ありふれないクラスメイトと平行世界のクラスメイトのトータス入り 作:ユラシ仮面氏
「まず、先程の暴言や誹謗中傷の数々に関しての謝罪は受け取ってくれましょうか?」
自分の立場を徹底的に下に落とし、イシュタルに使いやすい駒だと思い込ませるのがハジメの第一の狙いだった。
だからあくまで低姿勢でハジメは取り繕い、イシュタルの出方を観察する。
「その謝罪の意は不要でございます、南雲ハジメ様。我等の事情に勝手に巻き込み、挙げ句には逃げ道すら与えなかったのも先程の方の言う通りで御座います」
イシュタルの出方は単純明快。
自分側に非があると言うスタンスを取っているが、この出方は日本人のサラリーマンが「相手の非よりも自分にも非がある」と言って、非を主張する合戦を始めるのと同じ。
終着点が無い論争、そしてお互いに非があるから不問にしようという認識を植え付けるのが目的だ。今回の場合のイシュタルの狙いは、ハジメには大方予想が付いた。
(ハッ、イシュタル爺さんは中々強かだねぇ。コッチの非を許す代わりにソッチの非も丸々認めろってー?)
一見、そんなやり取りだけで約束事の様に確約される訳ないだろうと思えるだろう。
しかし、後で「あの時の話、忘れたとは言わせませんぞ?」と言われただけで、その終わりのない論争が始められる。しかも、証人となるメイドや執事が大量に居るし誤魔化しは聞かない。
確約される訳では無い。だがイシュタルが後々で確実に有利になるだろう話を進められただけで、ハジメ陣営は不利益を未来で確実に負う。
その不利益がどの様な損害になるのかは、未来を見通せる力を持たないハジメには分からないが、必ずハジメが思わず顔を顰める場面でイシュタルが手札として切ってくるだろう。
だからそういう会話は必ず妨害か、上手く逸らす等をしなければならない。
(だから、今の発言をそう簡単に受け止めれない盤面。さて、どうするか)
考えれるのは精々1、2秒程度。それ以上の会話の途切れはイシュタルに会話の催促をされれば、無策で会話をしなければならなくなる。
(だからこそ、この切口は有効打になる)
「いえ。コチラは、貴方達の主神であるエヒト神にさえその暴言を吐き散らしてしまったのです。とても謝罪のみで返せれるとは思えません」
「…そうですか。ソレもまた仕方ない事とはいえ、我等が主神たるエヒト神への敬意を示しての行動です。その謝罪を受け取り、先の私の発言は撤回すべきでしょう」
そのハジメの発言は一見して普通の謝罪に見えるが、エヒトを焦点に当ててイシュタルの謝罪を拒否したのだ。自分等の信仰する神を出されては、イシュタルも口を出せない。
宗教色の薄まっている日本人には、特にピンとは来ないだろう。事実、ハジメにもその感覚は分からかった。
しかし、神に暴言を図れれば給仕として感情を表面に出さないのも役割の一つであるメイドや執事達は怒りに震え、イシュタルの側仕えにも怒りの感情が見えた。
更には畑山やハジメ達とは違う方の生徒達が帰りたいという一点張りの時に、イシュタルがそのガラスの目玉に乗せた侮蔑の感情。
どれだけ感情を隠せるイシュタルでさえ、神が関係すると途端に感情を露わにしてしまう。だからこそ、ソコを付けば自身の敬愛する神への暴言を簡単に許すと口には出来まいと思っていた。
敬愛する神に確認も取らずに勝手に許す等、神の心情をまるで自分が把握してるとでも言う様な暴挙。更に神への暴言を一介の人間風情が果たして独断で許していいのか?
そんなイシュタルの見せた反応を利用してのカウンター。そんなハジメの予想は当たり、イシュタルはその話を終わらせた。
「撤回という慈悲を無に帰す行為への選択を取らせてしまい、本来ならどの様な行為でお返しすべきか…」
(ラッキー!ヤッパリあの反応は撒き餌じゃなくガチの反応!マジで自分よりも長く生きて、僕なんかよりも凄い嘘付きから一本取ったんだ!)
ハジメはその心で無邪気にイシュタルの駆け引きをカウンターで返せた。ソレを老獪なイシュタルからもぎ取れた事に、達成出来た多幸感で酔い痴れそうになる。さながら気分は老練兵を討ち取った新兵気分。
だが忘れていけないのは、こんなのは最初の会話に過ぎない。
(まだ序盤の会話パートにすらなっていない。このジイさんの策のデーパートなんてまだまだコレから出るんだから、こんなのじゃ勝った気になるのが馬鹿を見るかぁ…)
一度でも驕り、油断した者から足をすくわれて、一度のミスだけで全てを奪われる。そうやってハジメは敵を騙し、勝利を掴んできた。だからハジメは今まで騙していたツケが自分に回って来ない様にする為、ハジメは勝利気分から直ぐに騙し合いモードへと意識を切り替える。
「いやはや…しかし話は変わりますが、ハジメ様の先程の対応は見事ですね。トータスに来る前からあの様な事をなされて?」
その質問は雑談の類だと思われるだろう。しかしイシュタルの場合は違う。ハシメに穏やかそうに話している風に見えるが、イシュタルの瞳の先に映るのは、ハジメでは無く他の生徒達だった。
(っ!あのジイさんが見てるのは、僕以外の皆の反応か!?ウチのクラスの纏め役の特定か?それとも…クソ、何が狙いだ!)
その思考がハジメに焦りをもたらす。背中を冷や汗が伝い、ハジメの瞳の行き先がブレ始める。
当のイシュタルは話し相手であるハジメの話し方や、イシュタルの狙いの妨害をしたという情報だけで、ハジメを自分と同じ嘘で交渉を進める者と考えた。
当然、そんな人物相手では話し合いは腹の探り合いにしかならない。相手が子供だからといって油断出来る理由にはならない。
育った環境によって人は聖人の様な性格にも、悪魔の様な性格になるのと一緒で子供も教えられる事や環境次第では大人を超えた能力を持つ。
ハジメが中途半端な交渉術しか持っていない可能性もイシュタルは考えたが、人間族と魔人族との戦線が激化するかも分からない状況では、ハジメがどれ程の人物かを図る時間なんてイシュタル側には無いのだ。
再び魔人族側に侵攻をされれば、人間族の兵士達の多くがまた死んでしまう。エヒト神の教えを広めれずに無意味に死なせては、エヒト神への冒涜とイシュタルは考えている。
だからこそ、魔人族が侵攻を踏み止まらせる位のインパクトのある戦力が必要なのだ。
ソレが勇者とその一行、そして使徒の一行だった。
なのに、そんな彼等彼女等との関係の構築が上手く行かなければ、折角エヒト神自らが御慈悲でもたらせた戦力を有効活用出来ない。それ即ち、エヒト神の御慈悲を無駄にする事。
(そんな事は、何としてもあっては駄目な事だ。否、そもそもそんな可能性さえ出してしまっている事こそが信仰心が足りぬ証拠!なればこそ、何としてでも掴み取るのみ!)
どれ程の思考の回転の速さかも知らない相手と腹を探り合って時間を不毛にする位なら、最初からハジメは無視して他の生徒の反応を見れば良い。ハジメなんて二の次、と思わせるのが狙い。本命は__
(ココで僕が一体どういう反応をするか。そしてジイさんの表の目的に気が付いて、慌てて話の舵を取らせる事だろ?)
イシュタルの表の目的に気が付いたハジメの反応の観察こそが裏の目的。イシュタルの瞳が生徒達に向けられる事でイシュタルの目的の誤認を誘うミスディレクション。
イシュタルの本当の目的は、ハジメが生徒達の反応を見せない為に無策に近い状態でハジメが話の舵を切り出させてボロを出す可能性を上げる事。
そもそもの話。表の目的である生徒達の反応を見るに関してだって、生徒達は会話を聞く傍観者というだけで話の意図やその目的を考えるのは当事者よりも頭の回転がある程度は遅い。
他の生徒への指示を率先して行うハジメが居るから、自分達はハジメに任せて他の事を優先して考えようとするのだから、生徒達の反応を見るには適さない。コレが愛子が暴れる前であったら、まだ元の世界に帰れないという事実で冷静さを掻いていた。
ソレこそ、ハジメがこういう騙し合い担当という事実を知っていながらも、イシュタルから話される情報を把握しておきたいという、パニック直後で状況を少しでも知りたい状態になっていたろう。
だが、愛子の怒り心頭なご登場のせいもあって、自分よりも感情を荒ぶらせた者を見ると返って冷静になる状態が発動してしまった。ソレゾレが、今自分に出来る役割を果たそうとイシュタルの話を聴かずに別の事をする。
そんな様子を現在進行系で見ていたイシュタルにとって、そんなのは一つも役立てない。
(悪いけど、コッチも演技は続行させてもらうぞー?ワザワザ手玉に取られた駒だって途中まで思わせるのが、僕の第二の狙いなんだからサー)
先程までハジメが内心で露わにしていた動揺も、全て体に緊張や動揺をしていると誤認させる為に強く思い込ませていただけ。
体の反応を騙し合いに応用するのは難しく、ハジメにどうすれば自身の体をも騙せるかを教えてくれた生徒曰く、「自己暗示で思い込みをすれば、想像してるよりも簡単に騙せるぞー!」とアドバイスを貰っていた。
(さてさて、思考も行動もゼーンブ手駒に取られる奴をトレースするんだから自己暗示が必要。
イシュタルがハジメの偽の反応を見て、その瞳の奥で罠に掛かったかを冷静に判断しようとしている傍らにハジメは自己暗示に集中する。
(思い込め…僕は、冷静さを掻いて話を…無策に切り出して…イシュタルに…利用される…)
ゆっくりと意識を眠い時の様な視界が不鮮明で脳の働きも遅くなる朧げな状態にし、ハジメの心の呟きをその意識に彫り込ませていく。徐々に意識はハッキリし、視界はクリアとなっていく。
(あれ…僕は何を今考えて…?イヤ、それよりも早くあのジイさんに反論しないと!何か策を考え_)
そして出来上がるのは、お望み通りに仕上がった南雲ハジメという誰から見ても
???視点
一人、その光景を見ながらほくそ笑む一人の少女が居た。その少女は脳内に映るハジメ達の姿を見て、一層不気味にカラカラと笑う。
「さてはて、何百年振りだろうかのぅ。退屈凌ぎに召喚した半神候補を召喚したは良いものの、関係の無い道化が紛れ込んだと思っていたが、存外に楽しめそうではないか」
少女は可憐な見た目に反して、その表情から生まれる笑みは人の生存本能を刺激する様な雰囲気が漂う。
「イシュタルと腹の探り合い等、少しは面白くなりそうだな。もっとワシを楽しませ、そして華々しいハッピーエンドを迎えるのじゃぞ?このトータスに来たからには」
その場にあるトータスを映す映像を全て消し、ハジメ達転移者の動向を見るのは果たしてタダのひとなのか。それとも亜人族なのか、魔人族なのかそれとも__
「のぅ、いつまでワシを覗き見ているつもりだ?この痴れ者が」
その少女はその顔を不快げに歪めたが、視点は一貫してとある空間を睨みつけていた。………
「フンッ。で、あの道化を紛らせて一体どういうつもりなのだ?地球という世界の軸を管理するイカれ狂いが」
もう、そんな言い草無くないですか!?別に貴方みたいに洗脳をして、自分の信者にしたりする愉悦部とは違うんですよー!
「ハッハハハハハハ!よー言うわ。運命という歯車を操作し、幾つもの地球を量産して残酷な可能性だけ意図的に引き上げ、人が死ぬという事実で悦に浸りける貴様が、今更常人の感性を語るか?」
もうっ!私の場合は、ソレを物語として投稿する為なんですからね!個人的に楽しむ貴方とは違うのですよ!貴方とは!
「ワザワザ2回も強調しておって。…フム、運命の操作でかなりエグい人生を歩ませているのぅ。殺人による精神崩壊、虐めによる人格の変化…そんなのを読ませて何が楽しいんじゃお主?」
げっ、使用料払わずにまた私の小説を読みやがってぇぇぇ!!ちゃんと料金払いやがれー!!
「断る。貴様のつまらん三流物語見たさに貴重な
えぇぇ!?あんだけ虐殺繰り広げてるエヒトさんがまさかの払わないですとぉぉぉ!?
大体戦争なんて意図的に起こす理由なんて、生産された
「戯けめ。知っておるぞ?無断で口調も性格も違う我を不完全に模倣したキャラが、今回召喚された一人に無惨に殺される物語を作っているのを。コレは、明確な著作権侵害をしておるじゃろうが」
なっ何の事かなー?ソレにあの作品を作っておられる御方は"厨二好"というハンドルネームであってですね?
「ダウトじゃ。複数登用がこのワシにバレていないと思っておったのか?」
タハハッ、バレていましたかー。私の表の顔の一つである"ユラリ笑"だけに引き寄せれていたら良かったのにー
「阿呆めが。貴様程度で、ワシを超えれたと驕るど低能ブリは相変わらずだのぅ」
もー、今回は踏んだり蹴ったりです。罵倒されるし、このシーン絶対入れられないから編集してカットすると、文字数4000字にしかなりませんし…
「知るか、このワシを書こうとした罰じゃ。サッサとこのトータスから手を引かんと、また痛い目見るぞこのロクでなし?」
うっせぇですよ!ハッピーエンド見たいが為に、大量の悲劇とか洗脳とかする貴方の言葉なんて聞きませんよーだ!今は一先ず撤退しますが、また後程来ますからね!
「…、本当に消えた様じゃが、大方地上に居る道化に視点を戻しただけじゃろうな」
「今消さなくて宜しいのですか?」
「ノイントか。良い、下手に攻撃すれば成り上がりのワシを毛嫌う連中が、コレぞとばかりに大義名分を盾にして攻めてくるのを対処するのは、ワシにはチト骨が折れるわ」
「了解しましたエヒト様。では、監視にのみ留めておきます」
「うむ。どうせアヤツは隠そうともしないんじゃから存分に見ておけ」