可愛い少女アルフィアを描きたかった...
第三話まで読んでからこの話を読むことを推奨します。
side:アルフィア
私が幼い頃、詳しく言えば五歳になり始めたころだったか、ヘラという女神に誘われて眷族になったのを、昨日のように覚えている。
身寄りのない私たちを見つけてくれたことをとても感謝している。
Lv.2になった頃、ゼウスにある男を紹介された。名は、ベルという。第一印象は気弱そうな男だと。あのゼウスから紹介される程の者には思えなかった。
そしてまた、長々とゼウスの私自慢を横で聞かされる。それはまぁいい。だが、問題はその後だった。ベルという男は『小さいのに凄いね』と優しく笑って言ってきたのだ。
まだまだ10代前半に見えるコイツに子供扱いされた。とこのとき私は気を害した。
何故歳が余り変わらない男にそんなことを言われないといけないのかと。
なんだか舐められているようで癪に障った。
その後も何度か交流があった。私はまた子供扱いを受けると癪に障るので離れていた。
すると、とある光景を目にする。周りの団員らがベルに尊敬の眼差しを向け、嬉々とした表情を浮かばせていたのだ。あの両団長や幹部までもがそんな様子で接している。
私は興味を持った。
話を聞くところ、ベルは古代から生きている有名な人(割愛)だと言う。ゼウスとヘラがもっとも認めている人物であり、今まで二神の眷族となったもの達は漏れなく世話になっているらしい。だから慕っているのかと私は納得した。
だから、今度は私から近づいてみた。
やはりと言うべきか、子供扱いを受けた。ただ見た目に反してベルの年齢が高いことを知った今、このような扱いを受けるのは仕方ないと思....えなかった。何故だろうな。イラッとくる。
他の団員らに聞くと、私ほどの子供扱いはされてないとのことだ。ベルさんのことだから、過去に何かあったのかもな。とも言われたが、私には関係の無いこと。
しかし、だ。ベルが頭を撫でているとき、慈愛がとても篭っている。だから、子供扱いするなと言いたくとも、ベルの顔を見ると抵抗出来ない。.....決して撫でられるのが心地よいとかではないからな。勘違いするなよ。
いつの日か、私は子供扱いしてくるベルに意趣返しをしてやろうと思い、''攻撃を放つ''ようになってから''それ''が恒例の遭遇となった。
最初の頃は簡単にあしらわれ、逆に意趣返しとして髪をクシャクシャと乱暴に撫でられた。時には顔をぐにゃぐにゃし、変な顔となった私を見て爆笑する。とても腹が立ったのをよく覚えている。
あの頃は、ギャフンと言わせてやると意気込み、外に出ればダンジョンに行けばベルを探した。
だからだろう。ゼウスや団員らが馬鹿なことを言い始めたのは。
私がベルを''意識''している?''想っている''?フッ、笑わせてくれる。ただ私はアイツに物を言わせたいだけだ。
私はベルに 恋慕など......抱いていない。
追記しておくと、出会い頭に魔法を放つというのはLv.4中頃まで続いた。
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いつものように私はダンジョンに向かった。病弱なこともあって基本的には誰かが付いているのだが、今日は気晴らしに行くだけなので一人だ。
ダンジョンへと向かっていると、とある者を見かける。白髪に宝石を嵌め込んだような深紅の瞳。中性的に見えるその童顔は綺麗で、前に女性団員が羨ましがっていた。
名は、ベル。まだ10代に見えるが、古代から生きる人物。
「げっ....」
「おい、今げって聞こえたんだが、どういう意味だ?」
「そ、空耳だと思うよ?」
私を見つけるなり、苦い顔をするベル。
私に会いたくないみたいではないか。と少し不満を垂らす。
最近、ベルはアルフィアに対し少し距離をとっている。理由としてはアルフィアのLvが上がり対処が大変になってきているのと、身体が成長しているのがある。頭を撫でるとかならギリギリ許されるが、容易に触って傭兵に両手首を差し出さないといけない、なんて事態になりかねないからだ。
「ダンジョンに行くのか?」
「うん。アルフィアもダンジョン?でも、付き人が居ないけど」
「ただ気晴らしに行くだけだからな。ついてこさせなかった」
気晴らしの原因は、目の前にいるベルとのアレコレなのだが、本人には言いたくないため理由は伏せておく。
「ベルこそ誰もいないようだが」
「今回はウラノス様の依頼でダンジョンの調査に行くんだ。だからだね」
「ほぉ....ならば、私も行こう」
「...ん?な、なんでそんな話に?」
アルフィアは以前からベルと二人でダンジョンに潜りたいと思っていた。ベルの戦闘場面を直に見たことがないからだ。もちろん、他の理由もあるがそれは言わないでおこう。もっとも、他の理由の方が大部分を占める。
「行くって言っても、付き人はいないしヘラ様にも許可貰ってないから無理なんじゃないの?何日も潜るよ」
「それはそうだが....ああ、いいことを思いついた」
私はギルドの出入り口から出てきた者を見て、あること思いつく。
その者は私と同じ団員であった。いいことと言っても、ただ伝言を届けてもらうだけだ。
「これでいいだろう」
「い、いや、どうだろう...?」
「ほら、行くぞ」
「...はぁ、今回だけだよ」
アルフィアがこんな強引なのは、先程の理由がある。基本的に付き人がおり、ベルもあの三人と居たり新人達と居たりと''二人''だけがなかなか実現出来なかった。今回は絶好の機会であったため強引なのである。
「これは、面白いことになってる...!」
先程の女性団員、嬉々として報告を急いだ。
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今回ベルが調査を行う階層は下層らしい。
急いでいる訳ではないため、無理のない程度で歩いていく。
そして、ベルにあまり戦闘をしないようにと言われた。私の虚弱体質を案じてだろうが、なかなかに暇だ。ただ、ベルの戦闘場面を見れたのでいいとしよう。
ならば、することは寝床の確保だ。私は宿に行くのかと思ったが、ベルは目の付きにくい場所へと歩を向けた。
「おい、宿に行かないのか?」
「ここの宿は設備が行き届いてないからね。なら、自分の持ってるベットで寝た方がいい」
「もしやあの''袋''にベットを入れているのか」
「うん、そうだよ」
ベルは歩を止めると、袋から折り畳まれているテントを取り出し組み立て始めた。
やがて、組み立てられたテントの中にベットを置く。
「これでよし。じゃあ、アルフィア。ゆっくり休むんだよ」
一仕事終えたみたいな顔をしたのち、私へとそう言ってテントを出ようとするベル。
ベル自身のはどうするつもりだ?
「ちょっと待て。ベルはどうするんだ?」
「僕は一日二日眠らない程度なら全く問題ないからね。見張りでもしとくよ」
優しく笑ってそう告げたベルはテントから出ていった。
「おやすみ。時間になったら起こしに行くから」
コイツはまた、自分を顧みず他人に優しくする...それがベルの美徳であるが、欠点でもあるんだがな。...はぁ、まぁいい。考えはある。
そして、アルフィアもテントからでた。
「あれ、どうしたの?」
「ここへ来るまでに汗をかいたからな、水浴びをしようかと」
「そっか、行ってらっしゃい」
「...お前、裸となった無防備な少女を一人で水浴びさせる気か?」
「...分かった。僕も行くよ。というか服あるの?」
「洗って乾かせばいいだろう」
「えぇ...」
スタスタと18階層唯一の水場がある所へと歩くアルフィア。ベルはその後ろを渋々ながらもついて行った。
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水場へとついた二人。
早速とばかり服に手をかけるアルフィア。
「ベルはそこで見張りをしていてくれ。決して見るなよ。まぁ見たければ見てもいいがな。だが、そのときは死が待っていると思え」
「絶対に見ないから安心して。あと...これ。タオルと僕のだけど予備の服」
被せるようにそう言い、袋から物を取り出しアルフィアに渡すと、水場から背を向けたベル。
アルフィアはちょっと拗ねた。
やはりまだまだ子供だから、そういう目で見てくることはないか。これでも同年の女共よりは発達してるんだがな。と。
このときアルフィアは10代前半だ。勘違いしないで欲しいが、ベルは幼女趣味ではない。大人な女性が好みなのだ。
そんなタイプ故に、将来 神アストレアに出会い、求婚しちゃったぐらい敬愛するのはまた別の話。それによって、ベルを好いている女性達が嫉妬するのも別の話である。
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薄暗く静かな18階層。
水の跳ねる音と焚き火のパチパチという音だけが空間を支配する。
「終わったぞ。ベルも身を清めておけ。私の分まで動いたのだからな」
「うん、そうさせてもらうよ」
水浴びをし始めたベルをアルフィアは普通に見る。ベルも簡易のズボンを着ているので特に気にしていない。
かなり綺麗な肌をしている...冒険者ならば傷だらけの者もいるというのに。ましてや、ベルは古代から生きている者だ。やはり、精霊の血が関係しているのだろうか。と、傷一つない白い肌を見て内心そう呟いた。
「アルフィア...ちょっと見すぎ」
「...フン、男なんだからそんな事気にするな」
「理不尽じゃない?」
水浴びを終えたベルは身体を拭き、予備の戦闘用服を着る。
そして、焚き火に近づき身体を温め始めた。
「大丈夫?結構水冷たかったけど」
「焚き火があるとはいえ、少し冷えているな」
「ふむ...なら、僕が温めてあげようか?」
ニヤニヤと顔を歪め、イタズラにそう言ってきた。座っている状態であり、腕を広げてアルフィアが座れるように足の間隔を広げる。
からかってやろうと思ってしていることだが、言動は犯罪級である。
断られることを前提として、少しでも面白い反応を期待するベル。
「...フン」
と鼻を鳴らし、何故かアルフィアは近づいてくる。
すると、広げていた両足の間に収まった。
呆けてしまうベル。
「何をしている?温めてくれるのだろう。なら、その迷子の両腕を回せ」
「え...う、うん...」
言われるがままアルフィアのお腹に腕を回す。
現在の体勢を説明すると、体育座りの足を横に倒したver.の間にアルフィアがベルに背を向けるように座り、ベルへと身体をあずけてお腹にはベルの腕が回っている状態である。
クッション性のあるシートに座っているので尻が痛くなることは無い。
そして、なかなかどうしてフィットしている。
「どうした?そんな間抜けな面をして」
クスクスと小さく笑ったアルフィアは、してやったり顔を浮かばせていた。
それにしても...落ち着くものだな。私に伝わるベルの体温、鼓動、触れ合いっているという事実を際限なく教えられる。
私はこの男のことは...好きではない。...ただ、この時間がもっと続けばいいと願った。
アルフィアは、お腹に回っているベルの腕にそっと手を重ねたのだった。
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身体も十分に温まり、あのまったりとした空間からテントへと戻ってきた二人。
「ベルも一緒に寝るぞ」
「いや、僕はさっきも言ったけど見張りをするから」
「寝ないと言うのなら、襲われたってヘラに言うがいいのか」
「分かった!寝よう!だから、そんな恐ろしいことしちゃダメだよ!?」
一瞬で説得されてしまったベル。アルフィアは計画が上手くいき内心笑った。
ベルが持ってきたベットはアルフィアが一人で寝るには少し大きかった。なので、ベルが入ったところで狭いということは無い。
アルフィアはベットに横になり、ベルもアルフィアに背を向けるように横になった。
「何故背を向けている?こちらに向け」
「いやなんで?」
「早くしろ」
「...はい」
こちらへと向き直ったベル。アルフィアはベルの方へと顔を向けていたこともあって、顔が至近距離に来てドキっと胸を跳ねさせる。
コイツ...肌綺麗すぎないか?手入れしてないと聞いたが...私でさせ気を使っているというのに...やはり精霊の血か。
そして、目も綺麗だ。宝石のように魅入られる深紅の瞳。それに比べて私は....
ベルの顔をこれ程近くで見たことの無いアルフィアは、今の状態を忘れとマジマジてベルの顔を見つめる。
「アルフィアの瞳、すごく綺麗だね」
「!!」
私の瞳はオッドアイであり、片方が灰色だ。その灰色はまるで私の心情、人生を描いているようで嫌だった。
今までもこんなことを言われたことは何度かあった。だけど、これほどまでに心に来ることはなかった。だだ単純に、嬉しい、とそう思った。
頬に熱が帯びていくのを感じとる。
だから私は、悟られないようにベルの胸に顔を埋めた。
そして、ポツリと呟いた。
「ベルの瞳も...嫌いじゃない」
「ハハ。そっか、ありがとね」
ベルは腕を伸ばすとアルフィアの頭を乗せた。いわゆる『腕枕』というものだ。また、片方の手で頭を撫でる。
物心がつくまえに母親を亡くし、抱きしめられたことも一緒に寝たことさえも記憶にない。だから、私はこれを知らない。こんなにも心落ち着くものなのかと。初めて知った。
私以上に虚弱な妹の為に幼い自分を捨て、妹を安心させられる存在でいようと決意し、そして、今までそうしてきた。
ただ...ただいまだけは、''何処にでもいる相応な少女''でありたい。
アルフィアは更に強くしがみついた。
それに呼応するように、ベルはアルフィアを優しく包み込む。
...ああ、やはり私は...そういうことなのかもしれない....
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現在いる場所は下層。当初の目的通り下層へと調査に来たわけだが、一人気が沈んでいた。
(あ、あのときの私はどうかしていた....何が''ただの少女''でいたい、だ。我ながら反吐が出る)
一日前の出来事。アルフィアは自分が自分でなく、らしくない言動をしていたことに悶えていた。
コイツ...私が内心悶えているというのに平然としておって...腹が立つ。
実際、ベルは何ともなかった。ただ単に、歳不相応な子が相応な少女の姿を見せてくれたことを嬉しがっていた。
ベルはアルフィアをまるで孫のように見ているふしがあり、それが彼女にとって気に入らないのだ。
「よし、調査終わり。帰ろっか」
「...ああ」
「それで、一気に18階層まで上がろうと思っているからさ、僕の背中に乗ってくれないかな」
「分かった」
屈んだベルの背中に乗り、持ち上げられる。
次は背中か...と内心呟いた。この呟きにどんな意味があるかは察して欲しい。
そして、なるべくアルフィアが揺れないように丁寧に走り出すベル。
「アルフィア、ちょっと軽すぎない?ちゃんとご飯食べてる?」
「...お前の首に回されてる腕に力を込められたくなければ、余計なことは考えるな」
「はい!ごめんなさい!」
力を込めないと言いつつ、ギュッと力を込めたアルフィア。ただこれは、別の意味で込めたもの。
...勘違いするなよ。落ちないように強くしがみついただけだからな。
そんなことを言っているが、顔は綻んでいた。
「アルフィア」
「なんだ?」
「もしいつか、僕に助けて欲しかったり願う事があるのなら言ってね。僕は君のために全力で動くから」
何故こんなことを言ってきたのか今の私には分からなかった。けれどその言葉で、心の闇が幾許か晴れた気がした。
今、私は笑っているだろう。闇が広がる未来に小さな光が灯ったからだ。
「ああ、そのときが来ればな」
その光を掴めるかはわからない。もしかしたら掴めないかもしれない。だけど、不安はなかった。何故ならその光は、私が最も''嫌いじゃない''者だから。
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side:ベル
神話時代以降最も才能に愛され、悲しくも病にも愛されたその才女。
身体は病という呪いに侵され行動の制限がある。またスキルにまで侵食しており、もう治療の余地がない。
だけど一つ、救える手はある。でも、それの成功率は限りなく0に近い。失敗すれば死のみ。
どうか成功して欲しい。僕はもう、大切な人を失いたくないんだ。
ありがとうございました。
あのですね、作者は思いました。
アストレアレコードから外伝開始までの七年間、決断力行動力のあるアルフィアならベルと結婚までは行かなくても恋人まで持って行けるのではないかと。
七年間も擦れなくね?と。
現在、色んな壁にぶち当たってます。 ほんとにどうしよう...
次回、アストレアレコード突入。
投稿予定日未定。
では、さようなら。