ありふれないクラスメイトと平行世界のクラスメイトのトータス入り   作:ユラシ仮面氏

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ソックリさんへのスタンス

 

本は知識の書としての側面も持つが、その本は保存法が悪ければ湿度によりカビが生えたり文字が霞んだりしてしまう側面も存在する。

 

なので、王城の中でも湿度が外の気温や季節に左右され難い立地の部屋が書庫として使用されている。

 

当然、書庫の中は寒くも熱くもない平坦な温度が保たれている。  

 

「ハァ…ハァ…!」

 

そんな中で息切れ&大量の汗を流している場違い野郎ハジメさんである。

 

淡々と重く感じるダンベル並に重くなってる本の山々を書庫まで運んでいた。

 

(真央の奴めぇ…絶対に許さんからなァァァ!!)

 

ハジメは今、四十冊も本を入れたカバンを担ぎながら書庫へと通じる階段を登っていた。

 

最初に階段を上る時は平気だったが、城の階段ともなると非常に長い。

 

どれ位長いかと言うと、エレベーターを使うとしたら5階まで行くレベルで。

 

(クソぉ…転生漫画みたいに前世の知識無双をして、サッサとエレベーターを作らせたいんじゃァァァ!!もうシンドいんだよおぉぉぉぉぉぉ!!)

 

ハジメは激高して叫び出しそうな本音を口の前で必至に押さえつけながら、最初の一段を踏んだ時と比較すれば明らかに遅くなっていると分かる足取りでトボトボ前進する。

 

ハジメが僅かに足を浮かすだけでも今にも転倒しそうだ。

 

(実際はエレベーターの知識を言ったら、他の知識も自動的に教えろって思考に王国側がなる!下手に言ったが最後、厄介事になるのは確定してるから我慢しなきゃだけど…!!)

 

フィクションとは違い、ノンフィクションの場合は絶対に便利な知識をより寄越す様に要求されるに決まっている。

 

現実世界に帰ろうとハジメ達が望んでも、教会や王国側が地球での知識を惜しんで日本に帰るのを阻止する可能性だって考えられる。

 

考え過ぎだと言われるかもしれないが、そもそも人類の一大事だからとはいえ、本人達の同意なしで攫った挙げ句に未成年達に戦うのを強制した前例がある。

 

そんな前例があるトータス側に漏らせば最後。待ち受けているのは倫理も道徳も放棄した選択の末に帰れる翼をモガれて、永遠にこの世界に取り残されてしまう結末しか残されないだろう。

 

故に、トータスには地球での知識は嘘で塗り固めた情報以外では何の情報も渡さないのが鉄則となっている。

 

(まぁ、同じく転移でコッチに来た僕達のソックリ共経由でバレる可能性もあるけど)

 

ハジメが言っているのは同じく、このトータスに召喚という形で拉致された出で立ちも学校も一緒の別世界から来た生徒達を指す。

 

 

同じ拉致被害者であり、人生間に関しても類似点が多い生徒達とであれば運命共同体として共に協力しあえた。本来なら。

 

結果を言えばハジメは共同戦線をソックリ生徒達との間に設けなかった。何故か?

 

(異世界に拉致られたのに危機感の欠如、警戒心の無さには甚だ呆れるしかないよ。あんなの)

 

自分達を親元から攫ったエヒトの行いを肯定して、攫われたのに文句を言ったらクソを見るかの様な目と態度を取ってきた教会側に友好的な態度を取る。

 

ハジメと違って裏表無しで、である。

 

(しかもアイツ等の殆どが、戦争の悲惨さを軽視・或いは現実逃避で考えない様にしてるのか分からないけどコレから何をするかを頭の中に詰め込んでない)

 

戦争とは、正義も悪も決着次第で簡単に後世では塗り替えられているなんて当たり前の倫理を無視した殺し合いである。

 

どんなに大義名分があろうと、やるのは人殺しだ。

 

時には命乞いする兵士すら殺すなんてザラにある。

 

殺した敵国の兵士が怨みを募らせて自分を殺そうとする悪夢なんて戦争帰還後に沢山見る。

 

戦争で勝っても負けても、何度も罪悪感と自分の戦争を経験してでの価値観の変化に耐え切れずに自殺したくなってしまう。

 

実際に自殺する人間だって、地球でも大勢居た。

 

そんな環境に子供でしか無い学生達が投入されれば、発狂するのが前提条件に過ぎない最悪の戦争を耐え切れずに戦争中に自害するか壊れてしまうしかない。

 

たとえ戦争を乗り越えようが、その後の人生を大きく変えてしまう。 

 

ソレをあのソックリ生徒達はテレビのニュース、ネットでのトピック、学校での歴史の授業で学ぶか理解する筈だったが、全く危機感が感じられない。

 

感じられるのは、本当に覚悟を決めている極一部のみ。

 

他のソックリ生徒達は、異世界召喚により何故か格段に跳ね上がった身体能力を試したくてウズウズしてる始末。

 

(小学生でも大半は自制出来たり、自覚をして改善するのにアイツ等はソコに無自覚すぎる)

 

まるで玩具を使って早く遊びたいと無邪気に願う園児の様だ。

 

玩具を沢山出せば、遊んだ後の片付けが大変になるという現実を先に直視しない様に、ソックリの生徒達は自分が死ぬリスクを見ていない。

 

或いは可能性の低い物として切り捨てられている。

 

そんな危機感の欠落したソックリ生徒達では、日本へ帰還する時の妨げにしかならない。

 

だから極一部の、本当の危機感を持つ生徒達にさえ日本帰還に対しての協力や情報交換等のコンタクトを取らず、ハジメは今日まで仮初の顔を作って接して来た。

 

(内部から無能な味方が無自覚に壊していくなんて、地球の歴史を振り向いても珍しくはない)

 

"真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である"と語ったナポレオンの言葉に、ハジメはもっともだと思っている。

 

与えられた力に酔いしれて、コレから自分達は大量の地獄を見る羽目になると考えられないソックリ生徒達では足手まとい以外になれる選択肢は無い。

 

出来ても精々、肉の盾が関の山だろう。

 

だからハジメはソックリ生徒達に対して本音で語ろうとしない。例え、自分とソックリな顔付きの生徒である南雲ハジメにであっても例外は無い。

 

(まぁ、ソレ以外にも協力出来ない理由はあるけど)

 

ソコに、どうしようもない感情を込めてハジメは思った。

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