最初とあって、ちょっと細かく書いてます。
次話からはサクサク進んでいくと思います。多分。
side:ベル
数週間後、宿で武器を手入れしていると勢いよく扉が開きロキ様が勢いよく入ってきた。
その表情はとても嬉しそうだった。
「ベル!朗報や!新たに三人入るかもしれへん!!」
興奮した声音でそう告げられ、僕はばっと立ち上がった。
「ホントですか!?どんな子達ですかっ?」
正直、まだまだ見つからないだろうと思っていたので、予想より早く見つかったことに僕も興奮する。
「ホンマやホンマや!でな、一人はパルゥム、一人はドワーフ、そんでもう一人はエルフや。それも''王族''のな」
「おおぉ!そりあわなそう!」
パルゥムはとにかく、エルフとドワーフは仲が悪い。大丈夫なのか?と不安が募る。
「あー、それはどうやろな。まだ三人とも顔合わせてないからなぁ」
「どうやって顔合わせするんですか?会った瞬間、喧嘩とか嫌ですよ?」
更に不安が募っていく。胃薬準備しとかなくてはいけないのでは?と憂鬱になる。
現に今まで、お互い口を聞かないという者達を見てきた。そんな雰囲気で一緒に冒険しても、此方がしんどくなるだけだ。
まぁほぼ確実に悪い方向に向かうはずなので覚悟しておこう。
「早速明日入団面接しようと思っとるから、ベルたん準備しといてや」
「なかなか急ですね。分かりました」
僕達は明日の面接の打ち合わせをしたあと、明日に向けて整えるのだった。
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ロキ様によると、この店で待っといてくれ、と場所を指定していたらしい。
その店に着く。その店は綺麗な夜の飲食店とでも言おうか、そんな大人が行くような感じのところだった。
中に入ると、客は三人しかいなかった。まだ昼と言うこともあって少ないのだろう。
いや、その三人が嫌悪感を溢れさせているためかもしれない。
「昼の間だけ貸切にしてもろてん」
いったいどこにそんな金が?と思ったが、「タダでな」と言われる。
店主を見ると、人が良さそうな余裕のある老紳士といった人だった。ありがとうこざいます。
「おう、待たせたな」
三人はバラバラにテーブルに座っている。その三人に声を上げたロキ様。僕も三人に視線を向けた。
一人は金髪で顔立ちの良いパルゥムで、一人は翡翠色の髪に王族であることを示す長い耳、そして神に勝るとも劣らない美貌を持つハイエルフ。
そして.....何故かガルムスがいた。見間違いだろうかと、僕は一度目を擦る。そしてまた見る。ガルムスが居る。また擦る。見る。ガルムス。擦る見るガルムス。擦見ガル。
「何やっとるんや、ベル」
「...いえ、なんでもないです」
ロキ様に変な目で見られた。
まぁこの時代にガルムスがいるわけが無いので、そっくりさんだろうと無理矢理納得する。
「スマンが三人とも、もうちと近くに寄ってきてくれへん?話しにくぅてしゃーないねん」
ロキ様がそう言うと、三人は「え...お前らも...?」といった表情を浮かべ、更に嫌悪感を溢れさせる。
「よっしゃ、改めて自己紹介しよか。ウチはロキ。そんで横におるのが、ちょっと前に眷族になったベルや。あ、せやせや。ウチはロキでええよ。タメでかまへん」
「...そういうのならそうさせてもらうよ。僕はフィン。フィン・ディムナだ」
「...私か?私はリヴェリア・リヨス・アールヴという」
「.....わしはガレス・ランドロックじゃ」
...うーん、幸先が悪いぃ!やっぱり特に、ハイエルフとドワーフ。心と物理の距離が遠い!覚悟してたけど、そんな覚悟今すぐ捨てて逃げたい!
一層悪くなる雰囲気に嘆くベル。
そこからというものロキ様の必死の采配により、三人の入団が決まった。よく入団させらたなぁとロキ様を尊敬する。
と、ここで一つ質問してみよう。
「フィンさん、リヴェリアさん、ガレスさんは何故冒険者になろうと?」
そう言うと三つの視線が僕を射る。この状況に不満なのかな?目が据わってるよ。
三人は一度目を瞑った。そして、開かれた瞳には強い意志が宿っていた。
「...僕らパルゥムは見下されている。それによって迫害されることは少なくない。だから、僕は決めたんだ。一族の光となって、パルゥムを復興しようとね」
「...私は、自分の知らない世界を自身の目で見たいからだ」
「...儂は熱き戦いを求めて、じゃな」
みんなそれぞれちゃんとした理由がある。僕にはちゃんした理由がないので三人が眩しく見えた。
「ほう...三人ともええ意志があるやん。俄然応援したなってきたな!なぁ、ベル!」
「ええ、是非とも叶えて欲しいですね」
そう、特にフィンさんには頑張って欲しい。僕はやれることが少なかった。だからこそ、僕はめいいっぱい協力しようと決めた。
すると、フィンさんが口を開いた。
「君は、どうして冒険者になったんだい?」
あれ?そういえばなんで冒険者になったんだっけ?いつの間にか眷族になってたから考えたこと無かったなぁと、ロキ様を見ながら考える。...目逸らさないでください、ロキ様。
「うーん、そうですね。いつの間にかなってたっていうのもありますけど、強いて言うなら、今まで一人だったから、ですかね」
似合わない悲しげな表情を浮かべるロキ様が視界の端に映った。
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「どやった、ベル?」
あの後一度解散した僕達は宿へと戻った。
今日のことを話すことになり、そう尋ねてきたロキ様は吐露する。
「ホンマはな、フィンは前々から見つけとったんや。簡潔にいうなら、利害の一致でな。せやけど、ベルのこともあるしちょっと保留にしてたんや。そない内に、立て続けに二人を見つけてな、ほんならベルと三人を同時に顔合わせしよう!と思って計画したわけやけど...種族間って結構根が深いんやなぁ」
「これは昔からですからねぇ。そんな簡単には解決しないでしょう。時間経過を待つしかないですね」
ロキ様がそんな計画を立ててたことは露ぞ知らなかったけど、色々考えているんだろうことは分かる。
初めての子供たちということや、ロキ様の目標が目標だからこそなんだろうけど。
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数日後、
その空気は最悪であり、街ゆく人たちはベル達を大きく避けていた。顔面偏差値はものすごく高いのに、眉間に皺を寄せているので台無しになっているし、高いが故に恐さが倍増している。リヴェリアさん、貴方が一番凄いですよあっいえなんでもありませんすみませんでしたはい。
創設メンバーということもあって、最初が肝心や、仲良くせぇよ!というロキ様による命の一つだが、いる時間が長ければ長いほど空気が重苦しくなっていく。
『貴様らさっさと動かんか!』
『お主らこそしっかりサポートせんか!何のための後衛だ!』
『二人とも僕の指示ちゃんと聞いてくれないかな!?っわぁとっ!?危ないじゃないか!』
『おっとすまんすまん。見えなんだわ!ガハハっ!っと!?だからしっかりサポートせんかと言っとるだろう!』
『ふっ、貴様の図体がデカいからだろ』
これはほんの一部だが、ずっと言い合っている。
そしてお決まりが、
『ベル、君も参戦しろ!』
『おいヒューマン、何をサボっているんだ!』
『お主も働け!』
『は、はひっ!とぅっ、とぅびまでん!!』
誰だって入りたくないよ、こんなしっちゃかめっちゃかな戦闘に。
だけど不思議なことにどんどんモンスターを倒せていっている。
謎の連携が成立しているのだ。
一つ言うなら、フィンはともかくとして、ガレスとリヴェリア、僕はもういい大人だ。まるでガキみたいことばかり。ロキ様はこの事を報告する度に腹を抱えて爆笑している。
「ふぅ...、今回も笑わせてもろたで。この調子で頑張れベルたん!」
サムズアップしながら僕の苦労を考えず、能天気なことをぶちかますロキ様。その親指折って差し上げましょうか?
「なんかベルたんの顔が恐いわぁ〜」
すっと腕を引くロキ様。それと同時におチャラけた表情をやめる。
「あの三人のこと頼むでベル。ウチは地上でしか面倒見れへんからな。ウチの最初の子供や。できるだけ長くおりたい。もちろんベルもな」
普段とこういうときのギャップが激しいから困る。
僕は苦笑して
「ええ、大丈夫ですよ。僕が絶対死なせませんから」
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今日も今日とてダンジョンへと赴く一行。
最近はこの雰囲気にも慣れてきた。また最初の頃ほど、重苦しい空気は少し軽くなってきたと思う。まぁ、ダンジョンに入れば僕含め騒がしくなるけど。
「ベルに聞きたいことがあるんだけどさ」
「なに?」
「ベルって新人冒険者っぽくないよね。戦闘慣れしてる感じがある。それに、武器だ。僕ら三人は安物だったり借り物だけど、ベルのはいいモノを使ってるよね」
「あー、それはワシも思っとったわい。こんな子供が持つ能力と武器でないとな」
「どういうことか教えて貰っていいかな?」
あれ?なんか詰められてる?
フィンは爽やかな笑顔なのに『さっさと白状しろ』って書いてあるし、ほか二人も視線で射てくる。
「そんな凄まなくても言うから。えっと、前々からよくモンスターと戦ってたからだよ」
「前々からって、僕と歳はあまり変わらないよね?」
「いや。僕こんな成りだけど、リヴェリアより生きてるんだよ」
「...貴様私を老いぼれだとでも思っていないだろうな」
「い、いえ!めめめ滅相もございませんはい!なんかごめんなさいでした!!」
怖すぎいぃぃぃ!そういえば女性に年齢は禁句だってこと忘れてた!
「リヴェリア、抑えて。ベルはそんなこと言ってないから」
「...ふん。で、私より生きているとはどういうことだ」
「...この話はロキ様と一緒の方が説明しやすいから、探索が終わってからでもいい?」
「なんじゃお預けか?なかなか酷なことするのぉ。何やら面白そうな話じゃったのに」
「ふむ。じゃあ今日は早めに切り上げようか」
「ああ、そうするとしよう。ちなみだが、今何歳なんだ?」
「うーん、何歳なんだろう?わかりやすいので言えば、
「何だって!?」
「何だと!?」
「何じゃて!?」
こんなひとつの言葉でこんなにもレパートリーがあるんだなぁと呑気に考える今日この頃。
「やっぱり今すぐロキの元へ行こう!気になって仕方がない!」
「ああ、全くだ!おい、急げヒューマン!」
「というか、そういうことは最初に言っとくことじゃろうて!」
「え、いやだってそれほど大したことじゃないし」
『大したことだ!!』
「は、はひ!ちゅみまぜんでした!!」
僕は三人に引っ張られながらも、こんな騒がしい日々を楽しむのだった。
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「...なるほど。神ゼウスが証言してる以上、本当のことなんだろうね」
「『守護者』アレグサンダはまだ生きている、という話は聞いたことがあったな...そのときは眉唾ものだと思っていたが、まさか本当だったとは...」
「べ、ベルよ...
三者三様な反応で面白いけれど、一人間接的に関わりのあるガレスは目を輝かせて僕に詰めてくる。
ドワーフはガルムスを『大英雄』''ガルムーザ''として崇拝していると聞いたことがあったけど、ガレスも例に漏れず崇拝しているのかもしれない。
「う、うん、まぁそういうことだね」
ガシッと捕まれ、痛い。
「聞かせてくれ!!」
ガレス・ランドロック、28歳。厳かな見た目と今の子供のように興奮する姿のギャップ差があり過ぎて困惑してしまう。
「ガレス、ベルが困ってる。その話は後からにして話を進めよう」
まだ14歳なのにしっかり者のフィンに、僕は感謝の視線を向ける。...ああ、なんて爽やかな笑顔なんだろうか。将来絶対ショタ好きに狙われるんだろうなぁと失礼なことを何故か今考える。
「...ベル。なんか変なこと考えてない?鳥肌がたったんだけど」
「き、気のせいでは?」
フィンには秘密だけど、そうなってくれることを期待しておこう。
「ま、そういうこっちゃ。最初に言わんですまんかったな。わざわざ自ら言うことやないし、疑問を抱いたときに、ってベルと決めとってん」
自分自身のことを語るのが恥ずかしいというのが大部分を占める。何がよくて嬉々として語らないといけないんだ?と。
「今は意識とかしてまうやろうけど、特にガレスはこんなんになってもうてるしな。せやけど、なるべくいつも通り過ごしたってくれ。まぁ、時間が経てば慣れてくるやろうけどな」
ロキ様の配慮にしみじみとする。
三人はゆっくりと頷く。まだ整理が出来ていないのか無意識的に首を動かしていた。
この日から幾日かは不自然な雰囲気だったけど、ロキ様の言ったように時間が経っていけば前のような喧騒に包まれた。
うん、やっぱりこれがいいね!
『サボるな!』
「は、はい!すみませんでした!!」
ありがとうこざいました。
フィン、リヴェリア、ガレスの順。
調べたら、リヴェリアの入団時期が28年前と分かり、フィンもガレスもその頃だろうということで、一気に入団させました。細かいことなんて分かりませんから。
では、さようなら。