お歳暮にどうですか?
ボボボーボ・ボーボボ。
不条理なギャグ、頭がおかしくなる展開、PTAが正論を言った。と、この作品に影響を受けた子供がどんな大人になるか楽しみな、そんな芸術作品がある。
そしてアナタも、この作品に影響を受け、心を奪われた子供の一人であった。
主人公であるボボボーボ・ボーボボや非常食兼妖精の首領パッチ等がハジケる姿には清々しいまでの爽快感があり、周りの大人達にはない一本の芯が通った生き方には憧れを抱いた。
しかし、アナタは一定数いるウルトラマンよりも怪獣の方が好きな人種であった。
ボーボボ達には憧れたが、アナタは彼らのようなハジケリストを目指すことは不可能だと、心のどこかで諦めてしまっていた。
そんな人間がハジケリストになれるはずがない。
だからアナタは……
毛狩りを始めた。
それはもう刈った。男は力任せに引きちぎり、女は毛穴にダメージがいかないようにスマートに狩り、ヒバゴンは火炎放射器であの世へと送った。
しかし、髪の毛を狩るという行為は平和な日本においては立派な犯罪であった。
その事実にアナタが気づいたのは23歳の、オーガニックコットンのパジャマにハマっていた10月の中頃であった。
気づけば『怪人毛毟り男』『リアル毛狩り隊』など、ネットを探せばアナタの話題がいくらでも見つかり、カルト雑誌に出てくる都市伝説のような存在になっていた。中には「ボーボボという漫画のアイデアを犯罪に使わないで」などと、大変心外な記事も見つけたが、アナタはこう反論した。
確かに、私がボボボーボ・ボーボボという漫画に影響を受けたのは事実であり、否定はしない。
だが、既に毛を狩るという行為は、私の中で確かなアイデンティティとして確立され、生きる目的になっていたのだ。
というか、ぶっちゃけた話。私の性癖は人の毛を狩ることだったのだ。
人が好きなものを食べる時に幸福を感じるのと同じように、私は毛を狩った時だけ幸福を感じた。
人がプライチ商品を買って無料の商品を獲得することにお得感を感じるように、私は全ての毛を狩ったと思ったら、まだ産毛が残っているのを見つけた時、お得感を感じる。
人が親の目を憚り、自分の部屋がないため仕方なく同じ寝室内でこっそりとオ○ニーして、ふと目を覚ました親に目撃され、トイレでやればよかったと、どうしようもない背徳感と絶望を同時に味わうのと同じように、私は毛を奪われた人間の絶望した顔に幸福を感じ、尊厳を私の意思一つで奪ってやったという背徳感に身を震わせた。
私にとって毛を狩ること=生きること。ノー毛狩り、ノーライフだ。
……しかし、アナタも所詮は人間だった。
群れをなして社会を形成し、異端を排除する習性を持った人間は、毛刈りをするアナタを異端とし、刑務所にぶち込んだ。
刑務所の生活は、アナタにストレスと足の痺れ(1、2時間くらいトイレで座った後、立ってから少し経った後にくるくらいの痛み)以外何も与えなかった。
どうやら、アナタの重ねてきた毛刈りは相当な罪であったらしい。手には常に手錠をかけられ、自分の髪の毛さえ狩れないよう、丸坊主にされた。
アナタが、散々人の髪の毛を狩ってきたくせに自分の髪の毛を狩られた瞬間メス落ちするドMなら、まだ救いがあったかもしれない。
でも、アナタは根っからのサディスト。人の毛を狩ることでしか幸福を得られない、哀れな男だった。
毛狩りをすることができない=死。アナタは死んだように刑務所内で過ごしていた。
日に日にやつれていくアナタに、刑務所の看守達も流石に哀れに思ったのか、アナタに一冊の本を与えた。
それはアナタにとっての聖書、ボボボーボ・ボーボボ……ではなく、HUNTER×HUNTERの36巻であった。
そう、看守たちは常々思っていたのだ。なぜ、HUNTER×HUNTERの連載が再開されないのか? 37巻の発売はいつなのか? ……ではなく、毛を狩るという、殺人よりもしょっぼい罪の男が何もせず、ただ飯を食い寝るだけの生活を送っていることに、理不尽な怒りを感じていたのだ。
だからこそ看守たちは、アナタにHUNTER×HUNTERの36巻を渡した。
アナタが、単行本派であることも、HUNTER×HUNTERの35巻までしか読んでいないことも、看守達の飼い主であるニシキヘビが探偵のタニシを雇って暴いたからこそ思いつく、悪魔の所業であった。
看守はアナタにこう言った。「続きが読みたければ、自分は異常ではなく異常なフリをしているだけの、異常者と言え。そして働け、羨ましいんだよボケが」と。
普通の人間ならば、HUNTER×HUNTERの続きが読みたいあまり、悪魔に魂を売り、作者の創作意欲に転生したいと願うだろう。だが、HUNTER×HUNTERの37巻が販売されるなど、一体何年後の話だろうか? 普通の人間ならば魂を売り、作者に魂を捧げ、永遠の若さを与えて完結させるという思考に行き着く。
HUNTER×HUNTERの続きなど、この世のどこにも存在しないのだ。作者の頭の中以外に。
ないものを追い続けさせる。卵天の中身が半熟じゃないに匹敵する程の仕打ちに、提案した看守の叔父のミシシッピアカミミガメでさえビビり、同僚のサワガニ(二時間後に素揚げされる)はつぶらな瞳を向けながらこう言った。
「チリソースが痔の原因って、ダサいよね?」
だが、アナタは普通の人間ではなかった。……いや、人間を逸脱しようとしていたのだ。
手錠も、看守も、HUNTER×HUNTERの36巻も、まるで新説ボボボーボ・ボーボボ初期の世の中ナメ郎や沙耶の唄の郁紀のように、アナタの眼は、普通を映さなくなった。
アナタのストレス値は限界を迎え、そして意識はプツリと途切れた。
そして、目が覚めると……
「これが、君の犯した罪だ」
ヒバゴンが、シリアスな顔してなんか言ってた。
「9割しかあってねぇぇぇぇーーーー!!!!」
私は、自分の頭の中でボーボボ劇場を始めていたのだ。
・・・・
ボボボーボ・ボーボボが面白い要因とはなんだろうか?
理解不能な展開? 意外としっかりとしている王道ストーリー? 新説になってからパロディがちょっとしつこいなって感じない?
私は言いたい。ボボボーボ・ボーボボの面白さは敵キャラによって成り立っていると。
確かに、ボーボボや首領パッチなどのハジケリストがこの漫画の最大の売りにして、この作品を唯一にしていることは否定しない。だが、それを最大限に活かすために欠かせないのが敵キャラだ。
ところ天の助、軍艦、3バカ文明、OVER、ハレクラニ、J、
ギャグ漫画ということもあり、敵がギャグのような存在であったり、ボーボボたちのノリに合わせて一緒にハジケるなどのパターンがあるが、そういった敵キャラさえ引き立てるのが、OVER、ハレクラニなどの、他のジャンプ作品でも余裕で順応できる、純粋に戦闘力の高いキャラクターだ。
ストーリーにおいて新鮮さを出すにはメリハリが重要となってくる。常にアクセル全開のギャグ全振りの展開は、徐々に新鮮さを失い、例えボーボボたちであろうとその脅威から逃れることはできない。
そこで重要になってくるのが純粋に強い、殆どおふざけなしの敵キャラだ。ボーボボにおける各部のボスキャラは、道中の幹部たちでふざけまくってきた心を引き締め直す、茹でたうどんに対する水のようなもの。
ボーボボにおけるボス戦の基本は、めちゃ敵強い→天の助、首領パッチがやられる→時々ボーボボたちが予想外の反撃→敵本気出す→天の助、首領パッチがやられる→ボーボボが奥義を繰り出す→敵更に本気出す→ボーボボ達がふざけ出す→敵乗せられる→ボーボボが締める。と、大雑把にまとめると大体こんな感じだ。
敵が倒されれば更に強い敵が、そしてかつての仲間が敵になったり、敵が味方になったりするなど、ドラゴンボール的展開が続く。
つまり、ボーボボにおける敵キャラとは、ハンバーグにおけるナツメグなのだ。
どうだろうか? これで、私が培養液みたいなのに入れられて、なんか実験みたいな事をされている理由が分かっただろうか?
おそらく、君たちの反応はこうだろう。
「お前、途中で締め考えるのめんどくさくなったろ?」
真夜中に川端が書いたポエムを見て死にたくなったコオロギのようなその気持ちは分かる。だが、君たちにも目が覚めたら培養液の中に入っていた気持ちが7割5分くらいは分かるだろう?
そこに、研究員らしき人間がボッソーリと言った恐るべき事実が加われば、君たちの理解は3割7分1厘くらい深められるはずだ。
「領域展開」
めっちゃボーボボじゃん! やべーよ、私ハジケリストじゃねーよ! 領域支配系の奥義出されたら即詰みしちゃうよ!
とゆーか、前世?的に私はボーボボの敵になるようなキャラしてるし、本気出しても絶対ボーボボの奥義に巻き込まれてやられる雑魚キャラか、ボーボボのアフロの中か、和歌山のリンゴくらいしか就職先がねぇ……。
なら、やるしかない。
私は、天の助が一週間風呂に入れなくなる呪いを習得することを決意した。
そして、私は気付いたらツル・ツルリーナ3世みたいなキャラになっていた。
「じゅ、呪術師を、呪いを、その全てを滅ぼしてく……れ………〆」
「無論、毛の王国の人間は一人残らず殺す」
私は毛の王国の人間である、私を生み出したであろう人間の毛穴にチューブの練りわさびを塗り込んだ。
「ヤバいぜ、ボーボボ!」
首領パッチが3世の非道な行いに恐怖を感じる。
「くっ!」
あまりにも卑劣な行為に、ボーボボの怒りが湧き上がる。
「大変だねアンタら」
コーヒー片手に寛ぐ天の助。
「私の毛狩りの邪魔は誰にもさせん。殺してやる。殺してやるぞ……天の助」
そして、私はボーボボ達と共にボーボボを殺す旅を始めたのだった。
「大体こんな感じだ」
「何が!?」
私の凄惨な過去話に、ビュティ(?)がツッコミを入れたところで、第一話終了だ。
「何一つ分かってない! 何一つ分かってないよ!! ……というか、ビュティって誰────!!!!?」
第二話「生まれたことが罪? 生存罪につき、ショウリョウバッタに処刑宣告!!」
「続いてる────!!? それに、ショウリョウバッタになんの恨みが!!!!」
明かされる衝撃の事実。なんと、人間をAmaz○nに依存させてしまう恐ろしい細胞、溶原性Amaz○n細胞のオリジナルが3世であった!!
「なんで……僕たちは、生きてちゃダメなんだ!!!!
「違う! primeを二つのアカウントで登録しちまった、俺の責任だ!!」
「人は、Amaz○nを頼りすぎた」
Amaz○n達の終わりなき戦いは続いていくのであった。
「いやいやいや!! 前回と全く違うじゃん! 思いっきり自分語りしてたじゃん!!!」
「いや、なんか恥ずかしくなっちゃって」
ビュティ(?)のツッコミに、Amaz○nで買ったゴミ袋をドレスのように纏い、スムージ(納豆についてるからし味)で全身が濡れている3世はスポーツ新聞を読みながら、テレビをつけた。
「アンタの格好の方が恥ずかしいよ!!!」
「こら!! 休日なのにそんなところで寝転がってちゃ邪魔よ、邪魔!!!」
だらしない3世に、妻であるストロングゼロ(26歳 グレープフルーツ)はコップに入った氷をぶちまけた。
「あまり私を見くびらない方がいい。知ってるぞ? 貴様が私に隠れて、三つ葉を四つ葉に変える内職をしていることを」
「な、なんでそれを!?」
3世の追求に、ストロングゼロは驚愕する。
だが、ストロングゼロも我慢の限界だった。己の蓋を開け、今までの不満をぶつける。
「……全部、全部アンタのためでしょうが!!! アンタが馬主になりたいなんて言って、4000万のダンボール買っちゃったから!! 私は三つ葉を四つ葉に変えてんでしょうが!!」
「ぺっ。だからなんだ? 私はこのダンボールで東京優駿を勝つんだ。なぁ、ミスターきくらげ?」
涙ながら訴えるストロングゼロに、唾を吐きかけ、愛馬のミスターきくらげをカッターで切り刻む3世。
そして、切り刻まれたミスターきくらげは……
「やっぱ夏はトウモコロシだよな」
「トウモロコシになってる────!!!!」
手と足が生えたトウモコロシになっていた。
「バレちまったもんはしょうがねぇ!!! 俺こそが貴様を暗殺しにきた毛の王国暗殺部隊隊長! 常温のストロングゼロだ!!」
「いきなり正体バラしてきた────!!!!」
そして豹変したストロングゼロは、なんと常温だった!!
「じょ、常温だと!!?」
「驚くとこそこなの!? もっと気になるところあるでしょ!?」
ビュティ(?)は内心、三つ葉を四つ葉に変える仕事に興味を持っていた。
「持ってない! ……ちなみに、時給は?」
「銀のエンゼル0.1枚」
隣にいた酢の物がタウンワークを見ながら答える。
「ビュティ(?)何してる!? もう一次面接が始まっちまうぞ!? ビュティ(?)があんなになりたがっていたトウモロコシのかき揚げだけを作る仕事だろ!? ビュティ(?)……この(?)邪魔!!」
「ぐはっ!!!」
ビュティ(?)の(?)をストロングゼロに向けて投げる3世。
そして(?)はストロングゼロに直撃し、融合した!!
「ふぅ。久々にこの姿に戻れたわ」
なんと、ストロングゼロが小さな女の子になってしまった!!
「なんで!? というか、私の名前はどうなるの!?」
ビュティ(?)のツッコミが木霊する。
「復活してる────!!!?」
「アナタは確実に殺すわ。氷結真拳奥義【始まりのノンアルコール】」
ストロングゼロは手に持っていたコップから酒を生み出し、その酒が弾丸のように3世達へ向かっていった。
「ビュティ(?)!? ぐはぁぁ!!!」
「きゃ!」
3世は迫り来る酒の弾丸からビュティ(?)を庇い、その背中で全てを受け止める。
「ふふっ。次々行くわよ。氷結真拳奥義【3%の猶予】」
ストロングゼロのコップから生み出された酒が床に広がっていき、突如3世達の足元がパックリと割れた。
「くそ、ビュティ(?)だけでも……っ!!」
「えっ?」
咄嗟に3世はビュティ(?)を穴から遠ざけ、一人落ちていく。
「さぁ、ここから氷結真拳の真の恐ろしさが始まるぞ」
酢の物が急に解説者ヅラし出したところで、第一話終了だ!
「まだ第一話だったんだ──!!!!!!」
一話目から呪術要素ほぼ皆無。ストロングゼロのくだりはシラフで書きました。