超昂大戦 二次創作SS  最高の作戦! ルビー・笑顔の帰投報告   作:環 藍河

3 / 3
※神騎アルゴルのキャラクターストーリーに関するネタバレが含まれます。
※登場は他に、八の闇刀ラブディエルとなります。核心に迫るネタバレはありませんが、キャラスト通読後の方が楽しめるかもしれません。
※pixiv様にも投稿します。


Epilogue 愛され参謀様への上申

……

「アサシン隊、整列!」

ざっ、ざざっ。

「点呼!」「いち!」「に!」「さん!」…

「全員確認!」

神騎アルゴルの復帰初日、本日の任務も危なげなく完遂された。

「諸君、ご苦労であった。私の不甲斐なさで、本日の司令管制、ブランク後の不安を感じるものであったなら、遅滞なく上申せよ。以上、解散!」

 

……

…?

通常の最終点呼であれば、敬礼の後、左向け左で一斉退場。

が、アサシン隊は一人として動かない。

 

暫時の沈黙を、隊員のリーダーが破る。

「アルゴル様! 我々アサシン隊一同、本日も貴女様から授かりし戦略のおかげで、任務を完遂し、全員無事に帰投することが叶いました!」

「貴女様から日々賜る、常に明確な指示の戦略に、我々は日々迷いなく任務遂行に専念することができます!」

「一人ひとりの生存を常に最優先事項とした戦略、隊員全員がアルゴル様に謝意と尊敬の念を常に抱き、日々の任務に邁進しておりますことを、本日は何としてもアルゴル様に上申すべく、このようなサプライズを企てました! …あっ、軍法会議だけは、平にご容赦ください!」

「アルゴル様におかれましても、明日も、その次も、永劫にご安全に! 一同、最敬礼!」

ざっ、ざざっ!

 

「……ゔっ……」

…?

「ゔっ、ゔうっ、あっ…」

…!!!

 

「ゔわああああああん!!! ひぐっ、ぐすっ、ぐすんっ、ゔええええええん!!!」

涙腺、決壊。

神騎アルゴル、陥落の瞬間であった。

 

「わ、わだじなんが、みんなに、死んだほうがマシってぐらいの、むぢゃぐぢゃな、命令ばっがり、まいにぢまいにぢ、うぐっ、ひぐっ…。そ、ぞれなのに、みんな…みんな…! うっ、うわああああああん!!!」

…この日、隊員一同が見た、アルゴルの秘めた隊員への深い情愛と、3歳児もかくやという素顔の号泣っぷりは、季節はずれのエイプリルフールに皆が見た幻として、暗黙の了解となった。

 

「ううっ…常に神々と天使長様の憂いに先がけ、汚名を甘受し闇を払う、アサシン隊の参謀にあるまじき醜態…ラブディエル様、この上は馘首を…!」

「アルゴルよ。我等は暗躍部隊だが、常に感情を圧し殺すべし、という意味ではなかろう。常在戦場、その覚悟は立派だが…」

アルゴルの敬愛する上司・八の闇刀・ラブディエルは、脇に抱えた紙袋から、湯気の昇る饅頭を一つ。ぱくっ。もぐもぐ、ごくっ。ぷはっ。

「旨い中華料理を存分に堪能し、我等が護るべき地上の安寧に思いを馳せるひと時も、また不可欠なのだ。…もっとも、私がこの思想に至ったのも、トキサダに美味と、指揮官の本分を教わって以降だがな。」

 

…神騎の一部から時として向けられる、天上神騎の暗部の吹き溜まりへの、汚物を唾棄するような悪意。

あいつら、神騎のくせに、血も涙もない、返り血まみれの殺戮の天使じゃないか。

…ラブディエルは常に、そんなヘイトからアルゴル含む隊員たちを庇い、しかし口をつぐんで耐えてきた。

 

ラブディエルもアルゴルも、今なら胸を張って反駁できる。

見よ、我等の激情を。

こんなにも血の通った、こんなにも下が上を、上が下を想い合う、我等の絆を。

 

「アルゴルも食せ。今日の豚角煮まんは、五香粉が絶妙に効いて格別だぞ。」

「…戴きます。」

もぐっ、むぐむぐっ、…?

「〜んん〜〜〜っ!? はっ、むぐぐぐっ」

突如悶えるアルゴル。強烈過ぎるスパイスに驚き、口の中の饅頭がアルゴルのおかしな所に入ったようであった。

「ははっ、アルゴルはつぶあんまんの方が良かったかな? 赦せ!」

 

(ううう…恥ずかしい…!

そもそも、なぜ、こんなことに…?)

今日、彼女らが示したものは…謝意と、信頼と、感情…はて、どこかで…?

(…あ…あああ〜〜っっ!!)

アルゴルの明晰な頭脳にしては、遅すぎる事象の解析であった。

(ル…ルビーさんが、うちの隊員たちに、私のあの3つの計略、晒したの…か!!)

 

(だって、司令官として長官が喜ぶことなら、絶対にアルゴルさんにとっても嬉しいはずじゃないですか!)

…もしアカリがその場にいたなら、悪気も屈託もなく、こんな返しをしていただろうか。

 

「お…おのれっ、ダイビート! やっぱりルビーも魔王トキサダの手下、心もすっかり魔王の毒に冒されていたかあーーっ!!」

ルビーとトキサダに貰ってしまった、熱い気持ちの整理がつかないアルゴルは、照れ隠しにこんな悪態をつくしか無かった。




完読いただけましたか? お疲れ様です。環 藍河です。
アルゴル様は、キャラクターストーリーで環がハートわしづかみにされました。ええ、環的にはエスカ・チームの4人に匹敵する破壊力でしたの。
また、トキサダが言えない長官の孤独を、ある意味同業者として理解できるポジションなので、今回は狂言回しでご活躍いただきました。書きたい展開が先に決まって、誰を出せば描けるかなぁと探してたら、アルゴルさんがガッチリハマってくれて、実質2日でイッキ書きできました。

この後は、最強化計画第3弾(登場人物は第2部からも引っ張ることになりました)、今回みたいな単話完結が1本、長編(6章構成の予定)1本をストックしています。放出まで今しばらくお待ちください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。