ありふれないクラスメイトと平行世界のクラスメイトのトータス入り 作:ユラシ仮面氏
太陽が熱する暑さにより、温度が上昇する夏の季節。
左右の五指全てに指輪を付け、制服を着こなす一人の男が道路で立ち止まっていた。
サングラスをクイッと持ち上げて眉間に置き、眼前にそびえ立つ彼自身の通う学校を眺める。
多くの人にとっては、高校とは勉強や部活をする場所だと認識されているが彼、
(誰もの視線を集わせ、この俺様が以下に素晴らしいかを見せる最高の晴れ舞台!さて、そんな俺様に今日はどんな試練が待ち受けていようか)
その顔を挑戦心に満ち溢れた笑みにし、一歩前へ進めようと___
『今から通る生徒や教員は、登校時間を過ぎています。今からコッソリ、教員室や教室に行ってもバレますので、職員室で一度報告をしてください。特に清水君。君がまた遅刻回数を更新するのであれば、放課後に居残りをさせますから覚悟してくださいね? 愛子先生より』
そんな文章が書かれた看板に、幸利は強制的に立ち止まらされた。
看板をロープで正門に括り付け、名指しで幸利を呼んでいる辺り、幸利が如何に遅刻の常習犯なのが伺い知れる。先週にはこんな看板は無かったので、先週の休みを削ってまで、幸利の担任の愛子先生が自主的に作った代物だろう。
普通の常習犯だったら、この文言だけで震え上がっていただろうが幸利は一味違った。
「コレこそが、昨日の俺様を超えさせる試練という訳だな?フッ、ならばソレを踏み台にして飛び越えるのも試練を与えられた俺様の使命!」
遅刻の常習犯という点を除けば、主人公を思わせる台詞を吐く青年なのになぁ…とクラス中に思われているのを幸利は知らない。多分これから先も永遠に。
「いざ征かん!」
そう言って、トックの昔に閉められている門を必死でよじ登って、シュタッと着地だけを華麗に決める。
門が閉められているのからも分かる通り、幸利は今日も遅刻という学生・社会人では最もタブーとされる禁忌を犯していた。
その足でそのまま、職員室に向かった幸利は結局、愛子先生にこっ酷く叱られた。
__
「ウィーク&ギャラクシー号のキャラ設定はやっぱり、ロボットだけど感情がある系?それとも__」
鈴が漫画のキャラの見た目を編集に見せる為に複数の表情と衣装を描き、残りのキャラの性格やバックボーンに悩んでいる傍ら。
「ねぇ、光輝。ソロソロ、僕アレが欲しくなって来ちゃったんだけど…良いかな?」
恵理は何やら頬を赤らめて、自身の服の袖を掴みながら吐く息を隠そうともせずに、光輝の目と鼻の先まで顔を近づける。
今の恵理は、何処か妖艶な雰囲気を漂わせていて、眼前に迫られたら光輝以外の男なら、思わずOKを即答しそうなエロスを秘めていた。
「分かったよ恵理。」
そんな状況下でも、鼻の下を伸ばすどころか表情筋一つさえ変えないのは、光輝は精神がダイヤモンドで出来ているとでも言うのだろうか。
光輝の事情を知らない者が見れば、思わずゲイを疑いたくなるだろう。
丸いニコちゃんマークのプラカードを掲げながら、胸ポケットにしまっておいた小型カッターナイフを取り出して、刃を僅かに出して自分の指腹を傷付けた。
血液が滲み出してくるが、その血液を恵理が平均よりも長い舌でペロペロと舐めだす。
数秒もすれば、出た血液を舐め終えた恵理がとても満足げな顔をしながら、その舌先で最後の一舐めを済ませた。
不思議と周囲はその光景を見ても、奇異や驚きの目線を向けずに、
「血舐めてるだけなのに、何かエロくね?」
「ヤバイッ!こんな最高の場面が、鈴の脳内でスパーク反応を!?」
「至高の純愛はココにあった…」
等と、既に受け入れている反応を見せた。
まるで、ソレが日常の様に。否、そんな光景さえこの教室では日常なのだろう。
「ハジメ君!恵理ちゃんが中々エロティックな光景を作ってるから私達も、人前を気にせずにキスとかあんな事やこんな事をしようよ!」
名案を思い付いたとばかりに、ハジメの前に身を乗り出した香織は笑顔でとんでも無い提案を導き出した。
キスはまだ許容範囲に入るだろうが、具体的にせずに"あんな事やこんな事"と述べた部分は絶対に放送出来ない言葉であろう。
「イヤ、キスとかは良いかもしれないけど後半部分は…」
(えっ良いの!?プライベートでしか出来なかったキスとかを、人前でやっちゃって良いんですか香織さん!?イヤ落ち着くんだ南雲ハジメ!そんな事をしたら、タダでさえ面倒な童の帝メンバーが暴走しそうだし、大人しく学校では辞めるべきだろ!でもその提案も嬉しいし…でもやったら、確実に地獄を見るし…!)
ハジメは苦笑いをしながらも、内心ではその提案を非常に魅力的だと感じて、己の中の色欲ハジメさんが良い顔をしながら「やっちゃいなよぉ…」と囁いてくる。
必死に理性を総動員して、その色欲ごと焼き消した。
「ムー、凄くハッピーな提案だと思ったのにぃ」
頬を膨らませて、可愛らしく私不満です!アピールを取る香織は実に可愛らしいが、先程の提案は絶対に賛成してはいけない悪魔の契約書の類と同じ。
最初は幸福でも、後で恐ろしい結末が待っているパターンだ。
「全く。そんな表情しても、駄目なモノはダメ!」
指でバッテンを作りながら、ハジメは誘惑を断ち切った。チキンと言う事なかれ。
「グググ…ココは学び舎であって、イチャイチャする場所じゃないのに…おかしくない?」
童の帝同好会の会長が抜かした言葉に内心で同意はしながらも、いつもの事なので関心を賭け事に寄せていた。
「…っ!」
今直ぐにも溜まった疲労で椅子に座りそうな気持ちを押し殺し、その顔から汗を垂らしながらも必死に空気イスを続行させている龍太郎。既に開始から19分も経っていた。
殆どの賭け事に乗った生徒が予想を外して、少量とはいえお小遣いを使う事実に軽く落ち込んでいる。逆にほんの数人だけは、固唾を呑んで賭けに勝ちたい思いを胸に、龍太郎を必死に心の中で応援していた。
「時間的に愛子先生は来る頃だと思っとんだが、先生が一向に来ねぇぞ?」
「あっ、言われてみれば…そういえば幸利も来てないけど、アイツの場合どうせ遅刻よね」
しかし、HR一分前になっても幸利とクラス担任の愛子先生が現れない事に、賭けに参加してない生徒や賭けに負けた生徒達が不審がる。
「どうすっかねえ…「俺が職員室に確認に行こう」ウオッ浩介!?何時の間に「賭け事開始の前から俺は居たぞ」そっそうか、スマン…」
罵倒成分を存分に味わい、マトモな思考に戻った重吾が思案をしていると、直ぐ真横から眼帯を片目に装着した青年が出現した様に見えて驚いてしまう。
その青年浩介は、重吾に驚かれた反応にピクリと眉を顰めるが、自己主張気味に自分が何時からこの教室に居るかを言ったので、申し訳無さそうに重吾が謝罪する。
しかし浩介が確認に動く前に、教室外から明らかに走っている靴音が聞こえてくる。しかも、この教室に近付いて来ている様子。
そして、扉を勢い良く開けて教室に入ったのは失礼ながらも、高校生よりも下に見える童顔と低身長が合わさって、どうしても大人に見えない系女性愛子先生だ。
「フーッ!ギリギリ間に合った!」
「ヒ…グォ…」
ゼーハー言いながら息を整える愛子先生の後ろで、蚊の羽音よりも小さな低量ボイスで息を必死に吸い込むサングラスが目からズレている系男子の幸利も一緒だった。
丁度、幸利の入ったタイミングで時計の長針は20分へと動いた。
「何があったんや愛子先生…?」「いやコレ、幸利も一緒だし遅刻からの説教じゃね?」
既に予想される位には、この遅刻からの説教は日常茶飯事という事実に、遅刻したら毎回死にそうな心境になる者は戦慄するだろうが、もう慣れたこのクラス一同には日常風景にしかならない。
「おっおい…」「え?どした」
一人の生徒がプルプルと震える指でとある方向を指差しているのを見て、何だ?と思いながら差されている方を見ると20分が経過したのに、空気イスを続行出来ている龍太郎の姿がソコにあった。
「ファッ!マジかよ!?」「つっ遂にやりやがった!」「あっ、私の…お小遣いガガガー」
今まで一度も達成されなかった出来事が、正にソレが今達成された事実に我が事の様に喜ぶ者。純粋に驚く者。そして賭け事失敗のお知らせに気付き、口から白い何かを出してポカーンとしている者に反応は別れた。
「foooooooo!!俺の一人勝ちだァァァ!!」
その中で、最後まで遣り遂げるに賭けていた明人は大喜び。しかし、その興奮と喜びは自身の小遣いを消費せずに大量の菓子や食べ物を手に入れれたからではない。
賭けに勝った。しかも、誰も予想出来なかった大穴を選択した上で、たった一人という心細く誰かの選択に乗りかかりたくなる集団心理の重圧に耐えた上で勝ち取った勝利に何よりも喜んでいるのだ。
最高の美酒に酔いしれる富豪の様に、多幸感と自分の決断を褒める自画自賛を内心で行いながら、明人は言う。
「ヤッパ、この感覚を一度でも味わっちゃあもう止めるなんて出来ねぇわ!」
最高の笑顔で、思わず賭けに負けた全員が釣られて楽しい感覚を共有される位に。
今回は、プロフィール無しバージョンでお届けします。投票で要らないという意見もあったので、お試しに一回。
生徒のプロフィール欄入りますか?
-
いらない。むしろ邪魔
-
いるけど、2つじゃなくて一個にする
-
いる