領域展開……まさか、毛の王国の人間か!?   作:ペロロペ

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夏にクーラーをつけず食べるインドカレーとストゼロ

 

 

 前回までのあらすじ!

 

 3世の愛馬であるミスターきくらげの東京優駿出走が決定。しかし、ミスターきくらげはある悩みを抱えていた……。

 

「なぁ、おやっさん。本当のことを言ってくれよ。俺、本当はダンボールなんだろ?」

「馬鹿野郎! お前がダンボールなんて、どこの誰が言いやがった! てめぇは東京優駿のことだけ考えてればいいんだよ!!!!」

「ははっ。おやっさんの悪い癖だぜ? ごましたいことがある時は、いっつも語尾に『!』がつくんだ」

「ぐっ……!!」

 

 ミスターきくらげはそっと立ち上がり、懐にしまっていたトウモロコシを差し出した。

 

「お前、そこまで……」

「俺、就職することに決めたよ。トウモロコシのかき揚げだけを作る仕事があるんだ。ここに、ダンボールも可って書いてあるだろ?」

 

 トウモロコシには確かに、ダンボールはリサイクルできますと書いてあった。

 

「……ちっ! 金食い虫が消えてせいせいすらぁ!! どこへなりとも行って、のたれ死んでこい!!!!」

「あぁ、行ってくるよ。……またな、馬鹿親父」

 

 ミスターきくらげはトウモコロシを齧りながら、夜の街に消えていった。

 

「馬鹿……野郎………っ!!!」

 

 そして、7年の時が流れた。

 

「まだ続くの!!!? いい加減本編に戻ろうよ!!!」

 

 

 

 

 前回までのあらすじ!

 

「ふふっ。次々行くわよ。氷結真拳奥義【3%の猶予】」

 

 ストロングゼロの繰り出した奥義に3世は……

 

「へい。新玉ねぎのフライ、お待ち」

 

 割烹料理屋で玉ねぎを揚げていた。

 

「なんで!!?」

「氷結真拳は、繰り出す度に威力が上がっていく。まずはアルコールの海で溺れなさい」

 

 割れた床に吸い込まれた3世に、アルコールの海が襲い掛かる。

 

「ふっ。この程度の状況、私の真拳を使うまでもない」

「血まみれで何言ってんの──!!!」

 

 全身血塗れの3世が余裕の態度で挑発する。

 

「そう? なら、アナタの余裕、なくしてあげるわ。氷結真拳奥義【6%の苦悩】」

 

 ストロングゼロの言葉と共に、3世の周りには柿の種、スルメ、チータラ、ニンニクなどの形をとった酒が襲いかかる。

 

「ぐおっ!!」

「ふふっ。痛い? それとも苦しい? 溺れながら切り刻まれるなんて、とーーーっても、かわいそ」

 

「(こいつ、人を痛めつけることを楽しんでるんだ……!)こんな奴に負けないで────!!!!」

 

 幼い顔を歪め、楽しそうに笑うストロングゼロに、ビュティ(?)は力一杯叫ぶ。

 

「あぁ? なに叫んでんだ小娘が?」

「きゃ!!」

 

 叫ぶビュティ(?)に苛立ちを感じたストロングゼロは、直接近づき髪の毛を掴む。

 

「酒もろくに飲んだことのねぇ小娘が、何様のつもりだぁ? 『あの方』が生け捕れつってたけどよぉ、傷つけちゃいけねぇなんて、言われてないんだよなぁ」

「(こいつ、性格が変わった!?)い、痛い!」

「取り敢えず、四肢もぎ取って、脳死状態にしてやらぁ。喰らえ、氷結真拳奥義【9%の悪夢】!!!」

 

 小さい娘が絶対しちゃいけないような顔でビュティ(?)に氷結真拳を繰り出すストロングゼロ。

 

 だが……

 

「危なかったな、ビュティ(?)」

 

 トウモロコシのかき揚げになった3世が咄嗟に救い出していた。

 

「かき揚げになってる────!!!!」

「あぁ!? てめぇ、どうやって酒の海から抜け出してきやがった?」

「ふっ。それは私の真拳を使ったからだ」

「なんだと!?」

「いいだろう。貴様に教えてやる。我が真拳……『真紅の手品(レッド・マジック)真拳』をな」

「……それじゃあ、カッコつかないよ」

 

 トウモロコシのかき揚げの姿のまま、3世はどこからともなくトランプを取り出し、ストロングゼロを挑発する。

 

「なら、こっちも全開だ。領域展開……」

「やはり、貴様は毛の王国の人間か!?」

「え!? 何が起こるの!?」

 

 なんかカッコ良さげな印を組み、ストロングゼロは己の領域を作り上げだ。

 

「【聖飲酒領域(ストロングゼロ・ワールド)】!!!」

 

 その領域は……

 

「貴様ら全員、酔いつぶしてくれるわ」

 

 居酒屋であった。

 

「……あれ? ここどこ?」

 

 ビュティ(?)は先程まで3世の部屋だった空間が、どこか古臭い居酒屋になっていることに困惑した。

 

「俺の部屋────!!!!」

「そーだったの────!!!?」

「……はっ! かあちゃんに内緒で買ったDSは無事か!!?」

 

 情けない声を出しながら慌てる3世に、ストロングゼロは語りかける。

 

「これぞ我が氷結真拳最終奥義【聖飲酒領域(ストロングゼロ・ワールド)】。そして、ダメ押しだ。術式の開示をさせてもらうぜ」

「やべーよ。タカヒロに借りたポケモンも入れっぱなしなんだよ」

「ふっ。もう気づいてるかもしれないが、氷結真拳は度数が上がるごとに威力が上がる。だが、この【聖飲酒領域(ストロングゼロ・ワールド)】を作り出せば、そんなまどろっこしいことをする必要はねぇ。常に最高火力を叩き込めるぜ」

「仕方ない。コードフリークして使えなくなったトモヒコのカセットを代わりに返すか」

「だが、それだけじゃねぇ。貴様も自分の肉体の変化に気づいているだろ?」

「な、なにぃぃぃぃぃ────!!!!?」

 

 ストロングゼロの言葉で、自身が生ハムになっていることに気づく3世。

 

「生ハムになってる────!!!」

「ば、馬鹿な!? この領域に入ったら最後、どんなに耐性を持っていようが必ず急性アルコール中毒を起こし、死に至るはずだ!!」

「甘いな、ストゼロよ。私の真紅の手品(レッド・マジック)真拳に、不可能はないのだよ」

 

 いつの間にか元の姿に戻っていた3世は、トランプをシャッフルし、目に見えない早業でトランプの中から自分の肝臓を取り出した。

 

「ごほぉ!! 私は自分の肉体を、ごはぁ!!! トランプと入れ替、ぐはぁ!!!! 酔って、ぐぼぁぁ!!!!」

「めちゃくちゃダメージ受けてる────!!!」

「まさか、自分の体を別のものに入れ替えたのか!? ありえん。領域展開は必中必殺。例え入れ替えたとしても、確実に入れ替わった方にも影響があるはずだ!!! そして……」

 

 ストロングゼロは己の中の呪力を限界まで高める。

 

「俺のことを、ストゼロと呼ぶんじゃねぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

「貴様に預けたもの、返してもらうぜ」

 

 3世は迫り来るストロングゼロを迎撃するため、布からショウリョウバッタを呼び出す。

 

「氷結真拳究極奥義【96%の処刑】!!!!!!」

真紅の手品(レッド・マジック)真拳奥義……」

 

 周囲から繰り出される、一滴でも浴びたら行動不能になるほどの度数の酒。

 

「なんだとぉ!!!!?」

 

 だが、無数のショウリョウバッタが防壁となり、3世に一切の影響を与えない。

 そして、ショウリョウバッタが口を開き……

 

「【ショウリョウバッタの吐くアレ】!!!!」

「ぎゃああああああ!!!!!!!!」

「とんでもなく汚い絵面だあああああ─────!!!!!!!」

 

 捕まえた時に吐くアレを吐き出した。

 

 そのまま、アレの勢いに飲まれたストロングゼロは気を失い、領域は解除された。

 

「……あれ? ここってもしかして」

 

 ビュティ(?)が目を開けると、居酒屋から3世の部屋に戻っていた。

 

「おーい、大丈夫かビュティ(?)!」

「あ、って……うわあああああ!!!!!!!」

 

 3世の無事に、一瞬声を弾ませるビュティ(?)だが、ショウリョウバッタのアレまみれになっている3世を目にして絶叫する。

 

「これ、取り戻してきてやったぞ」

「いやあああああ!!!!!!」

 

 アレまみれになっている(?)を渡す3世に、ビュティ(?)は拒絶の反応を示す。

 

「仕方ない。こっそりとつけておくか」

 

 3世はやれやれと言いたげな顔をして、ビュティ(?)に(?)をつけ、手をパンと叩いた。

 

「ビュティ(?)(?)、目を開けてごらん?」

「いやだなぁ」  

 

 嫌と言いつつも、少しづつ目を開ける。するとそこは……

 

「私の生まれた場所♡」

「なんか実験施設になってる────!!!!」

 

 3世の部屋ではなく、怪しい機械がたくさんある実験施設だった。

 

「ところで、ビュティ(?)(?)は私の名前を知ってるか?」

「? ……そういえば、知らないかも」

「なんか、ツル・ツルリーナ3世みたいなキャラって書かれてから、ずっと3世表記なんだけどさ。ぶっちゃけ違うんだよね。なんか、いい名前ない?」

「……じゃあ、ナナシなんてどう?」

「……色々分からない私にはピッタリか。次から、私のことはナナシと呼んでくれ」

「じゃあナナシ」

「気安く呼ぶんじゃねぇ!!!!」

「ええ────!!!!?」

 

 この時、ビュティ(?)(?)は気づかなかった。自分の名前の表記がビュティ(?)(?)になっていることに。

 そして、(?)の一つからダマガルルナの香りがすることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ。威力偵察に特級は勿体無いと思っていたけど、やはりキリの特級じゃお話にならなかったか」

 

 ビュティ(?)達が去った後に、男が実験施設に現れた。

 

「あの娘だけは、必ず確保しなければならない。そのためにも……」

 

 無表情の少女が映る写真を見つめる男の後ろから、異形の化け物が現れる。

 

「あの『男』を目覚めさせるわけにはいかないからね。くれぐれも、慎重に頼んだよ」

 

 そして、男は影に飲まれて消えた。

 

 

 





やっぱ夏にうなされてねぇと、続き思いつかねぇや。
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