英雄の仲間から神の眷族へと改帰する   作:時雨シグ

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お久しぶりです。時雨シグです。

なかなか文章がまとまらず全然書けませんでした。一応一番マシな状態になりましたが、まだまだ納得のいく構成になっていません。
自分の文才を悔やんでいます。




第八話 始動

 

 

その男は長きに渡って最強と言われ続けたファミリアに属していた。

獣、人、モンスターなど万物を喰らうその男は、とある戦いにおいて猛毒に身体を蝕まれることとなった。

 

 

そんな男には憧れる人がいた。幼少の時から自分に戦いを教えてくれた人。朗らかで穏やかで優しいその人はとても強く格好良かった。

師匠のような存在で、その男の戦闘スタイルの根幹はその人の真似だったのは言うまでもなかった。

 

ある日、その人は言った。

『いつか、僕を倒せるような勇猛な漢になるんだよ』と。

それがその人の願いだと言うなら、とその男は強くなることを決心し励んだ。

 

そして、登りつめたLv.7。格上相手にも状況次第では勝てる程の者となった。

ただこれは八年前の話。いつか来たる決闘を望み、果てゆく身体に鞭を打ちつけその男は今も鍛錬を続けている。

 

 

『ベルさん。俺はアンタを喰らう』

 

 

その日、最強の男が君臨する。

 

 

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side:アストレア、ガネーシャ・ファミリア

 

 

彼女達がいたのはある工場だった。

幾つものドンッドカンッという音が響いている。蔓延る悪と退ける正義がぶつかり合っているのだ。

 

倒しても倒しても出てくる信者達。先程、施設を制圧しヴァレッタを追い詰めたかと思われたが伏兵が潜んでおり更に数が増えた。

約八年前からこの都市を脅かす闇派閥(イヴィルス)は一体どれほどの人を堕としてきたというのか。そう考えただけで顔が歪む。

 

増え続ける信者達を電光石火の如く斬り伏せていく彼女達は、先日ベルに言われた『容易に近づくな』という言葉を意識する。最期の悪足掻きとして自決する可能性があるからと聞いた時は、あまりの残酷さに苦虫を噛み潰したよう顔をするしか無かった。

 

住民を守ると言っても自分達が死んでは意味が無い。だから、ベルに言われたよう覚悟を持ち、他の眷族らにも覚悟を持つよういった。

それでも、心優しい者は手を差し伸べられずにはいられなかった。

 

 

「あああああああっ!」

 

 

そんな雄叫びがあった。

襲われたのは《ガネーシャ・ファミリア》団長の妹である、アーディ・ヴァルマ。強い正義感と快活な性格をした明るい少女で、誰よりも人のことを考える優しい娘だ。

 

 

「な...子供!?」

 

 

斬りつけてきたのが子供だと知り驚く。

 

 

「こんな幼い子まで巻き込むなんて...!」

 

 

まだまだ一桁台の小さな子供。何があって信者の一員になっているか分からないが、こんな幼い子を利用していることに憤る。

だからこそ、心優しい彼女は未来ある子を助けるため歩み寄る。

姉に言われた言葉を頭の隅に置いて。

 

 

「ナイフを捨てて!戦っちゃダメだ!人を傷つける武器を持たせるような大人の言うことなんか聞いちゃいけない!」

 

 

少しずつ少しずつ、刺激しないようゆっくり近づいていく。

そして、慈愛の籠った笑みを浮かべ優しく語りかける。

 

 

「私たちは君を傷つけたり悲しませたりしないよ?だから、こっちへ」

 

「っ!?だめだ、アーディ!その子に近づくなっ!!」

 

 

その言葉を放ったのは誰だったか。だけど、今はそんなこと関係ない。叫びにも近いその言葉をアーディは聞き取ることはなかった。辛い目にあっている幼い子を助けたいという想いが視野を思考を狭めている。

やがて、アーディは幼き子のそばに寄り添った。

 

 

「かみさま」

 

 

幼き子の瞳から雫が零れた。

今にも消えてしまいそうな声で縋るような声でその子は願う。

 

 

「おとうさんと、おかあさんに、会わせてください.......」

 

 

親を失い絶望したいつの日か。闇派閥(イヴィルス)に洗脳あるいは唆され、死ねば会えると希望を持ったその子は勇気を振り絞る。

少なからずこの行いが悪いとは思っているかもしれない。でも、親を失った悲しみ、会えるという希望がそれをを曇らせる。

 

その子は涙を溢れさせながら、親に会えることを願い爆弾のボタン押す───

 

 

______________________

 

 

「信者達には容易に近づいてはダメって言ったはずだよ、アーディ」

 

 

ことはできなかった。ベルに爆弾を取り上げられたからだ。

《アストレア、ガネーシャ・ファミリア》のうち、誰かはこのように信者に近づく可能性があったため同行していたベル。正義に満ち、優しい彼女達は幼き子に対して手を差し伸べるだろうと。

 

 

「っ...ベルさん!」

 

「この子は僕が保護するから、アーディは街に出てまだ避難できてない住民の誘導を頼める?」

 

「...了解!」

 

 

幼き子へと一瞬顔を向けるも、直ぐに切り替え走っていく。

 

 

「アーディ。君の行動は間違ってない。でもね、君にも家族がいることを忘れないで」

 

「っ...!うん、そうだね...ありがとう!」

 

 

本当に優しい心を持つ者は自分を省みない。だが、その行動がその者の家族を悲しませてしまう。家族にとって誰よりも大切な存在だからだ。だからこそ、姉であるシャクティの表情を見たアーディはハッとする。大好きな姉を悲しませるところだったことに。

 

人を助けることはとても素晴らしいことである。だが、その行動で自身が死に至るのならそれは本当に素晴らしいことなのだろうか?と疑問に思う。その者を大切に思う者の心を置き去りにしてしまうというのなら、それはひとりよがりなのではないかと。

 

アーディが走り去っていくのを見届けた僕は、幼き子へと目を向けた。

絶望したような表情をし、おぼつかない足取りで詰めてくる。

 

 

「...ぁ.....あ.....っ...か、かえしてっ...わ、わたしは、おとうさんと、おかあさんに、会いたいの!それが、ないと会えないっ!だから、かえして!」

 

 

そう言いながら、取り上げられた爆弾へと手を伸ばす幼き子。死ねなかったことに取り乱している。

 

 

「ごめんね。君を死なせるわけにいかないから、これは返せない」

 

「...かえしてぇええええええっ!!」

 

 

片手に持っていたナイフが煌めき、僕へと迫る。何の技術もないただの突進。簡単に避けれてしまえるその攻撃を、僕は敢えて受け止めた。

 

グサッ。とだった。

ナイフに刺された箇所が真っ赤に染まっていく。

幼き子は本当に刺さると思っていなかったのか、声にならない息を漏らす。

そんな幼き子にベルは優しく言った。

 

 

「僕は、ベル。突然なんだけど、僕達と家族にならない?」

 

 

ほんとうに唐突であった。

ベルは別れることの辛さをよく知っている。

世界が魔物によって侵略されつつあった地獄の時代。まだまだ幼少だったベルは、ベルを生き残すため死地へと身を投じていった両親をこの目で見た。もう何千年と経っているのに、それは昨日あった出来事かのように記憶に残っている。

家族との別れ、仲間との別れ、かけがえのない思い出が一つ一つ消えていくさまは本当に辛いことだった。

 

 

「帰って来ると、皆が『おかえり』って言ってくれるんだ。そのとき思うんだよね。帰る場所があるのってやっぱりいいなぁ、ってさ」

 

 

人とは自分の居場所を求めるものである。安心を癒しを自身を見てくれる人達の温かさを求めてしまう、いや、求められずにはいられない。

仕事帰り ダンジョン帰り、家に帰ると微笑って言ってくれる『おかえり』という言葉。家族や愛する者からそう言われると、帰る居場所があるのだという事実に心温まる。

 

 

「.......................」

 

 

幼き子は腹部を指したということを忘れ呆然としてしまっていた。

 

 

「どうかな?」

 

「なぁ、ロリコン変態野郎。ナンパは他でやってくんねぇか」

 

「よし、表出ようかヴァレッタ。僕はロリコンじゃない。アストレア様が好きだから」

 

「いや、知らねぇよそんなこと。たく、せっかく一人殺れると思ったのによ。ま、想定内だからかまわねぇけど」

 

 

ヴァレッタはそう嗤いながら、黒い物体を宙へと投げた。それは天井まで上がっていき、やがて爆発した。

ドォーンッ!!と爆音が響き渡り爆風が吹き荒れる。

それは合図だったのだろう。民を絶望へと陥れるための。

 

ずっとここにいては危険なのでバベル(防衛拠点)へと行くよう《ガネーシャ・ファミリア》の一人に幼き子を預ける。

ヴァレッタはそんな様子を意にも介さず、僕に憎たらしく目を向けていた。

 

 

「テメェが街中の隅々を見て回ってたおかげで爆弾を置くことが出来なかったんだ。なら、どうするかって話になってよぉ。それで私たちは考えたのさ。''地中に埋めときゃあ見つかることねぇし破壊力も高まる''ってな」

 

 

ドッゴッッッッッッッッ!!!

 

 

ヴァレッタがそう言い終えた瞬間、脳を直接揺らすほど轟音とともに世界が震撼した。

立っていられることが出来ない程大きく揺れ、まるで大地震がおきたのかと錯覚する。

破壊の咆哮が何度も何度も轟き、室内にいるはずなのに熱波が肌を焦がす。

 

 

「これは.....」

 

「どうした『守護者(アレグサンダ)』様よぉ。そんな焦ったような面して。ヒャハッ、やっとだ...ようやっとテメェの歪む面を拝めたぜ!」

 

 

未だ鳴り止まぬ爆発音と収まらない地鳴り。

想定していなかった事象が繰り広げられ呆けてしまう。

 

 

「地面に埋める、とはどういうこと?君達は何をしたの?」

 

「詳しいことは私も知らねぇ。ただ、''アイツ''の連れてきた奴が''神秘''持ちだってことくらいだ」

 

「神秘持ち...」

 

 

もしヴァレッタのいう通りだったとしたらかなりの腕だ。''完成された道に一切の違和感も無く''爆弾を埋めた。一体どういった奇跡を用いて可能としたのか全く想像がつかない。完全に僕の想定を越えた一手により、これからの襲撃で様々な可能性が考え浮かび警鐘が脳内をかけめぐる。

すると再び、ドォッッンッ!!という爆発音が幾つも響いた。それは次第に増えていき大気を大きく揺らす。

 

 

「アイツらの自爆も始まったか。これは予想してただろ?ほら、行かなくていいのか?ゴミ共が巻き込まれてるかもしんねぇぜ」

 

「それについては冒険者達へ勧告してるよ。遵守してくれてるかは彼ら次第だけどね。それと、住民の避難はもう完了しているはずだから大丈夫」

 

「そうかよ...なら、私の役目は終わったことだしズラかるとするかぁ...やれ」

 

 

やれ、という言葉により建物内いた信者達が一斉に自爆した。荒れ狂う破壊の衝動が工場を瓦解させていく。

幸い上級冒険者しか居なかったため、多少の損傷はあったものの全員避難することができた。

 

 

後から、あの幼き子の元に行かないとなぁ...

 

 

(ここら辺早く終わらせたくてめんどくなって適当になってます。ご了承ください。By作者)

あ、いつも変か(泣

 

 

____________________________________________

 

 

とある二角では、圧倒的な力によって冒険者達が返り討ちにあっていた。

撫でただけで亡骸にする者。一言紡ぐだけで戦闘不能にする者。その者らが通ったあとは宛ら地獄のようであった。

 

そんな二人は燃え盛る街を悠々と歩いていた。

そして、再びその者らに立ちはだかる冒険者がいた。

双頭のファミリアの最高戦力。《フレイヤ・ファミリア》の団長 オッタル。《ロキ・ファミリア》の四首領の二人 ガレス&リヴェリア。

 

だがしかし、悲しくも彼らも及ばなかった。その者らは格上すらも倒すことが出来る可能性を持つ怪物。格下の彼らが力及ばないのも仕方なかった。

 

最高戦力であった彼らを軽くひねり潰したその者らの名は──ザルド、アルフィア。

約八年前まで最強と謳われていたファミリアの眷族である。

 

 

そして、だ。

再び、その者らの前に一人の男と一人の女性が立ちはだかった。

今から始まるは、オラリオ史上最激の決闘。

それを待ちに待っていたザルドは身体を震わせた。

 

 

 

 

 




ありがとうございました。

次話は近々出す予定です。

次回、四人の戦い。

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