言葉にシャリオは視線を落とし、小さく肯定の言葉を呟いた。
「…そうですか。…シャリオ様」
マリオの言葉にシャリオ何も聞かずに首を振る。
「僕らは…ジルクスタンはもう争いの火種に加担はしない」
そう言い切ったシャリオの顔を見てマリオは苦虫を噛み潰したような顔をした。
「でも…君が足を洗うならばまた僕を頼ると良い。ここは…ジルクスタンは君の故郷、と言えるかは分からないけれど…少なくとも知った仲だ。無下には…したくない。」
しかし、その言葉の返事と言わんばかりにマリオは懐から銃を取り出した。
「脅しのつもりかい?」
「あなたは何も思わないのか…この世界の異常に…!こんな、何もかも筋肉で…!馬鹿げてると思わないのか!?」
「何を言ってるのか分からないな。筋肉はあらゆることを可能にする万能なものだと言うのは当たり前だろ?」
ごく当たり前のことのように言葉を話すシャリオだが、マリオは激しく首を振り反論した。
「こんなはずじゃなかった!全部!何が筋肉だ!本当はこんな…ゼロは、ルルーシュはあんな肉ダルマじゃなかった!」
「…何を言ってるんだ…?君は…?」
マリオの瞳にはギアスの欠片が宿っているのだが、シャリオがそれを知る由もない。兎に角マリオは今の世界は狂っているとシャリオに叫ぶが、シャリオは困惑するだけだった。
「…もういい、あんたは本来なら死んでるべき存在なんだ。だから…死ね!」
放たれる弾丸にシャリオは超絶的反応を見せると自分の眉間を撃ち抜かんとするそれをキャッチする。そう、弾丸キャッチだ。因みに、ナナリーも最近会得した事で弾丸を撃たれた場合の対処法を持たないのが現存命元ブリタニア皇族でもコーネリアだけになってしまったのだが、そう言うことも…まぁ、あるだろう。
因みに、オデュッセウスは受けても無傷、シュナイゼルは弾き落とせる、ユフィは弾丸キャッチ可能という具合だ。ルルーシュ?そのいずれも可能だ。
「…!僕を撃つなんて穏やかじゃないね、マリオ」
「クソ…アンタまで…!」
続けての発砲はシャリオ本人ではなく車椅子に行なわれ、それ故にシャリオは回避も防御もできず走り去るマリオの背を見つめることしかできなかった。
「…マリオ、やはりマッドドッグとは君なのかい。どうしてそんな馬鹿なことを…。」
シャリオはその日の出来事を胸の奥にしまい、誰にも話すことはなかった。
Q.なんで185?
A.1(い)8(やっ)5(ふー)