ありふれないクラスメイトと平行世界のクラスメイトのトータス入り 作:ユラシ仮面氏
高級すぎて、一般ピーポーが占める(例外の金持ちは除く)使徒達には逆に居心地が悪いと感じさせる部屋を、あろう事か真央は大多数の本で埋め尽くして高級感や実用性の高い家具達を自ら使えなくした。
更には見た目重視のテラスや豪華なテーブルを台無しにする暴挙に出た犯人である真央は、扉横に机を置いて彼女の日課である読書に
「おはよう真央!朝から両目が血走りマシマシだね!」
まずは元気良く挨拶をして、何度もノックはしたが無断で部屋に入った罪を全力で隠蔽しようとする。
バレなきゃ犯罪じゃないを地で行こうとするその性根は、果たして腐っているのか。
(一応本人はノック音が聞こえる位置にいたけど、ソレでもやってる事は不法侵入だからなー。裁判になったら即有罪になるレベルで僕が不利!!)
正当性はハジメにある。
まず、真央は扉の真横に居たのにノック音が何回も鳴っていたのを意図的にスルーしていた。
幾ら集中していようとも、音は遮断されずに耳に入るのだから真央は意図的に無視していた事になる。
更に!そもそもハジメが入った原因を作った本窃盗をしたのは真央!
裁判では真央が勝てようとも、心情的にはハジメの味方になってくれる人が多いだろう!
(まっ、こういう時に上手く嘘とハッタリ使って窮地から脱出するのが最高に楽しいんだけど)
しかしハジメの内心はワクワクする気持ちで一杯だった。
圧倒的不利な立場から嘘の言葉で相手を踊らせて、ありもしない圧力で徐々に追い詰めて下剋上をするのはハジメにとっての娯楽となる。
城の書物を全て盗んだ真央は呆れ果てるべき対象だが、不利な状況で胸が躍るハジメも、先程の心情的にはハジメの味方云々は撤回させないといけない位には大概な人物である。
眼の前で挨拶をするとやっと反応する気になったのか。
真央は一度だけ血走っている目でハジメを見ると、直ぐに視線を本に移す。
また無視されたか?とハジメが考える前に真央は、仕方無さそうに口を開く。
「ハジメか。」
部屋に勝手に入室された事への怒りも、無視したのに当の本人が入って来られた事への気まずさも感じさせない。
目線すらハジメには向けず、読書に集中しながら並列して会話を熟す。
ソレが真央の普段のルーティーンだ。
誰とも目を合わせずに読書だけに集中し、ソレ以外の事柄には一分一秒でも掛ける事を嫌う異常なまでに熱心な読書家。
「知識の増幅作業を行う姿が見えんのか?その飾り気無い眼球を変えて作業の邪魔をせずに出てゆけ」
真央は読書を己の知識をより高める重要な作業だと考えており、その作業中に親兄弟であろうとも読書の妨げになるのなら、途端に追い出そうとする。
どうやら今回は、ハジメとの会話自体が不要と判断して追い出しに掛かってる様だ。
(よっし!無断で部屋に入った件は突っ込まれなかったぞ!僕の勝ちだァァ!!第三部、完!!)
真央の言った言葉を受ければ、大なり小なりではあるが怒りか不快な感情が湧いてくる。
が、困った顔を作るハジメは内心では特にその事は気にせず、別の事で大変喜んでいた。
ポジティブすぎるその鋼の心は羨ましい限りだが、浮ついた気持ちを徐々に消して次の行動に移る。
「悪いけど今回の件は王国側から正確に抗議されているから、真央の気持ちを踏みにじるのを覚悟で言うよ」
そう。真央の部屋に無断で入った理由は王国側からの要請が入ったから、本当に嫌々だが真央に返還要求をしに来たのだ。
とは言え、読書の邪魔になる程度で毒を吐く真央が、読む予定の本達を返還されるとどんな対応をされるか。
(逆境から跳ね上がるのは良いけど、僕は重悟じゃないんだから普通にメンタルに来る罵倒はNOセンキューなんだよなぁ…)
そう考えただけでハジメは若干ビビってしまう。
チキンと言うなかれ、恐ろしいのに普通の笑顔で対応するハジメは十分頑張っている方なのだから。
気を取り直して、ハジメは今回の目的を伝える。
「この書物の山は王国に必要な知識の結晶なんだから返さないかい?」
真央の部屋に積み上げられた本達は種類も様々だが、ドレも王城に収められた品達。
一冊一冊が国に必要と見なされ、書庫に収納されたのだ。
ソレを真央は全て奪い去ったのだから当然返還されるべきである。
しかし、そんな話は真央には無意味だ。何故なら、真央はその目で見ているからだ。
その重要と呼ばれている筈の書物を実際に目を通している人物は居るかを。
答えは王国側の人間は全く来ず、0人だった。
地球の様に誰でも閲覧可能という訳では無いが、読める権限を与えられた者は誰も重要な書物を読みに書庫に足を踏み入れる事は無かった。
実際は皆、知るべき知識が詰まった場所だとは認識していたのだろう。しかし誰も読もうとせず、昨日まで書庫以外の場所で雑談や暇を持て余して今日も生きていた。
何故か?誰しもが読むという行為をワザワザ休息の時間を使ってまでしたくない。
必要だとは分かっているが明日の自分が読んでくれるだろうという後任せで終わる思考。
真央は書庫の眼鏡を掛けた女司書に聞いても書庫を訪れるのは一月に一人か二人程度。
そんな者達に、そんな読めるべき時間を無駄に使い今も怠惰に過ごす者達が稀に読むよりも真央自身が読み、その書物の知識を記憶する方がマシという物。
だから全ての書物を回収し、書庫に行くまでの手間を惜しんで部屋に置いたのだ。
無論、理由があろうとなかろうと窃盗は犯罪だし、所有者は王国側なのだから真央が持つ権利は無い。
「勿論、王国側には対処可能レベルでだけど真央が好きな条件を「くだらんな。サッサとその撫で声を止め、今直ぐ部屋から出ろ」っアララ…即答か」
真央からの厳しい条件であっても使徒の職権を乱用すれば出来る。
なので、試しに提案をするが真央に思案をさせる魅力はどうやらハジメの言った発言の中には無かった様だ。
躊躇なく提案を突き返される。
そして真央の声色も、明らかに先程までは冷めた声色だったのに、返還要求の話をすると静かに怒りが籠もった声色に変化していた。
真央が毒を吐く時点で拒絶されていると所見の者は思い込むだろう。
だが実は、真央が本を読む時間を邪魔しても対した怒りも見せない相手は十分友好的な相手なのだ。
だから対した毒も無かったが、例え友好的な友人であろうと読書の邪魔をするのなら、真央は容赦の一切もせずに出て行かせようとする。
(まっ知ってたけどこの反応は)
だがソコまでの反応は、ハジメの想定通り。
出て行かずにその場で踏み留まり、真央が交渉のテーブルに目を向ける様に会話を続ける。
一度ココでハジメが引く結果を知られれば、王国側は使徒へ向ける目を一気に変えるだろう。
国所有の書物を勝手に盗まれても下手に出て、事を大きくしない様に同じ使徒に問題解決を依頼した。
なのに、何の成果も得られませんでしたでは王国側全体とは言わずとも、上層部の何人かは使徒に対しての風向きを変えるかもしれない。
タダでさえ使徒という立場にはあるが、実際は無理矢理誘拐されて救世主に仕立て上げられただけの不安定な地位に揺らぎが出るのは今後、日本に帰る障害になりかねない。
が今、強硬手段にでも出ればハジメ等真央に一瞬で制圧されるだろう。
「コレ以外だと、王国側も真央も納得出来る条件なんて早々に揃え「唯一の長所を捨てた愚物が我の意識を割くな。最初から出て行けと言っているのだぞ?その短所と成り果てた腐った脳を次に会う時には直しておけ」…」
つまりは王国やハジメ達の間で渦巻く思惑も自分には関係無いし、知ろうとも思わないのでサッサと出ていけというスタンスを真央は尚も取る。
「会話のキャッチボールしましょうよお嬢さん?」
滅気ずに会話を続けさせようとするハジメに対し、本を読んで目線すら合わせようとしない真央は消極的だ。
(一番目にソイツの一番納得出来ない提案を出して、その後に妥協案を出せばちょっとは飛び付く)
だが、ハジメにとってこの会話も最終的に交渉のテーブルに付かせる為の布石。
不発だろうが即時対応すれば良い程度の提案だったのでバッサリと切られてもハジメには何も問題がない。
「作業効率を落として話をしてやっているのだ。コレ以上無く努力をしている会話だと言うのに、コレ以上を求めるのは強欲が過ぎるぞハジメ」
あいも変わらず、本至上主義の真央にとってこの会話自体をまず有り難く思えと傲慢な態度を取る。
(イヤ、城の図書館の本を全部強奪したアンタがソレ言うんかい!?)
心の中でツッコミまくるハジメは表に出さず、少し困った様な苦笑いの表情を作って真央に問う。
「ウーン、そこら編はありがたいんだけどもうチョット人に寄り添って見るとかどう?」
お節介話で真央との会話をもっと引き出させようとするが、当の真央は溜息を付く。
「薄汚い本性を隠し通すのは構わんが、結局は言葉並べをしただけで中身は先と一緒の会話ではないか、貴様が寄り添え」
最終的にハジメにとっては真央との言葉のキャッチボールは出来ているから良いが、ハジメの本性を知っている真央としては何を考えているのかと警戒心を与えている。
(真央の毒舌が妙な言い回しだしだから、この罵倒で一味違うらしい快感覚えた重悟が一ヶ月に一回は罵倒を懇願してたなー)
全く寄り添う以前に話を心のなかで取り合う気が無いハジメさんである。
何なら世界の誰からもゴキブリを見る目を向けられる重悟を頭に思い浮かべる辺り、顔は困った顔を作るこの男に罵倒等は真の意味では効かないであろう。
「カウンターキツイなぁ…まぁこの話が今回はメインじゃないから、次に会った時に話すリストに加えといて、本題に戻ろうか。どんな対応なら納得する?」
「旗色が悪ければ、自ら振った話も無くす愚物たる貴様との話し合いを今後も続ける難しさに我は頭が痛い。出てゆかん貴様の我儘に付き合っている我の身にもなれ」
何とも言葉の攻撃が激しい真央である。
「今直ぐその浅ましさを改めろ」
(本を借りパクした真央に言われても何とも思わんわ!)
しかしハジメは、何度も真央にその発言ブーメランだよ!とツッコミたい気持ちを我慢している。
「浅ましいのが僕のポリシーの一つだなんて、良く分かってらっしゃる!」
おちゃらけた言動をするハジメに対し、真央はハジメの考えが読めているとばかりに尚も言葉の罵倒を続ける。
「会話の毒を抜く為のくだらん猿芝居は止めよ。聴いていて反吐が出るのだから出ていけ」
ハジメのやりたい事を看破し、そんな浅ましい言動をするハジメに対して話に付き合うのも馬鹿らしいとばかりに出て行かせようとするが、負けじとハジメは口を開く。
「そういう訳にも行かないんだよ!ココは僕の顔に免じて一つ何とかなりませんかね?」
ハジメ自身、真央が本より別の何かを取る選択肢は絶対に有り得ないと分かっているので答えは端からNOだというのは分かっている。
「顔馴染に媚び諂い、道化を演じて随分惨めな役を実行するではないかハジメよ。その根性は認めるが、結果は同じ事だ。我の決定を無視せず、今直ぐ出ていけ」
しかし真央にとっては、その全てが観客の笑いの種になる行動ばかりを取る道化師の様な惨めさしかハジメには湧いてこない。
だがハジメは食らいつく。交渉のテーブルに着かせるのを諦めようとしない。
「悪いけど僕もピエロを演じなきゃいけない程、自体はそんなに良くない。転移直後の愛子先生の戦争反対の態度を王国側は良く思われていないんだ」
ソレは転移時点で愛子先生が取った行動だ。ハジメは愛子先生を責める気も罵倒する気も無いが、真央を最も説得出来そうな材料はコレ以上の材料がない。
だが、かと言って今話した王国側との関係悪化は全て嘘でしたという訳では無い。
その証拠に、王国側からは監視要員がバレぬ様に気配を殺して後を着いてくるという報告が生徒達からハジメに来ている。
(実際問題、教会側は僕達に密かーに監視を着ける位には信用してないお偉いさん方相手に、ヘタに敵対的なアクションを取ったら僕達は終わる)
ハジメとしても、今下手に王国側との溝を作れば今後大きな問題として立ち塞がる。失った信頼はそう簡単には取り戻せないのだから。
(今にも壊れそうなダムにトドメのドデカイ亀裂を入れたら、もう決壊する水達はどんな
もう疲れたよパトラッシュ(´・ω・`)ショボン