ありふれないクラスメイトと平行世界のクラスメイトのトータス入り   作:ユラシ仮面氏

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久し振りの投稿で申し訳ございませんでした!



お菓子は許して〜!

生えている草木が枯れ果て、灰で全域が覆われて、更に灰が雪の様に空から降ってくる大地の中心に陣取る様に設備された白で統一された宮殿。

 

その宮殿は周囲の景色とは余りにも違い過ぎるせいか、見る者によっては酷く場違いで立派な宮殿が立つべき場所ではないと印象付けられる。

 

 

そんな宮殿の場所は、トータスの何処にも無いが何処からでも入れるという謎掛けの様な場所に存在する。イヤ場所とも言えないアヤフヤな空間に点在する。

 

そんな宮殿の一角。

 

「やはり風に当たりながらのオヤツは気分が良いのぅ」

 

外を睥睨出来るバルコニーで、一人の銀髪で白いワンピースを着た10代前半の少女が、沢山の菓子と紅茶とティーポットが置かれている丸テーブルから、色が多種多様なマカロン達から一つを摘んで口に運ぶ。

 

「うむ!濃厚なクリームが美味過ぎて、口の中が蕩けそうじゃ」

 

柔らかい食感、そしてマカロンの表面を歯で僅かに破く事でマカロンの中に詰まっていた濃厚なクリームが、少女の口の中で溢れ出す。

 

一噛みするだけでとても絶品なマカロンを満足するまで咀嚼し、飲み込んでから紅茶を口直しに飲む。

 

「程よい甘味も中々に良いな!」

 

マカロンとはまた違った甘味がある紅茶を舌先でジックリと味わってから、次の菓子に手を伸ばそうとした瞬間。バルコニーの空いたスペースの空間が捻じれ、その先から一人のシスター風の格好をした女性が現れる。

 

「おや、もう調査は終えたのかぇ。上出来じゃぞ"ノイント"」

 

金色の瞳を突如現れた女性ノイントに向けた少女だったが、特に警戒した様子も見せずに体と顔の向きをその女性に向き直して菓子に行きかけた手を止める。

 

ノイントは少女の目の前まで来て、片足を組んでその場で頭を下げて姿勢を低くする。

 

「エヒト様。ご報告したき情報が御座いますが、今報告しても構われないでしょうか?」

 

チラリとノイントが向けるのは菓子類や紅茶のセット。目の前の少女"エヒト"のオヤツタイムを邪魔するのを危惧し、報告する時間をズラすか聞く女性だったが。

 

「カカカッ!気にするでない。元よりワシが頼んでおった情報なのだから、ワシ個人の感情で事を優先はせんから安心するが良いノイントよ」

 

エヒトは気にした様子も無さげに、老婆の様にケラケラと見た目と合いそうも無い笑い方をする。

 

「畏まりました。では、例のイレギュラーズについて言われた件をご報告させていただきます」

 

答えられた側のノイントはその顔を上げて、自身の創造を行った主人たるエヒトと目を合わせながら報告を開始する。

 

「まず、エヒト様が懸念されていたブレイカーの因子が"ガイア"の手により召喚されたイレギュラー全員から検出しました」

 

エヒトが1つ目にノイントに調べさせたのは、本来なら召喚される筈の無かったハジメ達を無理矢理トータスに送り込んだ一流作家を気取ったガイアによって、何ならかの特別な"因子"を施されていないかの調査だった。

 

「やはり仕込んどったか。あの下世話作家めが」

 

因子とは、漫画でよく主人公が苦難に遭遇したり事件に遭遇したり等の運命を位置付けれる代物で、物によってはエヒトの様な神として神話に語られる神や天使にさえ巡り合わせる事が可能だ。

 

因子の中でも特に最強でありながら、神々をも滅ぼしかねない運命を定める因子。数多くの強敵を砕く実力を運命により兼ね備えさせ、その因子を持つ者に絶大な才能を誇らせる。

 

だが裏を返せば困難の連続や格上という言葉では片付けられない怪物達との遭遇する確率も跳ね上げる性質上、その因子を持つ者達の多くが悲惨な死を迎える。

 

所有者でさえ破滅させる可能性を秘めたその因子を【ブレイカー】と呼ばれる。

 

「因子もかなり強く、恐らくは最上位のブレイカーかと。エヒト様の運命操作が何処まで通用するかさえも不明です」

 

エヒトは長く生きただけあり、多くの人外級の能力を保有している。

 

その中の一つに格下の者専用ではあるが、運命に干渉して操作が可能な能力を所持している。

 

コレにより、エヒトを嫌う異端者でも、運命を操作して献身的なエヒトを崇める教徒に変える洗脳じみた能力なのだ。

 

 

他の神により因子を植え付けられた生き物でもエヒトよりも弱ければ問答無用で能力の対象に入るのだが、ブレイカーはそんなエヒトの操作に干渉されない程に強力とされている。

 

「中々厄介な事を…自らでは物語を開拓出来ずに常にネタ探ししかせぬエセ作家如きに、ワシの計画を不本意であろうと邪魔されるのは不愉快じゃ」

 

エヒトは涼しい顔で罵倒をしながら紅茶を啜り、ブレイカーの因子をこの世に招かせたガイアを思い浮かべる。

 

いつもネタ集めの為なら他人のプライベートすら臨み見る変態女性が、煽る様な笑みを浮かべて、「いやー!コレもネタ集めの為なんてゴメンナサイね」と、悪びれる様子もなく言ってくる姿が思い浮かんでくる。

 

(腹が立つが、ガイアは小説が絡まなかったら比較的穏健派な奴じゃ。じゃが、小説が絡めば例えゼウスでも閻魔でも殺してインスピレーションを得ようとする女の事じゃ。今回も、小説のネタを得る為だけにワシに宣戦布告まがいの事を仕出かしてくるじゃろうな)

 

ブレイカーは一つだけでも神々の間で取引される際にはかなりの値打ちがする代物で、手に入れるのは容易では無いのに一クラス分のブレイカーを用意する等、国家予算レベルの資金が必要になる。

 

(本当、厄介な事態になったのう)

 

ガイアは地球規模での災害すら、物語を書くネタの為だけにやる様な女なのだ。そう考えれば、和平も停戦交渉も無駄だ。ガイア本人には止める理由が無いから、インスピレーションを得られるまで何千億人が死のうが最悪を振りまく。

 

巻き込まれるエヒトにとっては、本当にたまった物ではないが。ガイアに対してコレから対応しなければならない事に顔をしかめながら、エヒトは己が描いたシナリオの修正案を頭の中で考え始める。

 

「ノイントよ、良き働きじゃった。引き続き、勇者達や道化共の動向を逐一監視せよ。大きな動きがあれば直ぐにワシに報告するんじゃ。頼んだぞ?」  

 

「ハッ、このノイントにお任せを。所でエヒト様」

 

もう報告は終わりという雰囲気から一転。ノイントトの顔は普段は無表情なのだが、その目が今何故か物欲しげそうにしていた。

 

そのノイントの目線に何処か嫌な予感を覚えつつも、部下を労うのも上司の役目だという想いでエヒトは応える。

 

「どうしたのじ「そのマカロン美味しそうですね?」ゃ…てっえ!?」

 

エヒトが喋っているのに、割り込む形でマカロンに言及する。動揺するエヒトを置いてノイントは何やら口の端からはヨダレを垂らして、明らかにマカロンを食べたそうにしている。

 

先程までノイントは主に仕える従者としての姿を見せていたが、大のお菓子好きなのだ。特に甘菓子に関しては例え姉だろうが妹だろうが、ソレこそ主だろうが手に待っていたら殺してでも奪う女だ。

 

「やっヤランゾ!!この菓子は、ワシが必死にヘソクリを貯めて購入した高級品なんじゃぞ!!」

 

自分の資産をオカン系従者てあるエーアストに無駄遣いは駄目!の精神で管理され、菓子は一日に一度のみとされている。

 

無論、常人なら満足の行く量の菓子を与えられているのを補足するが。

 

(主なのにヘソクリ貯めてるのですね)

 

 

エーアストとて主の好きな物を減らすのは心苦しいから、飽きが来ない様に多種多様な菓子のバリエーションと満足の行く量を用意したのだが、エヒトはエーアストに用意された菓子の量だけでは満足出来ずにコッソリと隠れて今回みたいに食べていたのだ。

 

だから、そのタイミングでノイントが来た時はさいしょだいぶ焦っていた。なんなら澄ました顔をしていたが内心では(オワッタ\(^o^)/)と思っていたのだ。

 

だがよく考えてみれば、エーアスト以外が何時に菓子をくれたのかを知る者は居ないのだ。だから、通常通りですが何か?という状態を続行していた。だが駄目だった。

 

(よりにもよってノイントにヘソクリ貯めてたの言ってしもうたぁぁ!!なんで自白したのワシ!?本当にこの先ノイントになんて言うんじゃ!?どうすれば良いんじゃぁぁぁ!?)

 

だがノイントにマカロンを狙われたのに気が付くと、つい口を滑らせてヘソクリで買ったと自白してしまった。

 

このエヒトさん、もうポンコツ主の称号を与えられても不思議では無いだろう。

 

「自白とかしちゃってますけど、主ってポンコツなんじゃないんですか?」

「グフッ!?」

 

早速のポンコツ呼ばわり。コレは酷い。エヒトもダメージを受けてしまうレベル!

 

「コレからは、主の事をポンコツ主と呼ぶ様に周りに知らせましょう。ポンコツ主にはお似合いです」

「止めろー!?ノイントよ!ワシって、お主の主なんじゃよ!ソコン所分かってる!?」

 

エヒトが自分は主だよ!アピールをするが、ノイントは気にした様子も無く淡々と思った事を告げる。

 

「イヤ、主がエーアスト姉様との約束を破っておきながら主アピールしてるからですよ?こんな悪いことする方が主って、本当に信じられません」

「プグロー!?」

 

ツーヒット!エヒトダウン!最大の敵は身内に居た!

 

「イヤあの…本当にスミマセンでした…」

 

意気消沈した様子のエヒト様は、実に一部の紳士を喜ばせる様な泣き顔をしていたが、まだノイントのターンは終わっていない。

 

「まぁ、確かにエヒト様の言う通りでも有りますね。ですからエヒト様の菓子を一部で口止めするというのはどうでしょう?」

「むっぅぅぅ…幾ら渡せば良いんじゃ?」

 

エーアストに怒られるのもポンコツ呼ばわりされるのも絶対嫌なエヒトは、その提案に乗ろうか?と考え始めるがノイントはそんなシフォンケーキの様な甘い幻想をぶち壊す。

 

「今あるマカロン半分を要求します」

「はっ?半分!?お主がさっき一部だけって言っておったじゃろ!あの話は何処に行った!?」

 

話が違うと焦りだすエヒトだが、ノイントは無表情でありながらトボけた顔で言い放つ。

 

「ナンノ事デスカー。ソンナ事言ッタ覚エハ、私ノ記録ニハ存在シマセンー」

 

ノイントは完全に棒読みで、大根役者よりも酷いと評価されるだろう演技力だった。

 

「誤魔化すならもっと感情を込めんかい!て言うか、そもそも誤魔化そうとするな!!ソレと、半分要求ならワシは断固として譲らんからな!」

 

もうこの二人は漫才コンビを組んどけと言いたくなる光景を生み出しながら、エヒトは断固として菓子半分を渡すのを反対していた。

 

「反対されるのであれば、エーアストお姉様に今直ぐ話します。涙を流して必死に弁明しても怒られまくって、エーアストお姉様にターップリとお説教されてください」

(なしてこうなるー!?)

 

大好きな高級菓子を半分失うか、エーアストに鬼の形相で説教をされて菓子を没収されるか。選択肢は前者しか無いだろうが、半分を失う事をエヒトの感情が受け付けてくれない。

 

「さぁ選んで下さい。菓子を半分渡すか、エーアストお姉様に叱られるか」

「ウ…ゥ…ゥゥ…た"ず"げ"で"ア"ル"ブ〜!!!」

 

エヒトの従者の中でも甘やかしてくれて、エヒトが悪い事をしても「主様だから問題無し!」と言ってくれるアルブに助けを求めるが、彼は現在とある任務で出張中なのだ。

 

なのでアルブはこの場には当分来れないから、その声は虚しく響き渡るだけだった。

 

因みにアルブはエヒトの生活方針を駄目にするという事で、エーアストが左遷に近い形で地上で当分帰ってこれない任務を与えているのだが、知っているのはエーアストのみである。




ブレイカー
保有者 トータス 開放者一同 フリード・バグマン シア・ハウリア ユエ ティオ・クラリス ティオのご両親 イシュタル 他にも数多くの保有者アリ

地球 織田信長 ジャンヌ・ダルク 新選組主力メンバー 源義経 弁慶 
強個性生徒達一同と担任の先生 他にも数多くの保有者アリ

保有者は、常人とは違う過酷な人生を生きる事になる。だが、その人生に見合った天才を超えるレベルでの才も与えられる。

その過酷な人生を最後まで生き残れず、悲惨で苦痛の最後を迎えるケースが多く、マトモに天寿を全うした者は極少数。
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