幼女に厳しい世界で幼女になった   作:室戸菫はかわいい

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先に書きたかったのから書いた。

今更だけど15歳未満は見てないよね?

不快感あったらすぐ戻るんだよ。





異性化

 

 

 

 煌びやかな東京エリア第1区に居たのもいまや昔。

 保脇の姿は18区の永淀市(ながとろし)の不法外国人居住区にあった。

 純白の制服ではなくよれたシャツとスラックスが彼の(よそお)いだ。

 これまでと全く違う環境に対するストレスから悪態をつく。

 

「クソッ、どうして僕がこんな汚らしい場所に居なければならない……!」

 

「仕方ないでしょ~、指名手配かかっちゃってるんだからさ」

 

 廃れたアパートの扉が開き、少女がひとり入ってくる。

 

「ふざけるな! もとはと言えば貴様がまともな内容を考えなかったからだろうが!」

 

「うーん、男のヒステリックとか需要ないよ~」

 

「貴様……ッ、里見蓮太郎を倒す力とやらの準備は済んだのだろうな? 生かしておいてやってる理由だろうが!」

 

 保脇はルガー拳銃を少女に突き付けるが、彼女に怯えた様子は見られない。

 

「ちゃんと持ってきたから静かにしてよぉ~。発砲したら目立つじゃんか」

 

「ふんッ、悪魔の癖して僕に指図するとは生意気なッ」

 

 イラついた保脇は少女を足蹴(あしげ)にした。

 

「ぐえっ 恩人に対する態度とは思えないなぁ」

 

 尻もちをついた体を起こして汚れを払う。

 

「悪魔は僕ら人間に奉仕してやっと最下層の人間になれる。ただの義務になぜ僕が恩を感じなければならない?」

 

「あはっ、クズ過ぎて笑っちゃうね」

 

 真顔で(のたま)う保脇。

 彼はそういう常識の下で育ったのだろう。原因が誰かという問いに意味はない。

 

「それより早くよこせ。それなんだろう?」

 

 人差し指を揺らし、彼は少女が手に持った小さな箱に目を向けた。

 

「せっかちさんだな~。まぁそうなんだけど」

 

 箱を開けば注射器とバイアルが入っている。

 少女はバイアルの液体を注射器で吸い上げていった。

 

「ククク……アイツを越えるところを見せれば聖天子様も僕をお認めになるはずだ」

 

「もう再編されちゃったから無駄な期待じゃないの~?」

 

「はっ。貴様のような低能にはわからんだろうが、聖居の人事にかけあえば僕のポストなどすぐに見つかるんだよ」

 

「じゃあ指名手配はどうするのさ?」

 

 少女の疑問を保脇は自信に満ちた表情で答えた。

 

「それこそ僕が里見蓮太郎に勝てばいい。今頃僕の無実とアイツが犯人だという証拠が見つかっているはずだ。あとは僕が手柄を上げさえすればいい。そうすれば指名手配なんぞは取り下げられ、僕は再び聖居に舞い戻ることが出来る」

 

「はぇ~」

 

 聖天子に見捨てられて頭おかしくなったんだな、可哀そうに。

 少女は薄っぺらな心で憐れんだ。

 

「そうして戻った暁にはあんな底辺のガキではなくこの僕が聖天子様の夫となるのだ」

 

 夢物語を語る保脇に少女はいじわるをしてみることにした。

 

「結局のところさぁ、保脇くんって美少女とセックスしたい拗らせ童貞だよね」

 

「は?」

 

 大きく見開いた目が少女を睨む。

 

「だってそうじゃん? 保脇くん、顔はかっこいいんだからそこら辺の女の子で満足しておけばよかったのにさぁ、変にプライドあるから身の程を越えた理想を目指しちゃったんでしょ」

 

 保脇の上瞼がぴくぴくと震えた。

 

「この……この僕が石ころのような売女どもと? ふざけたことを抜かすなよ……」

 

「でも残念ながら現実はこれじゃん。君が見下してた底辺そのものだよ~」

 

 カッと血が上った保脇は少女の首をひっつかんで壁に叩きつけた。

 身長が足りないのか足がふらふらと揺れる。

 脆い壁から土埃が落ちた。

 

「が……は、ぁっ……」

 

「ゴミカスの分際でよく喋る! 貴様はさっさとソレをよこせ!」

 

 少女から注射器をひったくろうと保脇は手を伸ばすが、少女が腕を動かして空を切る。

 それが数回行われ、保脇はついに激昂した。

 

「きさ――」貴様、という声は言い切ることが出来なかった。

 

 逆に人外の腕力で地面に縫い付けられたからだ。

 

「う~ん。男にやられても全然興奮出来ない……やっぱ先生ぇじゃないとダメだなぁ」

 

「ぐ……な、何のつもりだ……!」両手を背中で合わせられ、抵抗の術を封じられる。

 

「なにって、君のご希望通りにしてあげるんじゃん。まぁ、多分ダメだけど」

 

 躊躇なく少女は保脇の首筋に注射器を打ち込んだ。

 

「お、おのれ何……おっ……ごっ、が……ぁ!?」

 

 途端、保脇の心臓がひときわ大きな鼓動をうつ。

 骨格から変化する体の痛みに保脇は少女の下で魚のように仰け反った。

 

「う、お、おぉ……こ、こんなの……聞いていないぞ……!」

 

「だって言ってないもん☆」

 

「く、そ……あつい……あついあついあついあついいぃぃ!」

 

 そうして跳ね回ること数分。

 流れ出た汗で床は小さな池のようになっていた。

 

「あちゃぁ、お風呂でやればよかったかな☆」

 

「な、なにが……」

 

 困惑する保脇に、満足げな少女は手鏡をかざした。

 

「見て見なよぉ。元がイケメンでよかったね? とってもかわいく出来ました☆」

 

 鏡に映っているのは、控えめにいって美少女だった。

 髪の色は茶から灰色に変化し、体の起伏は薄く身長は小学生ほどまで縮んでいる。

 赤と黒が混ざった紫の瞳は鋭い目つきを残しており、肌は病的に白く、簡単に折れそうな細い手足となっていた。

 

「はぁ……?」

 

 解放された手でぺたぺたと顔を触る保脇。

 そして信じがたい現実に直面した。

 

「ぼ、僕が……悪魔どもに……? う、うそだ……嘘だぁ!」

 

「悲しいねぇ……聖天子ちゃんを孕ませたかったのに出来なくなっちゃったねぇ~!」

 

「き、貴様ぁ! こ、このっ!」

 

 保脇はショッキングな現実から逃れようと暴力に走るが、逆に手を掴まれてしまう。

 

「あは☆ 人間がアタシに勝てるわけないじゃん。無駄な努力ごくろーさま☆」

 

 耳元で囁かれた侮辱的な言葉。

 酷く脳に響く声が麻薬のように意識を溶かそうとしてくる。

 

「こ、これは夢だ……夢なんだ……」

 

 そうはさせまいと心の守るために今度こそ保脇は逃避に走った。

 

 一方の少女はそんな可愛らしい態度を見せる赤子の瞳を指で強引に開いた。

 強引に現実を直視させるため。

 

「ところがどっこい! 夢じゃないんだなぁ……これが現実だよ☆」

 

「う、うそだ……僕を騙そうとしている……そうだろ! こ、この赤目がァ!」

 

 最後の抵抗はしかし、少女に何らダメージを与えることはできなかった。

 

「ふふ、こういうのメスガキっていうんだっけ? ほんと可愛いなぁ……」

 

 少女は気分が高まって来たのか、不気味な笑顔を浮かべる。

 

「不思議だったんだよねぇ。君たち人間の子供をアタシたちは作れるけどさぁ、君たち人間はアタシたちの子供を作れるのかなって」

 

「は、はぁ……? 気でも……狂ったのか……?」

 

 女が女の子供を? こいつは何を言っているんだ?

 あまりに常識的な内容だったためか、壊れかけの心でもその異常性を保脇は認識できた。

 

「じゃあさ、科学的実験をしよっか☆ お題は『人間はアタシたちの子供を孕めるのか』ってことで!」

 

「ま、まさか……や、やめろ……やめてくれ……」

 

 狂いかけているがゆえに狂気を理解してしまった保脇は後退ろうとする。

 しかし、手を捕まれていてはその行為も虚しいものだった。

 

「まぁ、安心しなよ。アタシはちゃんと女の子なんだからさ……」

 

「あ、あ、ああ……ああああッ!」

 

 涙を流す顔は無慈悲な手に覆われた。

 

 

 

 

 

 

 ボブは割れたガラスに映る目元のクマを見て溜息を吐いた。

 彼は数か月前に不法入国した外国人である。

 かつてはアメリカに住んでいたが、いつ貧弱なモノリスが崩されてガストレアに殺されるかもわからない不安から逃れるため、多額の金を使って()()()でモノリスだけなら安全な東京へ脱出(エクソダス)してきたのだ。

 

 そんな彼は日本の治安が故郷よりマシな――この地区はジャパニーズヤクザやギャングが縄張りを持っているので安全ではないのだが――ことに安心した。

 ビザを持っていないためまともな仕事についたりすることはできなかったものの、よくも悪くもない日雇いの仕事を受け、ギャングに上納金を納めて庇護してもらうことで肥溜めの中ではまともな部類の生活を送ることが出来ていた。

 

 しかし2つ隣の部屋に誰かが引っ越して来てから、その生活にも影が差している。

 

 そう、寝不足だ。

 

 ボブが住むボロアパートはコンクリートなんて上等な壁を使っていないので、大きな音を立てると周囲の部屋に聞こえてしまう。

 

 彼は乱闘騒ぎやカチコミの音には慣れていたが、まさか()()()()声が近くで聞こえてくるとは思わず――あってもギャングたちの住んでる方――酷い睡眠妨害を受けていた。

 

 例の部屋には女がふたり、それも子供が住み着いているはず。

 

 女同士でセックス? イカレてんだろ。

 最初はそう思ったが、世界がイカレてる今、多少頭のネジが外れてしまってもおかしくないだろう。なんなら知り合いにホモのカップルがいる。いや、彼らは元からだったような気も……まあいい。

 

 ただ子供ふたりでこの魔境をどう生きているのかが疑問だった。

 しかしその疑問は先日、乱交パーティと勘違いして乗り込んだ酔っ払い共が全員返り討ちにされたことでハッキリする。

 

 そう、やつらはチルドレンだったのだ。

 赤い光を滾らせて世界に住み着いた新しい人間たちだ。

 

 それならこの魔境で生きていくことも出来るだろう。

 

 ただ、こっちから迷惑は掛けてないんだから安眠妨害はしないでほしかった。

 

――♪~

 

 ああ、クソ。ジーザス……なんてことだ。また今夜も聞こえてきた……。

 文句を言いに行こうと思ったこともあるが、相手がチルドレンじゃ逆立ちしても勝てやしない。

 しかし、最近はこの声を聴きながらソレを想像するのが楽しくなってきた。

 

――俺はどこへ向かおうとしている?

 

――まぁいい。とにかく、今日も寝れるかどうかが問題だ。明日は仕事なんでな。

 

 

 ボブは板のように固くなった毛布を纏い、ボロパイプに支えられたベッドで横になった。

 

 

 

――んひぃっ! そこ、あぁッ!

 

――えいえいっ これどう?

 

――ん゛ぎっ おぉ゛ッ!

 

――ぴくぴくしちゃっておもしろ~い☆ 子供に哭かされて恥ずかしくないの?

 

――き、貴様ッ! その減らず口を閉じぃぃ゛ぃ゛ッ!?

 

――あは☆ すっかりメスになっちゃったねぇ~

 

――ふざけるな! 僕はお゛と゛こ゛ッ゛

 

――体は堕ちても心は堕ちないって奴? 面白いね☆ ほ~らほ~ら

 

――あぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ゛!

 

 

 

 





Isomerization

・保脇くん
精神崩壊していればまだマシな未来だったかもしれない



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