厨二病バッチ来い!
side:ベル
ランクアップ期間は人によって変わる。二年と少しでする者や、五年六年と長くかかる者もいる。
ただ、稀にものすごい早さでランクアップする者がいる。
今から15年ほど前、アルフィアという名の少女が最年少、最速記録をたたき出した。その後も極めて短い期間にランクアップし続け、17歳にしてLv.7に到達するという快挙。
正直、これほどの天才が現れることは無いだろうと思っていた。のだが....
何故この話をしているかと言うと、だ。
「たった一年でランクアップ....」
「【静寂】を越したか...」
いつものように団長室に五人集まり(一人は、神ロキ)報告会が行われていたのだが、その際ロキ様からそんなことを告げられた。
「どういった経緯でランクアップしたんですか?」
「中層のモンスターそれも強化種を倒したらしい」
「中層?強化種?なんでそんなモンスターと戦うことに?」
「とある
「それは知ってますが....その前に何故ダンジョンに神がいるんですか?...ああ、
本来ダンジョンに神がいるのはおかしいことだ。神がダンジョンに入ることは禁止事項になっているからである。もし破れば莫大な違約金か罰をうける。
ただ、
「アイズがここに来てからもう一年か...早いもんだね」
フィンがしみじみとそう呟いた。
「ああ、大変だったものだ」
この一年間本当に苦労したものだ。僕はそれほどだったけど、三人の苦労は僕の比ではなかった。
言うことは聞かない、すぐに特攻する、ほっとけば何日でも潜ろうとする。本当に大変だった。
余談だが、淡々とモンスターを倒していく姿は不気味であり、人形のような佇まいから【人形姫】と前々から呼ばれている。また、他派閥から『早々に死ぬだろうな』と言われるほどにモンスターへの執念が凄まじかった。
「しみじみ思ってるとこ悪いけど、アイズに関しては現在進行形だからね」
『ベル....アイズのことを頼む』
「いやなにサボろうと!?」
三人は声を被せて丸投げしてくる。フィン、ガレスはともかくとして、リヴェリアは絶対にダメだ。誰が女性の作法を教えると言うのか。
「だってベルと一緒のときは、僕たちといるよりずっと大人しいそうじゃん」
「フィン達に比べれば、ね。別に全然大人しくないから」
アイズは最初期からベルといるときは他に比べて暴れるようなことは少なかった。フィン達が言っても聞かなかったことをベルが言うと聞いたりと、ベルに対して何か通ずるとこがあったのかそれなりに大人しい印象を持たせている。
ベルも精霊の血が少し混ざっているので、そこにシンパシーを感じたのかもしれないが、大部分としては、ベルとの探索のとき他の人よりも自由度が高いというのがあるかもしれない。なので、反発することが少ないと思われる。
「アイズたんがランクアップしたんはもう一つの理由があんねん。誰かが入れ知恵したらしい。禁忌とされるランクアップの方法をな。それもあってのランクアップやろな」
「....アイズ大人気だね」
「呑気なこと言ってる場合では無い」
「分かってるよ、ママ」
「誰がママだ!」
リヴェリアはアイズを教育してからというもの、母性が爆発している。やり方が完全にお母さんなのだ。そんな様子から、僕達は''ママ''と呼んだりしてからかっている。
「あんまり弄りすぎると怒られるよ、ジィジ」
「....ガレス?言われてるよ?」
「お主のことじゃからな。なんで何も言わないの?といった表情でこちらを見てくるでない。もう一度言うが、お主のことじゃ」
「ちょっと何言ってるかわかんない」
「なんでじゃよ」
ベルに関しても、ジィジと呼びからかわれることがある。アルフィアが幼少のときから祖父のような包容力は顕著であり、アイズを世話するようになってから更に増した。手のかかる子ほどやりがいを感じるものなのだ。
「話を戻すとして、そろそろアイズにスキルのことを教えようか」
アイズには【
当時荒れに荒れていた彼女にそのスキルを教えるのは危険だと判断し、五人はスキルの存在を教えるのを今は辞めておこうと決めたのだ。
「まぁこのことはベルに任せて、次の問題を話そう」
「ちょっと待って」
「ん?」
「いや、ん?じゃないから。何さりげなく押し付けてるの?」
「だってベルの言うことは比較的聞いてるでしょ。だから、注意喚起も含めて言ってもらおうかと」
「...さっきもこんなやり取りがあった気が...」
「気のせいじゃない」
意地悪く微笑んだフィン。その顔を見て、次の嫌がらせを酷く面白可笑しいものにしようと決意した。
「言っとくけど、僕はもう何をするか決めてるから、覚悟して仕掛けてくるんだね」
...なんで僕はポーカーフェイスが出来ていないんだ?完璧だと我ながら思ってたんだけど。「何年も一緒にいるんだから分かるよ」...なんか告白を受けたみたいで気持ち悪いなぁ。
なので、シッシッとフィンに払い除けるようなジェスチャーを送る。
「こんなことをしとるから一部の人らにあんなことを言われるんじゃ」
「仲がいいに越したことは無いがな」
「...お主は別の意味で、仲良くなりたいやなんでもないぞ」
ベルとフィンが言い争っている脇で、ガレスがリヴェリアに処されようとしている、なんとも可笑しいな光景。相変わらず仲がいい意味でも悪い意味でも良い。
「毎回思うんやけど、ウチのセリフ少なない?」
『気のせい気のせい』
話を戻すとして、アイズがランクアップしたのは僕達が『遠征』に行っていた時だ。
そして、だ。今まで戦闘シーンなど書いてこなかったので、ここでこの『遠征』で起こったことを簡潔に書こうと思う。
あれ?誰に言ってるんだろう?
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現在、僕達は中層にいる。
もうLv.5にもなってる僕達は手こずることの無い階層なのだが、そんな中層で本気を出す者がいる。
それは誰かと言うと...
「またやっとるのぉ...」
「...フィンの気持ちを考えれば分からんでもないがな」
「...僕も早くフィンに似てるモンスターを探さねばっ...!」
状況説明すると、中層で現れるとあるモンスターをフィンが全力で討伐してる、というもの。
そのモンスターとは、アルミラージだ。白いフサフサの毛に深紅の瞳。また、種族はほぼ
ベル自身、ずっと昔からアルミラージというモンスターを知っていたが、フィン達はLv.2になって中層進出し初めてアルミラージを見た。そのとき『...ベルだ』と発言している。そう思わせる程に似ているといっても過言ではない。
そして、だ。何故フィンが全力で討伐しているのかと言うと...、ベルとフィンは嫌がらせをしあう仲で、日々どうやってアイツを困らせようかと考えている二人なのだ。当然両者、してやられた!?という時があり、勝負している訳では無いが、負けたと思うこともある。
そんなとき、ベルに似ているモンスターがいるとなれば、ストレス解消に使わないなんてことは無いだろう。
そう、つまりそういうことなのだ。...どういうこと?
「ハハっ...スッキリしたよ」
「...どこか、何処かにフィンに似ているモンスターはいないのっ!?」
大量発生していたアルミラージを団員に任せず全て倒し、やり遂げた満面の笑みを浮かべる。
その少し離れた場所で、今まで遭遇したモンスターを必死に思い出そうとするベルがいた。
これはダンジョンに行けば、毎回起こる行事。もはや《ロキ・ファミリア》の名物となっている。
余談だが、ベルを想ってるリヴェリアはアルミラージを撫でてみたいと思ってる節がある。モンスターじゃなくて、本人を撫でればいいじゃんと言う話になるが、本人曰く『恥ずかしてくてできるか!』とのこと。
ガレスは思った。こんなんだから行き遅れるのだと。
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《ロキ・ファミリア》は到達階層を更新するのに力を入れているが、近年行っている『遠征』はあまり力を入れていない。理由としては、
なので今回も、その階層に到達したと表す鉱石やモンスターのドロップ品を入手し帰還した。
まだまだ下層も下層にいたときだった。僅かに地響きがおこり、それが次第に大きくなっていく。
ここでフィンが察知する。
「不味い!
ただ稀に、天然の
今いる場所はあまり広くない一本道だ。挟み撃ちされれば面倒くさい場所。救いなのは両方からでわなく、音からして後方からしかモンスター達が押し寄せてきてないこと。
これならば、無駄な戦闘をせずに逃げればいい話だ。
「みんな戦闘は回避するんだ!早急に撤た『
「こんなとこでそれを放つつもりか!?」
「無茶が過ぎるわい!?」
フィンが撤退の指示をしようとするのを遮るように、魔法を詠唱し始めたベル。他の面々は驚愕の声を上げる。
「くっ...ベル以外の者は撤退するんだ!急げ、巻き込まれるぞ!」
ベル以外の《ロキ・ファミリア》は立ち止まったベルを追い越していく。
《ロキ・ファミリア》の面々に不安などなかった。むしろ、またベルさんの無茶が始まった、程度しか思っていない。
『恐れる必要はない。これは自由への導となろう』
魔力が迸り、髪が服が
そして、それほど高くもない天井に魔法陣が浮かび上がる。
『轟け、雷霆。唸れ、稲妻。邪魔を打ち払う、退魔の光となれ』
魔力が膨れ上がり、魔法陣がバチッバチッと光り鳴る。
ベルの周りには黄金色の魔力が陽炎の如く舞う。
「綺麗.....」
誰かがそう呟いた。
撤退しながらも、チラチラと後方をみる《ロキ・ファミリア》。ベルに対して尊敬してる者達、惚れている者達、それぞれの想いはあれど今はその光景は目に焼き付けていた。
『降り注ぐは黄金の
『【レジナ・サン・ガウェスト】』
ッドッッゴォッッッッ!!!
幾数もの黄金に輝く雷が落ちた。
眩い閃光が走り、空洞状もあって鼓膜を破きそうなほどの轟音が爆発する。空気が地面が壁が天井が全てを揺らし損壊し、まるでそれは終末を錯覚させた。
普段の威力ならばリヴェリアとさして変わりないが、『護る』となれば補正が掛かり、アルフィアの大魔法にとどく程の威力に跳ね上がる。
そして今、ベルはスキルの効果で雷を纏う。
ベルの魔法により、あれ程いたモンスターらが半分以上消滅した。だがしかし、依然として残りのモンスターらが押し寄せてくる。
ベルは残ったそれらを倒すため、押し寄せてくるそれらに向かって駆けた。手は刀に添える。
『時雨流』
ベルを起点に周りの空間がバチッバチッと鳴る。
''帯電摩擦''。ベルが光速で動いたことで魔力電子同士が擦り合わされ、帯電したのだ。
ベルはモンスターらの中心に向けて低空跳躍、そして、抜刀し振り上げる。
『雷燼斬』
シン...ッバチッン!!
振り下ろされた刀によってそのモンスターは真っ二つになる。
そして、振り下ろされた刀を起点に魔力電子の負荷が極限にまで高まり...、空間に残っている電子から電子へと、鋭い閃光が円状に駆け巡った。
やがて、その電閃に穿たれたモンスターらは灰となって消滅。全てのモンスターが魔石となった。
アルフィアは【
これはそれを剣技で模倣したものだ。
この''合わせ技''は、フィン達含めここにいる団員全員が初めて見る。
ベルもこの技は、以前個人で行った38階層にある『
皆がみんなして、呆気にとられていた。魔法の相変わらずの威力はさることながら、初めて見た''何か''に処理が追いつかない。
このことで一悶着あったが、長くなりそうなので割愛させていただこう。
ただ一つ言うなら、リヴェリアに遠慮していた幾らかの女性団員が少しずつ動き出したことを追記しておく。
ありがとうこざいました。
Lv.5 (『護る』の発動中)
アルフィアの大魔法≧ベルの魔法>リヴェリアの魔法。
いずれ、番外編を書きます。
次回、??
では、さようなら。