俺はスリッパに履き替え案内された客室に入った
室内を見渡すとウォーターサーバーが有ったので嬉しくなった
「部屋を出て右に進むと突き当りにトイレがあります。このウォーターサーバーはこの紙コップを取り出しご自由にお使いください。あとこちらのパンやクッキーなどは当社で開発したものです。食べて感想を聞かせてもらえると今後の開発に役立つので助かります」
「分かりました、ありがとうございます」
「あと帰るときはこちらのインターホンで111を押して下さい。そうすると私のいる部屋に繋がります。それでは船の出発時間までごゆっくり」
「はい、ありがとうございます」
そう言い残して男性は出て行った
部屋を見渡したがカメラらしきものは無かった
俺は紙コップを取り出し水を注いでテーブルの上に置いて
個別包装されているパンとクッキーを手に取りソファーに座って食べてみた
感想は普通だな
不味くなければ美味くもない
パサパサしたパンとクッキーだった
水は美味しかったので紙コップで3杯飲んだ
あー疲れたなぁ
船は17時だったな
今は12時だから15時までにここを出れば間に合うな
帰りも同じことがあるのだろうか?
もし虫たちに襲われた時の対処としてここにある甘そうなフルーツケーキで虫の注意を引き付けて逃げればいいのではないかと考えた
とりあえずフルーツケーキを3個リュックに入れた
この会社の研究内容、会社概要が書かれた物が無いか見渡したが何もない
客間なら何かあるものだが何もない
あるのは試食品だけである
食料品の研究施設ならこんな離れ島にあるのも変だ
そんなことを思いながら部屋の中を探ってみた
この会社の情報は見当たらないが小窓がある
この小窓を開いてみようとしたが開かない
その時入り口からノックの音が聞こえた
俺は「ハイ」と答えた
この会社の男性が入ってきた
その男性は椅子に座り「帰りの船は何時出発ですか?」と尋ねてきた
「17時に出発です」
「ここから歩いて1時間もかからないのでゆっくりしていってください」
「私ここに来るとき大きい虫に襲われたのですが・・・」
俺は思い切って尋ねてみた
「これは誠にすいませんでした。うちの会社は虫の生態も研究していましてそこから抜け出してしまった虫かもしれません。」
「虫の研究ですか・・・」
「はい、この先食糧難など災害のために昆虫食材も研究しています。そして昆虫を大型化することなどの研究もしていましてその昆虫が抜け出したのでしょう」
「昆虫食⁉」俺はクッキーを見た
「安心してください。こちらの物は昆虫食材ではありませんので安心してください」
俺はホッとした
昆虫は嫌いで自分の部屋で見つけても叩き潰すことができない
なので食べるとかとても無理である
今回は命がけだったので仕方なく戦うことを選んだのだ
俺は「帰りもそんな虫に出会ったらどうしよう」と無意識に口から出てしまった
「それなら私が車でお送りしましょう」
俺はホッとした
「すごく怖かったのでよろしくお願いします」
「それでは16時出発でよろしいですか?」
「はい、お願いします」
男はそう言って部屋から出て行った
俺は安心した